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劇薬
処方箋医薬品注)
本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される患者のみに行うこと。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。
再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫
通常、成人にはロミデプシンとして14mg/m2(体表面積)を1、8、15日目に4時間かけて点滴静注した後、休薬(16~28日目)する。この28日間を1サイクルとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
副作用
処置
血小板減少
血小板数が50,000/μL未満に減少
血小板数が75,000/μL以上又はベースラインに回復するまで本剤を休薬する。回復後は同一用量で再開してもよい。
血小板数が50,000/μL未満に再び減少又は25,000/μL未満に減少し、血小板輸血が必要
血小板数が75,000/μL以上又はベースラインに回復するまで本剤を休薬する。回復後に再開する場合の用量は10mg/m2とする。減量後再発した場合には、本剤の投与を中止する。
好中球減少
好中球数が1,000/μL未満に減少
好中球数が1,500/μL以上又はベースラインに回復するまで本剤を休薬する。回復後は同一用量で再開してもよい。
好中球数が1,000/μL未満に再び減少又は500/μL未満に減少し、かつ38.5℃以上の発熱を伴う
好中球数が1,500/μL以上又はベースラインに回復するまで本剤を休薬する。回復後に再開する場合の用量は10mg/m2とする。減量後再発した場合には、本剤の投与を中止する。
非血液毒性注1)
Grade 3の非血液毒性
Grade 1以下又はベースラインに回復するまで本剤を休薬する。回復後は同一用量で再開してもよい。
Grade 3の非血液毒性の再発又はGrade 4の非血液毒性
Grade 1以下又はベースラインに回復するまで本剤を休薬する。回復後に再開する場合の用量は10mg/m2とする。減量後再発した場合には、本剤の投与を中止する。
QTc間隔
500msを超える
本剤を休薬する。回復後に再開する場合の用量は10mg/m2とする。減量後再発した場合には、本剤の投与を中止する。
不整脈
洞性頻脈(140/分を超える)、心房性律動異常(上室性頻脈、心房細動、心房粗動)、心拍数(120/分を超え、かつ前回評価時から20/分を超えて増加)、心室頻脈(3連発以上)
重篤な血小板減少症、好中球減少症、リンパ球減少症及び貧血が発現することがある。,
感染症が悪化するおそれがある。,,
QT間隔延長を起こすおそれがある。,
減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。本剤の血中濃度が上昇するとの報告がある。
妊娠する可能性のある女性及びパートナーが妊娠する可能性のある男性には、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。ラット及びイヌにおいて、AUC比較で臨床曝露量未満に相当する用量で、精巣の萎縮等が認められている。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。ラットにおいて、AUC比較で臨床曝露量未満に相当する用量で、胎児の死亡、催奇形性及び発育遅延が認められている。,
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト乳汁中への移行は不明である。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。
本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。
これらの薬剤がCYP3Aを阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
機序不明
QT間隔延長等の重篤な心電図異常を起こすおそれがある。
本剤及びこれらの薬剤はいずれもQT間隔を延長させるおそれがあり、併用により増強する可能性がある。
血小板減少症(97.9%)、リンパ球減少症(83.3%)、白血球減少症(81.3%)、好中球減少症(81.3%)、貧血(33.3%)等の骨髄抑制があらわれることがある。,
サイトメガロウイルス感染(4.2%)、肺炎(2.1%)、敗血症(2.1%)等の重篤な感染症(B型肝炎ウイルス及びEBウイルスの再活性化を含む)があらわれることがある。,,
,
異常が認められた場合には、生理食塩水、高尿酸血症治療剤等の投与、透析等の適切な処置を行い、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること。
呼吸困難(頻度不明)、低血圧(頻度不明)等の過敏症があらわれることがある。
10%以上
5~10%未満
5%未満
頻度不明
消化器
悪心、嘔吐、便秘、下痢、口内炎
腹痛
心臓
心房細動
心電図ST-T変化、心電図ST-T部分上昇、心電図T波逆転
頻脈
呼吸器
上気道の炎症、低酸素症
咳嗽
肝
AST増加、ALT増加
代謝
食欲減退、低リン酸血症、低カリウム血症、低カルシウム血症
体重減少、低ナトリウム血症、低アルブミン血症、低マグネシウム血症
精神・神経系
味覚異常、頭痛
末梢性感覚ニューロパチー
全身症状
発熱、疲労、倦怠感
悪寒
血管
静脈炎
深部静脈血栓症、肺塞栓症
その他
ヘモグロビン減少、注射部位反応、発疹
末梢性浮腫
出血
本剤は専用溶解用液2.2mLで溶解したときに5mg/mLとなる。
反復投与毒性試験において、AUC比較で臨床曝露量未満に相当する用量で、ラット及びイヌでは精巣への影響(精細管の変性又は萎縮、精子減少等)、ラットでは卵巣への影響(卵胞減少等)、子宮、膣及び乳腺の萎縮が認められ、精巣及び卵巣への影響については、休薬後においても回復性は認められなかった。
再発又は難治性のPTCL患者又は皮膚T細胞リンパ腫患者に本剤9又は14mg/m2を1、8、15日目に4時間点滴静注したとき注2) の投与1日目(単回投与時)及び15日目(反復投与時)の薬物動態パラメータを示す。また、本剤14mg/m2単回及び反復投与時の血漿中濃度推移を示す。なお、反復投与による本剤の蓄積性は認められなかった1) 。
用量
9mg/m2
14mg/m2
1日目(3例)
15日目(3例)
1日目(7例)
15日目(6例)
AUCt(ng・h/mL)
1023.76(66.7)
1024.66(78.1)
2325.55(35.3)
1825.74(25.8)
AUC∞(ng・h/mL)
1027.08(66.6)
NA
2330.91(35.2)
Cmax(ng/mL)
269.75(48.9)
250.05(63.3)
593.47(37.2)
489.47(31.2)
tmax(h)
4.02(1.9, 4.0)
1.95(1.9, 3.9)
2.00(1.0, 4.1)
2.94(1.0, 4.3)
t1/2(h)
9.52(19.8)
8.77(18.6)
9.12(11.6)
9.01(15.8)
CL(L/h)
14.29(60.8)
9.31(35.4)
Vz(L)
196.24(86.8)
122.47(40.4)
幾何平均(%変動係数)tmaxは中央値(最小, 最大)NA:Not Applicable(該当データなし)
本剤のヒト血漿中での蛋白結合率は50~1000ng/mLの濃度範囲で92%~94%と高く、主な結合蛋白はα1-酸性糖蛋白であった2) (in vitro試験)。
本剤は主にCYP3A4によって代謝され、CYP3A5、CYP1A1、CYP2B6及びCYP2C19による代謝はわずかであった3) (in vitro試験)。
進行性悪性腫瘍患者に本剤14mg/m2を4時間点滴静注したときの投与24時間後までの本剤の尿中排泄率は0.5%未満であった4) (外国人データ)。
肝機能正常患者、軽度障害患者、中等度障害患者、重度障害患者にそれぞれ本剤14mg/m2、14mg/m2、7mg/m2、5mg/m2を4時間点滴静注したとき注2) の本剤の薬物動態パラメータを示す5) (外国人データ)。
肝機能障害用量
正常14mg/m2(12例)
軽度障害14mg/m2(8例)
中等度障害7mg/m2(5例)
重度障害5mg/m2(6例)
1692a(38.6)
2443b(30.2)
1921(54.1)
1957(44.8)
428(35.3)
494(40.1)
411(55.9)
405(28.6)
3.94(3.82, 4.42)
3.84(3.78, 4.12)
3.92(3.80, 4.00)
4.00(3.80, 4.00)
11.13a(18.9)
13.55b(10.4)
14.08(27.6)
14.52(29.2)
CLs(L/h)
16.2a(53.9)
9.6b(27.8)
6.9(50.6)
4.8(57.6)
Vss(L)
20.7a(60.6)
17.1b(14.7)
19.0(33.4)
15.4(33.5)
幾何平均(%変動係数)tmaxは中央値(最小, 最大)a:評価患者数10例、b:評価患者数7例
肝機能障害の定義は以下のとおりとした。
進行性悪性腫瘍患者15例に単独又はCYP3A阻害剤であるケトコナゾール(400mg、国内未承認の経口剤)との併用で本剤8mg/m2注2) を4時間点滴静注したとき、本剤のAUC∞及びCmaxは単独投与時と比べて併用投与時でそれぞれ約25%及び約10%増加した6) (外国人データ)。
進行性悪性腫瘍患者14例に単独又はリファンピシン(600mg)との併用で本剤14mg/m2を4時間点滴静注したとき、本剤のAUC∞及びCmaxは単独投与時と比べて併用投与時でそれぞれ約80%及び約60%増加した6) (外国人データ)。
本剤はP糖蛋白の基質であることが示されている7) (in vitro試験)。
再発又は難治性注3) のPTCL患者注4) 46例(第I相部分6例、第II相部分40例)を対象に、1サイクルを28日間として各サイクルの1、8、15日目に本剤14mg/m2を4時間点滴静注した。第II相部分の有効性の解析対象40例における奏効率(部分寛解以上)は42.5%[95%信頼区間:27.2~57.8%]であった。また、病理中央診断でPTCLと診断されなかった2例を除く、病理組織型別の奏効率は下表のとおりであった1) 。
病理組織型/例数
奏効
完全寛解
部分寛解
奏効率[95%信頼区間]
第I相部分及び第II相部分
合計
44
21
11
10
47.7%[33.0, 62.5]
PTCL-NOS
20
9
5
4
45.0%[23.2, 66.8]
AITL
ALK陰性ALCL
3
1
2
100%[100.0, 100.0]
形質転換菌状息肉症
0
0%[0.0, 0.0]
第II相部分
38
17
7
44.7%[28.9, 60.5]
41.2%[17.8, 64.6]
18
8
44.4%[21.5, 67.4]
安全性評価症例48例中48例(100%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、血小板減少症47例(97.9%)、リンパ球減少症40例(83.3%)、白血球減少症39例(81.3%)、好中球減少症39例(81.3%)、味覚異常29例(60.4%)、悪心26例(54.2%)、食欲減退23例(47.9%)、発熱22例(45.8%)、嘔吐19例(39.6%)、貧血16例(33.3%)、疲労15例(31.3%)であった8) 。
ロミデプシンは、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)の活性を阻害する。HDAC活性阻害によりヒストン等の脱アセチル化が阻害され、細胞周期停止及びアポトーシス誘導が生じることにより、腫瘍増殖が抑制されると推測されている。しかし、詳細な作用機序は解明されていない9) 。
ロミデプシン(Romidepsin)
(1S,4S,10S,16E,21R)-7-[(2Z)-Ethylidene]-4,21-bis(1-methylethyl)-2-oxa-12,13-dithia-5,8,20,23-tetraazabicyclo[8.7.6]tricos-16-ene-3,6,9,19,22-pentone
C24H36N4O6S2
540.70
本品は白色~微黄白色の結晶性の粉末である。本品はN,N-ジメチルホルムアミドに溶けやすく、クロロホルム、エタノール(99.5)又はアセトンにやや溶けにくく、水には極めて溶けにくい。
約272℃
外箱開封後は遮光して保存すること。
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
1バイアル(専用溶解用液付)
1) 社内資料:ROMI-TCL-001試験(承認年月日:2017年7月3日、CTD2.7.6.6)
2) 社内資料:臨床薬理試験(CRD040011試験)(承認年月日:2017年7月3日、CTD2.7.2.2)
3) 社内資料:薬物動態試験の概要文(CRD030201試験)(承認年月日:2017年7月3日、CTD2.6.4.5)
4) 社内資料:GPI-06-0005試験(承認年月日:2017年7月3日、CTD2.7.6.5)
5) 社内資料:ロミデプシンの肝機能障害患者を対象とした外国第I相臨床試験(NCI9008試験)
6) Laille E, et al.: J Clin Pharmacol. 2015; 55: 1378-1385.
7) Xiao JJ, et al.: J Pharmacol Exp Ther. 2005; 313: 268-276.
8) 社内資料:臨床的安全性(ROMI-TCL-001試験)(承認年月日:2017年7月3日、CTD2.7.4.2)
9) Ververis K, et al.: Biologics. 2013; 7: 47-60.
*ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社 メディカル情報グループ
**(住所)東京都千代田区大手町1-2-1
(TEL)0120-093-507
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