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毒薬
処方箋医薬品注)
通常、成人にはサリドマイドとして1日1回100mgを就寝前に経口投与する。なお、患者の状態により適宜増減するが、1日400mgを超えないこと。
通常、本剤を1日1回就寝前に経口投与する。用量は、成人にはサリドマイドとして50~100mgより投与を開始し、症状が緩和するまで必要に応じて漸増する。ただし、1日400mgを超えないこと。症状の改善に伴い漸減し、より低い維持用量で症状をコントロールする。
通常、成人にはサリドマイドとして1回100mgを隔日投与から開始し、1週間以上の間隔をあけて1日1回200mgまで漸増する。なお、いずれも就寝前に経口投与することとし、患者の状態により適宜増減するが、1日300mgを超えないこと。
投与量
休薬・減量
中止
100mg
休薬:Grade2の非血液毒性又はGrade3の血液毒性が認められた場合
深部静脈血栓症、Grade4の血液毒性又はGrade3以上の非血液毒性
200mg以上
減量:Grade2の非血液毒性又はGrade3の血液毒性が認められた場合、100mg減量する。減量後1週間で症状の回復又は軽快がみられない場合、さらに100mg減量する。
(Gradeは、有害事象共通用語規準v3.0 日本語訳JCOG/JSCO版に準じ、血液毒性、非血液毒性は、本剤との因果関係が否定できない有害事象を示す。)
本剤により深部静脈血栓症が発現、増悪することがある。,
本剤によりHIVウイルスが増加することがある。
本剤により重篤な不整脈等が発現又は悪化し心停止に至るおそれがある。,,,
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。本剤はヒトで催奇形性(サリドマイド胎芽病)が認められている。,,,,,,
投与終了4週間後までは授乳を避けさせること。ウサギにおいて乳汁中への移行が報告されている4)。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
患者の状態を観察しながら投与すること。一般に生理機能が低下している。
中枢神経抑制剤
アルコール
抗うつ薬
交感神経遮断薬
ヒスタミンH1受容体遮断薬
バクロフェン
他の薬物の鎮静作用を増強する。
相互に作用を増強するおそれがある。
ザルシタビン
ビンクリスチン硫酸塩
ジダノシン
末梢神経障害のリスクを高める危険性がある。
ドキソルビシン塩酸塩
デキサメタゾン
経口避妊薬
血栓症と血栓塞栓症のリスクを高める危険性がある。
デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム
海外において、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)が発現したとの報告がある。
機序は不明である。
ゾレドロン酸水和物
海外において腎機能不全が発現したとの報告がある。
相互に作用を増強する。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。
,
不可逆性の末梢神経障害があらわれることがあるので、手足のしびれ、うずき、痛み、灼熱感等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
好中球減少、白血球減少、赤血球減少(貧血)、血小板減少等があらわれることがある。
肺炎等の重篤な感染症があらわれることがある。
異常が認められた場合には、胸部X線、胸部CT等の検査を実施すること。間質性肺炎が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
致死的な消化管穿孔があらわれることがある。
発熱、紅斑、そう痒感、眼充血、口内炎等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
間代性痙攣、緊張性痙攣等の発作があらわれることがある。
めまい等の症状が認められた場合には減量、休薬又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
心停止、洞停止、失神、徐脈(洞性徐脈)等の不整脈、心不全(うっ血性心不全)等があらわれることがある。不整脈等の徴候又は症状があらわれた場合には、適切な処置を行い、少なくともそれらの徴候・症状が軽快・回復するまで観察すること。,,,
異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤等の投与、透析等)を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること。
AST、ALT、ビリルビンの上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがある。
5%以上
5%未満
頻度不明
皮膚
発疹、皮膚瘙痒感
蕁麻疹、皮膚乾燥、毛細血管拡張症
血管浮腫
筋・骨格
関節痛、骨痛、肩痛、頸部痛、背部違和感
精神神経系
眠気、しびれ、ふるえ、頭重、頭痛、ふらつき
不安、不眠、こむら返り、運動障害、嗄声、神経痛、錯乱状態
眼
眼のかすみ
結膜出血
消化器
便秘、口内乾燥、嘔気、腹部膨満感
残便感、胃重感、心窩部不快感、胃痛、軟便、下痢、消化不良、胸やけ、歯肉出血、嘔吐、腹痛、食欲不振、痔核
胃腸出血
肝臓
γ-GTP低下
総ビリルビン減少
代謝・栄養系
総コレステロール上昇、CK低下、ALP上昇、カルシウム低下、ナトリウム低下、カリウム上昇、α1-グロブリン上昇、α2-グロブリン上昇、尿糖陽性
総蛋白上昇、総蛋白低下、総コレステロール低下、CK上昇、ALP低下、LDH上昇、LDH低下、HDL-C増加、クロール上昇、クロール低下、カリウム低下、耐糖能異常、アルブミン低下、α2-グロブリン異常、β-グロブリン上昇、高トリグリセリド血症、血中IgG減少
循環器
四肢冷感、洞性徐脈、不整脈
血圧上昇、鼻出血、動悸、心室性期外収縮、静脈瘤
血圧低下
呼吸器
咽頭炎、咽頭痛、息苦しさ、気管支炎、咳、鼻汁、喀痰
泌尿器
尿蛋白陽性・BUN上昇・クレアチニン上昇等の腎機能障害
BUN低下、クレアチニン低下
血液
好中球増多、好酸球増多、好塩基球増多、単球数異常、リンパ球増多、リンパ球減少、ヘモグロビン減少、D-ダイマー上昇、FDP上昇
好酸球減少、好塩基球減少、ヘマトクリット減少、MCV上昇、MCHC減少、播種性血管内凝固
その他
味覚異常、疲労、浮腫、CRP上昇
体重減少、脱力感、胸痛、発熱、熱感、倦怠感、脱毛、のぼせ、眼瞼腫脹、中耳炎、不規則月経
やむを得ず本剤を脱カプセル調剤する場合には、医療関係者の曝露を防止するために安全キャビネット内で調製を行うこと。
服用時にはカプセルは開けずに服用するよう患者を指導すること。
日本人閉経後健康女性に50mg(n=11)、100mg(n=11)、200mg(n=6)のサリドマイドを1日1回7日間反復経口投与したときの薬物動態パラメータ及び血漿中濃度を表1及び図1に示す5)。
用量(mg)
投与日
Cmax(μg/mL)
Tmax(h)
AUC0-24(μg・h/mL)
t1/2(h)
累積係数注2)
50
1日目
1.07±0.29
2.55±1.86
8.57±0.80
4.82±1.21注1)
-
7日目
1.13±0.20
2.63±1.57
8.87±1.03
4.48±0.74注1)
1.036±0.085
100
1.70±0.22
2.73±1.62
16.36±1.92
4.78±0.82
1.71±0.19
3.09±1.54
16.87±2.02
4.99±0.42
1.031±0.033
200
2.31±0.48
5.00±1.67
30.18±3.35
7.43±3.05注1)
3.00±0.27
3.75±1.63
33.57±1.97
5.57±0.59
1.120±0.093
平均値±標準偏差
日本人閉経後健康女性11例にサリドマイド100mgを空腹時及び高脂肪食摂取後に単回経口投与したとき、Cmax、AUC及びt1/2に食事摂取による影響は認められなかったが、Tmaxは食事摂取により約1時間の有意な延長が認められた6)。
妊娠マウスに14C-サリドマイドを単回経口投与した場合、放射能濃度は、大部分の臓器において広く分布し、他の臓器に比べ消化管壁・肝臓・腎臓が高く、心筋もわずかに高かった7),8)。妊娠したウサギ9)及びサル10)への経口投与で胎児からサリドマイドが検出された。また、乳汁中(ウサギ)4)及び精液中(外国人データ)3)からサリドマイドが検出されることが報告されている。(+)-(R)-サリドマイド及び(-)-(S)-サリドマイドのヒト血漿蛋白結合率は、それぞれ55%及び66%であったと報告されている11)(in vitro)。(+)-(R)-サリドマイド及び(-)-(S)-サリドマイドの血液/血漿中濃度比は、それぞれ0.86及び0.95であり、血球分配比は、それぞれ0.58及び0.87であったと報告されている11)(in vitro)。,,,
サリドマイドは非酵素的な加水分解を受け、多数の加水分解物が生成した12)。ヒトの血漿中や尿中から加水分解物が確認されたが、水酸化物は僅かであったと報告されている13),14),15),16),17)(外国人データ)。
サリドマイドをウサギ及びラットに経口投与した後、体内からの放射能の排泄は、主に尿中であった9),18)。また、未変化体であるサリドマイドの尿中排泄は、ウサギ及びサルで僅かであり、尿中ではほとんどが代謝物であった10)。いずれの試験でもサリドマイドの腎臓からの排泄は低いと報告されている。
治療抵抗性多発性骨髄腫患者に、サリドマイドとして1日100mg~400mgを16週間単独投与した国内臨床試験では、本剤が投与された37例における軽度寛解以上の有効率は32.4%(12/37)であった。なお、国内臨床試験では、デキサメタゾンを含む他の抗悪性腫瘍剤との併用は行われていない19)。
寛解度
部分寛解
軽度寛解
不変
悪化
判定不能
例数(%)
5(13.5%)
7(18.9%)
12(32.4%)
6(16.2%)
本剤を投与された37例全例において副作用が認められた。主な副作用は、便秘(62.2%)、眠気(54.1%)、口内乾燥(43.2%)等であった。臨床検査値の異常変動は、35例(94.6%)に認められた。
自己末梢血幹細胞移植の適応とならないクロウ・深瀬(POEMS)症候群患者24例に、本剤(隔日100mg~1日200mg)又はプラセボをデキサメタゾン併用注3)下で24週間(6サイクル)投与した二重盲検比較試験期において、本剤群の血清VEGF減少率はプラセボ群と比較して有意に高く、本剤によるデキサメタゾンへの上乗せ効果が認められた。また、徒手筋力試験の合計スコアにおいて本剤群に改善が認められた29)。
投与群
例数
ベースラインからの減少率
群間差
95%信頼区間
p値
本剤群
13
0.388±0.135
0.409(0.020-0.799)
0.040
プラセボ群
11
-0.021±0.149
最小二乗平均値±標準誤差
また、二重盲検比較試験期から移行した患者23例に本剤(隔日100mg~1日300mg)を48週間(12サイクル)投与した長期試験期において、血清VEGF減少率(平均値±標準偏差[95%信頼区間](例数))はサイクル1終了時が0.0441±0.27362[-0.08044、0.16866](21例)で、サイクル4終了時は0.0635±0.48305[-0.16934、0.29631](19例)、サイクル8終了時は0.2848±0.36547[0.07375、0.49578](14例)と減少率は上昇した。その後も減少率は維持し、終了時の減少率は0.2782±0.40101[0.04666、0.50974](14例)であり、長期投与による血清VEGF値の改善が確認された29)。二重盲検比較試験期および長期試験期を通じて本剤を投与された25例中23例(92.0%)において副作用が認められ、主な副作用は便秘(60.0%)、洞性徐脈(44.0%)、末梢性感覚ニューロパチー(20.0%)であった。臨床検査値の異常変動は10例(40.0%)に認められた。洞性徐脈は100mg隔日投与(25例)で5例(20.0%)、100mg連日投与(24例)で2例(8.3%)、200mg連日投与(24例)で4例(16.7%)認められた。また、心停止、心不全が200mg連日投与で各1例(4.2%)、プリンツメタル狭心症(冠攣縮)、洞停止、失神が300mg連日投与(7例)で各1例(14.3%)認められ、これらは全て重篤な事象であった。,
クロウ・深瀬(POEMS)症候群患者に、大量化学療法を伴う自己末梢血幹細胞移植療法の前治療として本剤(隔日100mg~1日300mg)、デキサメタゾン(20mg/日、1-2サイクル:2~5、16~19日目、3-6サイクル:2~5日目)を24週間(6サイクル)投与した国内臨床試験において、本剤が投与された10例における24週後の血清VEGF減少率は0.69±0.33(平均値±標準偏差)、中央値は0.85(範囲:0.0-1.0)であり、血清VEGF値の改善が認められた29)。本剤を投与された10例中10例(100%)において副作用が認められ、主な副作用は便秘(90.0%)、洞性徐脈(50.0%)であった。臨床検査値の異常変動は2例(20.0%)に認められた。洞性徐脈は100mg隔日投与(10例)で2例(20.0%)、100mg連日投与(10例)で2例(20.0%)、200mg連日投与(9例)で1例(11.1%)認められた29)。
血管新生抑制、サイトカイン産生抑制、細胞接着因子発現抑制、免疫調節、アポトーシス誘導及び細胞増殖抑制作用が報告されているものの、作用機序は十分に解明されていない。
炎症性サイトカイン産生抑制、接着因子発現抑制、好中球の接着抑制、免疫調節、抗体産生抑制作用が報告されているものの、作用機序は十分に解明されていない。
直接的な抗腫瘍作用やVEGFをはじめとするサイトカイン産生抑制作用が推定されるが、作用機序は十分に解明されていない。
サリドマイド (Thalidomide)
2-[(3RS)-2,6-Dioxopiperidin-3-yl]isoindoline-1,3-dione
C13H10N2O4
258.23
白色~淡黄色の結晶又は結晶性の粉末である。ジメチルスルホキシドに溶けやすく、アセトニトリルに溶けにくく、メタノールに極めて溶けにくく、水又はエタノール(99.5)にほとんど溶けない。ジメチルスルホキシド溶液(1→100)は旋光性を示さない。
274~278℃
28カプセル[7カプセル(PTP)×4]
1) 藤本製薬株式会社:サリドマイド製剤安全管理手順
2) 石井 則久 他:Jpn J Lepr. 2011;80:275-285
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