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劇薬
処方箋医薬品注)
維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症
通常、成人には、透析終了直前にマキサカルシトールとして、1回2.5~10μgを週3回、透析回路静脈側に注入(静注)する。なお、血清副甲状腺ホルモン(PTH)の改善効果が得られない場合は、高カルシウム血症の発現等に注意しながら、1回20μgを上限に慎重に漸増する。
補正カルシウム値算出方法:補正カルシウム値(mg/dL)=血清カルシウム値(mg/dL)-血清アルブミン値(g/dL)+4.0
本剤の投与によりさらに血清カルシウムを上昇させるおそれがある。,,,,
本剤の投与に際しては心電図検査等の観察を十分に行うこと。心疾患の合併がみられることが多く、また、透析時には体外循環及び除水などによる心機能への影響が大きいことなどから、心電図異常を発現しやすい。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。周産期及び授乳期の静脈内投与試験(ラット)で、1.1μg/kg/日投与で出生児に体重増加抑制がみられた。また、分娩後哺乳中のラットに静脈内投与したとき、乳汁中への移行を示唆する報告がある1) 。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
高カルシウム血症があらわれるおそれがある。
両剤ともに血清カルシウム値を上昇させる可能性がある。
相加作用による。
不整脈があらわれるおそれがある。
本剤により高カルシウム血症が発症した場合、ジギタリス製剤の作用が増強することが考えられる。
本剤には血清カルシウム上昇作用が認められるので、高カルシウム血症によることが考えられる臨床症状(そう痒感、いらいら感など)の出現に注意すること。,,,,
0.1%以上
0.1%未満
皮膚
そう痒症、発疹
脱毛症
精神神経系
いらいら感、不眠症、頭痛
不穏、興奮、焦躁感
消化器
胃・腹部不快感、食欲不振
肝臓
AST上昇
ALT上昇
代謝異常
CK上昇、血中リン増加、血中ミオグロビン上昇、LDH上昇、Al-P上昇
総蛋白減少、血中尿酸増加、血中アルミニウム上昇
呼吸器
胸部X線異常
心・血管系
高血圧
血液
白血球分画異常(リンパ球、好酸球等)
白血球減少
その他
四肢不快感、倦怠感
使用時には以下の点に注意すること。
シリンジの再滅菌はしないこと。開封後の使用は1回限りとし、使用後の残液はシリンジとともに速やかに廃棄すること。
本剤の承認時までの臨床試験において投与された維持透析患者977例中、34例(3.5%)、38件に心電図異常が認められた。その主なものは左室肥大15件、I度AV Block、T波異常の各6件、心室性期外収縮、心房細動の各3件であった。
がん原性について、ラット(F344/DuCrj)に週1回24カ月間静脈内投与した結果、副腎においてF344ラットに好発する良性の褐色細胞腫の発現頻度が増加した。ラットでは血清カルシウム値の上昇に伴って発生が増加すると考えられている。マウスでは週1回18カ月間投与で発がん性は認められなかった。
健康成人男子各6例における単回静脈内投与時の薬物動態パラメータを示す2) 。
パラメータ
3.3μg
6.6μg
AUCinf(pg・h/mL)
354±135
795±192
t1/2(min)
108.1±45.9
138.7±39.9
CL(mL/h/kg)
237±70
174±50
Vss(mL/kg)
259±48
362±32
平均値±標準誤差
健康成人男子5例にマキサカルシトールとして3.3μgを1日1回、隔日4回反復静脈内投与したところ、初回と4回目投与時で血清中濃度は同様に推移した2) 。
維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症を伴う患者11例に、26週間にわたり透析ごとに1回投与量10~17.5μgの範囲で反復投与したところ、初回に比べ最終投与時でAUCの低下傾向、t1/2の短縮傾向がみられた。また、健康成人に比べ消失は遅延しなかった3) 。
ヒト血漿蛋白への結合率は98.8%以上であった4) (in vitro)。
妊娠ラットへ[3H]マキサカルシトールを投与したときの胎児組織中の放射能濃度は母動物の血漿中濃度に比較して低く、胎児組織からの消失は母動物各組織と同様に速やかであった5) 。
健康成人男子6例に6.6μgを単回静脈内投与した時、尿中濃度は定量限界未満であった2) 。
分娩後哺乳中のラットへ[3H]マキサカルシトールを投与したとき、乳汁中に放射能が認められた1) 。
臨床血中濃度での蛋白結合相互作用試験(in vitro)において、マキサカルシトールと種々の蛋白、結合部位に結合する薬物との間で、互いにヒト血漿蛋白結合率に影響を与えなかった4) 。ヒト肝ミクロゾームを用いた薬物代謝阻害試験(in vitro)において、マキサカルシトールは1μmol/LにおいてもP450(CYP1A2, 2A6, 2C9, 2C19, 2D6, 2E1, 3A4)による薬物代謝反応に対して阻害作用を示さなかった6) 。
二次性副甲状腺機能亢進症を伴う慢性腎不全維持透析患者203例(プラセボ29例、マキサカルシトール5μg/回58例、10μg/回58例、15μg/回注1) 58例)を対象とした後期第II相二重盲検比較試験(プラセボ、マキサカルシトール5、10及び15μg/回を週3回透析回路静脈側より投与)において、intact-PTHの低下及びPTH改善度を中心とする臨床効果、有用度で有意な用量相関性が認められた。また、10μg/回のintact-PTH抑制効果は5μg/回よりも優れ15μg/回と同等であったが、その血清カルシウム上昇作用は15μg/回より小さく5μg/回と類似していた。5μg/回の安全性評価対象例57例中14例(24.6%)に副作用が認められた。主な副作用は、高カルシウム血症8例(14.0%)、皮膚瘙痒感4例(7.0%)等であった。10μg/回の安全性評価対象例55例中32例(58.2%)に副作用が認められた。主な副作用は、高カルシウム血症30例(54.5%)、皮膚瘙痒感4例(7.3%)等であった7) 。
慢性腎不全維持透析患者34例(プラセボ12例、マキサカルシトール5μg/回5例、10μg/回17例)を対象とした第III相二重盲検比較試験(プラセボ、マキサカルシトール5及び10μg/回を週3回透析回路静脈側より投与)において、PTH改善度、全般改善度、有用度でマキサカルシトール投与群はプラセボ投与群に比し有意に優れ、明らかな二次性副甲状腺機能亢進症改善効果が認められた。5μg/回の安全性評価対象例5例では副作用は認められなかった。10μg/回の安全性評価対象例17例中8例(47.1%)に副作用が認められた。主な副作用は、高カルシウム血症7例(31.8%)等であった8) 。
二次性副甲状腺機能亢進症を伴う慢性腎不全維持透析患者161例を対象としたマキサカルシトール注射剤26週間投与の長期投与試験において、血清カルシウム上昇に留意しながらマキサカルシトールを投与することで、PTH抑制の維持効果が持続することが示された。安全性評価対象例160例中87例(54.4%)に副作用が認められた。主な副作用は、高カルシウム血症77例(48.1%)、CPK上昇13例(8.1%)、瘙痒感9例(5.6%)等であった9),10) 。
臨床薬理試験での骨生検による骨組織形態計測において、骨代謝改善効果(線維組織の減少及び高代謝回転骨の低下、是正)が示された11),12) 。また、マキサカルシトール投与により、骨代謝回転を反映する骨代謝マーカーの改善が認められた6) 。
血清中intact-PTHと血清中HS-PTHが高い相関を示すことが報告されており13) 、また、マキサカルシトール注射剤の臨床試験成績からもこれらの指標の関連が強いことが確認された14) 。
正常ラット15) 及び腎不全ラット16) において、マキサカルシトールは副甲状腺pre-proPTH mRNAの発現を抑制した。また、マキサカルシトールは骨芽細胞様細胞に作用してオステオカルシン遺伝子の発現を促進した17) (in vitro)。
マキサカルシトールは、正常ウシ副甲状腺細胞及び慢性腎不全に伴う二次性副甲状腺機能亢進症患者由来副甲状腺細胞に対してPTH分泌の抑制を示したが(in vitro)、その効果はカルシトリオールと同程度であった18) 。腎不全モデル動物(5/6腎摘ラット19) 、腎動脈結紮イヌ20) )において、マキサカルシトールは血清カルシウム値を上昇させない用量でPTH分泌抑制作用を示した。
柴田腎炎ラットにおいて惹起される二次性副甲状腺機能亢進症を伴う骨病変に対する効果を検討したところ、マキサカルシトールは高代謝回転骨を低下させた21) 。また、イヌ腎不全モデルに認められた骨病変に対して、増加した線維性類骨形成を抑制した22) 。
マキサカルシトール(Maxacalcitol)
(+)-(5Z,7E)-(1S,3R,20S)-20-(3-Hydroxy-3-methylbutyloxy)-9,10-secopregna-5,7,10(19)-triene-1,3-diol
C26H42O4
418.61
白色の結晶性の粉末である。メタノールに極めて溶けやすく、エタノール(99.5)に溶けやすく、アセトニトリルにやや溶けやすく、水にほとんど溶けない。
1mL 10シリンジ ルアーロックタイプ
1) 乳汁移行性(オキサロール注:2000年7月3日承認,申請資料概要ヘ.2(4))
2) 角尾道夫 ほか:臨牀透析. 1999;15:1193-217
3) 二次性副甲状腺機能亢進症患者における薬物動態(オキサロール注:2000年7月3日承認,申請資料概要へ.3(1)3))
4) ヒト血漿蛋白結合率(オキサロール注:2000年7月3日承認,申請資料概要ヘ.2(2))
5) 胎盤、胎児移行性(オキサロール注:2000年7月3日承認,申請資料概要ヘ.2(2))
6) 代謝酵素阻害(オキサロール注:2000年7月3日承認,申請資料概要ヘ.2(3))
7) 後期第II相二重盲検比較試験(オキサロール注:2000年7月3日承認,申請資料概要ト.4(3))
8) 第III相二重盲検比較試験(オキサロール注:2000年7月3日承認,申請資料概要ト.4(4))
9) 黒川清 ほか:腎と透析. 2000;48:875-97
10) 一般臨床試験(オキサロール注:2000年7月3日承認,申請資料概要ト.4(5))
11) Tsukamoto, Y, et al.:Am. J Kidney Dis. 2000;35:458-64
12) 栗原怜 ほか:腎と透析. 1999;47:559-72
13) 福澤良彦 ほか:透析会誌. 1993;26:1585-91
14) 血清中intact-PTHとHS-PTHの相関(オキサロール注:2000年7月3日承認,申請資料概要ト.5(1)2))
15) Brown AJ, et al.:J Clin Invest. 1989;84:728-32
16) Ichikawa F, et al.:Nephrology. 1998;4:391-5
17) 薬理作用試験(骨芽細胞に対する作用)(オキサロール注2.5μg、オキサロール注5μg及びオキサロール注10μg:2000年7月3日承認,申請資料概要ホ.2-(7))
18) Sato K et al.:Nephrology. 1998;4:177-82
19) 薬理作用試験(ラット腎不全モデルにおける効果)(オキサロール注2.5μg、オキサロール注5μg及びオキサロール注10μg:2000年7月3日承認,申請資料概要ホ.1-(2)-1))
20) 薬理作用試験(イヌ腎不全モデルにおける効果)(オキサロール注2.5μg、オキサロール注5μg及びオキサロール注10μg:2000年7月3日承認,申請資料概要ホ.1-(2)-3))
21) Hirata M, et al.:Kidney Int. 1999;56:2040-7
22) Monier-Faugere MC, et al.:Kidney Int. 1999;55:821-32
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