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処方箋医薬品注)
通常、バルプロ酸ナトリウムとして400~1200mgを1日1回経口投与する。ただし、年齢・症状に応じ適宜増減する。
通常、バルプロ酸ナトリウムとして400~800mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状に応じ適宜増減するが、1日量として1000mgを超えないこと。
バルプロ酸の躁病および躁うつ病の躁状態に対する、3週間以上の長期使用については、国内外の臨床試験で明確なエビデンスは得られていない。
自殺企図や自殺念慮が悪化するおそれがある。
以下のような患者においては、本剤投与前にアミノ酸分析等の検査を考慮するとともに、本剤投与中は、アンモニア値の変動に注意し、十分な観察を行うこと。重篤な高アンモニア血症があらわれるおそれがある。
本剤は製剤学的にバルプロ酸ナトリウムの溶出を制御して徐放化させたものであり、服用後一定時間消化管内に滞留する必要があるので、血中濃度が十分に上昇しない可能性がある。
蛋白結合率の低下等の要因により、遊離型薬物濃度が上昇するおそれがある。
血液透析による本剤の除去や蛋白結合能の変化により遊離型薬物濃度が低下するおそれがある。
投与しないこと。肝障害が強くあらわれ致死的になるおそれがある。
肝機能障害が強くあらわれるおそれがある。
妊娠する可能性のある女性に使用する場合には、本剤による催奇形性について十分に説明し、本剤の使用が適切であるか慎重に判断すること。本剤で催奇形性が認められている。,
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中へ移行することがある。
カルバペネム系抗生物質
てんかんの発作が再発することがある。
バルプロ酸の血中濃度が低下する。
バルビツール酸剤
バルプロ酸の作用が減弱、左記薬剤の作用が増強することがある。
左記薬剤がバルプロ酸の代謝を誘導し、バルプロ酸の血中濃度が低下する。また、左記薬剤の血中濃度を上昇させる。
フェニトインカルバマゼピン
バルプロ酸の作用が減弱、左記薬剤の作用が増強又は減弱することがある。
左記薬剤がバルプロ酸の代謝を誘導し、バルプロ酸の血中濃度が低下する。また、左記薬剤の血中濃度を上昇又は低下させる。
**フェニトイン
ホスフェニトイン
フェノバルビタール
バルプロ酸による高アンモニア血症のリスクが増加するとの報告がある。
機序は不明である。
エトスクシミドアミトリプチリンノルトリプチリン
左記薬剤の作用が増強することがある。
左記薬剤の血中濃度を上昇させる。
クロバザム
バルプロ酸の作用が増強されることがある。
機序は不明であるが、バルプロ酸の血中濃度が上昇する。
ラモトリギン
左記薬剤の消失半減期が約2倍延長するとの報告がある。
肝におけるグルクロン酸抱合が競合する。
*ロラゼパム
左記薬剤の消失半減期が延長することがある。
*グルクロン酸抱合を誘導する薬剤
バルプロ酸の作用が減弱することがある。
肝における本剤のグルクロン酸抱合が促進される。
ベンゾジアゼピン系薬剤 ジアゼパム等ワルファリン
遊離型の左記薬剤の血中濃度を上昇させる。
サリチル酸系薬剤
アスピリン等
遊離型バルプロ酸濃度が上昇する。また、バルプロ酸の代謝が阻害される。
エリスロマイシンシメチジン
左記薬剤が肝チトクロームP-450による薬物代謝を抑制し、バルプロ酸の血中濃度が上昇する。
クロナゼパム
アブサンス重積(欠神発作重積)があらわれたとの報告がある。
肝障害とともに急激な意識障害があらわれることがある。,
,
激しい腹痛、発熱、嘔気、嘔吐等の症状があらわれたり、膵酵素値の上昇が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
初期症状として発疹、発熱がみられ、さらにリンパ節腫脹、肝機能障害、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること。
認知症様症状として健忘、見当識障害、言語障害、寡動、知能低下、感情鈍麻等があらわれることがある。パーキンソン様症状として静止時振戦、硬直、姿勢・歩行異常等があらわれることがある。なお、これらの症状が発現した例では中止により、ほとんどが1~2ヵ月で回復している。
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビンの上昇等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム量の増加、高張尿等があらわれた場合には、水分摂取の制限等の適切な処置を行うこと。
咳嗽、呼吸困難、発熱等が認められた場合には、速やかに胸部X線、胸部CT等の検査を実施すること。間質性肺炎、好酸球性肺炎が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
0.1~5%未満注1)
0.1%未満注1)
頻度不明
皮膚
脱毛
精神神経系
めまい、傾眠
頭痛、不眠、振戦
失調、不穏、視覚異常、感覚変化、抑うつ
消化器
悪心・嘔吐、胃部不快感
口内炎、食欲不振、腹痛、下痢
便秘、食欲亢進
肝臓
AST上昇、ALT上昇、Al-P上昇
血液
貧血、白血球減少
低フィブリノーゲン血症、好酸球増多
血小板凝集能低下
過敏症
発疹
泌尿器
夜尿・頻尿
血尿、尿失禁
*生殖器
月経異常(月経不順、無月経)、多嚢胞性卵巣、精子数減少注2) 、精子運動性低下注2)
その他
高アンモニア血症、体重増加
倦怠感、浮腫
鼻血、口渇、歯肉肥厚、発熱、カルニチン減少
誤飲や自殺企図による過量服用により意識障害(傾眠、昏睡)、痙攣、呼吸抑制、高アンモニア血症、脳水腫を起こした例が報告されている。外国では死亡例が報告されている。本剤は徐放性製剤であるため、症状が遅れてあらわれることがある。
下剤、活性炭投与を行い、尿排泄を促進させる。また、必要に応じて直接血液灌流、血液透析を行う。ナロキソンの投与が有効であったとする報告がある。
健康成人12例にバルプロ酸ナトリウム徐放性顆粒剤3g(バルプロ酸ナトリウム1,200mg)をクロスオーバー法により絶食時及び食後に単回経口投与した場合のAUC0-80、Cmax及びTmaxは、それぞれ以下のとおりであった11)。
AUC0-80(hr・μg/mL)
Cmax(μg/mL)
Tmax(hr)
絶食時投与
2141.8±299.4
56.9±5.5
10.2±2.1
食後投与
2069.4±349.9
71.0±7.6
7.5±2.5
(Mean±S.D., n=12)
健康成人12例にバルプロ酸ナトリウム徐放性顆粒剤3g(バルプロ酸ナトリウム1,200mg)を単回経口投与したときの薬物動態パラメータを用い、バルプロ酸ナトリウムとして1,000mgを1日1回、6日間反復経口投与した場合をシミュレーションした。その結果、絶食時及び食後投与とも1日1回投与で有効血中濃度を維持し、投与開始後6~7日間で定常状態に達すると判断された11)。
健康成人男性34例(絶食時投与:20例、食後投与:14例)にバルプロ酸Na徐放顆粒40%「フジナガ」とセレニカR顆粒40%を、クロスオーバー法によりそれぞれ1g(バルプロ酸ナトリウムとして400mg)絶食時及び食後に単回経口投与して血漿中濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータについて統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された12)。
AUC(0-72hr)(hr・μg/mL)
T1/2(hr)
バルプロ酸Na徐放顆粒40%「フジナガ」
640.1±166.7
20.7±4.3
9.5±2.7
16.7±3.5
セレニカR顆粒40%
679.2±185.9
22.5±5.7
9.2±5.5
16.2±3.4
(Mean±S.D., n=20)
635.5±170.2
26.4±3.2
8.1±2.1
16.2±4.1
679.3±159.1
30.2±2.6
8.1±1.5
15.7±3.0
(Mean±S.D., n=14)
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。バルプロ酸Na徐放顆粒40%「フジナガ」の反復投与における血中濃度をシミュレーションした場合、絶食時(バルプロ酸ナトリウムとして1,000mg投与)及び食後投与(バルプロ酸ナトリウムとして1,200mg投与)とも1日1回投与で有効血中濃度を維持する。
バルプロ酸の吸収率を100%と仮定したとき、全身クリアランスは外国人健康成人(16~60歳)で6~8mL/hr/kg、外国人小児てんかん患者(3~16歳)で13~18mL/hr/kgとの報告がある13)。外国人高齢者では、全身クリアランスは成人と差はないが、遊離型のクリアランスは低下するとの報告がある14)。バルプロ酸の全身クリアランスは主に肝固有クリアランスと血漿蛋白非結合率の影響を受ける13),15)。
バルプロ酸の生物学的利用率は剤形の違いによらず約100%との報告がある16)。
バルプロ酸Na徐放顆粒40%「フジナガ」の血中濃度は食事の影響をほとんど受けなかった12)。
バルプロ酸の血漿蛋白結合率は90%超であり、総血清中濃度がおよそ100μg/mL以上では結合が飽和するとの報告がある16),17)。蛋白結合率が低下した場合、定常状態では平均総血漿中濃度は低下すると考えられるが、平均遊離型濃度は低下しないとされている15),18)。
バルプロ酸の分布容積は0.1~0.4L/kgであり、ほぼ細胞外液に相当するとの報告がある16)。
バルプロ酸の大半は肝臓で代謝され、ヒトでは主に、グルクロン酸抱合、β-酸化、ω、ω1及びω2-酸化を受けることが報告されている16)。関与する代謝酵素の割合はチトクロームP-450(CYP)が10%、グルクロン酸転移酵素(UGT)が40%、β-酸化が30~35%程度であることが報告されている6)。4-en体の生成には主にCYP2A6、2B6、2C9分子種が、バルプロ酸のグルクロン酸抱合体の生成にはUGT2B7分子種が関与することが報告されている19),20)(in vitro)。
健康成人6例にバルプロ酸ナトリウム徐放性顆粒剤3g(バルプロ酸ナトリウム1,200mg)を単回経口投与した場合の血中及び尿中代謝物は、血中では主に3-keto体(AUC0-∞328.15±94.73(平均値±標準偏差)μg・hr/mL)が検出され、尿中でも主に3-keto体が排泄され、以下バルプロ酸、3-OH体、4-OH体、PGA、5-OH体、4-keto体、cis-2-en体、trans-2-en体の順であった21)。
健康成人6例にバルプロ酸ナトリウム徐放性顆粒剤3g(バルプロ酸ナトリウム1,200mg)を単回経口投与した場合、尿中には主に3-keto体が排泄され、投与後56時間までの排泄率は34.05±2.57(平均値±標準偏差、以下同様)%であった。また、尿中の総排泄率は投与後56時間までで61.20±5.59%であった21)。なお、バルプロ酸の未変化体の尿中排泄率は1~3%との報告がある22)。
小児を含むてんかん患者を対象にバルプロ酸ナトリウム徐放性顆粒剤を投与した一般臨床試験の結果は以下のとおりであった。全般改善度は、発作改善度、行動並びに精神症状改善度及びEEG(脳波)改善度を総合的に判断した。
米国で、双極性障害患者179例を対象に、バルプロ酸、リチウム又はプラセボを3週間投与する二重盲検比較試験が実施された。その結果、著明改善(躁病評価尺度で少なくとも50%以上改善)を示した割合は、バルプロ酸群48%、リチウム群49%であり、バルプロ酸群及びリチウム群ともにプラセボ群25%に比べ有意に優れていた。有害事象についてバルプロ酸群で多く発現した事象は、嘔吐及び疼痛のみであった1)。
米国で、リチウムに反応しないかあるいは忍容性のない36例の双極性障害患者について、プラセボを対照にバルプロ酸の安全性と有効性が二重盲検比較試験により検討された。その結果、主要有効性評価項目である躁病評価尺度総合点中央値の変化の割合はバルプロ酸群で54%、プラセボ群で5%とバルプロ酸群で有意に優れていた。プラセボ群に比べバルプロ酸群で有意に発現頻度の高い有害事象は認められなかった2)。
作用機序の1つとして、脳内のGABA・グルタミン酸の代謝経路においてGABA合成に関与しているグルタミン酸脱炭酸酵素活性の低下抑制やGABA分解に関与しているGABAトランスアミナーゼ及びコハク酸セミアルデヒド脱水素酵素活性を阻害することにより、脳内GABA濃度を増加し、痙攣を抑制することが考えられている27),28),29),30),31)。抗躁作用及び片頭痛発作の発症抑制作用についてもGABA神経伝達促進作用が寄与している可能性が考えられている32),33)。
マウスの最大電撃痙攣、ペンテトラゾール痙攣、ピクロトキシン痙攣、ビククリン痙攣、ストリキニーネ痙攣、イソニアジド痙攣を抑制する27),34)。
ネコのキンドリング痙攣、マウスの聴原発作、ヒヒの光誘発痙攣に対し抑制作用を示す28),29),35),36)。
躁病の動物モデルと考えられる、デキサンフェタミンとクロロジアゼポキシドとの併用投与により生じる自発運動亢進作用を有意に抑制する37)(マウス、ラット)。
バルプロ酸ナトリウム(Sodium Valproate)
Monosodium 2-propylpentanoate
C8H15NaO2
166.19
白色の結晶性の粉末である。水に極めて溶けやすく、エタノール(99.5)又は酢酸(100)に溶けやすい。吸湿性である。
本剤は吸湿することがあるので、開封後は湿気を避けて保存すること。
(プラスチック製瓶) 100g500g
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