医療用医薬品 詳細表示

サフネロー点滴静注300mg

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
1.警告
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
5.効能又は効果に関連する注意
6.用法及び用量
7.用法及び用量に関連する注意
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
10.相互作用
10.2併用注意(併用に注意すること)
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
14.適用上の注意
15.その他の注意
15.1臨床使用に基づく情報
16.薬物動態
16.1血中濃度
16.4代謝
16.5排泄
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
18.薬効薬理
18.1作用機序
18.2効能又は効果を裏付ける薬理作用
19.有効成分に関する理化学的知見
20.取扱い上の注意
21.承認条件
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

サフネロー点滴静注300mg

添付文書番号

3999462A1028_1_03

企業コード

670227

作成又は改訂年月

**2025年5月改訂(第4版)
2022年6月改訂(第3版)

日本標準商品分類番号

87399

薬効分類名

ヒト抗I型インターフェロン受容体1モノクローナル抗体

承認等

サフネロー点滴静注300mg

販売名コード

YJコード

3999462A1028

販売名英語表記

Saphnelo for I.V. infusion 300mg

販売名ひらがな

さふねろーてんてきじょうちゅう

承認番号等

承認番号

30300AMX00447

販売開始年月

2021年11月

貯法・有効期間

貯法

2~8℃で保存

有効期間

3年

規制区分

一般的名称

アニフロルマブ(遺伝子組換え)製剤

1. 警告

  1. 1.1 本剤は、肺炎、敗血症、結核等の感染症を含む緊急時に十分に措置できる医療施設において、本剤についての十分な知識と全身性エリテマトーデス治療の十分な知識・経験をもつ医師のもとで、本剤による治療の有益性が危険性を上回ると判断される症例のみに使用すること。本剤は呼吸器感染や帯状疱疹(播種性帯状疱疹を含む)等の感染症のリスクを増大させる可能性があり、また結核の既往歴を有する患者では結核を活動化させる可能性がある(潜在性結核を含む)。また、本剤との関連性は明らかではないが、悪性腫瘍の発現も報告されている。治療開始に先立ち、本剤が疾病を完治させる薬剤でないことも含め、本剤の有効性及び危険性を患者に十分説明し、患者が理解したことを確認した上で、治療を開始すること。,,,,,,,,
  2. 1.2 致死的な肺炎を含む感染症が報告されているため、十分な観察を行うなど感染症の発現に注意し、本剤投与後に感染症の徴候又は症状があらわれた場合には、速やかに担当医に連絡するよう患者を指導すること。,,,,
  3. 1.3 全身性エリテマトーデス患者では、本剤の治療を行う前に、ステロイド、免疫抑制薬等の全身性エリテマトーデス治療薬の使用を十分勘案すること。

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  2. 2.2 重篤な感染症の患者[症状を悪化させるおそれがある。],,,,
  3. 2.3 活動性結核の患者[症状を悪化させるおそれがある。],,

3. 組成・性状

3.1 組成

サフネロー点滴静注300mg

有効成分1バイアル(2.0mL)中  
アニフロルマブ(遺伝子組換え)1)   300mg
添加剤L-ヒスチジン   3mg
L-ヒスチジン塩酸塩水和物   6mg
L-リシン塩酸塩   18mg
トレハロース水和物   98mg
ポリソルベート80   1mg

1) 遺伝子組換え技術によりマウスミエローマ(NS0)細胞を用いて製造される。

3.2 製剤の性状

サフネロー点滴静注300mg

色調無色~微黄色の澄明~乳白光を呈する液
pH5.4~6.4
浸透圧比252~378mOsm/kg

4. 効能又は効果

既存治療で効果不十分な全身性エリテマトーデス

5. 効能又は効果に関連する注意

  1. 5.1 過去の治療において、ステロイド、免疫抑制薬等による全身性エリテマトーデスに対する適切な治療を行っても、疾患活動性を有する場合に、本剤を上乗せして投与すること。
  2. 5.2 抗核抗体、抗dsDNA抗体等の自己抗体が陽性であることが確認された全身性エリテマトーデス患者に使用すること。
  3. 5.3 臨床試験において、活動性かつ重症のループス腎炎又は中枢神経ループスを有する全身性エリテマトーデス患者に対する有効性及び安全性は検討されていない。,
  4. 5.4 「臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。

6. 用法及び用量

通常、成人にはアニフロルマブ(遺伝子組換え)として、300mgを4週間ごとに30分以上かけて点滴静注する。

7. 用法及び用量に関連する注意

  1. 7.1 本剤と他の生物製剤との併用は避けることが望ましい。
  2. 7.2 臨床試験において、本剤とタクロリムス又はシクロホスファミドとの併用に対する有効性及び安全性は検討されていない。,

8. 重要な基本的注意

  1. 8.1 本剤に関連したアナフィラキシーを含む過敏症の発現が報告されており、重篤な経過をたどることがある。徴候や症状の発現が認められた場合には、患者に受診するよう説明すること。
  2. 8.2 本剤は、感染のリスクを増大させる可能性がある。そのため本剤の投与に際しては、十分な観察を行い、感染症や帯状疱疹(播種性帯状疱疹を含む)の発症や増悪に注意すること。感染症の徴候又は症状があらわれた場合には、速やかに担当医に連絡するよう患者を指導すること。,,,
  3. 8.3 本剤投与に先立って結核に関する十分な問診及び胸部X線検査に加え、インターフェロン-γ遊離試験を行い、適宜胸部CT検査等を行うことにより、結核感染の有無を確認すること。また、本剤投与中も胸部X線検査等の適切な検査を定期的に行うなど結核の発現には十分に注意し、患者に対し、結核を疑う症状が発現した場合(持続する咳、発熱等)には速やかに主治医に連絡するよう説明すること。,
  4. 8.4 生ワクチン接種による感染症発現のリスクを否定できないため、本剤投与中の生ワクチン接種は行わないこと。
  5. 8.5 本剤を投与された患者において悪性腫瘍が報告されている。本剤との関連性は明らかではないが、悪性腫瘍等の発現に注意すること。,
  6. 8.6 B型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者(HBs抗原陰性、かつHBc抗体又はHBs抗体陽性)において、B型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれるおそれがあるため、本剤投与に先立って、B型肝炎ウイルス感染の有無を確認すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 感染症(重篤な感染症を除く)の患者又は感染症が疑われる患者

    感染症が悪化するおそれがある。,,,

  2. 9.1.2 結核の既往歴を有する患者又は結核感染が疑われる患者
    1. (1) 結核の既往歴を有する患者では、結核を活動化させるおそれがある(潜在性結核を含む)。,
    2. (2) 結核の既往歴を有する場合又は結核感染が疑われる場合には、結核の診療経験がある医師に相談すること。以下のいずれかの患者には、原則として本剤投与前に適切な抗結核薬を投与すること。,
    • 胸部画像検査で陳旧性結核に合致するか推定される陰影を有する患者
    • 結核の治療歴(肺外結核を含む)を有する患者
    • インターフェロン-γ遊離試験等の検査により、既感染が強く疑われる患者
    • 結核患者との濃厚接触歴を有する患者
  3. 9.1.3 B型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者(HBs抗原陰性、かつHBc抗体又はHBs抗体陽性)

    肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。サルでアニフロルマブは胎盤を通過することが示唆されている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤のヒトにおける乳汁への移行は不明であるが、動物実験(サル)でアニフロルマブは乳汁中へ移行することが報告されている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

10. 相互作用

    10.2 併用注意(併用に注意すること)

    薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子

    I型インターフェロン製剤

    • インターフェロン-α
    • インターフェロン-β

    併用により両剤の効果が減弱するおそれがある。

    本剤はI型インターフェロン受容体1に対するモノクローナル抗体である。

    11. 副作用

    次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    11.1 重大な副作用

    1. 11.1.1 アナフィラキシー(頻度不明)
    2. 11.1.2 重篤な感染症(1.7%)

      肺炎や播種性帯状疱疹等の重篤な感染症があらわれることがある。,,

    11.2 その他の副作用

    10%以上

    1~10%未満

    1%未満

    頻度不明

    感染症

    上気道感染(上気道感染、上咽頭炎、咽頭炎)

    気管支炎(気管支炎、ウイルス性気管支炎、気管気管支炎)、帯状疱疹

    気道感染(気道感染、ウイルス性気道感染、細菌性気道感染)

    過敏症

    過敏症

    筋骨格系

    **関節痛

    その他

    注入に伴う反応

    14. 適用上の注意

    14.1 薬剤調製時の注意

    1. 14.1.1 調製前に不溶性異物や変色がないことを目視により確認すること。本剤は、無色~微黄色の澄明~乳白光を呈する液である。濁り、変色又は不溶性異物が認められる場合は使用しないこと。バイアルは振盪しないこと。
    2. 14.1.2 **生理食塩液50mL又は100mLを含む点滴バッグから生理食塩液2mLをあらかじめ抜き取る。
    3. 14.1.3 本剤2mLをバイアルから抜き取り、生理食塩液の点滴バッグに注入し、ゆっくり反転させて混和すること。点滴バッグは振盪しないこと。

    14.2 薬剤投与時の注意

    1. 14.2.1 本剤は、無菌の蛋白結合性の低い0.2µm又は0.22µmインラインフィルターを使用して、点滴静注すること。なお、急速静注で投与しないこと。
    2. 14.2.2 本剤は、生理食塩液で希釈して独立したラインにより投与するものとし、他の注射剤・輸液等と混合しないこと。
    3. 14.2.3 調製後は速やかに使用すること。希釈液をすぐに使用せず保存する場合、室温保存では4時間以内に、2~8℃では24時間以内に投与を開始すること。なお、2~8℃で保存した場合は室温に戻してから投与すること。
    4. 14.2.4 注入に伴う反応が見られた場合は点滴静注の速度を遅くすることができる。
    5. 14.2.5 *投与終了時には、点滴ラインを生理食塩液でフラッシュすること。
    6. 14.2.6 本剤のバイアルは1回使い切りであり、保存剤を含まない。バイアル中の残液は廃棄すること。

    15. その他の注意

    15.1 臨床使用に基づく情報

    1. 15.1.1 悪性腫瘍の発現率は、第III相国際共同試験のD3461C00004試験及びD3461C00005試験の併合解析では、本剤300mg群で1.4/100人・年、プラセボ群では0.9/100人・年であった。,
    2. 15.1.2 SLE患者を対象とした第III相試験(D3461C00004試験及びD3461C00005試験)において、本剤の承認用法・用量で投与を受けた患者の1.7%(6/359例)で本剤投与後に抗アニフロルマブ抗体が認められ、0.3%(1/359例)で中和抗体が認められた。抗アニフロルマブ抗体陽性となった患者の例数が少なく、抗アニフロルマブ抗体の発現による有効性及び安全性に及ぼす影響は明らかではない。

    16. 薬物動態

    16.1 血中濃度

    日本人全身性エリテマトーデス(SLE)患者に本剤100、300及び1000mgを静脈内単回投与したときの血清中濃度推移及び薬物動態パラメータは下記のとおりである。投与量100~1000mgの範囲で、本剤の薬物動態は非線形性を示した1)

    投与量(例数)

    100mg(6)

    300mg(5)

    1000mg(6)

    Cmax(µg/mL)

    42.4±11.3

    75.5±9.5

    259.2±50.6

    AUC0-t(µg·day/mL)

    224.6±39.1

    702.2±262.5

    3179.1±444.0

    AUC0-inf(µg·day/mL)

    231.7±40.5

    786.2±280.2

    4350.9±588.1

    T1/2(day)

    3.77±1.42

    5.97±2.63

    15.86±2.64

    CL (L/day)

    0.445±0.091

    0.417±0.129

    0.234±0.033

    平均値±標準偏差

    日本人SLE患者に本剤100、300及び1000mgを4週間に1回静脈内反復投与したときの最終投与後の血清中濃度推移及び薬物動態パラメータは下記のとおりである。投与量100~1000mgの範囲で、本剤の薬物動態は非線形性を示した1)

    投与量(例数)

    100mg(2)

    300mg(5)

    1000mg(3)

    Css, max (µg/mL)

    25.0±2.2

    95.7±24.6

    414.3±82.1

    AUCτ (µg·day/mL)

    152.3±39.2

    1035.5±488.0

    5814.6±2164.1

    T1/2 (day)

    3.64±1.57

    5.33±1.28

    15.52±8.83

    CLss (L/day)

    0.679±0.175

    0.356±0.181

    0.194±0.089

    平均値±標準偏差

    16.4 代謝

    本剤は標的部位であるI型インターフェロンα受容体(IFNAR)及び細網内皮系による消失を受け、広く生体に存在するタンパク質分解酵素により小ペプチドあるいはアミノ酸に分解されると推定される。

    16.5 排泄

    本剤はIFNARを介した消失があるため、用量比以上の曝露量の減少を示す。

    17. 臨床成績

    17.1 有効性及び安全性に関する試験

    1. 17.1.1 第III相国際共同試験(D3461C00004試験)2)

      安定した用量のSLE標準治療にもかかわらず中等度から重度(SLEDAI-2Kスコアが6点以上、かつBILAG-2004カテゴリーAの臓器系が1つ又はカテゴリーBの臓器系が2つ以上、かつPGAが1以上)の症状を有し、米国リウマチ学会のSLE分類基準を満たす抗核抗体、抗dsDNA抗体、又は抗Sm抗体陽性の成人SLE患者(活動性かつ重症のループス腎炎又は中枢神経ループスを有する患者は除外2))362例(うち日本人43例)に対して、本剤300mg又はプラセボ(1:1)を4週間ごとに静脈内投与した。試験期間中は他の生物製剤、タクロリムス又はシクロホスファミド静注剤の使用を禁止した。主要評価項目である投与52週時のBICLA達成例の割合は、プラセボ群と比較して本剤300mg群で統計学的に有意に高かった(本剤300mg群86/180例[47.8%]、プラセボ群57/182例[31.5%]、群間差16.3%、95%信頼区間6.3~26.3%、p=0.0013)。副次的評価項目である投与52週時のSRI(4)達成例の割合は、プラセボ群と比較して本剤300mg群で数値的に高かった(本剤300mg群100/180例[55.5%]、プラセボ群68/182例[37.3%]、群間差18.2%、95%信頼区間8.1~28.3%)。

      本剤300mg群(180例)

      プラセボ群(182例)

      52週時のBICLA

      達成例(%)

      86例(47.8%)

      57例(31.5%)

      割合の群間差(95% CI)

      16.3%(6.3~26.3%)

      p値

      0.0013

      CI:信頼区間

      割合及び割合の群間差は、スクリーニング時のSLEDAI-2Kスコア及びI型インターフェロンgene signatureテストの結果、並びに投与開始時の経口コルチコステロイド用量による層別Cochran Mantel Haenszel法を用いて算出

      本試験において有害事象を発現した患者の割合は、本剤300mg群88.3%(159/180例)及びプラセボ群84.1%(153/182例)であった。本剤300mg群でみられた主な有害事象は、上気道感染(本剤300mg群21.7%及びプラセボ群9.9%)、上咽頭炎(同15.6%及び11.0%)、注入に伴う反応(同13.9%及び7.7%)であった。

    2. 17.1.2 第III相国際共同試験(D3461C00005試験)3)

      D3461C00004試験と同じ基準のSLE患者457例に、本剤150mg、300mg又はプラセボ(1:2:2)を4週間ごとに静脈内投与した。試験期間中は他の生物製剤、タクロリムス又はシクロホスファミド静注剤の使用を禁止した。本剤300mg群とプラセボ群との比較において、主要評価項目である投与52週時のSRI(4)達成例の割合に差はみられなかった(本剤300mg群65/180例[36.2%]、プラセボ群74/184例[40.4%]、群間差-4.2%、95%信頼区間-14.2~5.8%、p=0.412)。副次的評価項目である投与52週時のBICLA達成例の割合は、プラセボ群と比較して本剤300mg群で数値的に高かった(本剤300mg群67/180例[37.1%]、プラセボ群49/184例[27.0%]、群間差10.1%、95%信頼区間0.6~19.7%)。上記の主解析結果を受けて、有効性評価における併用薬の取り扱い基準を精査した。精査後の事後解析では、主要評価項目である投与52週時のSRI(4)達成例の割合は、プラセボ群と比較して本剤300mg群で数値的に高かった(本剤300mg群88/180例[49.0%]、プラセボ群79/184例[43.0%]、群間差6.0%、95%信頼区間-4.2~16.2%)。副次的評価項目である投与52週時のBICLA達成例の割合は、プラセボ群と比較して本剤300mg群で数値的に高かった(本剤300mg群85/180例[47.1%]、プラセボ群55/184例[30.2%]、群間差17.0%、95%信頼区間7.2~26.8%)。なお、併用薬の取り扱い基準の精査はD3461C00004試験の盲検解除前に行われ、精査後の基準はD3461C00004試験の主解析にも用いられた。

      本試験において有害事象を発現した患者の割合は、本剤300mg群89.4%(161/180例)及びプラセボ群78.3%(144/184例)であった。本剤300mg群でみられた主な有害事象は、上咽頭炎(本剤300mg群20.0%及びプラセボ群12.0%)、上気道感染(同12.2%及び9.8%)、尿路感染(同12.2%及び14.7%)であった。

      〔BICLA達成例の定義〕

      • ベースラインでBILAG-2004カテゴリーAの臓器系がB/C/Dへ、カテゴリーBの臓器系がC/Dへそれぞれ改善し、他の臓器系の悪化(1つ以上のカテゴリーA又は2つ以上のカテゴリーBの発生)が認められない
      • SLEDAI-2Kのベースラインからの悪化(0点超のベースラインからのスコア上昇)がない
      • 被験者の疾患活動性がベースラインから悪化(PGAが0.30点以上増加)していない
      • 治験薬投与を中止していない
      • 評価前に、制限されている薬剤を治験実施計画書で許容された範囲を超えて使用していない

      〔SRI(4)達成例の定義〕

      • SLEDAI-2Kスコアがベースラインから4点以上減少する
      • ベースラインと比較してBILAG-2004カテゴリーAに悪化した臓器系がなく、かつカテゴリーBに悪化した臓器系が2つ以上ない
      • 被験者の疾患活動性がベースラインから悪化(PGAが0.30点以上増加)していない
      • 治験薬投与を中止していない
      • 評価前に、制限されている薬剤を治験実施計画書で許容された範囲を超えて使用していない

        2) 活動性かつ重症のループス腎炎として、治験実施計画書に規定された標準治療が効果不十分で、シクロホスファミドの静脈内投与及び/又は高用量コルチコステロイドの静脈内投与によるパルス療法、又は治験実施計画書で許容されていないその他の治療の追加等の積極的な治療の必要性が示唆されるSLEによる活動性の重症腎疾患を有する患者を除外した。
        活動性かつ重症の中枢神経ループスとして、各試験において活動性の重症又は不安定なSLE神経精神症状(無菌性髄膜炎、脳血管炎、ミエロパシー、脱髄症候群[上行性、横断性、急性炎症性脱髄性多発神経炎]、急性錯乱状態、意識レベル低下、精神病、急性脳卒中又は卒中症候群、脳神経障害、てんかん重積状態、小脳性運動失調及び多発単神経炎を含む)を呈する患者を除外した。

    18. 薬効薬理

    18.1 作用機序

    本剤は、I型インターフェロンα受容体のサブユニット1(IFNAR1)に結合するヒト免疫グロブリンG1κモノクローナル抗体である。I型IFNはSLEの発症機序に重要な役割を果たす。I型IFN誘導性遺伝子発現の上昇は、成人SLE患者の大部分(約60~80%)に認められ、SLEの疾患活動性及び重症度と相関している4)

    18.2 効能又は効果を裏付ける薬理作用

    1. 18.2.1 IFNAR1への結合

      In vitroにおいて、ヒト及びカニクイザルの末梢血単核細胞に発現するIFNAR1へのアニフロルマブの結合を検討したところ、IFNAR1に対するアニフロルマブのKDはヒト及びカニクイザルでそれぞれ0.29±0.29nM及び0.65±0.74nMであった5)

    2. 18.2.2 IFNAR発現細胞に対するIFN-α2aの結合の阻害

      In vitroにおいて、アニフロルマブはIFNARを発現しているDaudi細胞への125I標識IFN-α2aの結合を競合的に阻害し、EC50値は0.14nMであった6)

    3. 18.2.3 リガンド誘導性のIFNAR1/2によるシグナル伝達の阻害

      In vitroの単球において、アニフロルマブは形質細胞様樹状細胞由来I型IFN刺激によるSTAT1リン酸化を完全に阻害した7)

    4. 18.2.4 I型IFN誘導性のISRE活性の阻害

      In vitroにおいて、アニフロルマブは、試験した全14種の組換えヒトI型IFNに誘導されるIFN-stimulated response element(ISRE)の活性化を強力に阻害し、IC50値は0.004~0.3nMの範囲であった。アニフロルマブは、SLE患者の血清中に存在するI型IFNによるISRE活性化を阻害した7)

    5. 18.2.5 In vivo試験

      ループス腎炎の加速発症モデルであるNZB/W F1マウスにおいて、サロゲート抗体である抗マウスIFNAR抗体5A3の投与によりI型IFN誘導性遺伝子発現の誘導が抑制され、腎障害の発症が低減され、重症度が低下した8)。移植片対宿主誘発強皮症(GVH-SSc)モデルにおいて、抗マウスIFNAR抗体の投与によりIFNシグナル伝達が阻害され、それにより皮膚の炎症、血管損傷及び皮膚の線維化が抑制された9)

    19. 有効成分に関する理化学的知見

    一般的名称

    アニフロルマブ(遺伝子組換え)(JAN)

    Anifrolumab (Genetical Recombination)

    本質

    アニフロルマブは、I型インターフェロン受容体1(インターフェロン アルファ、ベータ及びオメガ受容体1)に対する遺伝子組換えヒトIgG1モノクローナル抗体であり、H鎖234、235と331番目のアミノ酸残基はそれぞれPhe、GluとSerに置換されている。アニフロルマブは、マウスミエローマ(NS0)細胞により産生される。アニフロルマブは、447個のアミノ酸残基からなるH鎖(γ1鎖)2本及び215個のアミノ酸残基からなるL鎖(κ鎖)2本で構成される糖タンパク質(分子量:約148,000)である。

    20. 取扱い上の注意

    20.1 凍結を避けること。

    20.2 外箱開封後は遮光して保存すること。

    21. 承認条件

    1. 21.1 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
    2. 21.2 製造販売後、一定数の症例に係るデータが蓄積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。

    22. 包装

    2mL[1バイアル]

    24. 文献請求先及び問い合わせ先

    アストラゼネカ株式会社 メディカルインフォメーションセンター

    〒530-0011 大阪市北区大深町3番1号

    TEL 0120-189-115

    https://www.astrazeneca.co.jp

    26. 製造販売業者等

    26.1 製造販売元

    アストラゼネカ株式会社

    大阪市北区大深町3番1号

    〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

    画面を閉じる

    Copyright © Pharmaceuticals and Medical Devices Agency, All Rights reserved.