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日本薬局方
ジドロゲステロン錠
処方箋医薬品注)
重篤な肝障害・肝疾患のある患者
無月経、月経周期異常(稀発月経、多発月経)又は生殖補助医療における調節卵巣刺激の開始時期の調整、月経困難症、機能性子宮出血、黄体機能不全による不妊症、子宮内膜症、切迫流早産、習慣性流早産、調節卵巣刺激下における早発排卵の防止、生殖補助医療における黄体補充
ジドロゲステロンとして、通常成人1日5~15mgを1~3回に分割経口投与する。子宮内膜症には1日5~20mgを経口投与する。
ジドロゲステロンとして、通常、月経周期2~5日目より1日20mgを1又は2回に分割経口投与する。
ジドロゲステロンとして、通常、1回10mgを1日3回経口投与する。
本剤は、不妊治療に十分な知識と経験のある医師のもとで使用すること。
黄体ホルモンは電解質代謝に影響を及ぼし、ナトリウム又は体液の貯留があらわれることがある。
症状が悪化するおそれがある。
投与しないこと。本剤は肝臓にて代謝されるため、肝機能障害が悪化するおそれがある。
黄体ホルモン剤の使用と先天異常児出産との因果関係はいまだ確立されたものではないが、心臓・四肢等の先天異常児を出産した母親では、対照群に比して妊娠初期に黄体又は黄体・卵胞ホルモン剤を使用していた率に有意差があるとする疫学調査の結果が報告されている。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
頻度不明
皮膚
発疹、蕁麻疹
肝臓
肝機能異常
消化器
悪心、嘔吐、食欲不振、腹痛、腹部膨満感、鼓腸、便秘
精神神経系
頭痛、眠気、浮動性めまい
生殖系及び乳房障害
膣出血、乳房痛
その他
浮腫、倦怠感、体重増加
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
調節卵巣刺激の前周期に低用量卵胞ホルモン・黄体ホルモン配合剤を投与した場合の生産率及び継続妊娠率は、投与しなかった場合と比較して低かったとの報告がある1)。
健康成人5例にジドロゲステロン10mgを単回経口投与した場合、血漿中にジドロゲステロンはほとんど検出されず、20α-hydroxy-9β,10α-pregna-4,6-dien-3-one(DHD)及びDHD-glucuronideが主代謝物として存在した。これらの血漿中濃度推移は投与後1時間で最高濃度DHD約85ng/mL、DHD-glucuronide約120ng/mLに達し、以後急速に減少し8時間後ではいずれも約10ng/mLとなった2)。
去勢ラットに3H-ジドロゲステロンを経口投与した場合、24時間後では肝、腎、胃、肺、副腎の順に濃度が高く、他の臓器では差は認められていない3)。
In vitro試験において、主な薬理活性代謝物質であるDHDを生成させる主要代謝経路は、アルド-ケト還元酵素AKR1Cによるものであることが示された4)。また、ジドロゲステロンの代謝に関与するチトクロームP-450分子種は主としてCYP3A4であり、DHDはCYP3A4により複数の代謝物に代謝される。
子宮癌術後患者にジドロゲステロン10mgを経口投与した場合、尿中排泄率は1日後までに投与量の約20%であり、以後尿中排泄は急速に減少し、6日後までの累積排泄率は21~29%で7日後には排泄は認められなかった5)。
無月経77.8%(541/695例)、月経周期異常83.3%(30/36例)、月経困難症70.6%(557/789例)、機能性子宮出血77.5%(300/387例)、黄体機能不全による不妊症51.4%(93/181例)、子宮内膜症88.5%(92/104例)、切迫流早産77.1%(827/1072例)、習慣性流早産88.1%(52/59例)に有効性が認められている。
ジドロゲステロンは、黄体ホルモンとしての作用を現す。生物学的には、プロゲステロンに近いジェスタージェンであるが、エストロゲンやアンドロゲンのようなホルモン作用は認められず、排卵や基礎体温上昇を抑制しない合成黄体ホルモンである6)。
ジドロゲステロンは子宮内膜に対して、天然プロゲステロンとほとんど同様の分泌期像をつくる7),8),9)。このため着床障害を起こすことなく、実際に本剤投与中でも妊娠例が認められている8),9),10)。
基礎体温の観察7)、投与中の妊娠成立8),10)、開腹手術による新生黄体の確認10)等により、排卵の抑制は認められていない。また、無排卵性周期の患者に投与し、排卵の誘発を認め、本剤に排卵誘発作用のあることが認められている9)。したがって、ジドロゲステロンは妊娠の可能性を保ちつつ、治療を行うことができる。
ジドロゲステロン投与中の患者の基礎体温の観察により上昇作用のないことが認められている7),8)。このため、一相性の患者で、投与中に基礎体温の上昇が起これば、排卵したものと推定でき、ジドロゲステロンによる治療中でも基礎体温の観察により診断が可能である。
妊娠ラットにジドロゲステロンを投与し、雌胎児及び新生児の肛門性器間距離を調べた結果、男性化作用は認められていない11)。また、胎児男性化指数12)、副性器重量7)の成績でもジドロゲステロン使用による男性化作用は認められていない。
ジドロゲステロンは主にC20ケト基のみが還元された型で排泄され、生体内のプレグナンジオール排泄測定値に影響を与えないので、投与中でも生理的なプロゲステロンのみの測定が可能で、このため、治療中プレグナンジオールの測定により黄体機能が観察できる8)。
動物実験(ラット)において、ACTHや他のゴナドトロピンの分泌抑制作用は認められていない7),8)。
エストロゲン作用7),8),14)、コルチコイド作用7),13),14)等は認められていない。
卵胞期においてエストラジオール依存的に下垂体から分泌される黄体形成ホルモン等の一過的上昇(LHサージ)は、調節卵巣刺激下の早発排卵の引き金となる。雌アカゲザル及び雌羊を用いたエストラジオール誘発性LHサージモデルにおいて、黄体ホルモン(プロゲステロン)はLHサージを抑制することが認められており15),16)、黄体ホルモンと同様の作用を示すジドロゲステロン7),8),9)はLHサージを抑制することで調節卵巣刺激下の早発排卵を防止すると推定される。
ジドロゲステロン(Dydrogesterone)
9β,10α-Pregna-4,6-diene-3,20-dione
C21H28O2
312.45
白色~淡黄白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはない。クロロホルムに溶けやすく、アセトニトリルにやや溶けやすく、メタノール又はエタノール(95)にやや溶けにくく、ジエチルエーテルに溶けにくく、水にほとんど溶けない。
167~171℃
**100錠[10錠(PTP)×10]140錠[14錠(PTP)×10]
1) Cochrane Database Syst Rev. 2017;5:CD006109
2) Takasu A,et al.:J Chromatogr. 1983;272(2):243-250
3) 大西武夫:日本不妊学会雑誌. 1970;15(3):272-277
4) Beranic N,et al.:Chemico-biological interactions. 2011;191:227-233
5) 徳田源市ほか:デュファストン研究会報告集. 1966:27-31
6) 第十八改正 日本薬局方解説書. 廣川書店. 2021:C-2270-2274
7) 徳田源市ほか:産婦人科の実際. 1965;14(4):270-287
8) 小林隆ほか:産婦人科の世界. 1963;15(9):1097-1103
9) 坂倉啓夫ほか:産婦人科の世界. 1964;16(4):515-521
10) 街風喜雄ほか:日本内分泌学会雑誌. 1963;39(3):213
11) Schöler HFL,et al.:Acta Endocrinologica. 1961;38:128-136
12) 玉田太朗ほか:日本不妊学会雑誌. 1965;10(1):43-48
13) 楠田雅彦ほか:日本不妊学会雑誌. 1964;9(3):210-223
14) Schindler AE,et al.:Maturitas. 2003;46(Suppl.1):S7-S16
15) Dierschke DJ,et al.:Endocrinology. 1973;92(5):1496-1501
16) Harris TG,et al.:Endocrinology. 1999;140(2):827-834
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