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日本薬局方
アトルバスタチンカルシウム錠
処方箋医薬品注)
通常、成人にはアトルバスタチンとして10mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、重症の場合は1日20mgまで増量できる。
通常、成人にはアトルバスタチンとして10mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、重症の場合は1日40mgまで増量できる。
糖尿病を悪化させることがある。
重症筋無力症(眼筋型、全身型)が悪化又は再発することがある。
横紋筋融解症の報告例の多くが腎機能障害を有する患者であり、また、横紋筋融解症に伴って急激な腎機能の悪化が認められている。
本剤とフィブラート系薬剤を併用する場合には、治療上やむを得ないと判断される場合にのみ併用すること。急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。やむを得ず併用する場合には、定期的に腎機能検査等を実施し、自覚症状(筋肉痛、脱力感)の発現、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇並びに血清クレアチニン上昇等の腎機能の悪化を認めた場合は直ちに投与を中止すること。,
投与しないこと。本剤の血漿中濃度が上昇し、副作用の発現頻度が増加するおそれがある。また、本剤は主に肝臓において作用し代謝されるので、肝障害を悪化させるおそれがある。,
本剤は主に肝臓において作用し代謝されるので、肝障害を悪化させるおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験で出生児数の減少及び生存、発育に対する影響が認められ、胎児にも生存率低下と発育抑制が認められている。また、ラットに他のHMG-CoA還元酵素阻害剤を大量投与した場合に胎児の骨格奇形が報告されている。更に、ヒトでは、他のHMG-CoA還元酵素阻害剤で、妊娠3カ月までの間に服用したとき、胎児に先天性奇形があらわれたとの報告がある。
授乳婦には投与しないこと。ラットで乳汁中への移行が報告されている。
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
副作用が発現した場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。一般に生理機能が低下している。また、横紋筋融解症があらわれやすいとの報告がある。,
グレカプレビル・ピブレンタスビル(400mg・120mg)との併用により、アトルバスタチンのAUCが8.28倍、Cmaxが22.0倍に上昇したとの報告がある。本剤の血中濃度が上昇し、副作用が発現しやすくなるおそれがある。
機序:グレカプレビルのOATP1B1/1B3及びBCRP阻害、ピブレンタスビルのOATP1B1及びBCRP阻害に基づく作用によるものと考えられている。
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とし、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすいとの報告がある。
機序:フィブラート系薬剤とHMG-CoA還元酵素阻害剤との副作用誘発性の相加作用が示唆されている。危険因子:腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者
機序:ニコチン酸製剤とHMG-CoA還元酵素阻害剤との副作用誘発性の相加作用が示唆されている。危険因子:腎機能障害
1)筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とし、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすいとの報告がある。
2)シクロスポリンとの併用により、本剤のAUC0-24hが8.7倍に上昇したとの報告がある。
機序:1)シクロスポリンとHMG-CoA還元酵素阻害剤との副作用誘発性の相加作用、2)シクロスポリンによるHMG-CoA還元酵素阻害剤の代謝・胆汁中排泄に対する競合阻害に基づく相互作用、3)シクロスポリンによる本剤の肝への取り込み阻害に基づく相互作用が示唆されている。危険因子:腎機能障害
機序:アゾール系抗真菌薬又はエリスロマイシンのCYP3Aに対する阻害作用が考えられている。危険因子:腎機能障害
本剤の血漿中薬物濃度の有意な上昇(Cmax:+55.9%、AUC0-Tlast:+81.8%)がみられた。
機序:クラリスロマイシンのCYP3A4に対する阻害作用が考えられている。
ロピナビル・リトナビルとの併用により本剤のAUCが5.88倍に上昇するとの報告がある。
機序:これらの薬剤によるCYP3A4の阻害が考えられている。
ニルマトレルビル・リトナビル
併用により本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。本剤の副作用が発現しやすくなるおそれがあるため、十分な観察を行いながら慎重に投与し、必要に応じて減量や休薬等の適切な措置を講ずること。
機序:本剤の代謝を競合的に阻害するためと考えられている。
エンシトレルビル フマル酸
併用により本剤の血中濃度が上昇し、副作用が発現しやすくなるおそれがある。
機序:エンシトレルビル フマル酸のCYP3Aに対する阻害作用が考えられている。
グラゾプレビル(200mg)との併用により本剤の血漿中薬物濃度が上昇した(Cmax:5.66倍、AUC0-∞:3.00倍)との報告がある。
機序:グラゾプレビルによる腸管のCYP3A及びBCRPの阻害が考えられている。
レテルモビルとの併用により本剤の血漿中薬物濃度が上昇した(Cmax:2.17倍、AUC0-∞:3.29倍)との報告がある。
機序:レテルモビルによるCYP3A、OATP1B1/1B3及びBCRPの阻害が考えられている。
機序:フチバチニブによるBCRPの阻害が考えられている。
グレープフルーツジュース1.2L/日との併用により、本剤のAUC0-72hが約2.5倍に上昇したとの報告がある。
機序:グレープフルーツジュースによるCYP3A4の阻害が考えられている。
本剤の血漿中薬物濃度が低下した(Cmax:-12%、AUC0-24h:-43%)との報告がある。
機序:エファビレンツによるCYP3A4の誘導が考えられている。
リファンピシン投与17時間後に本剤を投与したところ本剤の血漿中薬物濃度が低下した(Cmax:-40%、AUC:-80%)との報告がある。
機序:リファンピシンによるCYP3A4の誘導が考えられている。
ベキサロテンとの併用により本剤のAUCが約50%低下したとの報告がある。
機序:ベキサロテンによるCYP3A4の誘導が考えられている。
本剤の血漿中薬物濃度が約25%低下したが、LDL-コレステロールの低下率はそれぞれを単独で使用したときより大きかった。
機序:これらの薬剤によるアトルバスタチンの吸収阻害(吸着)に基づく血漿中薬物濃度の低下が考えられている。
定常状態において血漿中ジゴキシン濃度が上昇する(本剤10mg投与でCmax:+9.9%、AUC0-24h:+3.6%、CLr:129→128mL/min、80mg投与でCmax:+20.0%、AUC0-24h:+14.8%、CLr:160→149mL/min)ことが報告されている。併用する場合は、血漿中薬物濃度のモニターを十分に行うこと。
機序:本剤によるジゴキシンのP-gpを介した排出の抑制が示唆されている。
ノルエチンドロン(Cmax:+24%、AUC0-24h:+28%)及びエチニルエストラジオール(Cmax:+30%、AUC0-24h:+19%)の血漿中濃度の上昇が認められた。
機序:本剤によるノルエチンドロン及びエチニルエストラジオールの初回通過効果の減少が考えられている。
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれ、急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがある。また、ミオパチーがあらわれることがあるので、広範な筋肉痛、筋肉圧痛や著明なCKの上昇があらわれた場合には投与を中止すること。,,,,
近位筋脱力、CK高値、炎症を伴わない筋線維の壊死、抗HMG-CoA還元酵素(HMGCR)抗体陽性等を特徴とする免疫介在性壊死性ミオパチーがあらわれ、投与中止後も持続する例が報告されているので、患者の状態を十分に観察すること。なお、免疫抑制剤投与により改善がみられたとの報告例がある。
血管神経性浮腫、アナフィラキシー反応、蕁麻疹を含む過敏症状があらわれたとの報告がある。
水疱性発疹があらわれたとの報告がある。
長期投与であっても、発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常等が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
重症筋無力症(眼筋型、全身型)が発症又は悪化することがある。
5%以上
0.1~5%未満
頻度不明
皮膚
そう痒感、発疹、皮疹、発赤
脱毛症、光線過敏、皮膚乾燥、皮膚亀裂、爪の障害
血液
血小板減少、白血球減少、貧血
肝臓
AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇
Al-P上昇、LDH上昇、肝障害
消化器
アミラーゼ上昇、嘔吐、下痢、胃炎、軟便、嘔気、口内炎、胸やけ、便秘、胃不快感、腹痛、心窩部痛(心窩部の疼痛)、腹部膨満感
膵炎、胆汁うっ滞性黄疸、食欲不振、消化不良、悪心、口渇、舌痛、舌炎、舌のしびれ、口のしびれ、口唇炎、咽頭不快感
呼吸器
咳
筋骨格系
CK上昇
痙攣、筋炎、筋肉痛、血中ミオグロビン上昇、無力症、関節痛、頸・肩のこり、胸痛、背部痛、こわばり感、腱炎、腱痛
感覚器
異常感覚、末梢神経障害、耳鳴、霧視
精神神経系
めまい、不眠(症)
勃起障害、四肢しびれ(感)、眠気、健忘症、抑うつ、悪夢
内分泌
テストステロン低下
コリンエステラーゼ上昇、TSH上昇、ACTH上昇、アルドステロン低下
女性化乳房
代謝異常
グルコース上昇、HbA1c上昇、血清鉄低下
低血糖症
腎臓
K上昇
BUN上昇、血中クレアチニン増加、血尿
その他
脳梗塞、肺炎、頭痛、全身倦怠(感)、帯状疱疹
浮腫(顔面・四肢等)、動悸、頻脈、味覚異常、頻尿、排尿困難、着色尿、熱感、発熱
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜ヘ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
健康成人6例に、本剤5注)、10、20及び40mgを絶食下単回経口投与した結果、血漿中未変化体のCmax及びAUC0-∞は投与量に比例して増加し、Tmax及び半減期はほぼ一定であったことから、本剤の体内動態は線形性を示すと考えられた1)。なお、日本人と外国人との体内動態を比較した結果、個人差を上回る人種差は認められなかった2)。
投与量(mg/man)
Cmax(ng/mL)
Tmax(h)
t1/2(h)
AUC0-∞(ng・h/mL)
5
2.64±1.36
0.6±0.2
10.60±2.91
17.33±9.29
10
3.42±1.51
0.8±0.3
9.44±2.50
34.57±15.79
20
11.29±4.42
0.9±0.6
10.69±2.91
50.87±18.44
40
27.05±10.75
10.08±2.65
117.91±40.88
(平均値±標準偏差)
また、本剤10mgを健康成人6例に単回経口投与したときの血漿中主代謝物であるアミド結合位置のベンゼン環の2位の水酸化物(M-2、o-OH体)のTmax、Cmax及び半減期はそれぞれ6.17時間、1.39ng/mL及び8.00時間であった1)。
健康成人6例に、本剤10及び20mgを1日1回朝食後、7日間反復経口投与した結果、血漿中薬物濃度は投与開始後4日目までに定常状態に到達した。また、1日目と7日目の血漿中薬物濃度を比較すると、20mg投与群で上昇しているものの有意な差ではなく、蓄積性は認められなかった3)。
健康成人12例で本剤10mgを絶食下及び食後に単回経口投与した結果、本剤の吸収速度は食事により低下するものの、吸収率はほとんど影響を受けなかった4)。
ヒト血漿を用いたin vitroの実験で、蛋白結合率は95.6~99.0%以上を示した5)。
健康成人6例に本剤10及び40mgを単回経口投与したとき、血漿中にアミド結合位置のベンゼン環の4位の水酸化体(M-1)及び2位の水酸化体(M-2)の2種類が確認されているが、血漿中主活性代謝物はM-2であった1)。アトルバスタチンの主要代謝臓器は肝臓であり、M-1及びM-2はCYP3A4によって生成することが明らかにされている6)。
健康成人に14C-アトルバスタチンを経口投与したとき、放射能の尿中排泄率は極めて低く(<2%)7)、糞中に未変化体、M-1及びM-2がそれぞれ糞中放射能の8.3%、11.7%及び18.2%排泄された8)。更に、14C-アトルバスタチンを用いたヒト胆汁中排泄試験では、経口投与された放射能の43.7~70.2%が胆汁中に排泄され、未変化体の他にM-1、M-2及びM-2のグルクロン酸抱合体が同定された9)。
腎機能正常者6例及び腎機能障害者14例に本剤10mgを1日1回2週間反復経口投与したとき、腎機能障害は、本剤の薬効及び体内動態に影響を及ぼさなかった10)(外国人データ)。
健康成人及び肝硬変患者8例ずつに本剤10mgを1日1回2週間反復経口投与したとき、肝硬変患者では健康成人に比べてChild-Pugh A患者及びChild-Pugh B患者において、Cmaxではそれぞれ5.5倍及び14.4倍、AUC0-24hではそれぞれ4.4倍及び9.8倍の増加、Tmaxではいずれも1/2の短縮が認められたが半減期はほとんど変化しなかった。また、血清脂質に対する作用には差がなかった11)(外国人データ)。,,
健康高齢者(66~73歳)6例及び若年者(20~22歳)6例に、本剤10mgを絶食下単回経口投与した結果、高齢者は若年者に比べてCmax及びAUC0-∞は約2倍に増加したが、Tmax及び半減期に差は認められなかった12)。
注)本剤の承認された用法及び用量は、アトルバスタチンとして10mgを1日1回経口投与である。なお、年齢、症状により適宜増減できるが、重症の場合は、高コレステロール血症で1日20mgまで、家族性高コレステロール血症で1日40mgまでの増量である。
高脂血症患者243例を対象に、本剤を1日1回夕食後12週間投与した際の血清脂質改善作用の用量反応関係および安全性を4用量(2.5mg、5mg、10mgまたは20mg)による二重盲検群間比較法により実施した。本剤5注)~20mgを1日1回夕食後に投与した際の血清脂質値の変化率及び総コレステロール<220mg/dLとなった症例の割合(総コレステロール<220mg/dL割合)、LDL-コレステロール<150mg/dLとなった症例の割合(LDL-コレステロール<150mg/dL割合)は下記のとおりである13)。
用量(mg)
例数
総コレステロール(%)
トリグリセリド(%)
HDL-コレステロール(Δmg/dL)
51
-25.0
-19.7
3.2
-30.2
-16.7
5.2
52
-33.8
-12.0
6.1
LDL-コレステロール(%)
総コレステロール<220mg/dL割合(%)
LDL-コレステロール<150mg/dL割合(%)
-32.0
56.9
74.5
-39.6
72.5
86.3
-49.5
86.5
90.4
副作用及び関連性が否定されなかった臨床検査値異常変動の発現率はそれぞれ5.0~12.1%及び33.3~46.6%であり、臨床検査値異常変動発現率が20mg群でやや高かったものの、用量依存性は認められなかった。主な副作用は胃部不快感2例(2.5mg,10mg各1例)、一般的全身症状2例(2.5mg,20mg各1例)であった。なお、重篤な副作用及び臨床検査値異常変動の発現は認められなかった。
家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体患者24例に本剤10mgを8週間投与し、その後、8週間毎に20mg、40mgへと漸増し、非盲検・非比較試験にて検討した14)。その結果、10mg及び40mgで総コレステロールはそれぞれ-31.8%、-41.1%、LDL-コレステロールはそれぞれ-37.7%、-48.3%と低下し増量効果が得られた。副作用は16.7%(4/24例)、関連性が否定されなかった臨床検査値異常変動は41.7%(10/24例)に認められた。主な副作用は、軟便傾向・軟便(2例)であった。なお、重篤な副作用及び臨床検査値異常変動の発現は認められなかった。
LDL-アフェレーシスを施行している家族性高コレステロール血症ホモ接合体患者9例に、本剤10mgを4週又は8週間投与し、その後20mg(8週間)、40mg(8~20週)へと漸増し、非盲検・非比較試験にて検討した15)。その結果、6例で総コレステロールが-31.4~-4.9%、LDL-コレステロールが-39.3~-4.6%と低下した。他の3例では総コレステロールが1.2~15.2%、LDL-コレステロールが3.1~11.8%と増加した。低下が認められた症例のうち4例では本剤投与前に2剤以上を併用した薬物療法とほぼ同程度の総コレステロール及びLDL-コレステロール低下が認められた。副作用は11.1%(1/9例)、関連性が否定されなかった臨床検査値異常変動は44.4%(4/9例)に認められ、副作用は、右手しびれ(感)であった。なお、重篤な副作用及び臨床検査値異常変動の発現は認められなかった。
高脂血症患者17例を対象に非盲検・非比較試験として本剤10mgを12週間投与した結果、投与前後のコレステロール飽和度、胆汁脂質濃度及び胆石形成指数に有意な変化はみられず、胆汁脂質組成に悪影響を及ぼさなかった16)。副作用は6.3%(1/16例)、関連性が否定されなかった臨床検査値異常変動は25.0%(4/16例)に認められた。副作用は、胃部不快感と鼓腸が同一症例に発現していた。なお、本試験において重篤な副作用及び臨床検査値異常変動の発現は認められなかった。
高脂血症患者20例を対象に本剤10mgを非盲検・非比較試験として28週間投与した結果、凝固第Ⅶ因子活性及びその抗原量の有意な低下を認め血栓形成阻止傾向がみられた。一方、他の血液凝固線溶系パラメータに一定の傾向はみられなかったことより、全体として血液凝固線溶系には悪影響を及ぼさなかった17)。副作用は認められず、関連性が否定されなかった臨床検査値異常変動は31.6%(6/19例)に認められた。
高脂血症を合併した糖尿病患者50例(プラセボ群24例、本剤群26例)に本剤10mg又はプラセボを二重盲検群間比較試験として12週間投与し、本剤の有効性および安全性を検討した。本剤を12週間投与した結果、HbA1c、1,5-AG及びフルクトサミンに対する変化は、本剤群とプラセボ群との間に有意差は認められなかったことから、本剤は糖代謝に対する影響はなかった18)。副作用は、プラセボ群、本剤群とも5.3%(1/19例)にみられ、関連性が否定されなかった臨床検査値異常変動はプラセボ群26.3%(5/19例)、本剤群21.1%(4/19例)に認められた。副作用は、プラセボ群が死亡、本剤群が胸痛であった。なお、重篤な副作用及び臨床検査値異常変動の発現は認められなかった。
アトルバスタチンは血液中のコレステロール量を調節する主要臓器である肝臓のHMG-CoA還元酵素を選択的かつ競合的に阻害し、アトルバスタチンと同程度の活性を有する代謝物とともに、肝臓のコレステロール合成を抑制する。その結果、アトルバスタチンは肝臓のLDL受容体数を増加させ、かつリポ蛋白分泌を抑制することにより血中脂質量を低下させる。また、アトルバスタチンは血中脂質動態を改善して、高コレステロール血症に伴う動脈硬化の発症を抑制する。
ヒト肝癌細胞由来HepG2細胞において、アトルバスタチンはコレステロールの生合成経路の律速酵素であるHMG-CoA還元酵素を選択的かつ競合的に阻害し、酢酸からのコレステロール合成を濃度依存的に抑制した19)。更にアトルバスタチンは経口投与により、ラットの肝コレステロール合成を類薬と比較して長く抑制した20)。
コレステロール負荷ウサギ及びコレステロール負荷ミニブタにおいて、アトルバスタチンは経口投与により血漿総コレステロール値を低下させるとともに、LDL-コレステロール値及び血漿アポB値を低下させた21),22)。LDL受容体欠損マウス及びWHHLウサギにおいて、アトルバスタチンは血漿総コレステロール値及びLDL-コレステロール値を低下させた23),24)。
コレステロール負荷ミニブタ及びショ糖負荷高トリグリセリド血症ラットにおいて、アトルバスタチンは血中トリグリセリド値を低下させた22),25)。
コレステロール負荷内皮傷害ウサギ及びWHHLウサギにおいて、アトルバスタチンは動脈硬化病変面積及び血管壁コレステロール含量を低下させた21),24)。
ラット肝ミクロソームにおいて、ヒトにおける主代謝物であるアミド結合位置のベンゼン環の4位の水酸化体(M-1)及び2位の水酸化体(M-2)は、アトルバスタチンの1/2~同程度のHMG-CoA還元酵素阻害活性を示した26)。
HepG2細胞において、アトルバスタチンは細胞内コレステロール含量を低下させるとともに、肝LDL受容体mRNA発現量及び肝LDL受容体活性を増加させ、アポB分泌量及びトリグリセリド分泌量を低下させた27),28)。正常モルモットにおいて、アトルバスタチンは肝LDL受容体活性を増加させるとともに、アポB分泌量を低下させた29)。コレステロール負荷ミニブタにおいて、アトルバスタチンはVLDL-アポB産生速度を低下させた22)。LDL受容体欠損マウスにおいて、アトルバスタチンはコレステロール分泌速度を低下させた23)。ショ糖負荷高トリグリセリド血症ラットにおいて、アトルバスタチンはトリグリセリド分泌速度を低下させた25)。
アトルバスタチンカルシウム水和物(Atorvastatin Calcium Hydrate)
Monocalcium bis{(3R,5R)-7-[2-(4-fluorophenyl)-5-(1-methylethyl)-3-phenyl-4-(phenylcarbamoyl)-1H-pyrrol-1-yl]-3,5-dihydroxyheptanoate}trihydrate
C66H68CaF2N4O10・3H2O
1209.39
白色~微黄白色の結晶性の粉末である。メタノールに極めて溶けやすく、ジメチルスルホキシドに溶けやすく、水又はエタノール(99.5)に極めて溶けにくい。光によって徐々に黄白色となる。結晶多形が認められる。
PTP品はアルミ袋により品質保持をはかっているので、アルミ袋開封後は湿気を避けて保存すること。ボトル品は乾燥剤で品質保持をはかっているので、蓋を開けたままにしないこと。
100錠[10錠(PTP)×10] 500錠[10錠(PTP)×50] 500錠[瓶、バラ、乾燥剤入り] 1,000錠[10錠(PTP)×100]
100錠[10錠(PTP)×10]500錠[10錠(PTP)×50] 500錠[瓶、バラ、乾燥剤入り]1,000錠[10錠(PTP)×100]
1) 大石紫満子ほか:薬理と治療. 1998;26(8):1253-1266
2) 社内資料:海外及び国内健康成人・薬物動態
3) 大石紫満子ほか:薬理と治療. 1998;26(8):1279-1293
4) 大石紫満子ほか:薬理と治療. 1998;26(8):1267-1277
5) 根本裕之ほか:薬理と治療. 1998;26(8):1229-1240
6) 社内資料:ヒトミクロソーム・代謝
7) 社内資料:健康成人・薬物動態(反復投与後の物質収支代謝試験)
8) 社内資料:健康成人・薬物動態(反復投与後のヒト糞中代謝物の同定)
9) 社内資料:健康成人・薬物動態(胆汁中排泄に関する単回投与試験)
10) Stern RH, et al.:J Clin Pharmacol. 1997;37(9):816-819
11) 社内資料:健康成人及び肝機能障害患者・薬物動態
12) 大石紫満子ほか:薬理と治療. 1998;26(8):1295-1305
13) 中村治雄ほか:Prog Med. 1998;18(7):1690-1723
14) 山村卓ほか:臨床医薬. 1998;14(11):2031-2054
15) 社内資料:ホモ接合型家族性高コレステロール血症患者・臨床試験
16) 田妻進ほか:臨床医薬. 1998;14(12):2163-2177
17) 社内資料:高脂血症患者・血液凝固・線溶系に及ぼす影響
18) 田中明ほか:新薬と臨床. 1998;47(8):1230-1248
19) 舩津敏之ほか:薬理と治療. 1998;26(9):1435-1441
20) 田中秀行ほか:薬理と治療. 1998;26(9):1451-1454
21) Bocan TM,et al.:Atherosclerosis. 1994;111(1):127-142
22) Burnett JR,et al.:Arterioscler Thromb Vasc Biol. 1997;17(11):2589-2600
23) Bisgaier CL,et al.:J Lipid Res. 1997;38(12):2502-2515
24) 荒井幸規ほか:薬理と治療. 1998;26(9):1475-1481,1483-1486
25) 鈴木雅徳ほか:薬理と治療. 1998;26(9):1469-1474
26) 社内資料:ラット・代謝物の薬理作用
27) 舩津敏之ほか:薬理と治療. 1998;26(9):1443-1450
28) Funatsu T,et al.:Atherosclerosis. 2001;157(1):107-115
29) 角田裕俊ほか:薬理と治療. 1998;26(9):1461-1468
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