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(専用溶解液添付製品)
劇薬
処方箋医薬品注)
前立腺癌
通常、成人にはデガレリクスとして、初回は240mgを1カ所あたり120mgずつ腹部2カ所に皮下投与する。2回目以降は、初回投与4週間後より、維持用量を投与する。4週間間隔で投与を繰り返す場合は、デガレリクスとして80mgを維持用量とし、腹部1カ所に皮下投与する。12週間間隔で投与を繰り返す場合は、デガレリクスとして480mgを維持用量とし、1カ所あたり240mgずつ腹部2カ所に皮下投与する。
初回投与:1カ所あたり、本剤120mgバイアルに日本薬局方注射用水3.0mLを注入し、溶解後速やかに3.0mLを皮下投与する。(3.0mLで溶解することにより、40mg/mLとなる。)
維持用量を4週間間隔で投与する場合:本剤80mgバイアルに日本薬局方注射用水4.2mLを注入し、溶解後速やかに4.0mLを皮下投与する。(4.2mLで溶解することにより、20mg/mLとなる。)
維持用量を12週間間隔で投与する場合:1カ所あたり、本剤240mgバイアルに日本薬局方注射用水4.2mLを注入し、溶解後速やかに4.0mLを皮下投与する。(4.2mLで溶解することにより、60mg/mLとなる。)
本剤は内分泌療法剤であり、がんに対する薬物療法について十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤による治療が適切と判断される患者についてのみ使用すること。
間質性肺疾患が発現又は増悪する可能性がある。
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
ALT、AST、γ-GTP増加等の肝機能障害があらわれることがある。
心筋梗塞、脳梗塞、静脈血栓症、肺塞栓症等の血栓塞栓症があらわれることがある。
5%以上
5%未満
頻度不明
注射部位
疼痛、硬結、紅斑、腫脹、そう痒感
熱感、発疹、小水疱、結節、内出血、変色
炎症、膿瘍、蜂巣炎
血液
貧血、ヘモグロビン減少、白血球数減少、血小板減少症
心臓
心電図QT延長、心室性期外収縮
消化器
便秘、嘔吐、下痢、悪心、胃炎、腹部膨満、歯周炎
肝臓
ALT増加、AST増加、肝機能異常、γ-GTP増加、Al-P増加、脂肪肝、肝酵素上昇
感染症
CRP増加、膀胱炎、鼻咽頭炎
代謝
糖尿病、血中コレステロール増加、食欲減退、高脂血症、中心性肥満、血中尿酸増加
筋骨格系
筋力低下、関節痛、筋痙縮、頚部痛、筋骨格硬直、骨密度減少、肋骨骨折、背部痛、四肢痛
良性、悪性及び詳細不明の新生物
結腸癌、胃癌
脂肪腫
精神神経系
不眠症、頭痛、浮動性めまい、神経痛、坐骨神経痛、気力低下、脳出血
泌尿器
夜間頻尿、血中尿素増加、排尿困難
生殖系及び乳房
勃起不全、精巣萎縮、女性化乳房
呼吸器
湿性咳嗽
皮膚
多汗症、皮下出血、そう痒症、発疹、湿疹、蕁麻疹、全身性そう痒症
血管浮腫
血管
ほてり、高血圧
血圧上昇、潮紅
その他
体重増加、発熱、倦怠感
疲労、末梢性浮腫、悪寒、体重減少
無力症
皮下注射にのみ使用すること。本剤は生体内成分と触れることによりゲル化することから、静脈注射により血栓症を誘発するおそれがある。
前立腺癌患者にデガレリクス初回用量240mg(40mg/mL)を腹部2カ所に皮下投与し、初回投与4週間後より、4週ごとにデガレリクス維持用量80mg(20mg/mL)を腹部1カ所に皮下投与した際の初回投与後の薬物動態パラメータ及び投与開始後1年間の血漿中濃度推移は以下のとおりである。初回投与後、およそ1日で最高血漿中濃度(約75ng/mL)に達した。また、維持用量投与後速やかに定常状態に到達し(投与8週目)、投与開始後1年間のトラフ濃度は約17~18ng/mLで推移した。血漿中濃度の推移からみて蓄積性は認められなかった4),6)。
n
Cmax(ng/mL)
Tmaxa)(day)
AUC0‒28day(ng・day/mL)
C28day(ng/mL)
136
75.03±45.25
0.96[0.73‒27.98]
735±306b)
14.43±5.21
平均値±標準偏差
a)中央値[最小値‒最大値]
b)n=135
前立腺癌患者にデガレリクス初回用量240mg(40mg/mL)を腹部2カ所に皮下投与し、初回投与4週間後より、12週ごとにデガレリクス維持用量480mg(60mg/mL)を腹部2カ所に皮下投与した際の初回投与後及び4回目(投与40週目)の維持用量投与後の薬物動態パラメータは以下のとおりである。維持用量投与後、およそ3日で最高血漿中濃度(約120ng/mL)に達した。デガレリクスの血漿中トラフ濃度の平均値は、抗デガレリクス抗体陰性例では維持用量投与後速やかに定常状態に達し(投与16週目)、約16~19ng/mLで推移した。一部の抗デガレリクス抗体陽性例では、抗体陽性転化後約1年にわたってデガレリクスの血漿中トラフ濃度が上昇傾向を示したが、その後はおおむね安定することが確認された7)。
AUCb)(ng・day/mL)
初回投与
115
62.08±28.26
2.92[1.71-6.94]
761±295
維持投与
96
119.46±113.93
2.99[1.85-84.01]
3380±2423
b)初回及び維持投与について、それぞれAUC0-28day及びAUC280-364dayとして表示
海外健康高齢男性30例に総投与量として3.7~49.4μg/kgを48時間静脈内持続投与注)した際の血漿中濃度及び日本人前立腺癌患者114例にデガレリクス初回用量240mg(40mg/mL)を皮下投与し、初回投与4週間後より、4週ごとにデガレリクス維持用量80mg(20mg/mL)を皮下投与した際の血漿中濃度、並びに日本人前立腺癌患者71例にデガレリクス初回用量240mg(40mg/mL)を皮下投与し、初回投与4週間後より、12週ごとにデガレリクス維持用量480mg(60mg/mL)を皮下投与した際の血漿中濃度を用いた母集団薬物動態解析において、バイオアベイラビリティの母集団平均は、投与液濃度が20、40及び60mg/mLのとき、それぞれ0.64、0.42及び0.27と推定された。なお、日本人前立腺癌患者の抗体陽性例のデータは解析から除外した8)。
健康成人男性6例にデガレリクス30μg/kgを静脈内持続投与注)し、投与終了後1~24時間に採取したサンプルを使用したex vivo試験では、血漿中デガレリクス濃度が3.83~98.60ng/mLの範囲における血漿蛋白結合率は85.3~92.4%であった(外国人データ)。In vitro試験において、デガレリクスは主にアルブミン及びα1‒酸性糖蛋白に結合した9)。
In vitro試験において、デガレリクスはCYPによりほとんど代謝されず、プロテアーゼによる加水分解によってペプチド鎖に分解されると推定された10)。
健康成人男性24例にデガレリクス1.5~30μg/kgを静脈内持続投与注)したとき、デガレリクスの尿中未変化体排泄率は17.2~19.8%であった。また、健康成人男性8例にデガレリクス1mgを静脈内持続投与注)したとき、デガレリクスの尿中未変化体排泄率は31.2%であった(外国人データ)11),12)。
海外健康高齢男性30例に総投与量として3.7~49.4μg/kgを48時間静脈内持続投与注)した際の血漿中濃度及び日本人前立腺癌患者114例にデガレリクス初回用量240mg(40mg/mL)を皮下投与し、初回投与4週間後より、4週ごとにデガレリクス維持用量80mg(20mg/mL)を皮下投与した際の血漿中濃度、並びに日本人前立腺癌患者71例にデガレリクス初回用量240mg(40mg/mL)を皮下投与し、初回投与4週間後より、12週ごとにデガレリクス維持用量480mg(60mg/mL)を皮下投与した際の血漿中濃度を用いた母集団薬物動態解析において、推定糸球体ろ過速度(eGFR)に基づいて腎機能を分類し、腎機能の低下がデガレリクスの薬物動態に及ぼす影響を検討した。軽度(60≦eGFR<90mL/min/1.73m2、136例)、中等度(30≦eGFR<60mL/min/1.73m2、57例)及び重度腎機能障害患者(15≦eGFR<30mL/min/1.73m2、3例)では、腎機能正常者(eGFR≧90mL/min/1.73m2、19例)と比べて、デガレリクスのクリアランスは軽度腎機能障害患者で平均17.8%、中等度・重度腎機能障害患者では平均30.7%低いと推定された。なお、日本人前立腺癌患者の抗体陽性例のデータは解析から除外した8)。
健康成人及び肝機能障害患者にデガレリクス1mgを静脈内持続投与注)したときの薬物動態パラメータは下表のとおりである11)(外国人データ)。
投与群
AUC(ng・h/mL)
t1/2a)(h)
CL(L/h)
健康成人
8
57.4±4.77
322±45.2
16.6[12.8‒25.2]
3.17±0.472
軽度肝機能障害患者(Child-Pughスコア6以下)
48.8±10.4
292±42.1
18.9[15.8‒24.0]
3.49±0.476
中等度肝機能障害患者(Child-Pughスコア7~9)
40.0±5.13
272±59.8
17.9[14.0‒24.8]
3.84±0.894
a)平均値[最小値‒最大値]
注)本剤の承認された投与方法は皮下投与である。
前立腺癌患者を対象に、初回用量を240mg(40mg/mL)、以後4週ごとに維持用量80mg(20mg/mL)を1年間投与した際の有効性、安全性を検討した。去勢率及び抗腫瘍効果(奏効率)は下表のとおりである。
デガレリクス
去勢率a)b)
94.9%(130/136例)
95%CI
90.9~98.9%
a)Kaplan-Meier法を用いて推定した、投与開始4週目から52週目まで去勢レベル(血清テストステロン値≦0.5ng/mL)への抑制が達成された患者の割合
b)本試験の主要評価項目は去勢率ではなく、投与開始4週目から52週目まで去勢レベル(血清テストステロン値≦0.5ng/mL)への抑制が達成された患者の割合であり、94.5%(104/110例)であった。(効果不十分による中止18例、有害事象による中止7例、その他中止1例の合計26例を解析除外)
評価時期
4週
12週
28週
52週
奏効率c)
77.4%(103/133例)
90.8%(119/131例)
88.0%(110/125例)
84.5%(93/110例)
c)「前立腺癌の非観血的治療効果判定基準」における評価。奏効率はCR(Complete Response)+PR(Partial Response)の患者の割合を示す。
国内第Ⅱ相試験の安全性評価症例数136例中、臨床検査値異常を含む副作用発現症例は113例(83.1%)であり、主なものは注射部位疼痛(33.1%)、ほてり(33.1%)、注射部位硬結(30.9%)、注射部位紅斑(27.2%)、体重増加(17.6%)、発熱(9.6%)、注射部位腫脹(9.6%)、高血圧(7.4%)、注射部位そう痒感(5.1%)であった4)。
前立腺癌患者を対象に、本剤を初回用量240mg(40mg/mL)、以後4週ごとに維持用量80mg(20mg/mL)又はリュープロレリンを1年間投与した際の有効性の結果は下表のとおりである13)。
リュープロレリンb)(対照薬)
去勢率a)
97.2%(202/207例)
96.4%(194/201例)
93.5~98.8%
92.5~98.2%
b)対照薬であるリュープロレリンは筋肉内注射製剤であり、国内製剤とは異なる。この試験で用いられた用法及び用量は4週に1回、7.5mgの筋肉内投与である。(国内のリュープロレリンの承認用法及び用量は4週に1回、3.75mgの皮下投与である。)
前立腺癌患者234例(本剤群117例、対照群117例)を対象に、本剤を初回用量240mg(40mg/mL)、以後12週ごとに維持用量480mg(60mg/mL)又はゴセレリンを1年間投与した際の有効性の結果は下表のとおりである5)。
ゴセレリン(対照薬)b)
95.1%(112/117例)
100.0%(115/115例)
b)ゴセレリンの用法及び用量は、10.8mgを12週に1回皮下投与
安全性評価症例数117例中、臨床検査値異常を含む副作用発現症例は116例(99.1%)であり、主なものは注射部位疼痛(76.9%)、注射部位硬結(73.5%)、注射部位紅斑(71.8%)、注射部位腫脹(28.2%)、ほてり(25.6%)、注射部位そう痒感(18.8%)、発熱(17.1%)、体重増加(14.5%)、倦怠感(10.3%)、便秘(6.8%)、注射部位熱感(6.0%)、高血圧(5.1%)であった。
デガレリクスは性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)アンタゴニストである。下垂体GnRHレセプターと可逆的に結合することにより、下垂体からの黄体形成ホルモン(LH)の放出を抑制する結果、精巣からのテストステロン分泌を抑制する。この下垂体性腺系機能抑制により、デガレリクスは前立腺癌の増殖を抑制すると考えられる14),15)。
デガレリクスを正常雄性ラット及びサルに単回皮下投与することで、LH及び卵胞刺激ホルモン(FSH)の血中濃度を低下させ、血清テストステロン値を外科的去勢と同程度まで低下させた15),16)。
デガレリクスは、ラット及びヒト前立腺癌担癌モデルにおいて、アンドロゲン依存性に増殖する前立腺癌に対して、外科的去勢と同程度の腫瘍増殖抑制作用を示した17),18)。
デガレリクス酢酸塩(Degarelix Acetate)
N‒Acetyl‒3‒(naphthalen‒2‒yl)‒D‒alanyl‒4‒chloro‒D‒phenylalanyl‒3‒(pyridin‒3‒yl)‒D‒alanyl‒L‒seryl‒4‒({[(4S)‒2,6‒dioxohexahydropyrimidin‒4‒yl]carbonyl}amino)‒L‒phenylalanyl‒4‒ureido‒D‒phenylalanyl‒L‒leucyl‒N 6‒(1‒methylethyl)‒L‒lysyl‒L‒prolyl‒D‒alaninamide acetate
C82H103ClN18O16・xC2H4O2
1632.3(遊離塩基)
デガレリクス酢酸塩は白色の粉末である。水、5%マンニトール水溶液にやや溶けやすいが、0.1~10mg/mL以上で、濃度と温度に依存して数時間あるいは数日後に濁りを生じゲルを形成する。
ブリスター包装内は滅菌済みであるので、使用時まで開封しないこと。破損時、異常が認められるときは使用しないこと。
1バイアル(日局注射用水4.2mL入りシリンジ1本添付)
2バイアル(日局注射用水3.0mL入りシリンジ2本添付)
2バイアル(日局注射用水4.2mL入りシリンジ2本添付)
1) Bidoggia, H. et al. Am. Heart J. 2000; 140(4): 678-683. [文献請求番号][FP10146]
2) Saylor, P. J. et al. J. Urol. 2009; 181(5): 1998-2008. [文献請求番号][FP10147]
3) Tivesten, Å. et al. Urol. Oncol. 2015; 33(11): 464-475. [文献請求番号][FP10151]
4) 社内報告書:前立腺癌患者・国内第Ⅱ相試験 [CL-0003](2012年6月29日承認 CTD2.7.6.20) [文献請求番号][FP10168]
5) 社内報告書:前立腺癌患者・国内第Ⅲ相比較試験 [CL-0010](2019年1月8日承認 CTD2.7.6.2) [文献請求番号][FP10210]
6) 社内報告書:前立腺癌患者・国内第Ⅱ相試験 [CL-0003](2012年6月29日承認 CTD2.7.2.2.2.2.2.6) [文献請求番号][FP10190]
7) 社内報告書:前立腺癌患者・国内第Ⅲ相比較試験 [文献請求番号][CL-0010][FP10208]
8) 社内報告書:海外健康成人及び前立腺癌患者・薬物動態 [文献請求番号][FP10207]
9) 社内報告書:ヒト血漿蛋白結合(2012年6月29日承認 CTD2.7.2.2.1.1) [文献請求番号][FP10194]
10) 社内報告書:代謝(2012年6月29日承認 CTD2.7.2.2.1.2.1) [文献請求番号][FP10192]
11) 社内報告書:海外健康成人・海外第Ⅰ相試験[CS05](2012年6月29日承認 CTD2.7.2.2.2.1.1.2) [文献請求番号][FP10193]
12) 社内報告書:海外健康成人及び肝機能低下患者・薬物動態(2012年6月29日承認 CTD2.7.2.2.2.3) [文献請求番号][FP10167]
13) 社内報告書:海外前立腺癌患者・海外第Ⅲ相比較試験[CS21](2012年6月29日承認 CTD2.7.6.5) [文献請求番号][FP10166]
14) 社内報告書:ヒトGnRHレセプター・薬理試験(2012年6月29日承認 CTD2.4.2.1.1) [文献請求番号][FP10195]
15) 社内報告書:ラット・薬理作用(2012年6月29日承認 CTD2.4.2.1.2) [文献請求番号][FP10196]
16) 社内報告書:サル・薬理作用(2012年6月29日承認 CTD2.6.6.2.7) [文献請求番号][FP10197]
17) 社内報告書:ラット及びラット前立腺癌細胞・薬理作用(2012年6月29日承認 CTD2.6.2.2.2.2) [文献請求番号][FP10198]
18) 社内報告書:マウス及びヒト前立腺癌細胞・薬理作用(2012年6月29日承認 CTD2.6.2.1、CTD2.6.2.2.2.2) [文献請求番号][FP10169]
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