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処方箋医薬品注)
[抗コリン作用により、眼圧が上昇し症状を増悪させるおそれがある。]
[抗コリン作用により、尿閉を誘発するおそれがある。]
慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解(長時間作用性吸入抗コリン剤及び長時間作用性吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)
通常、成人には、1回2吸入(グリコピロニウムとして14.4µg、ホルモテロールフマル酸塩として9.6µg)を1日2回吸入投与する。
本剤は1日2回、できるだけ同じ時間帯に吸入すること。
β1作用により、症状を増悪させるおそれがある。
排尿障害が発現するおそれがある。
甲状腺機能亢進症の症状を増悪させるおそれがある。
血圧を上昇させるおそれがある。
グリコーゲン分解作用により症状を増悪させるおそれがある。
Na+/K+ATPaseを活性化し細胞外カリウムを細胞内へ移動させることにより低カリウム血症を増悪させるおそれがある。
気管支喘息の管理が十分行われるよう注意すること。
グリコピロニウムは主に腎排泄されるため血中濃度が上昇する可能性がある。
ホルモテロールは主に肝臓で代謝されるため血中濃度が上昇する可能性がある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
ヒトに対する単回投与試験で、グリコピロニウムの極めて低い胎盤通過性が報告されている1)。ラット及びウサギにグリコピロニウム10mg/kg/日を皮下投与したとき、胎児体重の減少がみられ2),3)、1mg/kg/日を皮下投与したとき離乳前新生児の体重増加抑制がみられた4)。また、ホルモテロール3mg/kg/日あるいは15mg/kg/日の経口投与により、ラット母動物では、着床数の減少及び吸収胚数並びに出生児損失の増加がみられ、同腹児数及び同腹児重量が低下した5)。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。グリコピロニウム及びホルモテロールのヒト乳汁への移行は不明であるが、動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている4),5)。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
カテコールアミン
不整脈、場合によっては心停止を起こすおそれがあるので、副作用の発現に注意し、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
併用により、アドレナリン作動性神経刺激の増大が起きる。
そのため、不整脈を起こすことがある。
キサンチン誘導体
低カリウム血症による不整脈を起こすおそれがある。血清カリウム値のモニターを行うことが望ましい。
キサンチン誘導体はアドレナリン作動性神経刺激を増大させるため、血清カリウム値の低下を増強することがある。
全身性ステロイド剤
全身性ステロイド剤及び利尿剤は尿細管でのカリウム排泄促進作用があるため、血清カリウム値の低下が増強することが考えられる。
利尿剤
β遮断剤
ホルモテロールの作用を減弱する可能性がある。
β受容体において競合的に拮抗する。
QT間隔延長を起こすことが知られている薬剤
QT間隔が延長され心室性不整脈等のリスクが増大するおそれがある。
いずれもQT間隔を延長させる可能性がある。
1%未満
頻度不明
消化器
口内乾燥、悪心
―
精神神経系
頭痛、浮動性めまい、落ち着きのなさ、不眠症、振戦
不安、激越
循環器
頻脈、動悸
上室性頻脈、期外収縮
筋・骨格系
筋痙縮
内分泌
高血糖
泌尿器
尿閉
尿路感染
一般的全身障害
胸痛、過敏症
本剤の過量投与により、抗コリン剤の薬理学的作用による症状(霧視、口内乾燥、悪心等)並びにβ2刺激剤の薬理学的作用による症状(筋痙縮、振戦、頭痛、動悸、収縮期高血圧等)があらわれるおそれがある。
本剤を吸入投与したとき、グリコピロニウム及びホルモテロールの薬物動態パラメータは、同じ吸入デバイスを用いて各有効成分の同用量を単独投与したときと同様であった6),7)。
健康成人(23例)に本剤2吸入(グリコピロニウムとして14.4µg、ホルモテロールフマル酸塩として9.6µg)を単回投与したとき、グリコピロニウム及びホルモテロールの血漿中濃度はいずれも速やかに最高濃度に到達した。終末相の半減期(平均値)は、グリコピロニウムで4.14時間、ホルモテロールで5.25時間であった6)。
測定対象
Tmaxa)
(h)
Cmax
(pg/mL)
AUC0-12
(pg・h/mL)
t1/2
グリコピロニウム(22例)
0.100
[0.03-0.10]
9.09
(71)
21.8
(41)
4.14b)
(34)
ホルモテロール(23例)
[0.10-2.00]
12.0
(59)
42.5
(28)
5.25c)
(44)
a)中央値及び範囲、b)14例、c)20例
中等症から最重症の慢性閉塞性肺疾患患者(外国人83例)に本剤2吸入(グリコピロニウムとして14.4µg、ホルモテロールフマル酸塩として9.6µg)を1日2回12週間反復投与したとき、グリコピロニウム及びホルモテロールの血漿中濃度はいずれも2~3日で定常状態に到達し、AUC0-12に基づく累積係数はそれぞれ約2.3及び約1.5であった7)。
グリコピロニウム及びホルモテロールの血漿蛋白結合率はいずれも約50%であった(in vitro試験)8),9)。
本剤と同じ吸入デバイスを用い、健康成人男性(外国人10例)に放射能(99mTc)で標識したエアロゾルを単回吸入投与したとき、投与放射能の約38%が肺内に沈着した10)。
グリコピロニウム:グリコピロニウムの消失に占める代謝の寄与はわずかである。グリコピロニウムの主代謝物は、一水酸化体及び二水酸化体、並びに不飽和化を伴う一水酸化体であった(in vitro試験)11)。グリコピロニウムの代謝には主にCYP2D6が関与する(in vitro試験)12)。
ホルモテロール:ヒト血漿及び尿中の主代謝物は、ホルモテロールのグルクロン酸抱合体であった。尿中にはO-脱メチル化体のグルクロン酸抱合体も認められた13)。ホルモテロールのO-脱メチル化反応には主としてCYP2D6及びCYP2C分子種が関与する(in vitro試験)14)。
放射能標識したグリコピロニウムを静脈内投与したとき、投与放射能の85%が尿中に排泄された15)。
放射能標識したホルモテロールを経口投与後直ちに静脈内持続注入(30分)したとき、投与放射能の62%が尿中に排泄され、24%が糞中に排泄された13)。
母集団薬物動態解析の結果、腎機能低下に伴うグリコピロニウムの曝露量の増加が示唆された。ホルモテロールの曝露量に及ぼす腎機能障害の影響は認められなかった16)。
肝機能障害患者を対象とした試験は実施していない。グリコピロニウムは主に腎排泄によって体内から消失するため、肝機能障害による影響を受けにくいと考えられる。ホルモテロールは主に肝代謝によって体内から消失するため、重度肝機能障害を有する患者では、曝露量の増加が予測される。
PINNACLE4試験は、慢性閉塞性肺疾患患者を対象に、本剤、グリコピロニウム7.2µg及びホルモテロールフマル酸塩4.8µgをいずれも1回2吸入1日2回投与したときの有効性及び安全性をプラセボと比較検討する多施設共同24週間投与無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験である。本試験における無作為割付け例数は1756例(日本人患者150例を含む)であり、その内訳は、本剤群555例、グリコピロニウム群480例、ホルモテロールフマル酸塩群483例及びプラセボ群238例であった。なお、本試験の対象は、気流閉塞(FEV1/FVC比:0.70未満、FEV1:予測値の80%未満)がみられる慢性閉塞性肺疾患患者とし、喘息と診断されている患者は除外した。
PINNACLE4試験で、本剤を1回2吸入1日2回24週間投与した時の投与12~24週の朝の投与前におけるトラフFEV1値(mL)は下表のとおりであった。
投与群
本剤群
グリコピロニウム群
ホルモテロールフマル酸塩群
プラセボ群
ベースラインa)
1,278±452
(550)
1,316±477
(474)
1,279±437
(480)
1,302±485
(235)
12~24週b)
1,413±481
(517)
1,403±488
(437)
1,345±456
(436)
1,312±484
(205)
ベースラインからの変化量
131±186
75±176
55±173
-17±220
プラセボ群との差c)
[95%信頼区間]
p値c)d)
153[125, 181]
<0.0001
99[70, 128]
80[50, 109]
-
グリコピロニウム群との差c)
54[31, 76]
ホルモテロールフマル酸塩群との差c)
73[51, 96]
平均値±標準偏差(例数)
a)初回投与60分前及び30分前の測定値の平均値
b)投与12、16、20及び24週後の平均値
c)投与群、評価時点、投与群と評価時点の交互作用、ベースライン値、可逆性の割合を共変量とし、無構造分散共分散行列を仮定した反復測定線形モデル
d)有意水準は両側5%。逐次的に主要な比較を実施し、本剤群とプラセボ群、グリコピロニウム群とプラセボ群、ホルモテロールフマル酸塩群とプラセボ群、本剤群とグリコピロニウム群、本剤群とホルモテロールフマル酸塩群の5つの対比較のすべてにおいて統計学的に有意である場合、本剤の主要評価項目における有効性が示されたと判断する計画により、検定の多重性が調整された
PINNACLE4試験で、本剤を1回2吸入1日2回24週間投与した時の副作用発現頻度及び主な副作用は下表のとおりであった。
例数
551
474
480
235
副作用発現頻度
55 (10.0%)
51 (10.8%)
46 (9.6%)
23 (9.8%)
呼吸困難
6 (1.1%)
5 (1.1%)
4 (0.8%)
3 (1.3%)
咳嗽
4 (0.7%)
2 (0.4%)
0 (0.0%)
口内乾燥
3 (0.5%)
6 (1.3%)
頭痛
3 (0.6%)
2 (0.9%)
発疹
1 (0.2%)
高血圧
a)本剤群で発現率0.5%以上の副作用
健康成人(外国人69例)に本剤(14.4/9.6µg)又は臨床用量より高用量のグリコピロニウム(115.2µg)を単回吸入投与したとき、QTcI間隔(被験者ごとに補正したQT間隔)に変化はみられなかった。臨床用量より高用量のグリコピロニウム(115.2µg)及びホルモテロールフマル酸塩(38.4µg)を単回吸入投与したとき、QTcI間隔のベースラインからの変化量のプラセボとの差の最大値(90%信頼区間の上限値)は10msec未満であった18)。(本剤の承認された用法・用量は、1回2吸入[グリコピロニウムとして14.4µg、ホルモテロールフマル酸塩として9.6µg]を1日2回吸入投与である。)
グリコピロニウム臭化物は長時間作用性のムスカリン受容体拮抗薬であり、アセチルコリンのM3受容体結合を阻害することにより気管支収縮抑制作用を示す19)。
ホルモテロールフマル酸塩水和物は長時間作用性のβ2刺激薬である20)。
ヒトムスカリン受容体を発現させたチャイニーズ・ハムスター卵巣細胞を用いた競合結合データから、グリコピロニウム臭化物のM3受容体及びM1受容体に対する親和性はM2受容体に対する親和性よりもわずかに高いことが示唆された19),21),22),23)。
ラットへの気管内投与によりメサコリン誘発気管支収縮を抑制した24)。
モルモット摘出気管のカルバコール誘発収縮に対して迅速かつ持続的な弛緩作用を示した20)。また、モルモット喘息モデルにおいて、吸入投与によって経口投与よりも低い用量で気管支拡張を示し、その作用はサルブタモールより強力であった25)。
グリコピロニウム臭化物(Glycopyrronium Bromide)(JAN)
(3RS)-3-[(2SR)-(2-Cyclopentyl-2-hydroxy-2-phenylacetyl)oxy]-1,1-dimethylpyrrolidinium bromide
C19H28BrNO3
398.33
グリコピロニウム臭化物は白色の結晶性の粉末である。
ホルモテロールフマル酸塩水和物(Formoterol Fumarate Hydrate)(JAN)(日局)
**N-(2-Hydroxy-5-{(1RS)-1-hydroxy-2-[(2RS)-1-(4-methoxyphenyl)propan-2-ylamino]ethyl}phenyl)formamide hemifumarate monohydrate
(C19H24N2O4)2・C4H4O4・2H2O
840.91
**ホルモテロールフマル酸塩水和物は白色~帯黄白色の結晶性の粉末である。酢酸(100)に溶けやすく、メタノールにやや溶けやすく、水又はエタノール(95)に極めて溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。本品のメタノール溶液(1→100)は旋光性を示さない。
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
1) Ali-Melkkila et al. Anaesthesia. 1990;45:634-637
2) 社内資料:ラット胚・胎児発生に関する試験(試験番号14-762)(2019年6月18日承認、CTD2.6.6.6)
3) 社内資料:ウサギ胚・胎児発生に関する試験(試験番号14-763)(2019年6月18日承認、CTD2.6.6.6)
4) 社内資料:出生前及び出生後の発生並びに母体の機能に関する試験(試験番号14-765)(2019年6月18日承認、CTD2.6.6.6)
5) 社内資料:妊娠前及び妊娠中・授乳期投与試験(2009年10月16日承認、CTD2.6.6.6)
6) 社内資料:日本人におけるグリコピロニウム/ホルモテロールフマル酸塩及びグリコピロニウムの単回投与薬物動態(PT003010)(2019年6月18日承認、CTD2.7.1.2)
7) 社内資料:中等症から最重症の慢性閉塞性肺疾患患者を対象とした第III相国際共同臨床試験(PINNACLE1試験;PT003006)(2019年6月18日承認、CTD2.7.1.2)
8) 社内資料:グリコピロニウムのin vitro血漿蛋白結合(BS001265-58)(2019年6月18日承認、CTD2.7.2.1)
9) 社内資料:ホルモテロールのin vitro血漿蛋白結合(843-RD-0354)(2009年10月16日承認、CTD2.7.2.2)
10) 社内資料:グリコピロニウム/ホルモテロールフマル酸塩の肺への沈着(PT003020)(2019年6月18日承認、CTD2.7.2.2)
11) 社内資料:グリコピロニウムのin vitro代謝(BE001294-70)(2019年6月18日承認、CTD2.7.2.1)
12) 社内資料:グリコピロニウムの代謝に関与するシトクロムP450の検討(BS001884-09)(2019年6月18日承認、CTD2.7.2.1)
13) Rösenborg J, et al. Drug Metab Dispos. 1999;27:1104-16.
14) 社内資料:ホルモテロールのシトクロムP450阻害作用の検討(843-RD-0395)(2009年10月16日承認、CTD2.7.2.2)
15) Kaltiala E, et al. J Pharm Pharmacol. 1974;26:352-4.
16) 社内資料:母集団薬物動態解析(2019年6月18日承認、CTD2.7.2.3)
17) 社内資料:中等症から最重症の慢性閉塞性肺疾患患者を対象とした第III相国際共同臨床試験(PINNACLE4試験;PT003014)(2019年6月18日承認、CTD2.7.6.2)
18) 社内資料:グリコピロニウム/ホルモテロールフマル酸塩及びグリコピロニウムの心血管系への影響を検討する安全性試験(PT003009)(2019年6月18日承認、CTD2.7.2.2)
19) Sykes DA, et al. J Pharmacol Exp Ther. 2012;343(2):520-8.
20) Ullman A, et al. Allergy 1992;47:384-7.
21) 社内資料:ヒトM1受容体に対するグリコピロニウムの阻害活性(2019年6月18日承認、CTD2.6.2.2)
22) 社内資料:ヒトM2受容体に対するグリコピロニウムの阻害活性(2019年6月18日承認、CTD2.6.2.2)
23) 社内資料:ヒトM3受容体に対するグリコピロニウムの阻害活性(2019年6月18日承認、CTD2.6.2.2)
24) Trifilieff A, et al. Toxicol Appl Pharmacol. 2015;287(1):9-16.
25) Ida H. Arzneimittelforschung. 1976;26(7):1337-40.
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