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セプトカイン配合注カートリッジ

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
6.用法及び用量
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
9.2腎機能障害患者
9.3肝機能障害患者
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
9.8高齢者
10.相互作用
10.2併用注意(併用に注意すること)
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
13.過量投与
14.適用上の注意
16.薬物動態
16.1血中濃度
16.3分布
16.4代謝
16.5排泄
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
18.薬効薬理
18.1作用機序
19.有効成分に関する理化学的知見
20.取扱い上の注意
21.承認条件
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

セプトカイン配合注カートリッジ

添付文書番号

2710821U1026_1_02

企業コード

671610

作成又は改訂年月

2025年1月改訂(第2版)
2024年10月作成(第1版)

日本標準商品分類番号

87271

薬効分類名

歯科用局所麻酔剤

承認等

セプトカイン配合注カートリッジ

販売名コード

YJコード

2710821U1026

販売名英語表記

Septocaine Combination Injection Cartridge

販売名ひらがな

せぷとかいんはいごうちゅうかーとりっじ

承認番号等

承認番号

30600AMX00244000

販売開始年月

2025年1月

貯法・有効期間

貯法

1~25℃で保存

有効期間

2年

一般的名称

アルチカイン塩酸塩・アドレナリン酒石酸水素塩注射剤

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 本剤の成分又はアミド型局所麻酔薬に対し過敏症の既往歴のある患者

3. 組成・性状

3.1 組成

セプトカイン配合注カートリッジ

1mL中
有効成分アルチカイン塩酸塩   40mg
アドレナリン酒石酸水素塩   0.018mg
添加剤ピロ亜硫酸ナトリウム   0.5mg
塩化ナトリウム   1.6mg
pH調節剤   適量
1管中(1.7mL)
有効成分アルチカイン塩酸塩   68mg
アドレナリン酒石酸水素塩   0.031mg
添加剤ピロ亜硫酸ナトリウム   0.85mg
塩化ナトリウム   2.72mg
pH調節剤   適量

3.2 製剤の性状

セプトカイン配合注カートリッジ

剤形注射剤
pH2.7~5.2
浸透圧比約1
(生理食塩液に対する比)
色・形状無色澄明の液

4. 効能又は効果

歯科領域及び口腔外科領域における浸潤麻酔又は伝達麻酔

6. 用法及び用量

歯科領域における浸潤麻酔又は伝達麻酔の場合、通常、成人には0.5~2.5mL(アルチカイン塩酸塩として20~100mg、アドレナリン酒石酸水素塩として0.009~0.045mg)、口腔外科領域における局所麻酔の場合、通常、成人には1.0~5.1mL(アルチカイン塩酸塩として40~204mg、アドレナリン酒石酸水素塩として0.018~0.0918mg)を使用する。
なお、年齢、麻酔領域、部位、組織、症状、体質により適宜増減するが、増量する場合には注意すること。

8. 重要な基本的注意

  1. 8.1 まれにショックあるいは中毒症状を起こすことがあるので、本剤の投与に際しては、十分な問診により患者の全身状態を把握するとともに、異常が認められた場合に直ちに救急処置のとれるよう、常時準備をしておくこと。
  2. 8.2 本剤の投与に際し、その副作用を完全に防止する方法はないが、ショックあるいは中毒症状をできるだけ避けるために、以下の点に留意すること。
    1. 8.2.1 患者の全身状態の観察を十分に行うこと。
    2. 8.2.2 できるだけ必要最少量にとどめること。
    3. 8.2.3 血管の多い部位(顔面等)に注射する場合には、吸収が速いので、できるだけ少量を投与すること。
    4. 8.2.4 注射針が、血管に入っていないことを確かめること。
    5. 8.2.5 注射の速度はできるだけ遅くすること。
    6. 8.2.6 前投薬や術中に投与した鎮静薬、鎮痛薬等による呼吸抑制が発現することがあるので、これらの薬剤を使用する際は少量より投与し、必要に応じて追加投与することが望ましい。なお、高齢者、小児、全身状態が不良な患者、肥満者、呼吸器疾患を有する患者では特に注意し、異常が認められた際には、適切な処置を行うこと。,,
  3. 8.3 注射針が適切に位置していないなどにより、神経障害が生じることがあるので、穿刺に際し異常を認めた場合には本剤の注入を行わないこと。
  4. 8.4 本剤の投与により、誤嚥・口腔内咬傷の危険性を増加させるおそれがあるので注意すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 次の患者は、症状が悪化するおそれがあるため、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合に限り、慎重に投与すること。
    1. (1) 高血圧のある患者
    2. (2) 動脈硬化のある患者
    3. (3) 心不全のある患者
    4. (4) 甲状腺機能亢進のある患者
    5. (5) 糖尿病のある患者
    6. (6) 血管攣縮の既往のある患者
  2. 9.1.2 心刺激伝導障害のある患者

    症状を悪化させることがある。

  3. 9.1.3 全身状態が不良な患者

    生理機能の低下により麻酔に対する忍容性が低下していることがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1 重症の腎機能障害のある患者

    中毒症状が発現しやすくなる。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1 重症の肝機能障害のある患者

    中毒症状が発現しやすくなる。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

9.7 小児等

国内において小児等を対象とした臨床試験は実施していない。海外において4歳未満の幼児を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の全身状態を観察しながら慎重に投与すること。生理機能の低下により麻酔に対する忍容性が低下していることがある。また、本剤に含まれているアドレナリンの作用に対する感受性が高いことがある。

10. 相互作用

    10.2 併用注意(併用に注意すること)

    薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子

    ハロゲン含有吸入麻酔薬

    • ハロタン等

    頻脈、不整脈、場合によっては心停止を起こすことがある。

    これらの薬剤は、心筋のアドレナリン受容体の感受性を亢進させる。

    三環系抗うつ薬

    • イミプラミン等

    MAO阻害薬

    血圧上昇を起こすことがある。

    これらの薬剤は、アドレナリン作動性神経終末でのカテコールアミンの再取り込みを阻害し、受容体でのカテコールアミン濃度を上昇させ、アドレナリン作動性神経刺激作用を増強させる。

    非選択性β遮断薬

    • プロプラノロール等

    血管収縮、血圧上昇、徐脈を起こすことがある。

    これらの薬剤のβ受容体遮断作用により、アドレナリンのα受容体刺激作用が優位になり、血管抵抗性を上昇させる。

    抗精神病薬(ブチロフェノン系、フェノチアジン系等)

    • ハロペリドール
    • クロルプロマジン等

    α遮断薬

    過度の血圧低下を起こすことがある。

    これらの薬剤のα受容体遮断作用により、アドレナリンのβ受容体刺激作用が優位になり、血圧低下があらわれる。

    分娩促進薬

    • オキシトシン等

    麦角アルカロイド類

    • エルゴメトリン等

    血圧上昇を起こすことがある。

    併用により血管収縮作用が増強される。

    クラスⅢ抗不整脈薬

    • アミオダロン等

    心機能抑制作用が増強するおそれがある。

    作用が増強することが考えられる。

    11. 副作用

    次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    11.1 重大な副作用

    1. 11.1.1 ショック(頻度不明)

      徐脈、不整脈、血圧低下、呼吸抑制、チアノーゼ、意識障害等を生じ、まれに心停止を来すことがある。また、まれにアナフィラキシーショックを起こしたとの報告がある。

    2. 11.1.2 意識障害、振戦、痙攣(いずれも頻度不明)

      意識障害、振戦、痙攣等の中毒症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。

    3. 11.1.3 異常感覚、知覚・運動障害(いずれも頻度不明)

      注射針の留置時に神経に触れることにより一過性の異常感覚が発現することがある。また、神経が注射針や薬剤あるいは虚血によって障害を受けると、まれに持続的な異常感覚、疼痛、知覚障害、運動障害等の神経学的疾患があらわれることがある。

    11.2 その他の副作用

    頻度不明

    中枢神経1)

    眠気、不安、興奮、霧視、眩暈、頭痛

    循環器

    動悸、頻脈、血圧上昇

    消化器1)

    悪心・嘔吐

    過敏症

    蕁麻疹等の皮膚症状、浮腫

    投与部位

    潰瘍、壊死

    1) このような症状があらわれた場合は、ショックあるいは中毒へ移行することがあるので、患者の全身状態の観察を十分に行い、必要に応じて適切な処置を行うこと。

    13. 過量投与

    局所麻酔薬の血中濃度の上昇に伴い、中毒が発現する。特に誤って血管内に投与した場合には、数分以内に発現することがある。その症状は、主に中枢神経系及び心血管系の症状としてあらわれる。

    1. 13.1 症状
      1. 13.1.1 中枢神経系の症状

        初期症状として不安、興奮、多弁、口周囲の知覚麻痺、舌のしびれ、ふらつき、聴覚過敏、耳鳴、視覚障害、振戦等があらわれる。症状が進行すると意識消失、全身痙攣があらわれ、これらの症状に伴い低酸素血症、高炭酸ガス血症が生じるおそれがある。より重篤な場合には呼吸停止を来すこともある。

      2. 13.1.2 心血管系の症状

        血圧低下、徐脈、心筋収縮力低下、心拍出量低下、刺激伝導系の抑制、心室性頻脈及び心室細動等の心室性不整脈、循環虚脱、心停止等があらわれる。

    2. 13.2 処置

      振戦や痙攣が著明であれば、ジアゼパム又は超短時間作用型バルビツール酸製剤(チオペンタールナトリウム等)を投与する。

    14. 適用上の注意

    14.1 使用回数

    本品は一回限り使用のディスポーザブル製剤であるので、再度の使用は避けること。

    14.2 薬剤投与時の注意

    1. 14.2.1 使用前にカートリッジの頭部(アルミキャップ)メンブランをアルコールで軽く消毒すること。
    2. 14.2.2 本剤は、金属を侵す性質があるので、長時間注射針に接触させないことが望ましい。
    3. 14.2.3 強圧をかけずにできるだけゆっくり注射すること。骨膜下への強圧注射は組織の損傷又はガラスカートリッジの破折につながるおそれがある。

    16. 薬物動態

    16.1 血中濃度

    日本人健常成人男性を対象に、1.7mL(1カートリッジ)又は5.1mL(3カートリッジ)を単回口腔粘膜下投与したときのアルチカインの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータはそれぞれ以下のとおりであった1)

    日本人健康成人に本剤を口腔粘膜下投与したときのアルチカインの血漿中薬物動態パラメータ

    投与量

    評価例数

    Cmax
    (ng/mL)

    Tmax
    (h)a)

    AUC
    (h・ng/mL)

    t1/2
    (h)

    1.7mL
    (アルチカイン塩酸塩68mg)

    6

    374.35±97.65

    0.25
    (0.25, 0.25)

    361.10±116.10

    0.753±0.210

    5.1mL
    (アルチカイン塩酸塩204mg)

    6

    694.00±175.23

    0.5
    (0.25, 0.5)

    924.27±231.47

    0.839±0.127

    平均値±標準偏差、a)中央値(最小値, 最大値)

    アルチカインの血漿中濃度推移
    (a:1カートリッジ投与 b:3カートリッジ投与)

    16.3 分布

    アルチカイン及びアルチカイン酸のヒト血清タンパクとの結合率は、pH7.5及びpH8.5においてアルチカインでそれぞれ54及び76%、アルチカイン酸でそれぞれ51及び83%であった(in vitro2)
    ヒト血清アルブミン、ヒトγグロブリン又はヒトα/β-グロブリンに対するアルチカインの結合率は、それぞれ80.8、23.7又は73.4%であった(in vitro3)

    16.4 代謝

    アルチカインは主に血中のカルボキシエステラーゼにより非活性代謝物であるアルチカイン酸に代謝される4)
    また、肝ミクロソームにおいてもP450各分子種によりアルチカイン酸に代謝される(in vitro5)

    16.5 排泄

    本剤1.7又は5.1mLを単回口腔粘膜下投与したとき、投与24時間後までに投与量の53~57%がアルチカイン及びアルチカイン酸として尿中に排泄され、うち、95%がアルチカイン酸、2%がアルチカインとして排泄された(外国人データ)6)

    17. 臨床成績

    17.1 有効性及び安全性に関する試験

    1. 17.1.1 国内第Ⅲ相試験

      下顎埋伏智歯の抜歯を受ける患者86例(本剤群:42例、リドカイン製剤群:44例)を対象に、アドレナリン酒石酸水素塩を含有するリドカイン塩酸塩製剤を対照とした無作為化単盲検並行群間比較試験を実施した。用法・用量は、浸潤麻酔のみの場合、本剤3.4~5.1mL(2~3カートリッジ)又はリドカイン塩酸塩製剤3.6~5.4mL(2~3カートリッジ)を目安に投与され、浸潤麻酔と伝達麻酔を併用する場合は、伝達麻酔として本剤1.7mL(1カートリッジ)又はリドカイン塩酸塩製剤1.8mL(1カートリッジ)を目安に投与した後、浸潤麻酔として本剤1.7~3.4mL(1~2カートリッジ)又はリドカイン塩酸塩製剤1.8~3.6mL(1~2カートリッジ)を目安に投与するとされた。主要評価項目である治験薬投与後の施術中のVAS(患者評価)の平均値[95%信頼区間]は、本剤群で0.90[0.32, 1.48]、リドカイン製剤群で1.37[0.63, 2.11]であり、これらの群間差[95%信頼区間]は-0.46[-1.39, 0.47]であり、95%信頼区間の上限が非劣性マージン(同等限界)である1.0を下回ったことから、リドカイン製剤群に対する本剤群の非劣性が検証された(2標本非劣性t検定、p=0.0012)7)

    18. 薬効薬理

    18.1 作用機序

    アルチカイン塩酸塩は、アミド型局所麻酔薬であり、神経細胞の細胞膜のナトリウムチャネルと結合し、神経における活動電位の伝導を可逆的に抑制し、神経伝達を遮断する8)
    アドレナリンは、血管を収縮させることにより、血管を介したアルチカインの吸収を抑制し、局所麻酔の作用時間を延長させる9)

    18.2 麻酔効果・作用時間

    下顎埋伏智歯の抜歯を行う患者(41例)に本剤を投与したときの麻酔効果の持続時間(平均値±標準偏差)は3.72±1.28時間であった7)

    19. 有効成分に関する理化学的知見

    19.1 アルチカイン塩酸塩

    一般的名称

    アルチカイン塩酸塩 Articaine Hydrochloride(JAN)

    化学名

    Methyl 4-methyl-3-[(2RS)-2-(propylamino)propanoylamino]thiophene-2-carboxylate monohydrochloride

    分子式

    C13H20N2O3S・HCl

    分子量

    320.84

    性状

    アルチカイン塩酸塩は白色の結晶性の粉末である。水、エタノール又はメタノールに溶けやすく、アセトン又はジクロロメタンに溶けにくい。

    化学構造式

    19.2 アドレナリン酒石酸水素塩

    一般的名称

    アドレナリン酒石酸水素塩 Adrenaline bitartrate

    化学名

    (R)-1-(3,4-dihydroxyphenyl)-2-(methylamino)ethanol hydrogentartrate

    分子式

    C9H13NO3・C4H6O6

    分子量

    333.29

    性状

    アドレナリン酒石酸水素塩は白色、灰白色又は帯褐灰色の結晶性の粉末で、においはない。水に溶けやすく、エタノールに溶けにくく、ジエチルエーテル又はクロロホルムにほとんど溶けない。空気又は光によって徐々に褐色となる。

    化学構造式

    20. 取扱い上の注意

    1. 20.1 凍結するとゴム栓の飛び出し又はカートリッジの破損が起こることがあるので、凍結を避けて保存すること。
    2. 20.2 外箱開封後は遮光して保存すること。
    3. 20.3 廃棄の際は感染防止に配慮すること。

    21. 承認条件

    1. 21.1 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

    22. 包装

    1.7mL×50管[カートリッジ]

    24. 文献請求先及び問い合わせ先

    株式会社ジーシー昭和薬品

    〒113-0033 東京都文京区本郷一丁目28番34号

    電話番号 0120-648-914

    26. 製造販売業者等

    26.1 製造販売元

    株式会社ジーシー昭和薬品

    東京都板橋区蓮沼町76番1号

    26.2 製造元

    NOVOCOL PHARMACEUTICAL OF CANADA INC.
    ノボコール社(カナダ)

    26.3 提携先

    セプトドント社(フランス)

    〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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