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劇薬
処方箋医薬品注)
高血圧症
通常、成人にはフェロジピンとして1回2.5~5mgを1日2回朝夕経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、効果不十分な場合には、1回10mgを1日2回まで増量することができる。
血管拡張作用により過度の血圧降下が起こるおそれがある。
血中濃度が上昇することがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験で催奇形作用が報告されている。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で母乳中へ移行することが報告されている。
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
高齢者では本剤の血中濃度が上昇することが知られているので、低用量(例えば、1回2.5mgを1日2回)から投与を開始し、患者の状態、血圧を観察しながら用量を調節すること。高齢者では一般に脳梗塞等が起こるおそれがあるため過度の降圧は好ましくないとされている。,
相互に作用を増強するおそれがある。
薬理作用が異なる降圧剤の併用により降圧作用が増強される。
メトプロロールの血中濃度が上昇することがある。
本剤の血管拡張作用により肝血流量を増加させ、メトプロロールの初回通過による消失を減少させると考えられている。
ジゴキシンの血中濃度が上昇することがある。
本剤がジゴキシンの腎クリアランスを低下させることにより、ジゴキシンの血中濃度を上昇させる。
本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強することがある。
シメチジン、エリスロマイシン、イトラコナゾールが本剤の代謝酵素を阻害することにより、本剤の血中濃度を上昇させる。
本剤の血中濃度が低下し、本剤の作用が減弱することがある。
フェニトイン、カルバマゼピン、バルビツール酸誘導体が本剤の代謝酵素を誘導することにより、本剤の血中濃度を低下させる。
他のカルシウム拮抗剤(ニフェジピン等)の作用が減弱することが報告されている。
リファンピシンが代謝酵素を誘導することにより、ニフェジピン等の血中濃度を低下させる。
本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。
HIVプロテアーゼ阻害剤は主としてCYP3A4で代謝を受け、本剤も主として同酵素で代謝を受けるため、競合的阻害により、本剤の血中濃度を上昇させる。
タクロリムスの血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。患者の状態を注意深く観察し、必要に応じてタクロリムスの用量を調節すること。
本剤とタクロリムスが同一の代謝酵素で代謝されるため、競合的阻害により、タクロリムスの血中濃度を上昇させる。
本剤の血中濃度が上昇したとの報告がある。患者の状態を注意深く観察し、過度の血圧低下等の症状が認められた場合には、本剤を減量するなど適切な処置を行う。またグレープフルーツジュースとの同時服用をしないよう指導すること。
グレープフルーツジュースに含まれる成分が本剤の小腸での代謝(CYP3A4)を抑制し、クリアランスを低下させるためと考えられている。
本剤の代謝が促進され血中濃度が低下するおそれがあるので、本剤投与時はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないよう注意すること。
セイヨウオトギリソウが本剤の代謝酵素(CYP3A4)を誘導すると考えられる。
5%以上
0.1~5%未満
頻度不明
肝臓
AST、ALT、AL-P、LDHの上昇
腎臓
BUN、クレアチニンの上昇
血液
貧血
循環器
ほてり
動悸、胸部圧迫感
息切れ、頻脈、血圧低下
精神神経系
頭痛・頭重
めまい・ふらつき、倦怠感、眠気
知覚異常、いらいら感
消化器
嘔気・嘔吐、便秘、胃のもたれ、胸やけ、胃部不快感、腹痛、食欲低下、下痢、口渇
過敏症
発疹、そう痒
蕁麻疹、光線過敏症、白血球破砕性血管炎
口腔
歯肉炎、歯肉肥厚
その他
末梢性浮腫、こむらがえり、肩こり、脱力感、手指振戦、咳嗽、喉の違和感、頻尿、発汗、流涙、眼球充血、CKの上昇、総コレステロールの上昇、トリグリセライドの上昇、血清カリウムの低下
関節痛、筋肉痛、発熱、勃起不全・性機能障害
本剤の過量投与により著明な低血圧、ときに徐脈を伴う過度の末梢血管拡張を起こす可能性がある。
重篤な低血圧が発現した場合には補液等の対症療法を行う。また、徐脈に対してはアトロピン硫酸塩水和物の静脈内投与を考慮する。なお、本剤は血液透析によって除去できない。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
健康成人に2.5mg、5mg及び10mgを単回経口投与したときの薬物動態パラメータは下表のとおりである。血漿中未変化体濃度は投与後1~1.4時間に最高濃度に達し、消失半減期は1.9~2.7時間であった1)。
投与量
Cmax(ng/mL)
Tmax(hr)
T1/2(hr)
AUC0-72(ng・hr/mL)
2.5mg
2.4±1.1
1.2±0.3
1.9±0.3
7.7±5.7
5mg
7.3±4.3
1.0±1.0
2.3±0.3
14.1±7.7
10mg
12.2±3.4
1.4±0.6
2.7±0.3
48.6±13.7
(平均値±標準偏差、n=6)
健康成人に5mgを1日2回15日間連続経口投与したとき、1回目及び最終投与時の未変化体の薬物動態パラメータに差は認められなかった。各回投与直前の血漿中未変化体濃度は投与回数と共に上昇したが、投与8日目以降定常状態に達した2)。
本剤は速やかに、ほぼ完全に吸収され、単回経口投与及び静脈内投与後の未変化体のAUCの比較から求めた生物学的利用率は約16%と、初回通過効果を大きく受けることが示された(外国人データ)3)。
血漿蛋白質とのin vitro結合率は99%以上であった4)。
血漿中には未変化体のほか4種の代謝物が検出された1)。これら代謝物は、ピリジン体、ピリジン体のメチル及びエチルモノアシド体、フェロジピンのメチルモノアシド体であった。尿中には投与量の6.5~8.8%がピリジン体のメチル及びエチルモノアシド体として排泄され、未変化体は検出されなかった。
単回経口投与及び静脈内投与したとき、尿中総放射能回収率にほとんど差はなく、経口投与時では投与後72時間までに投与量の約62%が尿中から、約10%が糞中から回収された(外国人データ)3)。
肝硬変を伴う高血圧症患者にフェロジピン10mgを単回経口投与したとき、Cmaxは健康成人の約2倍であった(外国人データ)5)。
シメチジンとの併用により、フェロジピンのCmax及びAUCが有意に増加した(外国人データ)6)。
ジゴキシンの併用によりフェロジピンの体内動態は有意に変化しなかったが、フェロジピンはジゴキシンのCmaxを有意に増加させた(外国人データ)7)。
メトプロロールの併用によりフェロジピンの体内動態は有意に変化しなかったが、フェロジピンはメトプロロールのCmax及びAUCを有意に増加させた(外国人データ)8)。
本態性高血圧症患者注1)を対象とし、フェロジピンの単独投与をニフェジピン持効錠(対照薬)と比較した二重盲検群間比較試験が実施され(実施期間1990年9月~1992年3月)、フェロジピン群106例、ニフェジピン100例が解析に用いられた。試験期間は、プラセボ投与の観察期が4週以上、フェロジピン5mg/日あるいはニフェジピン20mg/日が投与される治療I期が4週間、効果不十分の場合にのみ用量をそれぞれ倍に増量した治療II期が8週間からなっていた。降圧効果は「降圧薬の臨床評価方法に関するガイドライン(1989)」に基づき、観察期間と治療期間最終のそれぞれの2回の血圧値の平均値を比較し、収縮期血圧が-20以上、拡張期血圧が-10以上の変化が見られた場合、あるいはこれら2つの判定が一致しない場合は平均血圧において-13以上の変化が見られた場合に、「下降」と判定された。下降率は表1に示す通りで、判定不能例注2)を含めた場合と除いた場合のいずれにおいても両群間に差は見られなかった。
薬剤群
N
下降
判定不能
下降率, χ2検定
判定不能例を含めた場合
判定不能例を除いた場合
フェロジピン
106
86
11
81.1%
P=0.452
90.5%
P=0.828
ニフェジピン
100
7
86.0%
92.5%
血圧正常化率についても、表2に示す通り、両群の間に有意な差は見られなかった。
正常化
(150/90
mmHg未満)
正常化率, χ2検定
55
51.9%
P=0.239
57.9%
P=0.350
61
61.0%
65.6%
注1)観察期(4週間以上)の終わりの2回の座位の血圧が安定し、その平均値が収縮期血圧160mmHg以上かつ拡張期血圧95mmHg以上を示す患者で、WHO高血圧病期分類(1978)のI期またはII期、及び東大3内科高血圧重症度分類(1984)による臓器重症度がそれぞれ2以下の患者
注2)6週未満での中止・脱落や著しい服薬違反の場合等、何らかの理由で判定が困難な場合には判定不能とした。
副作用はフェロジピン群において20例(18.9%)で認められ、主な副作用(5%以上)は、紅潮・のぼせ感6例(5.7%)であった。
血管平滑筋のカルシウムチャンネルを阻害することにより、末梢血管を拡張して降圧作用をもたらす。
単回経口投与したとき、用量依存的に高血圧自然発症ラットの血圧を下降させた。また連続経口投与においても、投薬期間を通じて安定した降圧効果が持続し、休薬後に急激な血圧上昇は認められなかった10)。
DOCA/Salt型高血圧ラット、腎性高血圧ラット及び腎性高血圧イヌにおいても降圧効果が認められた10)。
本態性高血圧症患者に、2.5~10mgを1日2回経口投与したとき、血圧の日内変動指標(変動幅及び日内較差)に影響を及ぼさず、24時間にわたり安定した降圧効果を示した11)。
麻酔ブタに静脈内投与したとき、用量依存的な左心室収縮期圧及び全身血管抵抗の減少がみられた。このとき、心拍数、心拍出量、心筋収縮性、左心室拡張終期圧にはほとんど変化は認められなかった12)。
高血圧症患者に5mgを単回経口投与したとき、血圧の下降及び心拍数の増加に伴い、末梢血管抵抗の減少、心係数の増加及び肺動脈楔入圧の低下が認められた13)。
麻酔イヌに静脈内投与したとき、冠血管抵抗は用量依存的に減少した。
麻酔ブタに静脈内投与したとき、冠血管抵抗は用量依存的に減少した。このとき、冠動脈左前下行枝の血流量は増加し、また冠静脈の酸素含有量の増大は、特に2.6μg/kg以上で顕著であった12)。
K+により脱分極したラットの大動脈標本及び大腿動脈標本でのCa2+誘発血管収縮を用量依存的に抑制した14)。腸間膜動脈標本においてK+及びノルアドレナリンによる血管収縮を用量依存的に抑制した15)。
ラット門脈の自発収縮活動及びラット左心室の電気的な刺激による律動乳頭筋の最大収縮力に対して、用量依存的な抑制を示した。このとき、心筋での負の変力作用を示さない濃度で血管平滑筋を弛緩させた16)。
15ヵ月齢の高血圧自然発症ラットの血圧上昇及び左心室重量体重比を減少させた17)。
パンクロニウム臭化物で不動化した無麻酔イヌに静脈内投与したとき、平均血圧は用量依存的に低下し、脳血流量は増加した18)。
無麻酔高血圧自然発症ラットに静脈内投与したとき、腎血流量、糸球体濾過量、尿量、尿中Na排泄量は増加した17)。
ウサギに1%コレステロール添加飼料を給餌し、同時に本剤を10週間皮下投与したとき、胸部大動脈壁のコレステロール沈着は軽減した19)。
フェロジピン(Felodipine)(JAN)(日局)
Ethyl methyl (4RS)-4-(2,3-dichlorophenyl)-2,6-dimethyl-1,4-dihydropyridine-3,5-dicarboxylate
C18H19Cl2NO4
384.25
本品は微黄白色~淡黄白色の結晶又は結晶性の粉末である。
本品はメタノール又はエタノール(99.5)に溶けやすく、水にほとんど溶けない。
本品のメタノール溶液(1→20)は旋光性を示さない。
143~146℃
100錠[10錠(PTP)×10]
1) 中島光好, 他. 臨床医薬. 1992;8(8):1763-1780
2) 中島光好, 他. 臨床医薬. 1992;8(8):1781-1795
3) Edgar B, et al. Clin Pharmacol Ther. 1985 Aug;38(2):205-211
4) Uno K, et al. 薬物動態. 1991;6(5):769-779
5) Regardh CG, et al. Eur J Clin Pharmacol. 1989;36(5):473-479
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9) 荒川規矩男, 他. 臨床医薬. 1992;8(11):2659-2691
10) 井上 勉, 他. 日薬理誌. 1992;100:453-462
11) 荒川規矩男, 他. 臨床医薬. 1992;8(Suppl.6):3-22
12) Verdouw PD, et al. Naunyn Schmiedebergs Arch Pharmacol. 1983 Aug;323(4):350-354
13) 松本高宏, 他. 臨床と研究. 1992;69(4):1265-1269
14) Kuroda K, et al. Arzneimittelforschung. 1991 Jul;41(7): 709-714
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