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日本薬局方
リトドリン塩酸塩注射液
劇薬
処方箋医薬品注)
緊急に治療を必要とする切迫流・早産
通常、1アンプル(5mL)を5%ブドウ糖注射液または10%マルトース注射液500mLに希釈し、リトドリン塩酸塩として毎分50μgから点滴静注を開始し、子宮収縮抑制状況及び母体心拍数などを観察しながら適宜増減する。子宮収縮の抑制後は症状を観察しながら漸次減量し、毎分50μg以下の速度を維持して収縮の再発が見られないことが確認された場合には投与を中止すること。通常、有効用量は毎分50~150μgである。なお、注入薬量は毎分200μgを超えないようにすること。
症状が増悪するおそれがある。
過度の昇圧が起こるおそれがある。
過度の血糖上昇があらわれることがある。また、糖尿病性ケトアシドーシスがあらわれることもある。,
肺水腫が起こるおそれがある。,
横紋筋融解症があらわれることがある。
水分の過負荷を避け、十分な観察を行うこと。肺水腫が発生しやすいとの報告がある。,
投与しないこと。本剤の臨床適用は切迫流・早産であるが、妊娠16週未満の症例に関する安全性及び有効性は確立していない。臨床試験において妊娠16週未満の症例数は少ない。
出産直前に本剤を投与した場合には、母乳栄養の有益性を考慮し、出産直後の授乳を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。
併用により肺水腫を発生することがあるとの報告がある。水分の過負荷を避け、十分な観察を行うこと。
体内の水分貯留傾向が促進される。
作用が増強されることがある。
相加的に作用が増強される。
作用が減弱されることがある。
β受容体において競合的に拮抗する。
CK上昇、呼吸抑制、循環器関連の副作用(胸痛、心筋虚血)があらわれることがある2)。また、出生した早産児の高カリウム血症のリスクが高いことが報告されている1)。
機序は不明である。
過度の血清カリウム低下が起こるおそれがある。
相加的にカリウム低下が増強される。
肺水腫があらわれることがあり、急性心不全の合併に至った例もあるので、呼吸困難、胸部圧迫感、咳嗽、頻脈、低酸素血症等に十分注意すること。また、肺水腫に合併しない心不全があらわれることもあり、帝王切開術後に心不全に至った症例が報告されているので、帝王切開術後も十分観察を行うこと。,,,,,,,,
ショック(蒼白、チアノーゼ、血圧低下等)があらわれることがある。
心室頻拍等の重篤な不整脈があらわれることがある。
AST、ALTの上昇等の肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
発熱、紅斑、そう痒感、眼充血、口内炎等の症状が認められた場合には、適切な処置を行うこと。
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがある。
血糖値の急激な上昇や糖尿病の悪化から、糖尿病性ケトアシドーシスがあらわれることがある。糖尿病性ケトアシドーシスに至ると母体と胎児の生命を脅かすことがある。,,
胎児及び新生児に心不全があらわれることがあり、特に2週間以上の投与例で心不全を認めた報告がある。胎児期から心拡大等の心不全徴候に留意すること。
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5%以上
0.1~5%未満
頻度不明
循環器注1)
動悸・頻脈
顔面潮紅、顔面疼痛
心電図異常(ST・Tの異常)、上室性頻拍、血圧の変動、息苦しさ、胸痛
肝臓
肝機能障害(AST、ALTの上昇等)
血液
血小板減少、貧血
精神神経系
振戦、頭痛、四肢末梢熱感、脱力感、発汗、眩暈
しびれ感
消化器
嘔気、嘔吐、便秘
下痢
過敏症
発疹
多形滲出性紅斑、腫脹、そう痒
投与部位
血管痛、静脈炎
その他
尿糖の変動、発熱、冷汗
唾液腺腫脹、高アミラーゼ血症(唾液腺型アミラーゼ増加)、一過性の血糖上昇、CK上昇、倦怠感、こわばり、咳嗽
胎児・新生児
胎児頻脈、胎児不整脈、新生児頻脈、新生児腎機能障害、新生児呼吸障害(多呼吸等)
薬剤投与中は、患者の心臓への負担軽減を図るため半側臥位又は側臥位とすることが望ましい。
早産児にみられる脳室内・周辺出血の発生頻度が、β刺激剤を切迫早産に使用した症例において高かったという外国の報告がある。
健康成人に1時間点滴静注(100μg/min)したとき注)、最高血漿中濃度は31.7ng/mL、最高血漿中濃度到達時間は0.67hr、消失半減期(二相性)は0.15及び4.66hr、AUCは52.6ng・hr/mLであった3)。
健康成人に1時間点滴静注(100μg/min)したとき注)、48時間までに投与量の50%が尿中に排泄され、そのほとんどは12時間以内に排泄された3)。注)本剤の承認されている用法及び用量は「通常、1アンプル(5mL)を5%ブドウ糖注射液または10%マルトース注射液500mLに希釈し、リトドリン塩酸塩として毎分50μgから点滴静注を開始し、子宮収縮抑制状況及び母体心拍数などを観察しながら適宜増減する。子宮収縮の抑制後は症状を観察しながら漸次減量し、毎分50μg以下の速度を維持して収縮の再発が見られないことが確認された場合には投与を中止すること。通常、有効用量は毎分50~150μgである。なお、注入薬量は毎分200μgを超えないようにすること。」である。
切迫早産入院患者138例(リトドリン塩酸塩群69例、イソクスプリン塩酸塩群69例)を対象とし、リトドリン塩酸塩を50μg/分で投与開始後、患者の状態に応じて投与量を適宜調節した。投与期間は、原則5日間とした。その結果、有用以上の有用率は、リトドリン塩酸塩群83.3%であった。副作用発現割合は、リトドリン塩酸塩群で24.6%(17/69例)であった。主な副作用は、心悸亢進であった4)。
切迫流産入院患者161例(リトドリン塩酸塩群82例、イソクスプリン塩酸塩群79例)を対象とし、リトドリン塩酸塩を50μg/分から上限200μg/分の漸増法を用いた点滴静注により投与時間を8時間で行った。その結果、有用以上の有用率は、リトドリン塩酸塩群で71%であった。副作用発現割合は、リトドリン塩酸塩群で29.3%(24/82例)であった。主な副作用は、心悸亢進であった5)。
薬理学的な分析より、リトドリン塩酸塩はβ受容体に対する選択的な刺激効果に基づきc-AMP含量を増加させ、Ca++の貯蔵部位への取り込みを促進して子宮運動抑制をきたすと考えられるとともに、膜の過分極、膜抵抗減少及びスパイク電位発生抑制をきたし、子宮収縮抑制作用を発揮する6),7)(in vitro)。
妊娠後期のラット、ウサギ、ヒツジ及びアカゲザルの自発性子宮運動ならびにPGF2α、オキシトシンなどの薬物誘発子宮運動亢進反応をリトドリン塩酸塩は用量依存的に抑制した8),9),10),11)。
妊娠ラット摘出子宮筋の自発運動ならびにアセチルコリン、オキシトシン、PGF2α、KCl及び電気刺激による誘発子宮収縮をリトドリン塩酸塩は濃度依存的に著明に抑制した8)(in vitro)。
ラット摘出妊娠子宮筋及びモルモット摘出右心房標本を用いた実験で、リトドリン塩酸塩はイソプレナリン塩酸塩、イソクスプリン塩酸塩に比し優れた子宮筋への選択性を示した6)(in vitro)。
リトドリン塩酸塩(Ritodrine Hydrochloride)
(1RS, 2SR)-1-(4-Hydroxyphenyl)-2-{[2-(4-hydroxyphenyl)ethyl]amino}propan-1-ol monohydrochloride
C17H21NO3・HCl
323.81
白色の結晶性の粉末である。水、メタノール又はエタノール(99.5)に溶けやすい。0.01mol/L塩酸試液に溶ける。水溶液(1→10)は旋光性を示さない。光により徐々に淡黄色となる。融点:約196℃(分解)
5mL×10アンプル
1) Yada Y, et al.: Scientific Reports.2020;10(1): 7804
2) Ferguson, J. E. Ⅱ, et al.: Am. J. Obstet. Gynecol.1984;148(2): 166-171
3) 第十八改正日本薬局方解説書. 廣川書店 2021;C6079-6081
4) 坂元正一ほか: 医学のあゆみ.1985; 133(8): 558-571
5) 坂元正一ほか: 産科と婦人科.1991; 58(11): 2263-2284
6) 池田滋ほか: Japan. J. Pharmacol.1984; 36(4): 477-484
7) 和泉秀隆ほか: Br. J. Pharmacol.1982; 76(3): 463-471
8) 池田滋ほか: Japan. J. Pharmacol.1984; 35(3): 319-326
9) 池田滋ほか: 日本産科婦人科学会雑誌.1983; 35(11): 1963-1971
10) 藤本征一郎ほか: Asia-Oceania. J. Obstet. Gynaecol.1983; 9(3): 325-333
11) 飯塚宏美ほか: 実中研・前臨床研究報.1983; 9(1): 1-5
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