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劇薬
麻薬
処方箋医薬品注)
激しい疼痛を伴う各種癌における鎮痛
モルヒネ硫酸塩水和物として、通常、成人1日20~120mgを2回に分割経口投与する。なお、初回量は10mgとすることが望ましい。症状に応じて適宜増減する。
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。治療期間の延長を来すおそれがある。
循環不全を増強するおそれがある。
呼吸抑制を増強するおそれがある。
呼吸抑制や頭蓋内圧の上昇を起こすおそれがある。
循環不全や呼吸抑制を増強するおそれがある。
呼吸抑制を起こすおそれがある。
呼吸抑制や昏睡を起こすおそれがある。
呼吸抑制作用に対し、感受性が高くなっている。
依存性を生じやすい。
排尿障害を増悪することがある。
消化管運動を抑制する。
痙攣を誘発するおそれがある。
胆道痙攣を起こすことがある。
連用した場合、巨大結腸症を起こすおそれがある。
排泄が遅延し、副作用があらわれるおそれがある。腎不全患者及び血液透析患者において、薬理活性をもつ代謝物のモルヒネ-6-グルクロナイドの蓄積によると考えられる遷延性の意識障害あるいは遷延性の呼吸抑制が起きたとの報告がある1),2)。
投与しないこと。昏睡に陥ることがある。
代謝が遅延し、副作用があらわれるおそれがある。
本剤投与中は授乳を避けさせること。ヒト母乳中へ移行することがある。
新生児、乳児では低用量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。新生児、乳児では呼吸抑制の感受性が高い。
低用量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。一般に生理機能が低下しており、特に呼吸抑制の感受性が高い。
本剤の離脱症状があらわれるおそれがある。また、本剤の効果が減弱するおそれがある。
μオピオイド受容体拮抗作用により、本剤の作用が競合的に阻害される。
呼吸抑制、低血圧及び顕著な鎮静又は昏睡が起こることがある。
相加的に中枢神経抑制作用が増強される。
クマリン系抗凝血剤の作用が増強されることがある。
機序は不明である。
麻痺性イレウスに至る重篤な便秘又は尿貯留が起こることがある。
相加的に抗コリン作用が増強される。
ジドブジンの副作用(骨髄抑制等)を増強させるおそれがある。
ジドブジンのグルクロン酸抱合が競合的に阻害され、ジドブジンの代謝が阻害される。
ブプレノルフィンの高用量(8mg連続皮下投与)において、本剤の作用に拮抗するとの報告がある。
左記の薬剤の血漿中濃度を低下させる可能性がある。
本剤の消化管運動抑制作用に関連すると考えられる。
連用により生じることがある。また、連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、あくび、くしゃみ、流涙、発汗、悪心、嘔吐、下痢、腹痛、散瞳、頭痛、不眠、不安、せん妄、振戦、全身の筋肉・関節痛、呼吸促迫等の退薬症候があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、1日用量を徐々に減量するなど、患者の状態を観察しながら行うこと。
息切れ、呼吸緩慢、不規則な呼吸、呼吸異常等があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。なお、本剤による呼吸抑制には、麻薬拮抗剤(ナロキソン、レバロルファン等)が拮抗する。
炎症性腸疾患の患者に投与した場合、中毒性巨大結腸があらわれるとの報告がある。
AST上昇、ALT上昇、Al-P上昇等があらわれることがある。
5%以上
5%未満
頻度不明
過敏症
発疹、そう痒感等
循環器
不整脈、血圧変動、顔面潮紅等
*精神神経系
眠気・傾眠(11.2%)
不安定感、意識障害、発汗、めまい、視調節障害等
不穏、不安、興奮、痛覚過敏注1)、アロディニア
消化器
便秘(13.3%)、悪心(14.3%)、嘔吐、口渇
食欲不振
その他
排尿障害、頭蓋内圧の亢進
呼吸抑制、意識不明、痙攣、錯乱、血圧低下、重篤な脱力感、重篤なめまい、嗜眠、心拍数の減少、神経過敏、不安、縮瞳、皮膚冷感等を起こすことがある。
麻薬拮抗剤投与を行い、患者に退薬症候又は麻薬拮抗剤の副作用が発現しないよう慎重に投与する。なお、麻薬拮抗剤の作用持続時間はモルヒネのそれより短いので、患者のモニタリングを行うか又は患者の反応に応じて初回投与後は注入速度を調節しながら持続静注する。
がん疼痛患者を対象として、モルヒネ硫酸塩錠1回30mg(10mg製剤3錠)を12時間ごと経口投与時と、モルヒネ塩酸塩水溶液1回10mgを4時間ごと経口投与時の、定常状態における薬物動態について比較、検討した。速度論的に解析可能であった症例の血漿中濃度の平均値を用いて血漿中濃度曲線を予測して検討した結果、モルヒネ硫酸塩錠12時間ごと投与時の血漿中濃度は、モルヒネ塩酸塩水溶液4時間ごと投与時の血漿中濃度とほぼ同等であった5)。モルヒネ硫酸塩錠投与時のモルヒネの消失速度はモルヒネ塩酸塩水溶液投与時とほぼ一致し、AUCも両者でほぼ同じ値を示し、差は認められなかった。しかし、モルヒネ硫酸塩錠の吸収速度は遅く、Tmaxは長く、Cmaxは低く(単位量あたり)なり、モルヒネ硫酸塩錠の徐放性が示された5)。
投与量(mg)
例数
Cmax(ng/mL)注1
Tmax(hr)注1
モルヒネ硫酸塩錠
30注2
8
29.9±13.3
2.7±0.8
モルヒネ塩酸塩水溶液
10注3
5
19.5±8.1
0.5±0.2
AUC0-12(ng・hr/mL)注1
T1/2(kab)(hr)
T1/2(kel)(hr)
165.5±78.3
0.41±0.27
2.58±0.85
160.8±44.1注4
0.12±0.07
2.90±1.14
注1:パラメータから計算注2:10mg製剤3錠を12時間ごと投与注3:10mgを4時間ごと投与注4:10mg3回投与時のAUCに換算T1/2(kab):吸収半減期、T1/2(kel):消失半減期(平均値±標準偏差)
血漿蛋白結合率:約35%8)
モルヒネは主としてグルクロン酸抱合を受け、モルヒネ-3-グルクロナイド及び薬理活性をもつモルヒネ-6-グルクロナイドに代謝される9)。
がん疼痛患者12例のモルヒネ硫酸塩錠1回30mg、1日2回投与時の定常状態時におけるモルヒネ、モルヒネ-6-グルクロナイド、モルヒネ-3-グルクロナイド及びこれら3者の合計の24時間の全尿中排泄率(平均値±標準偏差)は、それぞれ2.6±2.6%、4.8±1.8%、21.6±11.2%、29.1±14.1%であった5)。
中等度以上のがん疼痛を有する患者に対するモルヒネ硫酸塩錠の臨床成績の概要を以下に示す。
薬剤名
有効例数/有効性評価対象例数
有効率(%)
モルヒネ硫酸塩錠10mg製剤
43/45
95.6
モルヒネ塩酸塩錠
41/45
91.1
副作用発現頻度は、モルヒネ硫酸塩錠10mg製剤投与群で29.4%(15/51例)であった。主な副作用は、便秘、嘔気各11.8%(6/51例)、嘔吐7.8%(4/51例)、眠気・傾眠5.9%(3/51例)であった10)。
モルヒネ硫酸塩錠30mg製剤
50/53
94.3
既存のモルヒネ製剤(モルヒネ塩酸塩製剤又はモルヒネ硫酸塩錠10mg製剤)
52/53
98.1
副作用発現頻度は45.6%(31/68例)であった。主な副作用は、嘔気・嘔吐、便秘各16.2%(11/68例)、眠気8.8%(6/68例)、食欲不振4.4%(3/68例)であった11)。
モルヒネ硫酸塩錠60mg製剤
62/64
96.9
既存のモルヒネ製剤(モルヒネ塩酸塩製剤又はモルヒネ硫酸塩錠10mg製剤及び30mg製剤)
63/64
98.4
副作用発現頻度は30.0%(21/70例)であった。主な副作用は、便秘15.7%(11/70例)、嘔気10.0%(7/70例)、眠気4.3%(3/70例)であった12)。
投与期間
モルヒネ硫酸塩10mg製剤
28日から456日間
77/78
98.7
副作用発現頻度は53.6%(45/84例)であった。主な副作用は、便秘21.4%(18/84例)、眠気・傾眠15.5%(13/84例)、嘔気14.3%(12/84例)であった13)。
既存の経口モルヒネ製剤1日投与量60mg以下では効果不十分ながん疼痛患者151例を対象に、モルヒネ硫酸塩錠10mg製剤及び30mg製剤を用いて増量による初回至適投与量を検討した。なお、増量前のモルヒネ1日投与量は60mg投与例が151例中139例(92.1%)であった。1日投与量61mg以上に増量後の初回至適投与量は、90mgが58例(38.4%)と最も多く、次いで80mgの38例(25.2%)で、120mgまでに132例(87.4%)の初回至適投与量が得られた。モルヒネ硫酸塩錠の1日投与量を120mgまでに増量することの意義が裏付けられたと考えられる。試験終了時における副作用発現頻度は50.3%(83/165例)であった。主な副作用は、便秘19.4%(32/165例)、眠気18.8%(31/165例)、嘔気17.6%(29/165例)であった14)。
オピオイド受容体を介して作用を示す。大脳皮質知覚領域の痛覚閾値を上昇させるほか、痛覚伝導路のうち脊髄以上の部位に作用し、脳幹の下行性抑制系の賦活や、視床及び脊髄後角を抑制する15)。
鎮痛作用についてモルヒネ塩酸塩水和物を対照薬として比較した。マウスのhot plate法、酢酸ライジング法及びラットのtail flick法(いずれも経口投与)を用いて検討した結果、硫酸塩(モルヒネ硫酸塩水和物)と塩酸塩(モルヒネ塩酸塩水和物)はほぼ同程度の効力を有することが確認された16)。
試験項目
使用動物(1群の動物数)
投与経路(投与回数)
ED50(mg/kg)
モルヒネ硫酸塩水和物
モルヒネ塩酸塩水和物
hot plate法
マウス(15匹)
経口(1回)
18.6
15.0
酢酸ライジング法
マウス(10匹)
9.6
7.6
tail flick法
ラット(15匹)
13.2
10.0
モルヒネ硫酸塩水和物(Morphine Sulfate Hydrate)(JAN)[日局]
(5R,6S)-4,5-Epoxy-17-methyl-7,8-didehydromorphinan-3,6-diol hemisulfate hemipentahydrate
(C17H19NO3)2・H2SO4・5H2O
758.83
白色の結晶又は結晶性の粉末である。ギ酸に極めて溶けやすく、水にやや溶けやすく、メタノールに溶けにくく、エタノール(99.5)に極めて溶けにくい。希水酸化ナトリウム試液に溶ける。
280~290℃(融解発泡)(明確な融点及び分解点は測定できない。)
40包[0.5g(分包)×40包]
1) 石津隆他:透析会誌. 1995;28:357-361
2) Osborne R, et al.:Clin Phar Ther. 1993;54:158-167
3) Harpel HS, et al.:J Pharm Sci. 1968;57:1590-1597
4) Lahijani MS, et al.:Iran J Sci Technol Trans A Sci. 2004;28(A1):85-96
5) 平賀一陽他:臨床薬理. 1989;20:639-647
6) Hoskin PJ, et al.:Br J Clin Pharmacol. 1989;27:499-505
7) Guy G, et al.:The international symposium on pain control(Band P, et al. Ed.). Toronto:Purdue Frederick;1986. p.131-134
8) 第十八改正日本薬局方解説書:廣川書店. 2021:C5865
9) Boerner U, et al.:Drug Metab Rev. 1975;4:39-73
10) 山村秀夫他:基礎と臨床. 1987;21:6889-6906
11) 山村秀夫他:基礎と臨床. 1989;23:5579-5591
12) 山村秀夫他:基礎と臨床. 1993;27:1119-1132
13) 山村秀夫他:基礎と臨床. 1988;22:863-882
14) 山村秀夫他:基礎と臨床. 1992;26:499-516
15) 日本緩和医療学会:がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン 2014年版:43
16) 西森司雄他:基礎と臨床. 1987;21:6509-6534
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