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日本薬局方
クロラゼプ酸二カリウムカプセル
向精神薬
処方箋医薬品注)
神経症における不安・緊張・焦燥・抑うつ
通常、成人にはクロラゼプ酸二カリウムとして、1日9~30mgを2~4回に分けて経口投与する。本剤の場合、1日2~4カプセルを2~4回に分けて経口投与する。なお、年齢、症状に応じ適宜増減する。
症状が悪化するおそれがある。
作用が強くあらわれ、副作用が起こりやすい。
排泄が遅延し、高い血中濃度が持続するおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
*授乳を避けさせること。活性代謝物ノルジアゼパムの乳汁中への移行が報告されている1)。また、他のベンゾジアゼピン系薬剤(ジアゼパム)でもヒト母乳中への移行と、新生児に嗜眠、体重減少等を起こすことが報告されている。また、黄疸を増強する可能性がある。
小児、特に乳・幼児には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ、慎重に投与すること。乳・幼児では本剤の作用が強くあらわれるおそれがある。小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
少量から投与を開始するなど慎重に投与すること。運動失調等の副作用が発現しやすい。
リトナビル(ノービア)ニルマトレルビル・リトナビル(パキロビッド)
過度の鎮静や呼吸抑制を起こすおそれがあるので併用しないこと。
これらの薬剤の肝チトクロームP-450(CYP)3Aに対する競合的阻害作用により、併用した場合本剤の代謝が抑制され血中濃度が大幅に上昇することが予測される。
中枢神経抑制剤
モノアミン酸化酵素阻害剤アルコール
中枢神経抑制作用が増強されることがあるので、併用しないことが望ましいが、やむを得ず併用する場合は、減量するなど慎重に投与すること。
本剤及びこれらの薬剤の中枢神経抑制作用による。
連用により薬物依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、用量及び使用期間に注意し慎重に投与すること。また、連用中における投与量の急激な減少ないし中止により、痙攣発作、せん妄、振戦、不眠、不安、幻覚、妄想等の離脱症状があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。
0.1~5%未満
0.1%未満
頻度不明
精神神経系
眠気、めまい・ふらつき、頭痛・頭重、不眠、舌のもつれ
興奮
肝臓
AST・ALTの上昇
ALPの上昇
血液
白血球減少症
消化器
便秘、食欲不振、口渇、悪心・嘔吐
流涎、下痢、腹部膨満感
過敏症
発疹、蕁麻疹
骨格筋
易疲労感・脱力感・倦怠感
筋弛緩等の筋緊張低下症状
その他
排尿困難、発汗、性欲減退、視力障害、浮腫
眼振、運動失調、昏睡等があらわれる。
本剤の過量投与が明白又は疑われた場合の処置としてフルマゼニル(ベンゾジアゼピン受容体拮抗剤)を投与する場合には、使用前にフルマゼニルの使用上の注意を必ず読むこと。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
投与した薬剤が特定されないままにフルマゼニル(ベンゾジアゼピン受容体拮抗剤)を投与された患者で、新たに本剤を投与する場合、本剤の鎮静・抗痙攣作用が変化、遅延するおそれがある。
健康成人8例(男性4例、女性4例)にクロラゼプ酸二カリウム15mgを空腹時に単回経口投与したときの血漿中ノルジアゼパム(活性代謝物)濃度は以下のとおりであった。また、投与24時間後もピーク時の1/2の濃度を維持した2)。
Tmax(hr)
Cmax(μg/mL)
T1/2
0.5~1.0
0.38
データなし
健康成人男性6例にクロラゼプ酸二カリウムとして15mgを14日間連続経口投与したとき投与開始7日後には血漿中ノルジアゼパム(活性代謝物)濃度は平衡状態に達し、7日後から15日後にわたり0.41~0.48μg/mLの濃度を保持した3)(外国人データ)。
クロラゼプ酸二カリウムのヒト血漿タンパク結合率は98%であった3)(in vitro)。
血漿中では、ほとんど主代謝物であるノルジアゼパムとして認められ、ノルジアゼパムは更にオキサゼパム及びパラヒドロキシノルジアゼパムあるいはその抱合体に代謝される3),4)。
健康成人男性2例に[14C]クロラゼプ酸二カリウムとして15mgを単回経口投与したとき、投与後10日間までの尿中及び糞便中には、それぞれ投与量の62~67%、15~19%が排泄された3)(外国人データ)。
二重盲検比較試験5),6)及び一般臨床試験7),8),9)における臨床成績は次のとおりである。
対象疾患
有効率
神経症
不安
84%(261/310)
緊張
82%(168/205)
焦躁
79%(200/252)
抑うつ
77%(152/198)
クロラゼプ酸二カリウムはベンゾジアゼピンの誘導体で、GABAA受容体のベンゾジアゼピン結合部位(αサブユニット)に結合し、塩化物イオン(Cl-)の細胞内流入を増強する。その結果、神経細胞膜が過分極し、神経の興奮が抑制され、大脳皮質や大脳辺縁系の過剰活動を抑制して、不安を減弱させる4)。
闘争行動(マウス)10)、情動過多(ラット)、攻撃行動(サル)等に対し抑制作用を有する。サルの場合、攻撃抑制作用は0.25mg/kgから認められるのに対し、鎮静作用は7.5mg/kgから認められ、二つの作用の発現レベルのへだたりはジアゼパムよりも大きい。
電撃痙攣(マウス)11)、ペンテトラゾール誘発痙攣(マウス)11)、聴原性痙攣(マウス)に対してジアゼパムとほぼ同等の抗痙攣作用を示す。
マウスの改良DOPA試験における抗うつ作用の50%有効量は1mg/kgでは、ジアゼパムの4倍の強さを示す。
牽引試験(マウス)ではジアゼパムとほぼ同等の筋弛緩作用を示すが、傾斜板試験(マウス)ではジアゼパムよりも弱い10)。
クロラゼプ酸二カリウム(Clorazepate Dipotassium)
Monopotassium 7-chloro-2-oxo-5-phenyl-2,3-dihydro-1H-1,4-benzodiazepine-3-carboxylate mono(potassium hydroxide)
C16H10ClKN2O3・KOH
408.92
白色~淡黄色の結晶又は結晶性の粉末である。水に溶けやすく、エタノール(99.5)に極めて溶けにくい。酢酸(100)に溶ける。1gを水100mLに溶かした液のpHは11.5~12.5である。光によって徐々に黄色となる。
アルミピロー包装開封後は吸湿に注意すること。
**100カプセル[10カプセル(PTP)×10、乾燥剤入り]
1) Rey E,et al.:Eur J Clin Pharmacol. 1979;15:181-185
2) 社内資料:経口投与時の血漿中濃度
3) 社内資料:Chemical Pharmacology
4) 第十八改正 日本薬局方解説書. 廣川書店. 2021:C-1800-1805
5) 大海作夫ほか:医学のあゆみ. 1974;91(12):684-696
6) 今井安男ほか:薬理と治療. 1974;2(7):1062-1068
7) 安藤信義ほか:新薬と臨床. 1973;22(12):2265-2268
8) 高石昇ほか:薬物療法. 1973;6(9):1777-1788
9) 富地信弘ほか:基礎と臨床. 1974;8(4):1136-1140
10) 高折修二ほか:応用薬理. 1973;7(3):359-366
11) 猪木令三ほか:日本薬理学雑誌. 1972;68(3):290-313
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本剤は厚生労働省告示第97号(平成20年3月19日付)に基づき、投薬は1回14日分を限度とされている。
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