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本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の使用が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
内分泌療法後に増悪したPIK3CA、AKT1又はPTEN遺伝子変異を有するホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌
フルベストラントとの併用において、通常、成人にはカピバセルチブとして1回400mgを1日2回、4日間連続して経口投与し、その後3日間休薬する。これを1サイクルとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
減量レベル
1回用量
通常投与量
400mg
1段階減量
320mg
2段階減量
200mg
3段階減量
投与中止
副作用
程度注)
処置
高血糖
症候性のGrade 2
Grade 1以下に回復するまで休薬する。
21日以内に回復した場合、同一用量で投与を再開する。
21日を過ぎてから回復した場合、1段階減量した用量で投与を再開する。
Grade 3
21日以内に回復した場合、1段階減量した用量で投与を再開する。
21日以内に回復しなかった場合、投与を中止する。
Grade 4
投与を中止する。
下痢
Grade 2
21日以内に回復した場合、同一用量又は1段階減量した用量で投与を再開する。
21日以内に回復しなかった場合、又は再発した場合、1段階減量した用量で投与を再開する。
発疹及びその他の皮膚障害
持続する場合、休薬する。
再開する場合、同一用量で投与する。
28日以内に回復した場合、1段階減量した用量で投与を再開する。
28日以内に回復しなかった場合、投与を中止する。
Grade 3以上の忍容不能な発疹又はその他の皮膚障害が再発した場合、投与の中止を検討する。
上記以外の副作用
Grade 2(忍容不能な場合)及びGrade 3
Grade 1以下又は忍容可能なGrade 2に回復するまで休薬する。
注)高血糖のGradeはNCI-CTCAE ver4.03に、その他の副作用のGradeはNCI-CTCAE ver5.0に準じる。
*高血糖が発現又は悪化し、糖尿病性ケトアシドーシスを発現するリスクが高くなるおそれがある。臨床試験においては、1型糖尿病又はインスリンの投与を必要とする2型糖尿病患者及びHbA1c≧8.0%の患者は除外された。,
重度の腎機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。
本剤は主に肝臓で代謝されるため、血中濃度が上昇する可能性がある。なお、肝機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。ラットにおける胚・胎児発生試験において、AUC比較で臨床曝露量の約0.7倍に相当する用量で胚致死作用及び胎児発育抑制が認められた。
授乳しないことが望ましい。授乳中のラット新生児において本剤の曝露が確認されており、成長への悪影響が認められている。ヒト乳汁中への移行に関するデータはないが、本剤が乳汁に移行する可能性があり、乳児が乳汁を介して本剤を摂取した場合、乳児に重篤な副作用が発現するおそれがある。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
強いCYP3A阻害剤
イトラコナゾール
クラリスロマイシン
ボリコナゾール 等
,
本剤の副作用が増強されるおそれがあるので、これらの薬剤との併用は可能な限り避け、CYP3A阻害作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。やむを得ず併用する場合には、本剤を減量するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。
これらの薬剤等がCYP3Aの代謝活性を阻害するため、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
グレープフルーツ含有食品
本剤の副作用が増強されるおそれがあるので、摂取しないよう注意すること。
中程度のCYP3A阻害剤
ベラパミル
エリスロマイシン
フルコナゾール 等
本剤の副作用が増強されるおそれがあるので、CYP3A阻害作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。やむを得ず併用する場合には、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。
強いCYP3A誘導剤
カルバマゼピン
フェニトイン
リファンピシン 等
本剤の有効性が減弱するおそれがあるので、これらの薬剤との併用は可能な限り避け、CYP3A誘導作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。
これらの薬剤等がCYP3Aの代謝酵素を誘導するため、本剤の血中濃度が低下する可能性がある。
セイヨウオトギリソウ(St. John's Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
本剤の有効性が減弱するおそれがあるので、摂取しないよう注意すること。
中程度のCYP3A誘導剤
モダフィニル
フェノバルビタール
リファブチン 等
本剤の有効性が減弱するおそれがあるので、CYP3A誘導作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。
CYP3Aの基質となる薬剤
ミダゾラム
シクロスポリン 等
これらの薬剤の副作用が増強されるおそれがあるので、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。
本剤がCYP3Aの代謝活性を阻害するため、これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
MATE1、MATE2-K及びOCT2の基質となる薬剤
メトホルミン
プロカインアミド 等
本剤がMATE1、MATE2-K及びOCT2を阻害するため、これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
*高血糖(14.1%)があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス(0.3%)に至るおそれがある。糖尿病性ケトアシドーシスが疑われる場合は、直ちに休薬、糖尿病性ケトアシドーシスと診断された場合は、投与を中止すること。,
多形紅斑(1.7%)、全身性剥脱性皮膚炎(0.6%)等の重度の皮膚障害があらわれることがある。
10%以上
1%~10%未満
1%未満
感染症および寄生虫症
尿路感染
血液および
リンパ系障害
貧血
好中球減少症、血小板減少症、白血球減少症、リンパ球減少症
免疫系障害
過敏症
代謝および栄養障害
食欲減退
神経系障害
味覚不全、頭痛
胃腸障害
下痢(67.3%)、悪心(27.3%)、嘔吐、口内炎
消化不良
皮膚および
皮下組織障害
発疹(34.1%)
そう痒症、皮膚乾燥、薬疹
皮膚炎
腎および尿路障害
急性腎障害
腎不全、腎機能障害
一般・全身障害および投与部位の状態
疲労
粘膜の炎症、無力症、発熱
臨床検査
血中クレアチニン増加、グリコヘモグロビン増加、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加、白血球数減少
心電図QT延長、糸球体濾過率減少
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。
ラットの骨髄小核試験において、総AUC比較で臨床曝露量の約1.3倍に相当する用量で遺伝毒性(異数性誘発作用)が認められたものの、in vitro試験においては変異原性又は染色体構造異常誘発性は認められなかった。
日本人進行固形癌患者(5例)にカピバセルチブのカプセル剤注1)400mgを単回経口投与し、3~7日間経過した後、カピバセルチブのカプセル剤注1)400mgを1日2回連日反復経口投与注2)したときの、初回投与後及び反復投与8日目のカピバセルチブの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった1)。
投与時期
例数
Cmax(ng/mL)
tmax(h)a
AUC(0-12h)(ng・h/mL)
t1/2(h)
単回投与
5例
1,062(28%)
1.97(0.98, 2.17)
3,586(22%)
10.2(16%)
反復投与8日目
2,094(57%)
2.00(0.93, 2.00)
9,666(44%)
-
a:中央値(最小値, 最大値)、-:算出せず
また、進行固形癌患者におけるカピバセルチブのCmax及びAUCは80~800mgの用量範囲注2)で概ね用量に比例して増加した2)(外国人データ)。
健康成人(6例)に本剤400mgを単回経口投与及びカピバセルチブ100µgを静脈内投与注3)したときの絶対バイオアベイラビリティは29%であった3)(外国人データ)。
健康成人に本剤400mgを単回経口投与したとき、短時間絶食(投与2時間前から投与1時間後まで絶食)(21例)に対する空腹時投与(22例)におけるカピバセルチブのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比は、それぞれ0.72及び0.84であった。また、健康成人に本剤400mgを単回経口投与したとき、短時間絶食(投与2時間前から投与1時間後まで絶食)(21例)に対する高脂肪・高カロリー食後投与(22例)におけるカピバセルチブのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比は、それぞれ0.85及び1.13であった4)(外国人データ)。
健康成人(6例)にカピバセルチブ100µgを単回静脈内投与注3)したときの分布容積は205Lであった5)(外国人データ)。カピバセルチブのヒト血漿タンパク結合率は76.8~78.9%であった(in vitro)。カピバセルチブの血液/血漿中濃度比は1.402であった6)(in vitro)。
カピバセルチブの代謝に寄与する主なCYP分子種はCYP3Aであり、UGT2B7もカピバセルチブの代謝に寄与する7),8)(in vitro)。血漿中の主代謝物はエーテル型グルクロン酸抱合体と同定され、未変化体及び代謝物の総和の83%に相当した。また、血漿中に存在する未変化体及び代謝物の総和のうち、未変化体の占める割合は15%であった。活性代謝物は同定されなかった8)(外国人データ)。
健康成人(5例)に[14C]-カピバセルチブ400mgを単回経口投与したとき、投与168時間後までに投与放射能の45%が尿中に、50%が糞中に排泄された。尿中には投与168時間後までに投与放射能の7.4%が未変化体として排泄された。腎クリアランスは全身クリアランスの21%を占めた9)(外国人データ)。
健康成人(11例)にイトラコナゾール(強いCYP3A阻害剤)200mgを1日目は1日2回、2~5日目は1日1回で反復経口投与し、本剤80mg注2)を単回経口投与したとき、本剤単独投与時に対するイトラコナゾール併用投与時のカピバセルチブのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比は、それぞれ1.70及び1.95であった10)(外国人データ)。,
進行固形癌患者(21例)に本剤400mgを1日2回、4日間連続して経口投与、その後3日間休薬し、ミダゾラム(CYP3A基質)1mgを単回経口投与したとき、ミダゾラム単独投与時に対する本剤併用投与時(間欠投与スケジュールの4日目)のミダゾラムのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比は、それぞれ1.25及び1.75であった11)(外国人データ)。
生理学的薬物動態モデルによるシミュレーションにより、本剤400mgを1日2回、4日間連続して経口投与、その後3日間休薬したときの薬物相互作用を推定した。
アロマターゼ阻害剤を含む内分泌療法後に増悪した、エストロゲン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌患者注4)708例(本剤+フルベストラント併用投与群355例[日本人37例]、プラセボ+フルベストラント併用投与群353例[日本人41例])を対象に、本剤+フルベストラント併用投与とプラセボ+フルベストラント併用投与の有効性及び安全性を比較する無作為化二重盲検国際共同第III相試験を実施した14)。
本剤1回400mg又はプラセボ(1日2回、4日間投与3日間休薬)とフルベストラント500mg(1サイクルを28日間として、第1サイクルの1及び15日目並びに第2サイクル以降の1日目)を病勢進行等が認められるまで投与を継続した。閉経前の乳癌患者にはLH-RHアゴニストが併用投与された。
主要評価項目の一つであるPIK3CA/AKT1/PTEN遺伝子変異陽性集団における治験責任(分担)医師評価による無増悪生存期間について、本剤+フルベストラントの併用投与により、プラセボ+フルベストラントの併用投与と比較して統計学的に有意な延長が認められた。
PIK3CA/AKT1/PTEN遺伝子変異陽性集団
289例
本剤+
フルベストラント群
プラセボ+
155(19)
134(19)
無増悪生存期間中央値
(カ月)(95%信頼区間)
7.3(5.5, 9.0)
3.1(2.0, 3.7)
ハザード比a(95%信頼区間)
0.50(0.38, 0.65)
p値b
<0.001
本剤とフルベストラントが併用投与された355例(日本人37例を含む)中343例(96.6%)に有害事象が認められた。主な有害事象は、下痢257例(72.4%)、悪心123例(34.6%)、発疹78例(22.0%)、疲労74例(20.8%)及び嘔吐73例(20.6%)等であった。
カピバセルチブは、AKTのキナーゼ活性を阻害する15)。カピバセルチブは、AKT及びその下流のシグナル伝達分子を阻害することにより、腫瘍増殖抑制効果を示すと考えられている16)。
カピバセルチブは、PIK3CA/PTEN遺伝子変異陽性、PIK3CA遺伝子変異陽性、及びPTEN遺伝子変異陽性の乳癌由来細胞株に対して増殖抑制作用を示した17)。
カピバセルチブは、PIK3CA/PTEN遺伝子変異陽性、PIK3CA遺伝子変異陽性、AKT1遺伝子変異陽性、及びPTEN遺伝子変異陽性の乳癌患者由来腫瘍組織片を皮下移植したヌードマウス等において、腫瘍増殖抑制作用を示した18)。
カピバセルチブ(Capivasertib)(JAN)
4-Amino-N-[(1S)-1-(4-chlorophenyl)-3-hydroxypropyl]-1-(7H-pyrrolo[2,3-d]pyrimidin-4-yl)piperidine-4-carboxamide
C21H25ClN6O2
428.92
本品は白色の粉末である。
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
32錠[8錠(PTP)×4]
1) 社内資料:日本人の安全性/薬物動態試験(2024年3月26日承認、CTD2.7.2.6)
2) 社内資料:単回投与時の用量比例性(2024年3月26日承認、CTD2.7.2.3.1.4)
3) 社内資料:カピバセルチブの吸収(2024年3月26日承認、CTD2.7.2.3.1.1)
4) 社内資料:食事の影響(2024年3月26日承認、CTD2.7.6.2.8.2.2)
5) 社内資料:カピバセルチブの分布(2024年3月26日承認、CTD2.7.2.3.1.2)
6) 社内資料:カピバセルチブのin vitroタンパク結合と血球移行性(2024年3月26日承認、CTD2.6.4.4.1)
7) 社内資料:In vitro代謝試験(2024年3月26日承認、CTD2.6.4.5.2)
8) 社内資料:カピバセルチブの代謝(2024年3月26日承認、CTD2.7.2.3.1.3.1)
9) 社内資料:ADME試験(2024年3月26日承認、CTD2.7.6.2.9.3)
10) 社内資料:イトラコナゾールの影響(2024年3月26日承認、CTD2.7.6.2.7.2.2)
11) 社内資料:ミダゾラムへの影響(2024年3月26日承認、CTD2.7.6.2.6.2.2)
12) 社内資料:生理学的薬物速度論モデルによるシミュレーション(2024年3月26日承認、CTD2.7.2.3.3.3.1)
13) 社内資料:In vitro相互作用試験(2024年3月26日承認、CTD2.6.4.7)
14) Turner NC, et al. N Engl J Med. 2023;388(22):2058-2070
15) 社内資料:カピバセルチブのAKT阻害活性(2024年3月26日承認、CTD2.6.2.2.1.1)
16) 社内資料:カピバセルチブによるリン酸化阻害(2024年3月26日承認、CTD2.6.2.2.1.2)
17) 社内資料:カピバセルチブのin vitro細胞増殖抑制作用(2024年3月26日承認、CTD2.6.2.2.1.3)
18) 社内資料:異種移植モデルにおけるカピバセルチブの抗腫瘍効果(2024年3月26日承認、CTD2.6.2.2.2.3)
アストラゼネカ株式会社 メディカルインフォメーションセンター
〒530-0011 大阪市北区大深町3番1号
TEL 0120-189-115
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本剤は新医薬品であるため、厚生労働省告示第107号(平成18年3月6日付)に基づき、2025年5月末日まで、投薬期間は1回14日分を限度とされています。
アストラゼネカ株式会社
大阪市北区大深町3番1号
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