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処方箋医薬品注)
本剤と硝酸薬あるいは一酸化窒素(NO)供与薬(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド、ニコランジル等)との併用により降圧作用が増強し、過度に血圧を下降させることがあるので、本剤投与の前に、硝酸薬あるいは一酸化窒素(NO)供与薬が投与されていないことを十分確認し、本剤投与中及び投与後においても硝酸薬あるいは一酸化窒素(NO)供与薬が投与されないよう十分注意すること。
ただし、肺動脈性肺高血圧症の治療において一酸化窒素吸入療法と本剤の併用が治療上必要と判断される場合は、緊急時に十分対応できる医療施設において、肺動脈性肺高血圧症の治療に十分な知識と経験を持つ医師のもとで、慎重に投与すること。
肺動脈性肺高血圧症
成人通常、シルデナフィルとして1回20mgを1日3回経口投与する。1歳以上の小児体重20kg超の場合:通常、シルデナフィルとして1回20mgを1日3回経口投与する。
成人通常、シルデナフィルとして1回20mgを1日3回経口投与する。1歳以上の小児体重8kg以上20kg以下の場合:通常、シルデナフィルとして1回10mgを1日3回経口投与する。体重20kg超の場合:通常、シルデナフィルとして1回20mgを1日3回経口投与する。
これらの患者における有効性及び安全性は確立していない。
ニトロプルシドナトリウム(NO供与薬)の血小板凝集抑制作用を増強することが認められている。出血性疾患又は消化性潰瘍のある患者に対する安全性は確立していない。
本剤の血管拡張作用によりこれらの基礎疾患を増悪させるおそれがある。
ホスホジエステラーゼの遺伝的障害を持つ症例が少数認められている。
本剤の薬理作用により勃起が起こり、その結果陰茎に痛みを引き起こす可能性がある。
持続勃起症の素因となり得る。また、鎌状赤血球貧血に伴う肺動脈性肺高血圧症を対象とした海外臨床試験において、プラセボ投与例に比べ本剤投与例において入院が必要となる血管閉塞発作が多く報告され、試験が早期中止された。
持続勃起症の素因となり得る。
本剤を投与しないことが望ましい。このような患者における有効性及び安全性は確立していない。肺血管拡張薬は、肺静脈閉塞性疾患を有する患者の心血管系の状態を著しく悪化させるおそれがある。
本剤の投与を開始した場合、鼻出血等の出血の危険性が高まることがある。
血漿中濃度が上昇することが認められている。
投与しないこと。シルデナフィルは主に肝臓で代謝されることから肝硬変等の重度の肝機能障害のある患者では、本剤の血漿中濃度が上昇する可能性がある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
授乳しないことが望ましい。本剤のヒト母乳中への移行が報告されている1)。
低出生体重児、新生児、乳児又は体重8kg未満の幼児及び小児を対象とした臨床試験は実施していない。
本剤のクリアランスが低下する。
硝酸薬及びNO供与薬
降圧作用を増強することがある2),3),4),5)。
NOはcGMPの産生を刺激し、一方、本剤はcGMPの分解を抑制することから、両剤の併用によりcGMPの増大を介する降圧作用が増強する。
リトナビル含有製剤
ダルナビル含有製剤
イトラコナゾール
*コビシスタット含有製剤
本剤の血漿中濃度が上昇する。リトナビルとの併用により、本剤の血漿中濃度が上昇し、最高血漿中濃度(Cmax)及び血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC)がそれぞれ3.9倍及び10.5倍に増加した6)。
CYP3A4阻害薬は本剤の代謝を阻害するおそれがある。
sGC刺激剤
症候性低血圧を起こすことがある7)。
リオシグアト投与により細胞内cGMP濃度が増加し、一方、本剤はcGMPの分解を抑制することから、両剤の併用によりcGMPの細胞内濃度が増大し、全身血圧に相加的な影響を及ぼすおそれがある。
CYP3A4阻害薬
本剤の血漿中濃度が上昇する。エリスロマイシン及びシメチジンとの併用により、本剤の血漿中濃度が上昇し、Cmaxはそれぞれ2.6倍及び1.5倍に増加し、AUCはそれぞれ2.8倍及び1.6倍に増加した8),9)。
CYP3A4誘導薬
本剤の血漿中濃度が低下する。
これらの薬剤により誘導された代謝酵素により、本剤の代謝が促進されるおそれがある。
ボセンタン
⑴血圧低下作用が増強するおそれがある。⑵本剤の血漿中濃度が低下し、Cmax及びAUCがそれぞれ0.45倍及び0.37倍に減少した10)。
⑴両剤の薬理学的な相加作用等が考えられる。⑵ボセンタンにより誘導された代謝酵素により、本剤の代謝が促進されるおそれがある。
降圧薬
アムロジピン等の降圧剤との併用で降圧作用を増強したとの報告がある4),11)。
本剤は血管拡張作用による降圧作用を有するため、併用による降圧作用を増強することがある。
α遮断薬
ドキサゾシン等のα遮断剤との併用でめまい等の自覚症状を伴う血圧低下を来したとの報告がある12)。起立性低血圧が発現することを最小限に抑えるため、本剤を投与する前にα遮断薬療法中の患者の血行動態が安定していることを確認すること。
カルペリチド
降圧作用が増強するおそれがある。
ビタミンK拮抗薬
出血(鼻出血等)の危険性が高まることがある。
本剤は微小血管が豊富な鼻甲介の血流量を増加させるため、併用により鼻出血の発現を増強するおそれがある。また、結合組織疾患に伴う血小板機能異常がみられる患者及び経鼻酸素療法(鼻粘膜を乾燥させる)や抗凝固療法を併用している患者では鼻出血などの出血が発現しやすい。
アミオダロン塩酸塩
アミオダロン塩酸塩によるQTc延長作用が増強するおそれがある。
機序不明。類薬とアミオダロン塩酸塩の併用により、QTc延長があらわれるおそれがあるとの報告がある13)。
5%以上
1%以上5%未満
1%未満
神経系障害
頭痛(30.6%)、めまい
錯感覚
片頭痛、感覚鈍麻、失神
血管障害
潮紅
低血圧、ほてり
胃腸障害
消化不良、腹痛、悪心、下痢
嘔吐、胃炎、胃食道逆流性疾患
腹部不快感、便秘
筋骨格系及び結合組織障害
四肢痛、筋痛、背部痛、筋痙縮、関節痛、顎痛
頚部痛
呼吸器、胸郭及び縦隔障害
鼻出血、咳嗽、鼻閉、呼吸困難
咽喉頭疼痛、鼻咽頭炎、鼻漏、気管支炎、上気道感染
眼障害
色視症(青視症、黄視症など)、霧視、結膜充血、眼充血、視覚障害、白内障、羞明、網膜血管障害、光視症
結膜炎、眼部不快感、網膜出血、視覚の明るさ、眼痛、複視、屈折障害、光輪視、視野欠損、眼出血、色覚異常、流涙増加、眼圧迫感、眼刺激、眼部腫脹、眼変性障害、視力障害、視力低下
耳及び迷路障害
耳鳴、難聴
皮膚及び皮下組織障害
そう痒症、発疹、紅斑
多汗症
一般・全身障害及び投与部位の状態
浮腫、胸痛、疲労、発熱
疼痛、無力症、倦怠感、胸部不快感、熱感
心臓障害
動悸、頻脈、不整脈、チアノーゼ
精神障害
不眠症
代謝及び栄養障害
食欲不振
血液及びリンパ系障害
貧血
生殖系及び乳房障害
自発陰茎勃起、勃起増強、持続勃起症
臨床検査
体重減少、ALT増加、AST増加、ヘモグロビン減少、リンパ球数減少
外国において、健康被験者に800mgまで単回投与した場合、有害事象は低用量で認められたものと同様であったが、その頻度と重症度は上昇した。200mg投与では有害事象(頭痛、潮紅、めまい、消化不良、鼻炎、視覚異常)の発現率は増加した。
過量投与の際の特異的な薬物療法はない。なお、本剤は血漿蛋白結合率が高く、尿中排泄率が低いため腎透析によるクリアランスの促進は期待できない。
本剤の容器に水60mLを加えて振り混ぜた後、さらに水30mLを加えて振り混ぜてシロップ剤を調製する。1瓶について90mLの水を加えて懸濁するとシルデナフィルとして10mg/mLの溶液112mLとなる。なお、調製後のシロップ剤を水もしくは他の液でさらに希釈しないこと。
調製後のシロップ剤を約10秒間振とう後、正確に1回量を量りとること。
調製後のシロップ剤は、30℃以下で遮光して保存し、凍結させたり、本剤以外の容器に移し替えたりしないこと。調製後のシロップ剤は調製日から30日以内に使用し、残液及び容器は廃棄すること。
健康成人20名にシルデナフィル25、50、100及び150mg注)を単回経口投与した時のCmaxはそれぞれ105、192、425及び674ng/mLであった。0時間から最終濃度測定時間(t)までのAUC(AUCt)はそれぞれ231、504、1148及び1977ng・hr/mLであり、投与量に比例して増加した。血漿中のシルデナフィルは終末相における消失半減期(t1/2)3.23~3.31時間で速やかに消失した15)(表1及び図1)。
投与量(mg)
Tmax(hr)
Cmax(ng/mL)
AUCt(ng・hr/mL)
AUC∞(ng・hr/mL)
t1/2(hr)
25
0.8±0.6
105± 62
231±103
-
50
0.9±0.4
192±102
504±202
100
0.8±0.4
425±147
1148±274
1190±301
3.31±0.81
150
0.9±0.5
674±239
1977±733
2044±721
3.23±0.73
算術平均値±標準偏差(n=20)Tmax:最高血漿中濃度到達時間Cmax:最高血漿中濃度AUCt :0時間から最終定量可能時間までの血漿中濃度-時間曲線下面積AUC∞:0時間から無限大時間までの血漿中濃度-時間曲線下面積t1/2 :消失半減期
健康成人9又は10名にシルデナフィル25、50及び75mg注)を1日3回10日間反復経口投与したところ、投与後1.3時間付近でCmaxに到達した。10日目における25、50及び75mg投与量群のCmaxはそれぞれ155、327及び535ng/mL、0時間から8時間までのAUC(AUC8)はそれぞれ438、1032及び1837ng・hr/mLであった。シルデナフィルは反復投与後3日以内に定常状態に達した16)(外国人データ)。成人肺動脈性肺高血圧症患者9名にシルデナフィル20mgを1日3回反復経口投与した時の定常状態におけるCmax、Tmax、AUC8、定常状態時の平均血漿中濃度(Css,av)及びトラフ濃度の平均値はそれぞれ164.9ng/mL、1.1時間、545.1ng・hr/mL、68.1ng/mL及び19.6ng/mLであった17)。体重20kg以下の小児肺動脈性肺高血圧症患者3名に、シルデナフィル10mgを1日3回反復経口投与した時の定常状態におけるCmax、AUC8、Css,av及びトラフ濃度の平均値は、219.0ng/mL、395.3ng・hr/mL、49.4ng/mL及び8.0ng/mLであり、Tmaxの中央値は1.0時間であった18)。また、体重20kg超の小児肺動脈性肺高血圧症患者3名に、シルデナフィル20mgを1日3回反復経口投与した時の定常状態におけるCmax、AUC8、Css,av及びトラフ濃度の平均値は、114.3ng/mL、357.3ng・hr/mL、44.6ng/mL及び18.6ng/mLであり、Tmaxの中央値は1.0時間であった18)。
健康成人42名に、クロスオーバー法によりドライシロップ剤を水で懸濁したシロップ剤としてシルデナフィル20mg及びレバチオ錠20mgをそれぞれ空腹時単回経口投与したときの、シルデナフィルの血漿中濃度及び薬物動態パラメータは以下の図及び表の通りであった。本試験の結果から、ドライシロップ剤(シルデナフィルとして20mg)はレバチオ錠20mgと生物学的に同等であることが確認された19)(外国人データ)。
剤形及び投与量
Tmaxa)(hr)
レバチオ懸濁用ドライシロップ(シルデナフィルとして20mg)
78.9±35.1
178±86
0.50(0.25-1.50)
2.46±0.41
レバチオ錠20mg
82.3±35.9
197±91
0.75(0.25-6.03)
2.51±0.46
a)Tmaxは中央値(範囲)、その他のパラメータは算術平均値±標準偏差(n=42)Cmax :最高血漿中濃度AUCt :0時間から最終定量可能時間までの血漿中濃度-時間曲線下面積Tmax :最高血漿中濃度到達時間t1/2 :消失半減期
健康成人男性40又は93名に、クロスオーバー法によりレバチオODフィルム20mg(水なし又は水で服用)及びレバチオ錠20mg(水で服用)をそれぞれ空腹時単回経口投与したときの、シルデナフィルの血漿中濃度及び薬物動態パラメータは以下の図及び表の通りであった。レバチオODフィルム20mgは、水なし又は水で服用した場合のいずれにおいても、レバチオ錠20mgと生物学的に同等であることが確認された20)。
AUC14(ng・hr/mL)
ODフィルム20mg(水なしで服用)
103±40
294±91
1.5±0.9
2.24±0.43
レバチオ錠20mg(水で服用)
106±47
269±83
1.3±0.8
2.33±0.59
算術平均値±標準偏差(n=40)Cmax :最高血漿中濃度AUC14:0時間から14時間(最終サンプリング時間)までの血漿中濃度-時間曲線下面積Tmax :最高血漿中濃度到達時間t1/2 :消失半減期
ODフィルム20mg(水で服用)
106±41
265±83
2.22±0.57
104±49
256±83
1.0±0.7
2.14±0.47
算術平均値±標準偏差(n=93)Cmax :最高血漿中濃度AUC14:0時間から14時間(最終サンプリング時間)までの血漿中濃度-時間曲線下面積Tmax :最高血漿中濃度到達時間t1/2 :消失半減期
健康成人12名にシルデナフィル50mg注)を単回経口又は静脈内投与したところ、経口投与後のシルデナフィルのバイオアベイラビリティは41%であった21)(外国人データ)。
健康成人16名にシルデナフィル50mg注)を食後又は空腹時に単回経口投与し、体内動態に及ぼす食事の影響を検討した。シルデナフィルのTmaxの平均値は食後及び空腹時投与でそれぞれ3.0及び1.2時間であり、食後投与により吸収速度が有意に減少し、Tmaxが1.8時間延長することが認められた。Cmaxの平均値は食後投与で149ng/mL、空腹時投与で255ng/mLであり、AUC∞の平均値はそれぞれ697.5及び806.2ng・hr/mLであった。食後投与によりCmax及びAUC∞は空腹時に比べてそれぞれ42%及び14%有意に減少した22)。
健康成人12名にドライシロップ剤を水で懸濁したシロップ剤としてシルデナフィル20mgを食後又は空腹時に単回経口投与し、体内動態に及ぼす食事の影響を検討した。シルデナフィルのTmaxの中央値は食後及び空腹時投与でそれぞれ3.0及び0.5時間であり、食後投与により吸収速度が減少し、Tmaxが2.5時間延長した。Cmaxの平均値は食後投与で48.0ng/mL、空腹時投与で103.8ng/mLであり、AUC∞の平均値はそれぞれ282.2及び254.6ng・hr/mLであった。食後投与によりCmax及びAUC∞は空腹時に比べてそれぞれ53%減少及び11%増加した23)(外国人データ)。
平衡透析法によるin vitro試験において、シルデナフィルの血漿蛋白結合率は、0.01~10.0µg/mLの濃度範囲で96.2~96.5%であり、濃度によらず一定値を示した24)。シルデナフィルは主にアルブミンと結合した25)。
シルデナフィルは主として肝臓で代謝され、その主要代謝物N-脱メチル体の生成速度はCYP3A4が最も速く、次いでCYP2C9であった26)。
健康被験者8名及び腎機能障害患者16名にシルデナフィル50mg注)を単回経口投与した時、腎機能の低下が軽度(クレアチニンクリアランス:Ccr=50~80mL/min)及び中等度(Ccr=30~49mL/min)の腎機能障害患者では血漿中シルデナフィルのCmax及びAUC∞は健康被験者における値と有意差がなかったが、重度腎機能障害患者(Ccr<30mL/min)ではCmax及びAUC∞ともに健康被験者に比べて約2倍高い値を示した29)(外国人データ)。
健康被験者12名及び肝機能障害患者12名にシルデナフィル50mg注)を単回経口投与した時のシルデナフィルのCmax及びAUC∞の平均値は健康被験者と比較して、それぞれ約47%及び85%増加し、シルデナフィルの経口クリアランスは46%低下した29)(外国人データ)。
健康高齢者(65歳以上)15名及び健康若年者(18~45歳)15名にシルデナフィル50mg注)を単回経口投与した時のTmaxは、高齢者及び若年者でそれぞれ1.2及び1.1時間となりほぼ同様であった。Cmaxは高齢者で302.5ng/mL、若年者で178.2ng/mLであり、高齢者は若年者より60~70%高い値を示した。AUC∞は高齢者及び若年者でそれぞれ1077.0及び586.0ng・hr/mLとなり、高齢者が若年者の約2倍高い値を示した。t1/2は高齢者で3.8時間、若年者で2.6時間であり、高齢者において長かった。高齢者ではクリアランスが48%低下した29) (外国人データ)。
健康成人において、リトナビル500mg(1日2回)の反復投与時に、シルデナフィル100mg注)を単回併用投与したときのシルデナフィルのCmax及びAUCは、単独投与時と比較してそれぞれ3.9倍及び10.5倍に増加した6)(外国人データ)。
健康成人において、エリスロマイシン500mg(1日2回)の反復投与時にシルデナフィル100mg注)を、またシメチジン800mg(1日1回)の反復投与時にシルデナフィル50mg注)を単回併用投与したときのシルデナフィルのCmaxは、単独投与時と比較してそれぞれ2.6倍、1.5倍に増加し、AUCはそれぞれ2.8倍、1.6倍に増加した8),9)(外国人データ)。
肺動脈性肺高血圧症患者を対象とした本剤20mgを1日3回、12週間経口投与における有効性、安全性及び薬物動態を検討するための多施設共同、非盲検試験を実施した(n=21)。投与開始前のWHO機能分類の内訳は、クラスⅡが7例、クラスⅢが14例であった。また、肺動脈性肺高血圧症の臨床分類の内訳は、特発性肺動脈性肺高血圧症が6例、家族性肺動脈性肺高血圧症が5例、各種基礎疾患に伴う肺動脈性肺高血圧症が10例であった。運動耐容能の評価項目である6分間歩行距離は、投与12週後において投与開始前より平均で84.2m延長した(n=20)。なお、投与8週後においても6分間歩行距離は、投与12週後と同程度の改善に達していた(n=19)。また、平均肺動脈圧は、投与12週後において投与開始前より平均で4.7mmHg低下した(n=20)。その他の血行動態パラメータも以下のとおりであった17)(表1)。
平均値
(95%信頼区間)
6分間歩行距離(m)
84.2
(49.1,119.2)
平均肺動脈圧(mmHg)
-4.7
(-8.5,-0.8)
肺血管抵抗係数(dyne・sec/cm5/m2)
-382.00
(-612.17,-151.83)
心拍出量(L/min)
0.556
(0.088,1.024)
平均全身動脈圧(mmHg)
-0.9
(-6.9,5.2)
心拍数(beats/min)
-4.14
(-7.62,-0.65)
本剤を投与された患者44例のうち25例に副作用が発現し、発現率は56.8%であった。主な副作用は頭痛(22.7%)、潮紅(18.2%)、鼻出血(6.8%)等であった。
肺動脈性肺高血圧症(原発性肺高血圧症、結合組織疾患を合併する肺動脈性肺高血圧症、先天性心疾患の修復術後の肺動脈性肺高血圧症)患者を対象とした本剤20(n=69)、40(n=67)及び80mg(n=71)1日3回投与における有効性及び安全性を検討するためのプラセボ対照二重盲検比較試験を実施した(プラセボ群;n=70)。運動耐容能の指標である6分間歩行距離での投与開始前から投与12週後の平均変化は、本剤20mg投与群(n=67)で41.3mの増加、プラセボ投与群(n=66)で3.7mの減少であり、本剤はプラセボと比較して統計的に有意な改善を示した(p<0.0001)。また、平均肺動脈圧の投与開始前から投与12週後の平均変化は、本剤20mg投与群(n=65)で2.1mmHgの低下、プラセボ投与群(n=65)で0.6mmHgの上昇であり、本剤はプラセボと比較して統計的に有意な低下を示した(p=0.021)。その他の血行動態パラメータは以下のとおりであった31),32)(表2)。
平均値(95%信頼区間)
プラセボ群
シルデナフィル20mgTID群
-3.7(-16.7,9.3)
41.3(27.9,54.6)
0.6(-0.8,2.0)
-2.1(-4.3,0.0)
113.2(-99.9,326.2)
-220.4(-381.5,-59.2)
-0.08(-0.37,0.21)
0.39(0.09,0.68)
-3.1(-6.2,-0.1)
-2.6(-5.1,-0.1)
-1.3(-4.1,1.4)
-3.7(-5.9,-1.4)
本剤投与群の安全性評価対象207例のうち、123例(59.4%)において副作用が認められた。主な副作用は、頭痛73例(35.3%)、潮紅22例(10.6%)、消化不良17例(8.2%)等であった。
エポプロステノールによる治療が行われている肺動脈性肺高血圧症(原発性肺高血圧症、結合組織疾患を合併する肺動脈性肺高血圧症)患者を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験で、シルデナフィル群の患者は、シルデナフィル20mg 1日3回投与で4週間、その後40mgに増量して4週間、さらに80mgに増量して8週間の投与を行った。忍容性に問題があった場合には、試験中に1回のみ減量できることとした。投与開始16週後におけるシルデナフィルの用量は、20(n=12)、40(n=21)及び80mg(n=101)1日3回投与であった(プラセボ群;n=131)。投与前から投与16週後までの6分間歩行距離の平均変化は、シルデナフィル群(n=131)で30.1m増加、プラセボ群(n=119)で4.1m増加であり、シルデナフィル群ではプラセボ群に比べて統計的に有意に増加した(p=0.0009)。また、平均肺動脈圧の投与開始前から投与16週後の平均変化は、シルデナフィル群(n=117)で3.6mmHgの低下、プラセボ群(n=102)で0.2mmHgの上昇であり、本剤はプラセボと比較して統計的に有意な低下を示した(p=0.00003)。その他の血行動態パラメータは以下のとおりであった(表3)。臨床状態の悪化(死亡、肺移植、肺高血圧による入院、エポプロステノールの用量変更及びボセンタン療法の導入)までの期間は、プラセボ群に比べてシルデナフィル群で統計的に有意(p=0.0074)に長かった33)(図1)。
シルデナフィル群a)
4.1(-6.5,14.7)
30.1(19.2,41.0)
0.2(-1.0,1.3)
-3.6(-5.0,-2.3)
7.9(-61.4,77.2)
-296.0(-390.8,-201.3)
-0.12(-0.33,0.09)
0.75(0.48,1.02)
-1.5(-3.7,0.7)
-4.0(-5.9,-2.1)
0.8(-1.1,2.7)
-2.8(-4.7,-0.8)
a)シルデナフィル群(20、40及び80mg 1日3回投与)による結果であり、未承認の用法・用量を含む
本剤投与群の安全性評価対象134例のうち、92例(68.7%)において副作用が認められた。主な副作用は、頭痛64例(47.8%)、潮紅23例(17.2%)、悪心18例(13.4%)等であった。
小児肺動脈性肺高血圧症患者を対象とした本剤10mg(体重20kg以下)/20mg(体重20kg超)を1日3回、16週間経口投与における有効性、安全性及び薬物動態を検討するための多施設共同、非盲検試験を実施した(n=6)。投与開始前のWHO機能分類の内訳は、クラスⅠが2例、クラスⅡが3例、クラスⅢが1例であった。また、肺動脈性肺高血圧症の臨床分類の内訳は、特発性肺動脈性肺高血圧症が5例、先天性心疾患に伴う肺動脈性肺高血圧症が1例であった。有効性の評価項目である肺血管抵抗係数の各症例の成績は表4のとおりであり、投与開始前から投与16週後/中止時までの変化量の平均値±標準偏差は、-145.76±602.56dyne・sec/cm5/m2であった(n=5)。また、平均肺動脈圧の投与開始前から投与16週後/中止時までの変化量の平均値±標準偏差は、-0.6±18.61mmHgであった(n=5)。その他の血行動態パラメータは表5のとおりであった18)。
投与量
年齢(歳)
投与開始前
16週後/中止時
変化量
10mg 1日3回(体重20kg以下)
4
336.8
585.6
248.8
1.6
871.2
204.8
-666.4
1.7
1456.8
20mg 1日3回(体重20kg超)
14
2681.6
3268.8
587.2
10
1033.6
974.4
-59.2
2532
1692.8
-839.2
-:評価せず
平均値±標準偏差
BNP(pg/mL)
40.93±247.711(n=6)
NT pro-BNP(pg/mL)
-73.07±1398.397(n=6)
0.348±0.8023(n=5)
-2.6±15.69(n=5)
8.0±16.17(n=5)
本剤を投与された患者6例のうち3例に副作用が発現し、主な副作用は頭痛2例、鼻出血2例であった。
小児肺動脈性肺高血圧症(原発性肺高血圧症、先天性心疾患もしくは結合組織疾患に伴う肺動脈性肺高血圧症)患者を対象とした本剤の低用量(n=42)、中用量(n=56)及び高用量(n=77)1日3回投与(表6)における有効性及び安全性を検討するためのプラセボ対照二重盲検比較試験を実施した(本剤の投与量は体重により決定、プラセボ群;n=60)。心肺運動負荷試験の指標である最大酸素摂取量での投与開始前から投与16週後までの変化率の平均値±標準偏差は、本剤の全用量併合群(n=77)で10.24±18.39%、プラセボ投与群(n=29)で0.53±15.91%であり、本剤の全用量併合群とプラセボ投与群との間に有意差は認められなかった〔p=0.056、投与群を因子とし、臨床分類(原発性PAH、続発性PAH)、体重(8kg以上45kg以下、45kg超)、ベースラインの最大酸素摂取量を共変量とした共分散分析モデルにおいて対比(低用量群、中用量群、高用量群、プラセボ群について、1/3、1/3、1/3、-1)を用いた検定〕。また、本剤中用量群(n=26)では13.40±19.50%であった。平均肺動脈圧の投与開始前から投与16週後までの変化量の平均値±標準偏差は、本剤中用量群(n=55)で-3.9±12.0mmHg、プラセボ投与群(n=56)で-0.4±15.9mmHgであった。その他の血行動態パラメータは表7のとおりであった34)。
体重
低用量
中用量
高用量
8kg以上20kg以下
該当なし
10mg
20mg
20kg超45kg以下
40mg
45kg超
80mg
b)承認された小児に対する用法・用量は、1歳以上の小児には、体重8kg以上20kg以下の場合:1回10mgを1日3回経口投与、体重20kg超の場合:1回20mgを1日3回経口投与である
平均値±標準偏差(例数)
シルデナフィル中用量群
72±512(n=52)
-264±960(n=51)
-0.42±1.82(n=55)
0.16±1.32(n=51)
1.30±12.13(n=55)
0.08±10.75(n=54)
0.82±16.00(n=56)
1.95±18.48(n=55)
プラセボ対照二重盲検比較試験(先行試験)で本剤又はプラセボが投与された234例のうち220例が長期継続試験に参加した。先行試験でプラセボが投与された患者は、先行試験と同一の用量規定に従い(表6)、本剤の低用量、中用量又は高用量のいずれかに割り付けられた。先行試験及び長期継続試験(投与期間:先行試験開始時から約4.7年(中央値))を通して、42例で死亡が認められた。独立安全性モニタリング委員会が開催された時点で、35例〔低用量群5/55例(9%)、中用量群10/74例(14%)、高用量群20/100例(20%)〕に死亡が認められ、高用量群で死亡率が高かったため、投与量を本剤の承認用量(体重20kg超の患者には20mg 1日3回、体重20kg以下の患者には10mg 1日3回)まで減量するよう勧告があり、その後はその用量のみが継続して投与された35)。本剤投与群のうち、主な副作用は、頭痛36/229例(15.7%)、嘔吐15/229例(6.6%)等であった。
肺血管平滑筋においてcGMP分解酵素であるPDE5を選択的に阻害することで、cGMP量を増加させ血管弛緩作用を発現する36),37)。
ヒト伏在静脈のPDE5に対して選択的阻害作用を示した(IC50値:4.0nmol/L)38)。
麻酔イヌの低酸素性肺高血圧症モデルにおいて、肺動脈圧の上昇を抑制した。このとき全身血圧はほとんど変化しなかった39)。
シルデナフィルクエン酸塩(Sildenafil Citrate)
1-[[3-(6,7-Dihydro-1-methyl-7-oxo-3-propyl-1H-pyrazolo[4,3-d]pyrimidin-5-yl)-4-ethoxyphenyl]sulfonyl]-4-methylpiperazine monocitrate
C22H30N6O4S・C6H8O7
666.70
白色の結晶性の粉末である。N,N-ジメチルアセトアミドに溶けやすく、水又はメタノールに溶けにくく、アセトニトリル、エタノール(95)又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。
90錠[15錠(PTP)×6]
30枚(1枚×30)
1瓶
1) Wollein U,et al.:J Pharm Biomed Anal.2016;120:100-105
2) 社内資料:トリニトログリセリンとの薬物相互作用の検討
3) 社内資料:一硝酸イソソルビドとの薬物相互作用の検討
4) Webb DJ,et al.:Am J Cardiol.1999;83(5A):21-28
5) Webb DJ,et al.:J Am Coll Cardiol.2000;36(1):25-31
6) Muirhead GJ,et al.:Br J Clin Pharmacol.2000;50(2):99-107
7) Galie N,et al.:Eur Respir J.2015;45(5):1314-1322
8) Muirhead GJ,et al.:Br J Clin Pharmacol.2002;53(Suppl.1):37S-43S
9) Wilner K,et al.:Br J Clin Pharmacol.2002;53(Suppl.1):31S-36S
10) Burgess G,et al.:Eur J Clin Pharmacol.2008;64(1):43-50
11) 社内資料:アムロジピンとの薬物相互作用の検討
12) 社内資料:ドキサゾシンとの薬物相互作用の検討(2008年1月25日承認、CTD2.7.2.2.1.3)
13) Morganroth J,et al.:Am J Cardiol. 2004;93(11):1378-1383
14) Campbell UB,et al.:J Sex Med.2015;12(1):139-151
15) 社内資料:日本人健康成人を対象とした単回投与試験―用量相関性に関する検討
16) 社内資料:外国人健康成人を対象とした反復投与試験(2008年1月25日承認、CTD2.7.2.2.1.1)
17) 社内資料:日本人肺動脈性肺高血圧症患者を対象とした第Ⅲ相試験(2008年1月25日承認、CTD2.7.6)
18) 社内資料:日本人小児肺動脈性肺高血圧症患者を対象とした第Ⅲ相試験(2017年9月27日承認、CTD2.7.6.8)
19) 社内資料:生物学的同等性試験(ドライシロップ)(2017年9月27日承認、CTD2.7.6.2)
20) 社内資料:生物学的同等性試験(ODフィルム)(2017年9月27日承認、CTD2.7.1.2.2)
21) Nichols DJ,et al.:Br J Clin Pharmacol.2002;53(Suppl.1):5S-12S
22) 社内資料:日本人健康成人を対象とした単回投与試験―食事の影響に関する検討
23) 社内資料:外国人健康成人を対象とした単回投与試験―食事の影響に関する検討(ドライシロップ)(2017年9月27日承認、CTD2.7.6.1)
24) 社内資料:マウス、ラット、ウサギ、イヌ及びヒト血漿中におけるシルデナフィルの蛋白結合(2008年1月25日承認、CTD2.7.2.3.1.2)
25) 社内資料:シルデナフィル及び代謝物のヒトアルブミン及びα1-酸性糖蛋白への結合(2008年1月25日承認、CTD2.7.2.3.1.2)
26) Hyland R,et al.:Br J Clin Pharmacol.2001;51(3):239-248
27) 社内資料:日本人健康成人を対象とした単回投与試験(2008年1月25日承認、CTD2.7.2.3.1.4)
28) 社内資料:日本人健康成人を対象とした反復投与試験(2008年1月25日承認、CTD2.7.2.3.1.4)
29) Muirhead GJ,et al.:Br J Clin Pharmacol.2002;53(Suppl.1):21S-30S
30) 社内資料:肺動脈性肺高血圧症患者におけるボセンタンとの薬物相互作用の検討
31) Galiè N,et al.:N Engl J Med.2005;353(20):2148-2157
32) 社内資料:外国人肺動脈性肺高血圧症患者を対象とした第Ⅲ相試験(2008年1月25日承認、CTD2.7.3.3.2.2)
33) 社内資料:外国人肺動脈性肺高血圧症患者を対象としたエポプロステノールとの併用投与試験(2008年1月25日承認、CTD2.7.3.3.2.3)
34) 社内資料:小児肺動脈性肺高血圧症患者を対象とした国際共同試験(第Ⅲ相試験)(2017年9月27日承認、CTD2.7.6.6)
35) 社内資料:小児肺動脈性肺高血圧症患者を対象とした国際共同試験(長期継続試験)(2017年9月27日承認、CTD2.7.6.7)
36) Ballard SA,et al.:J Urol.1998;159(6):2164-2171
37) 社内資料:ヒトPDEアイソザイム選択性(2008年1月25日承認、CTD2.4.2.1、2.4.2.2)
38) 社内資料:ヒト血管組織から分離したPDEに対する阻害作用(2008年1月25日承認、CTD2.6.2.2.1)
39) 社内資料:麻酔イヌ肺高血圧症モデルに対する作用(2008年1月25日承認、CTD2.6.2.2.2)
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