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劇薬
処方箋医薬品(注意-医師等の処方箋により使用すること)注)
乳癌
**通常、成人には本剤2筒(フルベストラントとして500mg含有)を、初回、2週後、4週後、その後4週ごとに1回、左右の臀部に1筒ずつ筋肉内投与する。なお、閉経前乳癌に対しては、LH-RHアゴニスト投与下で他の抗悪性腫瘍剤と併用すること。
重度の腎機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。
血中濃度が上昇するおそれがある。なお、Child-Pugh分類クラスCの肝機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。
**妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後2年間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット及びウサギ)において、胎児における着床後死亡率の高値、胎児体重の低値及び骨格異常、母動物において妊娠維持及び分娩への障害等の生殖毒性が認められている。,
授乳婦には投与しないこと。動物実験(ラット)において乳汁移行が認められており、母体の乳汁中薬物濃度が血漿中濃度よりも高く検出されている。また、動物実験(ラット)で授乳期に本剤を投与した場合、出生児において生存率の低値等が認められている。
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。
AST、ALT、ALP、ビリルビンの上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがある。
肺塞栓症(0.4%)、深部静脈血栓症(0.4%)、血栓性静脈炎(頻度不明)等があらわれることがある。
10%以上
1~10%未満
1%未満
頻度不明
注射部位
注射部位反応(硬結、疼痛、出血、血腫、膿瘍等)
坐骨神経痛
消化器
悪心、下痢
おくび、便秘、消化不良、嘔吐
鼓腸放屁、腹部膨満、嚥下障害、流涎過多、腹痛
精神神経系
頭痛、めまい、感覚異常、不眠症
適応障害、気分変調
血管障害
ほてり
血腫
循環器
高血圧
狭心症
筋骨格系
背部痛、筋肉痛、関節痛、筋骨格痛、骨痛
筋骨格硬直、筋力低下、骨粗鬆症
骨折、重感
皮膚
発疹、そう痒症、脱毛症
多汗症
爪痛
過敏症
過敏反応(蕁麻疹等)
全身
無力症、浮腫
発熱
呼吸器
呼吸困難
咳嗽、鼻出血、間質性肺疾患
代謝及び
栄養障害
食欲不振
高トリグリセリド血症、高コレステロール血症
高血糖
生殖器
卵巣腫大、乳房不快感、腟出血
乳房痛、外陰腟そう痒症
血液
貧血、血小板数減少
その他
白内障、耳不快感
尿路感染、インフルエンザ様疾患、インフルエンザ、腋窩痛、非心臓性胸痛、眼乾燥、腟感染、胆石症
本剤は構造的にエストラジオールと類似しており、抗体を用いたエストラジオールの測定に干渉するおそれがあり、見かけ上、エストラジオールの測定値が高値を示すことがあるので注意すること。
本剤はディスポーザブル注射針刺との接続を適切に実施するために、使用前に末尾掲載の「使用時の注意」を確認すること。
ラットの2年間筋肉内投与がん原性試験で、卵巣の良性顆粒膜細胞腫の発生増加が10mg/body/回(15日ごと)群において認められた。マウスの2年間経口投与がん原性試験では、卵巣の性索間質腫瘍(良性及び悪性)の発生増加が150及び500mg/kg/日投与群において認められた。
閉経後健康女性に本剤25~250mg注1)を単回筋肉内投与したときの血漿中フルベストラント濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった。単回投与後2~9日にCmaxが認められ、その後は二相性の消失を示して、半減期は35~38日であった。また、血漿中濃度は投与量にほぼ比例して増加した。
用量
(mg)
Cmax(ng/mL)
tmaxa)(日)
t1/2b)(日)
AUC0-27d(µg·h/mL)
AUC0-∞(µg·h/mL)
25
1.26±0.36
6(2~9)
NCc)
0.48±0.11
50
2.58±0.42
6(3~9)
0.97±0.12
125
4.56±1.72
35.4±12.5
1.75±0.48
3.00±0.61
250
10.6±4.32
6(3~6)
38.3±5.12
4.03±1.51
7.85±2.42
a) 中央値(範囲)
b) 投与後27~83日の血漿中濃度推移から算出した半減期
c) NC:算出できず(定量限界:0.25ng/mL)
閉経後乳癌患者24例に本剤1回500mgを反復筋肉内投与(初回、2週後、4週後、その後4週ごとに1回)し、得られた140時点の血漿中フルベストラント濃度を基に一次吸収を伴う2-コンパートメントモデルによる母集団薬物動態解析を実施して薬物動態パラメータを推定した(下表)。投与1カ月目のCmax、Cmin及びAUC0-τは投与3カ月目と比べて高いか同程度であり、投与1カ月目で定常状態に達していると考えられた1)。
試験
評価時期
n
Cminb)(ng/mL)
AUC0-τ(µg·h/mL)
第II相試験
1カ月目
24
28.7(27.0)
3.9(3.6~4.4)
17.8(19.2)
13.0(25.9)
3カ月目
20
29.4(23.8)
4.2(3.9~4.5)
11.4(18.2)
13.3(20.6)
b) 投与後28日の血漿中濃度(投与1カ月目は初回投与後28日)
閉経後健康女性6例にフルベストラント10mg注1)を静脈内投与したときの分布容積(Vss)は4.1±1.6L/kgであった(外国人のデータ)。フルベストラント(10µg/mL)のin vitro血漿蛋白結合率は98.8%であり、主な結合蛋白はリポ蛋白であった。
糞中代謝物の分析結果から、主な代謝経路はスルホン体への酸化、17-酸化、硫酸抱合化及びグルクロン酸抱合化であると考えられた(外国人のデータ)2)。In vitro代謝試験において、フルベストラントのスルホン体への代謝に関与する主なP450分子種はCYP3A4であった。
健康成人7例(男性4例、閉経後女性3例)に14C-フルベストラント18mg注1)を単回筋肉内投与(本剤とは異なる速放性製剤)したところ、投与後21日目までに、放射能の91.1%が糞中に、0.6%が尿中に排泄された(外国人のデータ)2)。
閉経後乳癌患者において、フルベストラントの全身クリアランス(CL/F)とクレアチニンクリアランス(CLCR)との間に明らかな相関関係は認められず、CLCRが30mL/min以上の範囲ではフルベストラントの体内動態は腎機能障害の影響を受けないと考えられた(外国人のデータ)。
健康成人、並びにChild-Pugh分類クラスA及びBの肝機能障害患者各7例にフルベストラント100mg(本剤とは異なる速放性製剤)注1)を単回筋肉内投与したとき、Child-Pugh A群及びB群のAUC0-tは、それぞれ健康成人群の1.2倍及び1.8倍高値であり、肝機能障害の影響によってフルベストラントの全身クリアランス(CL/F)はそれぞれ健康成人群の83%及び60%に低下した。なお、Child-Pugh分類クラスCの肝機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない(外国人のデータ)。
母集団薬物動態モデルによるシミュレーションの結果、肝機能障害のない患者への500mg投与との比較において、Child-Pugh分類クラスBの肝機能障害患者への本剤500mg反復筋肉内投与6カ月目のCmax、Cmin及びAUC0-τは1.3~1.7倍に上昇し、1回投与量を250mgに減量した場合は65~85%に低下した。
内分泌療法既治療の、エストロゲン受容体陽性の閉経後転移性又は再発乳癌患者を対象とした第II相試験において1)、主要評価項目である奏効率は、SD投与注2)群11.1%(5/45例)、LD投与注3)群17.6%(9/51例)、HD投与注4)群10.6%(5/47例)であった。
HD投与群で安全性評価対象症例46例中29例(63.0%)に副作用が認められた。主な副作用は、注射部位疼痛13例(28.3%)、注射部位硬結10例(21.7%)及びほてり7例(15.2%)であった。
内分泌療法既治療の、エストロゲン受容体陽性の閉経後転移性又は再発乳癌患者を対象とした第III相試験において3)、主要評価項目である、RECIST基準に基づく増悪又は増悪を伴わない死亡までの期間(Time to progression:TTP)の中央値は、HD投与群(362例)で6.5カ月、SD投与群(374例)で5.5カ月であり、SD投与群に対するHD投与群の優越性が検証された(ハザード比0.80(95%信頼区間:0.68~0.94)、p=0.006)。
HD投与群で安全性評価対象症例361例中96例(26.6%)に副作用が認められた。主な副作用は、注射部位疼痛27例(7.5%)、ほてり23例(6.4%)及び悪心20例(5.5%)であった。
内分泌療法未治療の、ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の閉経後局所進行性又は転移性乳癌患者を対象に、本剤500mg(HD投与)をアナストロゾール1mg/日と比較する第III相試験を実施した(無作為化例数462例、日本人31例を含む)4)。その結果、主要評価項目である無増悪生存期間(Progression-free survival:PFS)の中央値は、本剤投与群16.6カ月、アナストロゾール投与群13.8カ月であり、アナストロゾール投与群に対する本剤投与群の優越性が検証された(ハザード比0.797(95%信頼区間:0.637~0.999)、p=0.0486)。
本剤投与群228例中(日本人12例を含む)91例(39.9%)に副作用が認められた。主な副作用は、ほてり26例(11.4%)、関節痛20例(8.8%)、悪心12例(5.3%)及び疲労12例(5.3%)であった。(2016年4月11日カットオフ時点の集計)
内分泌療法既治療の、ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の局所進行性又は転移性乳癌患者(閉経状態を問わない)を対象に、本剤500mg(HD投与)とパルボシクリブ125mgとの併用を本剤500mg(HD投与)とプラセボとの併用と比較する第III相試験が実施された(無作為化例数521例、日本人35例を含む)5)。閉経前乳癌患者にはゴセレリン酢酸塩が併用投与された。中間解析時点(2014年12月5日カットオフ)において主要評価項目であるPFSの顕著な延長が認められ、事前に規定した中止基準を満たし、本試験は有効中止となった。PFSの中央値は、本剤とパルボシクリブとの併用群9.2カ月、本剤とプラセボとの併用群3.8カ月であり、本剤とプラセボとの併用群に対する本剤とパルボシクリブとの併用群の優越性が検証された(ハザード比0.422(95%信頼区間:0.318~0.560)、p<0.000001(片側))。
本剤とパルボシクリブが併用投与された345例(日本人27例を含む)中325例(94.2%)に副作用が認められた。主な副作用は、好中球減少症285例(82.6%)、白血球減少症198例(57.4%)、疲労114例(33.0%)、貧血96例(27.8%)、悪心87例(25.2%)、血小板減少症80例(23.2%)、口内炎70例(20.3%)、脱毛症57例(16.5%)、感染症50例(14.5%)、下痢45例(13.0%)、ほてり45例(13.0%)及び発疹40例(11.6%)等であった。(2016年2月26日カットオフ時点の集計),
**アロマターゼ阻害剤を含む内分泌療法後に増悪した、エストロゲン受容体陽性かつHER2陰性の局所進行性(手術不能)又は転移性乳癌患者(閉経状態を問わない)を対象に、本剤500mg(HD投与)とカピバセルチブ1回400mg(1日2回、4日間投与3日間休薬)との併用を本剤500mg(HD投与)とプラセボとの併用と比較する無作為化二重盲検国際共同第III相試験が実施された(無作為化例数708例、日本人78例を含む)6)。閉経前乳癌患者にはLH-RHアゴニストが併用投与された。
**主要評価項目の一つであるPIK3CA/AKT1/PTEN遺伝子変異陽性集団(289例、日本人38例を含む)における治験責任(分担)医師評価によるPFSの中央値は、本剤とカピバセルチブとの併用群7.3カ月、本剤とプラセボとの併用群3.1カ月であり、本剤とプラセボとの併用群に対する本剤とカピバセルチブとの併用群の優越性が検証された(ハザード比0.50(95%信頼区間:0.38~0.65)、p<0.001)。
**本剤とカピバセルチブが併用投与された355例(日本人37例を含む)中320例(90.1%)に副作用が認められた。主な副作用は、下痢240例(67.6%)、悪心100例(28.2%)、発疹63例(17.7%)、嘔吐57例(16.1%)及び疲労55例(15.5%)等であった。,
フルベストラントは、主にエストロゲン受容体(ER)の分解を促進すること7)により、エストロゲンのERへの結合を阻害するステロイド性抗エストロゲン剤であると考えられる。なお、フルベストラントは、ラットで子宮重量増加作用及び骨密度に対する影響を示さなかった8),9)等から、アゴニスト様作用を示さずに乳癌細胞の増殖を抑制すると考えられる。
フルベストラントは、ERへのエストラジオールの結合を競合的に阻害した10)。また、フルベストラントはエストロゲン又はタモキシフェンによる子宮重量増加作用をマウス、ラット及びサルで抑制した8),10),11)。
閉経後原発性乳癌患者を対象とした臨床試験で、フルベストラント投与により、乳癌組織中のKi67、ER及びプロゲステロン受容体の発現が低下した12)。
フルベストラントは、エストロゲン感受性ヒト乳癌細胞株(MCF-7)のin vitroでの増殖、及びヌードマウスに移植したヒト乳癌由来腫瘍(MCF-7及びBr10)の増殖を抑制した10)。
フルベストラント(fulvestrant)(JAN)
7α-[9-(4,4,5,5,5-Pentafluoropentylsulphinyl)nonyl]estra-1,3,5(10)-triene-3,17β-diol
C32H47F5O3S
606.77
本品は白色の粉末である。本品はメタノール又はエタノール(95)に溶けやすく、水にほとんど溶けない。
5mL[2プレフィルドシリンジ]
1) Ohno S, et al. Ann Oncol. 2010;21(12):2342-2347
2) Robertson JFR, et al. Br J Cancer. 2004;90(Suppl.1):S7-S10
3) Di Leo A, et al. J Clin Oncol. 2010;28(30):4594-4600
4) Robertson JFR, et al. Lancet. 2016;388:2997-3005
5) Turner NC, et al. N Engl J Med. 2015;373(3):209-219
6) **Turner NC, et al. N Engl J Med. 2023;388(22):2058-2070
7) Pink JJ, et al. Cancer Res. 1996;56(10):2321-2330
8) Wakeling AE, et al. J Steroid Biochem Mol Biol. 1992;43(1-3):173-177
9) Wakeling AE. Breast Cancer Res Treat. 1993;25(1):1-9
10) Wakeling AE, et al. Cancer Res. 1991;51(15):3867-3873
11) Dukes M, et al. J Endocrinol. 1992;135(2):239-248
12) Kuter I, et al. Breast Cancer Res Treat. 2012;133(1):237
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1. ケースからシリンジ本体を取り出す。注意:プランジャーを持って引き出さないこと。[ラバープランジャーが変形し、プランジャーが外れたり、薬液が漏出するおそれがある。]
2. シリンジを立てた状態にしてルアーコネクター部分を持ち、もう一方の手で、ルアーコネクターについた白色のキャップを折るようにして前後に動かし(図1参照)、取り外せる状態にした後、ゴム製チップキャップとともに外す(図2参照)。[薬液が飛び散るおそれがある。]注意:キャップを外した後、シリンジ先端部に触れないこと。
3. シリンジを立てた状態のまま、注射針に接続し、シリンジ内の空気を除去後、薬液を注入する。注意:プランジャーは回さないこと。[外れるおそれがある。]
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