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劇薬
処方箋医薬品注)
本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の使用が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
通常、成人にはオラパリブとして1回300mgを1日2回、経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
ベバシズマブ(遺伝子組換え)との併用において、通常、成人にはオラパリブとして1回300mgを1日2回、経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
通常、成人にはオラパリブとして1回300mgを1日2回、経口投与する。ただし、術後薬物療法の場合、投与期間は1年間までとする。なお、患者の状態により適宜減量する。
*通常、成人にはオラパリブとして1回300mgを1日2回、経口投与する。他の薬剤と併用する場合は、アビラテロン酢酸エステル及びプレドニゾロンと併用すること。なお、患者の状態により適宜減量する。
**デュルバルマブ(遺伝子組換え)との併用において、通常、成人にはオラパリブとして1回300mgを1日2回、経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
副作用
程度注2)
処置
再開時の投与量
貧血
ヘモグロビン値がGrade 3又は4の場合
ヘモグロビン値≧9g/dLに回復するまで最大4週間休薬する。
・1回目の再開の場合、減量せずに投与する。
・2回目の再開の場合、1回250mgを1日2回で投与する。
・3回目の再開の場合、1回200mgを1日2回で投与する。
好中球減少
Grade 3又は4の場合
Grade 1以下に回復するまで休薬する。
血小板減少
Grade 1以下に回復するまで最大4週間休薬する。
減量せずに投与する。
間質性肺疾患
Grade 2の場合
中止する。
再開しない。
**デュルバルマブ(遺伝子組換え)との併用投与下の赤芽球癆
**全Grade
**本剤及びデュルバルマブ(遺伝子組換え)の投与を中止する。
**再開しない。
**デュルバルマブ(遺伝子組換え)との併用投与下の自己免疫性溶血性貧血
上記以外の副作用
減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。なお、重度の腎機能障害又は末期腎不全(クレアチニンクリアランス(CrCL):30mL/min以下)患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。また、重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。ラットを用いた動物実験において、臨床曝露量を下回る用量で胚・胎児死亡及び催奇形性(眼球異常、椎骨及び肋骨の欠損等)が報告されている。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤の乳汁中への移行は不明である。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に高齢者では、生理機能が低下している。
強いCYP3A阻害剤
中程度のCYP3A阻害剤
副作用の発現率及び重症度が増加するおそれがあるので、CYP3A阻害作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。やむを得ず中程度又は強いCYP3A阻害剤を併用する際には本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。
これらの薬剤等のCYP3A阻害作用により、本剤の代謝が阻害され、血中濃度が上昇する可能性がある。
グレープフルーツ含有食品
本剤投与時はグレープフルーツ含有食品を摂取しないよう注意すること。
CYP3A誘導剤
本剤の有効性が減弱するおそれがあるので、CYP3A誘導作用のない薬剤への代替を考慮すること。
これらの薬剤等のCYP3A誘導作用により、本剤の代謝活性が誘導されるため、本剤の血中濃度が低下する可能性がある。
**,*貧血(30.2%)、好中球減少(13.7%)、白血球減少(12.0%)、リンパ球減少(7.0%)、血小板減少(6.8%)等があらわれることがある。
*肺塞栓症(0.4%)、深部静脈血栓症(0.1%)等の静脈血栓塞栓症があらわれることがある。
*肺炎(0.4%)等の重篤な感染症があらわれることがある。
**本剤とデュルバルマブ(遺伝子組換え)との併用において、赤芽球癆があらわれることがある。
**本剤とデュルバルマブ(遺伝子組換え)との併用において、溶血性貧血があらわれることがある。
10%以上
1%~10%未満
1%未満
頻度不明
皮膚
発疹
過敏症、皮膚炎、結節性紅斑
血管性浮腫
精神神経系
頭痛、浮動性めまい
呼吸器
咳嗽、呼吸困難
消化器
**,*悪心(47.4%)、嘔吐、下痢、食欲減退、味覚異常
消化不良、腹痛、便秘、口内炎、上腹部痛
全身
**,*疲労・無力症(36.6%)
その他
クレアチニン増加
平均赤血球容積(MCV)増加
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。
国内外の臨床試験等において、骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病等の二次性悪性腫瘍が発生したとの報告がある。
遺伝毒性試験において、細菌を用いる復帰突然変異試験で遺伝子突然変異誘発性は認められなかったが、チャイニーズハムスター卵巣細胞を用いるin vitro染色体異常試験では染色体異常誘発作用がみられ、ラット骨髄小核試験で経口投与後に小核誘発作用が認められた1)。,
日本人固形癌患者(7例)に本剤300mgを単回経口投与したときのオラパリブの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった2)。
例数
Cmax(µg/mL)
tmax(h)※
AUC(µg・h/mL)
t1/2(h)
7例
8.14±2.91
1.98(1.00~3.00)
54.4±37.5
9.43±2.86
※中央値(範囲)
日本人固形癌患者(9例)に本剤200mg注4)及び300mgを1日2回反復経口投与したときの第15日目におけるオラパリブの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった。また、300mg投与時におけるAUC(0-12時間)の累積係数は約1.8であった2)。
用量
AUC(0-12時間)(µg・h/mL)
200mg
3例
8.16±3.34
1.50(1.00~3.00)
41.1±20.9
300mg
6例
8.86±3.14
3.00(1.50~3.93)
61.9±40.5
固形癌患者(56例)に本剤300mgを食後投与したとき、空腹時投与と比較して、オラパリブのCmaxは21%(90%信頼区間:14%~28%)低下し、AUCは8%(90%信頼区間:1%~16%)増加した3)(外国人データ)。
オラパリブの血漿蛋白結合率はヒトでのCmax付近(10µg/mL)で82%であった。オラパリブの主要な結合蛋白は血清アルブミンであり(結合率:56%)、α1-酸性糖蛋白質との結合率は10µg/mLで29%であった4)(in vitro試験成績)。
In vitro試験から、オラパリブの主代謝酵素はCYP3A4/5であることが示された5)。
固形癌患者に14C標識オラパリブ100mgをカプセル剤注5)で単回経口投与したとき、投与12時間後までの血漿中において主成分はオラパリブであった(血漿中放射能の70%)。血漿中の主代謝物はM12(ピペラジン開環体の3位水酸化体)、M15(フルオロベンジル環のメチレン基水酸化体)及びM18(ピペラジン環の3位水酸化体)であった(血漿中放射能の9~14%)。投与48時間後までの尿及び糞便中において主代謝物はM15であった(尿及び糞便中放射能のそれぞれ5~6%)6)(外国人データ)。
固形癌患者に14C標識オラパリブ100mgをカプセル剤注6)で単回経口投与したとき、投与後7日間で投与放射能量の44%が尿中に、42%が糞便中に主に代謝物として排泄された。未変化体の尿中排泄率は15%であった6)(外国人データ)。
肝機能の正常な固形癌患者並びに軽度(Child-Pugh分類A)又は中等度(Child-Pugh分類B)の肝機能障害を有する固形癌患者を対象に本剤300mgを単回経口投与した。軽度肝機能障害者(9例)では肝機能正常者(13例)に比べオラパリブのCmaxは13%(90%信頼区間:-18%~56%)、AUCは15%(-28%~83%)高値を示した。中等度肝機能障害者(8例)では肝機能正常者(13例)に比べオラパリブのCmaxは13%(90%信頼区間:-22%~37%)低値を示したが、AUCは8%(-34%~74%)高値を示した。軽度及び中等度の肝機能障害により臨床上問題となる影響は認められなかった7)(外国人データ)。
腎機能の正常な固形癌患者並びに軽度(CrCL:51~80mL/min)又は中等度(CrCL:31~50mL/min)の腎機能障害を有する固形癌患者を対象に本剤300mgを単回経口投与した。軽度腎機能障害者(13例)では腎機能正常者(12例)に比べオラパリブのCmaxは15%(90%信頼区間:4%~27%)、AUCは24%(6%~47%)高値を示した。中等度腎機能障害者(13例)では、腎機能正常者(12例)に比べオラパリブのCmaxは26%(90%信頼区間:6%~48%)、AUCは44%(90%信頼区間:10%~89%)高値を示した8)(外国人データ)。
固形癌患者(57例)に強いCYP3A阻害剤であるイトラコナゾール200mgを1日1回7日間投与し、投与5日目に本剤100mg注7)を併用投与したとき、オラパリブのCmaxは1.4倍(90%信頼区間:1.3~1.5倍)に増加し、AUCは2.7倍(90%信頼区間:2.4~3.0倍)に増加した9)(外国人データ)。また、生理学的薬物動態モデルによるシミュレーションから、本剤100mgと弱いCYP3A阻害剤であるフルボキサミンとの併用ではオラパリブのCmax及びAUC(0-t)に影響はないと推定されたものの、中程度のCYP3A阻害剤であるフルコナゾールとの併用ではオラパリブのCmax及びAUC(0-t)はそれぞれ平均1.14倍及び2.21倍増加すると推定された10)。
固形癌患者(22例)に強いCYP3A誘導剤であるリファンピシン600mgを1日1回13日間投与し、投与10日目に本剤300mgを併用投与したとき、オラパリブのCmaxは71%(90%信頼区間:67%~76%)、AUCは87%(90%信頼区間:84%~89%)低下した9)(外国人データ)。
オラパリブはCYP3Aに対し阻害作用を示し10)、CYP2B6に対し誘導作用を示した11)(in vitro試験成績)。
オラパリブはUDPグルクロン酸転移酵素(UGT)1A1に対し阻害作用を示した12)(in vitro試験成績)。
固形癌患者(76例)を対象に、本剤300mgとタモキシフェン(20mg1日1回)、アナストロゾール(1mg1日1回)又はレトロゾール(2.5mg1日1回)との併用投与を行ったところ(例数はそれぞれ29例、22例及び25例)、臨床上問題となる相互作用は認められなかった13)(外国人データ)。
オラパリブはP-糖蛋白質(P-gp)の基質であった14)。また、オラパリブはP-gp、OATP1B1、OCT1及びMATE1を阻害した15)(in vitro試験成績)。
BRCA遺伝子変異陽性で、白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法による少なくとも2回以上の治療歴があり、白金系抗悪性腫瘍剤感受性注8)かつ直近の白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法で奏効(画像診断による完全奏効又は部分奏効)が維持されている再発高異型度漿液性卵巣癌(原発性腹膜癌及び卵管癌を含む)又は再発高異型度類内膜卵巣癌患者295例(本剤群196例、プラセボ群99例、うち日本人は本剤群8例、プラセボ群6例)を対象として、本剤(錠剤)300mg1日2回投与の有効性及び安全性をプラセボと比較する無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同第III相試験を実施した。主要評価項目である治験担当医師判定による無増悪生存期間において、本剤はプラセボに対し統計学的に有意な延長を示した(ハザード比0.30、95%信頼区間0.22~0.41、p<0.0001)。無増悪生存期間の中央値は本剤群で19.1カ月、プラセボ群で5.5カ月であった。(2016年9月19日データカットオフ)
本剤が投与された195例(日本人8例を含む)中192例(98.5%)に有害事象が認められ、主な有害事象は、悪心148例(75.9%)、貧血84例(43.1%)、疲労74例(37.9%)、嘔吐73例(37.4%)、下痢64例(32.8%)、無力症61例(31.3%)であった。(2016年9月19日データカットオフ)
白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法による少なくとも2回以上の治療歴があり、白金系抗悪性腫瘍剤感受性注9)かつ直近の白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法で奏効(画像診断による完全奏効又は部分奏効)が維持されている再発漿液性卵巣癌(原発性腹膜癌及び卵管癌を含む)患者265例(本剤群136例、プラセボ群129例)を対象として、本剤(カプセル剤)400mg注10)1日2回投与の有効性及び安全性をプラセボと比較する無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同第II相試験を実施した。主要評価項目である治験担当医師判定による無増悪生存期間において、プラセボに対する本剤の優越性の評価で事前に設定した有効性判断基準を満たした(ハザード比0.35、95%信頼区間0.25~0.49、p<0.00001[両側])。無増悪生存期間の中央値は本剤群で8.4カ月、プラセボ群で4.8カ月であった。(2010年6月30日データカットオフ)
本剤が投与された136例中132例(97.1%)に有害事象が認められ、主な有害事象は、悪心 96例(70.6%)、疲労73例(53.7%)、嘔吐48例(35.3%)であった。(2016年5月9日データカットオフ)
BRCA遺伝子変異陽性(病的変異又は病的変異疑い)で、新たに進行卵巣癌(FIGO進行期分類III期又はIV期)であると診断され、白金系抗悪性腫瘍剤を含む初回化学療法注11)で奏効(画像診断による完全奏効又は部分奏効)が維持されている高異型度漿液性又は高異型度類内膜卵巣癌(原発性腹膜癌及び卵管癌を含む)患者391例(本剤群260例、プラセボ群131例、うち日本人は本剤群11例、プラセボ群3例)を対象として、本剤(錠剤)300mg1日2回投与注12)の有効性及び安全性をプラセボと比較する無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同第III相試験を実施した。主要評価項目である治験担当医師判定による無増悪生存期間において、本剤はプラセボに対し統計学的に有意な延長を示した(ハザード比0.30、95%信頼区間0.23~0.41、p<0.0001[両側])。無増悪生存期間の中央値は本剤群では未到達、プラセボ群で13.8カ月であった。(2018年5月17日データカットオフ)
本剤が投与された260例(日本人11例を含む)中256例(98.5%)に有害事象が認められ、主な有害事象は、悪心201例(77.3%)、疲労106例(40.8%)、嘔吐104例(40.0%)、貧血99例(38.1%)、下痢89例(34.2%)であった。(2018年5月17日データカットオフ)
新たに進行卵巣癌(FIGO進行期分類III期又はIV期)であると診断され、白金系抗悪性腫瘍剤、タキサン系抗悪性腫瘍剤及びベバシズマブによる初回化学療法注13)で奏効(画像診断による無病状態、完全奏効又は部分奏効)が維持されている高異型度漿液性又は類内膜卵巣癌(原発性腹膜癌及び卵管癌を含む)患者806例(本剤/ベバシズマブ群537例、プラセボ/ベバシズマブ群269例、うち日本人は本剤/ベバシズマブ群15例、プラセボ/ベバシズマブ群9例)を対象として、本剤(錠剤)300mg1日2回及びベバシズマブ併用投与注14)の有効性及び安全性をプラセボ及びベバシズマブ併用投与と比較する無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同第III相試験を実施した。主要評価項目である治験担当医師判定による無増悪生存期間において、本剤/ベバシズマブ群はプラセボ/ベバシズマブ群に対し統計学的に有意な延長を示した(ハザード比0.59、95%信頼区間0.49~0.72、p<0.0001[両側])。(2019年3月22日データカットオフ)
また、腫瘍検体が入手可能であった755例のうち664例において相同組換え修復欠損に関する検査結果が得られ、探索的に実施された陽性・陰性注15)別の解析結果は下表のとおりであった。
相同組換え
修復欠損
投与群
中央値(カ月)[95%信頼区間]
ハザード比[95%信頼区間]※
陽性
本剤/ベバシズマブ群
255
37.2[36.0, -]
0.33[0.25, 0.45]
プラセボ/ベバシズマブ群
132
17.7[15.8, 19.9]
陰性
192
16.6[14.9, 18.0]
1.00[0.75, 1.35]
85
16.2[13.8, 18.6]
-:推定不可、※:投与群、相同組換え修復欠損(陽性・陰性)、投与群と相同組換え修復欠損の交互作用項を含めたCox比例ハザードモデルにより算出
本剤が投与された535例(日本人15例を含む)中531例(99.3%)に有害事象が認められ、主な有害事象は、悪心285例(53.3%)、疲労283例(52.9%)、高血圧245例(45.8%)、貧血219例(40.9%)であった。(2019年3月22日データカットオフ)
生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異(病的変異又は病的変異疑い)陽性かつHER2陰性であり、アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤(禁忌でない場合)及びタキサン系抗悪性腫瘍剤による治療歴を有する手術不能又は再発乳癌患者302例(本剤群205例、化学療法群97例、うち日本人は本剤群15例、化学療法群9例)を対象として、本剤300mg1日2回投与の有効性及び安全性を、医師が選択した化学療法(カペシタビン、エリブリン、又はビノレルビンのいずれかを選択)と比較する非盲検無作為化多施設共同第III相試験を実施した。主要評価項目である盲検下での独立中央評価に基づく無増悪生存期間において、本剤は医師が選択した化学療法に対し統計学的に有意な延長を示した(ハザード比0.58、95%信頼区間0.43~0.80、p=0.0009[両側])。無増悪生存期間の中央値は本剤群で7.0カ月、化学療法群で4.2カ月であった。(2016年12月9日データカットオフ)
本剤が投与された205例(日本人15例を含む)中200例(97.6%)に有害事象が認められ、主な有害事象は、悪心119例(58.0%)、貧血81例(39.5%)、嘔吐66例(32.2%)であった。(2017年9月25日データカットオフ)
術前又は術後化学療法注16)歴のある生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異(病的変異又は病的変異疑い)陽性かつHER2陰性で再発高リスク注17)の乳癌患者注18)1,836例(本剤群921例、プラセボ群915例、うち日本人は本剤群64例、プラセボ群76例)を対象として、本剤(錠剤)300mg1日2回投与の術後薬物療法としての有効性及び安全性を、プラセボと比較する無作為化二重盲検多施設共同第III相試験を実施した。本剤又はプラセボは最長1年間、又は疾患の再発若しくは許容できない毒性が認められるまで投与された。また、エストロゲン受容体(ER)及び/又はプロゲステロン受容体(PgR)陽性患者の場合、診療ガイドラインに従い、内分泌療法が併用された。主要評価項目である治験担当医師判定による浸潤性疾患のない生存期間(IDFS)において、本剤はプラセボに対して統計学的に有意な延長を示した(ハザード比0.581、95%信頼区間0.455~0.737、p=0.0000073)。2年IDFS率は本剤群で89.2%、プラセボ群で81.5%であった。(2020年3月27日データカットオフ)
本剤が投与された911例(日本人64例を含む)中836例(91.8%)に有害事象が認められ、主な有害事象は、悪心519例(57.0%)、疲労366例(40.2%)、貧血215例(23.6%)、嘔吐206例(22.6%)であった。(2021年7月12日データカットオフ)
アビラテロン若しくはエンザルタミド又はその両剤の治療歴のある相同組換え修復関連遺伝子変異陽性注19)の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺癌患者387例(本剤群256例、対照群131例、うち日本人は本剤群34例、対照群23例)を対象として、本剤(錠剤)300mg1日2回投与の有効性及び安全性を、治験担当医師が選択した治療(エンザルタミド又はアビラテロン酢酸エステル)と比較する無作為化非盲検多施設共同第III相試験を実施した。なお、両側精巣摘除術を受けていない患者は、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)アゴニスト又はアンタゴニスト療法が継続された。主要評価項目であるコホートAにおける盲検下での独立中央評価による画像診断に基づく無増悪生存期間において、本剤群は、対照群に対し統計学的に有意な延長を示した(ハザード比0.34、95%信頼区間0.25~0.47、p<0.0001[両側])。(2019年6月4日データカットオフ)
また、探索的に実施されたBRCA1、BRCA2、ATM遺伝子変異別(該当する遺伝子変異のみが認められた患者集団)及びBRCA遺伝子変異陽性集団(少なくともBRCA1又はBRCA2遺伝子変異が認められた患者集団)の解析結果はそれぞれ下表①及び②のとおりであった。
遺伝子変異
本剤群
対照群
ハザード比
[95%信頼区間]※
中央値(カ月)
[95%信頼区間]
BRCA1
8
2.07
[1.38, 5.52]
5
1.84
[1.71, 3.71]
0.41
[0.13, 1.39]
BRCA2
81
10.84
[9.17, 13.08]
47
3.48
[1.74, 3.65]
0.21
[0.13, 0.32]
ATM
62
5.36
[3.61, 6.21]
24
4.70
[1.84, 7.26]
1.04
[0.61, 1.87]
※:投与群、各遺伝子変異(あり・なし)、投与群と各遺伝子変異の交互作用項を含めたCox比例ハザードモデルにより算出
102
58
イベント数(%)
62(60.8)
51(87.9)
9.79[7.62, 11.30]
2.96[1.81, 3.55]
0.22[0.15, 0.32]
※:投与群、BRCA遺伝子変異(陽性・陰性)、投与群とBRCA遺伝子変異の交互作用項を含めたCox比例ハザードモデルにより算出
本剤が投与された256例(日本人34例を含む)中244例(95.3%)に有害事象が認められ、主な有害事象は、貧血118例(46.1%)、悪心106例(41.4%)、食欲減退77例(30.1%)であった。(2019年6月4日データカットオフ)
遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)に対する薬物療法歴のない注20)mCRPC患者796例(本剤群399例、対照群397例、うち日本人は本剤群36例、対照群41例)を対象として、本剤300mg1日2回とアビラテロン酢酸エステル1000mg1日1回注21)併用投与の有効性及び安全性を、プラセボ1日2回とアビラテロン酢酸エステル1000mg1日1回併用投与と比較する無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同第III相試験を実施した。なお、両側精巣摘除術を受けていない患者は、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)アゴニスト又はアンタゴニスト療法が継続された。主要評価項目である治験担当医師の評価による画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)において、本剤群は、プラセボ群に対して統計学的に有意な延長を示した(ハザード比0.66、95%信頼区間0.54~0.81、p<0.0001[両側])。rPFSの中央値は本剤群で24.8カ月、プラセボ群で16.6カ月であった。(2021年7月30日データカットオフ)
また、探索的に実施されたBRCA遺伝子(BRCA1又はBRCA2遺伝子)変異の有無別のrPFS及び全生存期間(OS)の解析結果はそれぞれ下表のとおりであった。(2021年7月30日データカットオフ)
ハザード比※1
rPFS
BRCA陽性※2
-[-, -]
0.23
[0.12, 0.43]
プラセボ群
38
8.4[5.5, 14.8]
BRCA陰性※3
214
21.9[16.6, 25.2]
0.86
[0.66, 1.12]
213
16.7[13.8, 19.4]
OS
0.39
[0.16, 0.86]
23.6[17.8, -]
1.10
[0.78, 1.57]
-:推定不可、※1:投与群、BRCA遺伝子変異の有無、投与群とBRCA遺伝子変異の有無との交互作用項を含めた非層別Cox比例ハザードモデルにより算出、※2:腫瘍組織検体又は血漿検体の少なくとも一方においてBRCA遺伝子変異陽性の患者、※3:腫瘍組織検体及び血漿検体の両方においてBRCA遺伝子変異陰性の患者
本剤が投与された398例(日本人36例を含む)中387例(97.2%)に有害事象が認められ、主な有害事象は、貧血181例(45.5%)、悪心112例(28.1%)、疲労111例(27.9%)であった。(2021年7月30日データカットオフ)
生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異陽性(病的変異又は病的変異疑い)で、白金系抗悪性腫瘍剤を含む一次化学療法が16週間以上継続された後、疾患進行が認められていない遠隔転移を有する膵腺癌患者154例(本剤群92例、プラセボ群62例)を対象として、本剤(錠剤)300mg1日2回投与の維持療法における有効性及び安全性をプラセボと比較する無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同第III相試験を実施した。主要評価項目である盲検下での独立中央評価による無増悪生存期間において、本剤はプラセボと比較して統計学的に有意な延長を示した(ハザード比0.53、95%信頼区間0.35~0.82、p=0.0038[両側]、中央値:本剤群7.4カ月、プラセボ群3.8カ月)。(2019年1月15日データカットオフ)
本剤が投与された91例中87例(95.6%)に有害事象が認められ、主な有害事象は、疲労41例(45.1%)、悪心41例(45.1%)であった。(2019年1月15日データカットオフ)
**化学療法歴のない注22)進行・再発注23)の子宮体癌患者注24)718例(①本剤/デュルバルマブ/化学療法群注25)239例、②デュルバルマブ/化学療法群注25)238例、③化学療法群注25)241例、うち、日本人はそれぞれ①26例、②30例、③32例)を対象として、上記①及び②の有効性及び安全性を、③と比較する無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同第III相試験を実施した。
**主要評価項目である治験担当医師判定による無増悪生存期間において、本剤/デュルバルマブ/化学療法群及びデュルバルマブ/化学療法群は化学療法群に対して統計学的に有意な延長を示した(①化学療法群に対する本剤/デュルバルマブ/化学療法群のハザード比0.55、95%信頼区間0.43~0.69、p<0.0001[両側]、中央値:本剤/デュルバルマブ/化学療法群15.1カ月、化学療法群9.6カ月、②化学療法群に対するデュルバルマブ/化学療法群のハザード比0.71、95%信頼区間0.57~0.89、p=0.003[両側]、中央値:デュルバルマブ/化学療法群10.2カ月、化学療法群9.6カ月)。(2023年4月12日データカットオフ)
**pMMRの患者集団及びミスマッチ修復機能欠損(dMMR)の患者集団における無増悪生存期間はそれぞれ下表のとおりであった。
化学療法併用期
維持療法期
本剤/デュルバルマブ/化学療法群
CBDCA及びPTX†1、2との併用で、デュルバルマブ1120mgをQ3Wで静脈内投与†3
・デュルバルマブ1500mgをQ4Wで静脈内投与
・本剤300mgをBID経口投与
デュルバルマブ/化学療法群
・本剤のプラセボをBID経口投与
化学療法群
CBDCA及びPTX†1、2との併用で、デュルバルマブのプラセボをQ3Wで静脈内投与†3
・デュルバルマブのプラセボをQ4Wで静脈内投与
BID:1日2回、CBDCA:カルボプラチン、PTX:パクリタキセル、Q3W:3週間間隔、Q4W:4週間間隔、†1:CBDCA AUC5又は6mg・min/mL相当量及びPTX 175mg/m2をQ3Wで静脈内投与、†2:CBDCA/PTX投与による過敏症反応が発現した場合等には、①CBDCA及び②PTXをそれぞれ①シスプラチン及び②パクリタキセル(アルブミン懸濁型)又はドセタキセル水和物に変更することが可能とされた、†3:最大6回投与
本剤/デュルバルマブ/
デュルバルマブ/
191
中央値
[95%信頼区間](カ月)
15.0[12.4, 18.0]
9.9[9.4, 12.5]
9.7[9.2, 10.1]
[95%信頼区間]*1, *3
0.57[0.44, 0.73]
0.77[0.60, 0.97]
該当なし
[95%信頼区間]*2, *3
0.76[0.59, 0.99]
*1:化学療法群との比較、*2:デュルバルマブ/化学療法群との比較、*3:非層別Cox比例ハザードモデルにより算出
48
46
49
31.8[12.4, 未達]
未達[未達, 未達]
7.0[6.7, 14.8]
0.41[0.21, 0.75]
0.42[0.22, 0.80]
0.97[0.49, 1.98]
本剤が投与された192例(日本人20例を含む)中184例(95.8%)に有害事象が認められ、主な有害事象は、悪心79例(41.1%)、貧血70例(36.5%)、疲労43例(22.4%)及び嘔吐39例(20.3%)であった。(2023年4月12日データカットオフ)
オラパリブは、ヒトPARP-1及びPARP-2に対して阻害作用を示した(各IC50値:5及び1nmol/L)26)。
オラパリブは、ヒト卵巣癌由来細胞株(59M、OVCAR-3、IGROV-1等)及びヒト乳癌由来細胞株(MDA-MB-436、HCC1395、SUM1315MO2等)の増殖を抑制し27)、ヒト乳癌患者由来HBCx-10腫瘍組織片を皮下移植したマウスにおいて、腫瘍の増殖を抑制した28)。
オラパリブ(Olaparib)(JAN)
4-[(3-{[4-(Cyclopropylcarbonyl)piperazin-1-yl]carbonyl}-4-fluorophenyl)methyl]phthalazin-1(2H)-one
C24H23FN4O3
434.46
本品は白色~微黄色の粉末である。
防湿のためPTP包装のまま保存すること。
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
56錠[8錠(PTP)×7]
1) 社内資料(遺伝毒性試験, 2017)(2018年1月19日承認、CTD2.6.6.4)
2) 社内資料(日本人固形癌患者における薬物動態, 2014)(2018年1月19日承認、CTD2.7.6.2.4.2.4、2.7.2.3.1.6)
3) Ruth Plummer R, et al. Cancer Chemother Pharmacol. 2015;76(4):723-729.
4) 社内資料(血漿蛋白結合[in vitro試験], 2017)(2018年1月19日承認、CTD2.7.2.3.1.2、2.7.2.4.2.1.1、2.7.2.4.2.1.2、2.7.2.4.2.1.3)
5) 社内資料(代謝に関与する代謝酵素[in vitro試験], 2010)(2018年1月19日承認、CTD2.6.4.5.3)
6) 社内資料(ヒトに[14C]-オラパリブを投与したマスバランス試験, 2009)(2018年1月19日承認、CTD 2.7.2.3.1.3、2.7.2.3.1.4、2.6.4.5.4.2.4、2.6.5.9.3)
7) 社内資料(肝機能障害を有する固形癌患者における薬物動態, 2016)(2018年7月2日承認、CTD2.7.2.3.2.3)
8) 社内資料(腎機能障害を有する固形癌患者における薬物動態, 2015)(2018年1月19日承認、CTD2.7.2.3.2.4)
9) Dirix L, et al. Clin Ther. 2016;38(10):2286-2299.
10) 社内資料(CYPに対する阻害作用[in vitro試験], 2014)(2018年1月19日承認、CTD2.7.2.3.3.2.2、2.7.2.2.3.1)
11) 社内資料(CYPに対する誘導作用[in vitro試験], 2015)(2018年1月19日承認、CTD2.7.2.3.3.2.2、2.7.2.2.3.1)
12) 社内資料(UGTに対する阻害作用[in vitro試験], 2019)(2020年12月25日承認、CTD2.6.4.7.1、2.6.5.15.1)
13) 社内資料(内分泌療法剤の相互作用, 2015)(2018年1月19日承認、CTD2.7.2.2.2.10、2.7.6.2.6.2.3)
14) 社内資料(P-糖蛋白質の関与, 2007)(2018年1月19日承認、CTD2.7.2.4.2.4.1)
15) 社内資料(トランスポーターに対する阻害作用, 2014)(2018年1月19日承認、CTD2.7.2.3.3.2.2)
16) Pujade-Lauraine E, et al. Lancet Oncol. 2017;18:1274-1284.
17) Ledermann J, et al. N Engl J Med. 2012;366:1382-1392.
18) Moore K, et al. N Engl J Med. 2018;379:2495-2505.
19) Ray-Coquard I, et al. N Engl J Med. 2019;381:2416-2428.
20) Robson M, et al. N Engl J Med. 2017;377:523-533.
21) Tutt ANJ, et al. N Engl J Med. 2021;384:2394-2405.
22) de Bono J, et al. N Engl J Med. 2020;382:2091-2102.
23) *Clarke NW, et al. N Engl J Med Evid. 2022;1(9) doi: 10.1056/EVIDoa2200043
24) Golan T, et al. N Engl J Med. 2019;381:317-327.
25) **Westin SN, et al. J Clin Oncol. 2024;42(3):283-299.
26) Menear KA, et al. J Med Chem. 2008;51:6581-6591.
27) 社内資料(各種腫瘍細胞株の増殖に対するオラパリブの作用[in vitro試験], 2013)(2018年1月19日承認、CTD2.6.2.2.3)
28) 社内資料(HBCx-10腫瘍移植モデルにおけるオラパリブのPK、PD及び有効性の評価[in vivo試験], 2016)(2018年1月19日承認、CTD2.6.2.2.5)
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