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処方箋医薬品注)
低体温体外循環下、大動脈を遮断し実施される心臓外科手術における、心停止及び心筋保護
本剤は、用時A液にB液を全量添加し、十分に混合して使用する。A液にB液を混合後、本剤を4℃前後に冷却し、人工心肺装置を用い、患者を体外循環下に置き、体外循環灌流温を予定の低温にした後、上行大動脈を遮断し、直ちに、通常成人体重1kg当たり10~20mLを、順行性冠灌流にて注入する場合は2~4分かけて冠状動脈(大動脈基部)に、また、逆行性冠灌流にて注入する場合は4~7分かけて冠状静脈(冠状静脈洞)に注入する。ただし、心停止が得られない場合は、心停止が得られるまで適宜増量する。また、同時に、心嚢内に4℃前後に冷却した局所冷却液(生理食塩液、リンゲル液、乳酸リンゲル液等)を持続的若しくは定期的に注入し、あるいはアイススラッシュを用いて、心臓の局所冷却を維持する。以後、20~30分毎に、本剤(A、B混合液)を初回注入量の半量を目安に心停止が維持できるよう追加注入する。また、途中で心機能が回復した場合、若しくは心筋温が15~20℃以上に上昇した場合は、速やかに心停止が得られるまで追加注入を行う。本剤(A、B混合液)の注入に当たっては、順行性冠灌流を基本とし、順行性冠灌流のみでは本剤が心筋に十分行き渡らない可能性がある場合、逆行性冠灌流の併用あるいは逆行性冠灌流を行う。なお、1手術当たりの注入量は、手術の種類や手術時間により異なる。注入に際しては、注入圧をモニターし、過度の注入圧を回避すべく注意する。
体液の水分・電解質が過剰となることがある。
本症では水分補給が必要であり、電解質を含む本剤の投与により症状が悪化するおそれがある。
アシドーシスを悪化させるおそれがある。
本剤はマグネシウムを含有するので血清マグネシウムを上昇させることがある。
本剤はカリウムを含有するので血清カリウムを上昇させることがある。
水・電解質異常を来すおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。
カリウム保持性利尿剤
カリウム製剤
高カリウム血症を誘発することがあるので、血清カリウム値を観察するなど十分注意する。
これらの薬剤と本剤の相加・相乗作用による血清カリウム値の上昇。危険因子:腎障害患者、高齢者
非脱分極性筋弛緩剤
非脱分極性筋弛緩剤の筋弛緩作用が減弱されることがある。
Ca2+及びK+は骨格筋の収縮に関与している。
電解質を含む製剤
本剤と配合した場合、心停止及び心筋保護能力を低下させるおそれがある。
至適電解質濃度の調整がくずれる。
大動脈遮断中、又は大動脈遮断解除後に心筋梗塞、大動脈遮断解除後に低心拍出量症候群があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には陽性変力性薬剤、補助循環を使用するなど適切な処置を行うこと。
大動脈遮断解除後に心室細動、心室頻拍、心室性期外収縮、完全房室ブロックがあらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には除細動装置、ペースメーカーを使用するなど適切な処置を行うこと。
1%未満
頻度不明
循環器
心電図異常(ST-T変化、異常Q波の出現等)、洞停止、右脚ブロック、結節性調律、心房細動、洞性徐脈
その他
血清マグネシウムの上昇
CK上昇
混合した溶液は、使用前に凍結を避け4℃前後に冷却すること。
混合した溶液は、点滴静注として使用してはならない。
成人心臓手術患者(主として、後天性弁膜疾患、冠動脈疾患及び先天性心疾患)179例を対象としたオープン試験において、患者を体外循環下に置き、本剤を用いて心筋保護を施行した。その結果、新Q波の出現、大動脈内バルーンパンピング施行、クレアチンキナーゼMB分画並びにドパミン及びドブタミンの投与量等を判定基準とした有効率は99.4%(167/168例)であった。副作用は、1.7%(3/179例)に認められ、その内訳は低心拍出量症候群発症後死亡した1例、周術期心筋梗塞1例および完全房室ブロック1例であった1),2)。
ラット摘出心灌流モデルを用いた試験において、本剤の注入により速やかな心停止作用を示した3)。イヌ心臓手術モデルを用いた試験において、大動脈遮断後、本剤を直ちに大動脈基部より冠状血管に注入することで速やかな心停止作用を示した。また、20分毎に本剤を追加注入することにより大動脈遮断中の心停止を維持した4)。
ラット摘出心灌流モデルを用いた試験において、120分間虚血後の心機能(大動脈流量、冠灌流量、心拍出量、大動脈圧、心拍数)の回復率は高く、クレアチンキナーゼ漏出量は低かった。また、高エネルギーリン酸化合物は良好に保持され、総合的に良好な心筋保護作用を示した2)。イヌ心臓手術モデルを用いた試験において、180分間虚血後の心機能(心拍数、最大左室圧、左室圧一次微分)の回復率は高く、クレアチンキナーゼ及びクレアチンキナーゼMB分画漏出量は低く保持され、総合的に良好な心筋保護作用を示した4)。本剤と同一組成であるSt.Thomas 第2液のラット摘出心灌流モデル及びイヌ心臓手術モデルを用いた試験において、虚血後の心機能の回復率は高く、生化学的及び電子顕微鏡による組織学的評価についても、良好な心筋保護作用が認められている5)。
10組[(A液 495mL 1本 ・B液 5mL 1管)×10] A液:プラスチックボトル・B液:ガラスアンプル
1) 山本文雄 ほか:薬理と治療. 1996;24:1859-1873
2) 第Ⅲ相試験(1999年9月22日承認,申請資料概要ト.1(3))
3) 川瀬鉄典 ほか:薬理と治療. 1996;24:1717-1721
4) 社内資料:薬理作用試験(NOK-1の心停止作用及び心筋保護作用に関する検討)
5) Jynge, P., et al.:Scand. J. Thorac. Cardiovasc. Surg. 1981;30:1-28
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