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劇薬
処方箋医薬品注)
急性前骨髄球性白血病
通常、成人には寛解導入療法としてトレチノイン1日60~80mg(45mg/m2)を3回に分けて食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
本剤を16週間投与して寛解に到達しない場合には、投与を中止すること。
治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ観察を十分に行いながら(定期的なX線検査、Al-P、Ca、P、Mg等の臨床生化学的検査)慎重に投与すること。,,,
脂質代謝異常を起こすおそれがある。高トリグリセライド血症の患者への投与は脂質代謝障害の危険性が高いので、その素因のある患者には血中トリグリセライドの検査を行うこと。
好塩基球増多症が発現し、高ヒスタミン血症に至った例も報告されている。
投与しないこと。重篤な腎障害を起こすおそれがある。
投与しないこと。類似化合物(エトレチナート)で、重篤な肝障害を起こすことが報告されている。,,
妊娠する可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。疾患の重症度及び治療の緊急性を考慮した上で、患者に以下の注意事項についてよく説明し理解させた後、使用すること。,,,,
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験で催奇形作用が報告されている。,,,,
授乳しないことが望ましい。類似化合物(エトレチナート)の動物実験(ラット)で、乳汁中への移行が報告されている。
用量に留意して定期的に血漿アルブミン検査を行い、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。血漿アルブミンが減少していることが多く、本剤は血漿蛋白との結合性が強いため、血漿アルブミンが減少していると遊離の薬物血漿中濃度が高くなるおそれがある。
ビタミンA製剤
(チョコラA等)
ビタミンA過剰症と類似した副作用症状を起こすおそれがある。
本剤はビタミンAの活性代謝物である。
フェニトイン
フェニトインの血中濃度が上昇し、フェニトインの作用が増強するおそれがある。
類似化合物(エトレチナート)でフェニトインとの併用により、フェニトインの蛋白結合能を低下させるとの報告がある。
抗線溶剤
アプロチニン製剤
本剤とこれらの薬剤を併用した患者で血栓症を発現し、重大な転帰をたどったとの報告があるので、併用に際しては慎重に行うこと。
本剤投与により、凝固線溶系のバランスが変化するためと考えられている。
アゾール系抗真菌薬
本剤の作用を増強するおそれがある。
本剤の代謝酵素である肝チトクロームP-450が阻害され、本剤の血中濃度及びAUCが上昇する可能性がある。
発熱、呼吸困難、胸水貯留、肺浸潤、間質性肺炎、肺うっ血、心嚢液貯留、低酸素血症、低血圧、肝不全、腎不全、多臓器不全等が発現し、重篤な転帰をたどることがあるので、このような症状が認められた場合には、本剤を中止し、副腎皮質ホルモン剤のパルス療法等の適切な処置を行うこと。
末梢白血球数が30,000/mm3を超えた場合には、減量又は休薬すること。
脳梗塞、肺梗塞、その他の動脈又は静脈血栓症等があらわれることがある。治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与を継続すること。
肺炎、敗血症等があらわれることがある。
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5%以上
1~5%未満
頻度不明
呼吸器
喘鳴
鼻充血、ラ音、咳嗽、咽頭炎
皮膚
皮膚乾燥(24.4%)
湿疹、発疹、紅斑、ペニス背面乾燥
皮膚発赤、そう痒、脱毛、好中球浸潤・有痛性紅斑・発熱を伴う皮膚障害(Sweet症候群)、結節性紅斑、発汗、皮膚出血、皮膚剥離、性器潰瘍、皮膚炎
粘膜
口唇乾燥(46.3%)
口内炎(アフタ性、潰瘍性を含む)、口腔粘膜びらん
粘膜乾燥
脂質代謝
トリグリセライド上昇(51.2%)、β-リポ蛋白上昇
総コレステロール上昇
肝臓
ALT、AST、LDH(24.4%)、Al-Pの上昇
精神神経系
頭痛(29.3%)
末梢知覚異常
頭蓋内圧亢進(初期症状:うっ血乳頭、悪心、嘔吐、視覚異常)、めまい、不安、眠気、うつ症状、視覚障害、聴覚障害
消化器
食欲不振
嘔吐、下痢
悪心、腹痛、便秘、口内水疱、胃不調、膵炎
骨・筋肉
筋肉痛、骨痛
関節痛、背部痛、筋骨格痛、筋炎
眼
目のかゆみ
目の乾燥
腎臓
BUN上昇
クレアチニン上昇
電解質異常
K上昇、Cl低下
Na低下、高カルシウム血症
その他
発熱(12.2%)
アルブミン減少、尿沈渣、尿蛋白
血小板増多、浮腫、胸痛、悪寒、疲労感、体重変動、全身脱力感、不整脈、蜂巣炎
急性前骨髄球性白血病(APL)患者8例にトレチノインとして20mg、30mgを食後単回経口投与したときの血漿中濃度は以下のとおりであった。20mg投与群と30mg投与群間でほぼ用量相関性の吸収が認められた1)。
投与量
症例数
tmax(hr)
Cmax(ng/mL)
t1/2(hr)
AUC(ng・hr/mL)
20mg
4
2.5±0.5
95.8±34.1
1.55±0.27
278.4±92.0
30mg
3.5±1.0
155.2±81.3
1.25±0.18
422.0±194.6
(mean±SE)
APL患者7例にトレチノインとして1日45mg/m2を2~6週間経口投与した。最高血漿中濃度及びAUCは初回投与後それぞれ294±89ng/mL、537±191ng・hr/mLであったが、2~6週間後は138±139ng/mL、248±185ng・hr/mLと低下した。これは、トレチノインを連続投与したことにより薬物代謝酵素P-450による代謝が促進されたためと考えられた2)(外国人データ)。
寛解導入療法を行ったAPL患者4例に、トレチノインとして20mgを食後単回経口投与したとき、投与後8時間までの血漿中代謝物及び24時間までの尿中代謝物を測定した。トレチノインは生体内で一部異性化されイソトレチノインとなり、それぞれ肝臓で4位が酸化され4-オキソ-トレチノイン及び4-オキソ-イソトレチノインとなるが、これら代謝物は血漿中及び尿中ともわずかしか認められなかった。尿中代謝物は、グルクロン酸抱合体として4-オキソ-トレチノイングルクロニド及び4-オキソ-イソトレチノイングルクロニドが、また、非抱合体としてわずかに4-オキソ-イソトレチノインが認められた1)。
APL患者6例に[10、11-3H]トレチノイン0.14~2.75mgを単回経口投与したとき、投与後7日間の尿中排泄率及び糞中排泄率は、それぞれ平均63.1%及び31.2%であり、尿中への排泄は投与後72時間でほぼ終了した3)(外国人データ)。
注)本剤の承認された用法及び用量は「1日60~80mg(45mg/m2)を3回に分けて食後経口投与」である。
APL患者にトレチノインとして45mg/m2を1日3回に分けて7日~16週間投与したときの治療効果を検討した国内臨床試験において、有効性評価対象症例38例の寛解率(部分寛解以上)は以下のとおりであった4)。
完全寛解
部分寛解
無効
寛解率(%)
初回化学療法難反応例
5
100
再発後化学療法難反応例
1
化学療法再発例
15
11
73.3
未治療例
6
83.3
トレチノイン初回治療例 小計
27
22
81.5
トレチノイン寛解後再発例
3
7
36.4
総計
38
25
12
68.4
副作用発現頻度は87.8%(36/41例)であった。主な副作用は、口唇乾燥が46.3%(19/41例)、頭痛が29.3%(12/41例)、皮膚乾燥が24.4%(10/41例)であり、臨床検査値異常ではTG上昇が67.7%(21/31例)、β-リポ蛋白上昇が41.7%(5/12例)、LDH上昇が24.4%(10/41例)であった4)。
第17染色体上のレチノイン酸受容体(retinoic acid receptor-α:RAR-α)遺伝子と第15染色体上のPML遺伝子はともに、好中球系細胞を前骨髄球から分葉好中球へと分化させる機能を持つと推定されているが、急性前骨髄球性白血病においては染色体相互転座により形成されたPML-RAR-αキメラ遺伝子が両者のもつ分化誘導作用をブロックすることにより、APL細胞が前骨髄球以降に分化するのを阻止しているものと推定される。ここに、大量のトレチノインが作用すると、キメラ遺伝子の抑制機構が崩れ、前骨髄球からの分化がおこるものと考えられる5),6)。
白血病細胞のHL-60細胞株、NB4細胞株及び急性前骨髄球性白血病患者由来白血病細胞に対し、分化誘導作用が認められた7),8),9),10)。
HL-60細胞株に対し、増殖抑制作用が認められた11)。
トレチノイン(Tretinoin)
(2E,4E,6E,8E)-3,7-Dimethyl-9-(2,6,6-trimethyl-1-cyclohexen-1-yl)-2,4,6,8-nonatetraenoic acid
C20H28O2
300.44
黄色~淡橙色の結晶又は結晶性の粉末である。アセトン、ジクロロメタン及びジエチルエーテルにやや溶けにくく、エタノール(95)に溶けにくく、水にほとんど溶けない。
瓶開封後は湿気、光を避けて保存すること。
100カプセル(瓶、バラ)
1) 社内資料:単回経口投与後の血漿中濃度推移(国内)
2) Muindi, J. R. F., et al. Cancer Res. 1992;52:2138-2142
3) 社内資料:単回経口投与後の尿・糞中排泄(国外)
4) 山田治 他. 癌と化学療法. 1994;21:1981-1989
5) Kakizuka, A., et al. Cell. 1991;66:663-674
6) 大野竜三. 癌と化学療法. 1993;20:189-193
7) Honma, Y., et al. Biochem Biophys Res Commun. 1980;95:507-512
8) Lanotte, M., et al. Blood. 1991;77:1080-1086
9) Chomienne, C., et al. Blood. 1990;76:1710-1717
10) 社内資料:HL-60細胞株に対する分化誘導作用
11) 社内資料:HL-60細胞株に対する増殖抑制作用
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