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劇薬
処方箋医薬品注)
通常、成人にはセルトラリンとして1日25mgを初期用量とし、1日100mgまで漸増し、1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により1日100mgを超えない範囲で適宜増減する。
本剤の投与量は、予測される効果を十分に考慮し、必要最小限となるよう、患者ごとに慎重に観察しながら調節すること。,,,,,,
躁転、自殺企図があらわれることがある。,,,,,,,,,
自殺念慮、自殺企図があらわれることがある。,,,,,,,,,
精神症状を増悪させることがある。,,
痙攣発作を起こすことがある。
QT延長、心室頻拍(torsade de pointesを含む)を起こすおそれがある。,
鼻出血、胃腸出血、血尿等が報告されている。,
眼圧上昇を起こし、症状が悪化するおそれがある。
血中濃度半減期が延長し、AUC及びCmaxが増大することがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中へ移行することが報告されている3)。
高齢者においては、肝機能、腎機能の低下を考慮し、用量等に注意して慎重に投与すること。本剤は、主として肝臓で代謝されるが、高齢者では肝機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続し、出血傾向の増強等がおこるおそれがある。
MAO阻害剤
発汗、不穏、全身痙攣、異常高熱、昏睡等の症状があらわれることがある。なお、MAO阻害剤の投与を受けた患者に本剤を投与する場合、また本剤投与後にMAO阻害剤を投与する場合には、14日間以上の間隔をおくこと。
セロトニンの分解が阻害され、脳内セロトニン濃度が高まると考えられる。
ピモジド(オーラップ),
ピモジドとの併用により、ピモジドのAUC及びCmaxがそれぞれ1.4倍増加したとの報告がある7)。ピモジドはQT延長を引き起こすことがあるので本剤と併用しないこと。
機序不明
メチルチオニニウム塩化物水和物(メチレンブルー)
セロトニン症候群があらわれるおそれがある。
左記薬剤のMAO阻害作用によりセロトニン作用が増強されると考えられる。
リネゾリド
セロトニン症候群の症状(錯乱、協調運動障害、血圧上昇等)があらわれることがある。このような症状があらわれた場合には、本剤と併用薬の両方あるいはいずれか一方の投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
リネゾリドは非選択的、可逆的MAO阻害作用を有する。
5-HT1B/1D受容体作動薬
脱力、反射亢進、協調運動障害、錯乱、不安、焦燥、興奮があらわれることがある。
相互に作用を増強させるおそれがある。
トラマドール塩酸塩含有製剤メサドン塩酸塩ペンタゾシン含有製剤ペチジン塩酸塩含有製剤タペンタドール塩酸塩デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物含有製剤フェンタニル含有製剤
セロトニン作用が増強されるおそれがある。
これらの薬剤はセロトニン作用を有する。
L-トリプトファンを含有する製剤
L-トリプトファンはセロトニンの前駆物質であるため、脳内セロトニン濃度が高まるおそれがある。
セイヨウオトギリソウ(St.John’s Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
セイヨウオトギリソウ(St.John’s Wort、セント・ジョーンズ・ワート)はセロトニン作用を有する。
炭酸リチウム
セロトニンに関連した副作用(振戦等)が増大するおそれがある。
三環系抗うつ剤
薬剤の血中濃度が上昇し、作用が増強されるおそれがある。
本剤がこれらの薬剤の代謝を阻害することがある。
ワルファリン,
ワルファリンのプロトロンビン反応時間曲線下面積が軽度増加(8%)したとの報告がある8)。本剤の投与を開始もしくは中止する場合は、プロトロンビン時間を慎重にモニターすること。
出血傾向が増強する薬剤
異常出血(鼻出血、胃腸出血、血尿等)が報告されているので、注意して投与すること。
SSRIの投与により血小板凝集能が阻害され、これらの薬剤との併用により出血傾向が増大することがある。
血糖降下薬
トルブタミドのクリアランスが減少(16%)したとの報告がある9)。
本剤がこの薬剤の代謝を阻害するためと考えられる。
シメチジン
本剤のAUC及びCmaxの増大(50%、24%)及びt1/2の延長(26%)がみられたとの報告がある10)。
本剤の代謝が阻害されたためと考えられる。
アルコール(飲酒)
本剤投与中は、飲酒を避けることが望ましい。
本剤との相互作用は認められていないが、他の抗うつ剤で作用の増強が報告されている。
QT延長を起こすことが知られている薬剤,
QT延長を起こすおそれがある。
併用によりQT延長作用が相加的に増加するおそれがある。
スルピリン水和物
本剤の血漿中濃度が低下し、有効性が減弱するおそれがある。
併用によりCYP2B6及びCYP3A4が誘導され、本剤の代謝が促進されるためと考えられる。
不安、焦燥、興奮、錯乱、発汗、下痢、発熱、高血圧、固縮、頻脈、ミオクロヌス、自律神経不安定等があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。,,
無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合がある。抗精神病剤との併用時にあらわれることが多いため、特に注意すること。異常が認められた場合には、抗精神病剤及び本剤の投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発現時には、白血球の増加や血清CKの上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。
肝不全、肝炎、黄疸があらわれることがあるので、必要に応じて肝機能検査を行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量の増加、 高張尿、痙攣、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。
異常が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
アナフィラキシー(呼吸困難、喘鳴、血管浮腫等)があらわれることがある。
,,,
11)
1%以上
1%未満
頻度不明
精神系
睡眠障害(不眠等)、錯乱状態
悪夢、易刺激性、易興奮性、うつ病、躁病、精神症、多幸症、リビドー減退、記憶障害、注意力障害
攻撃的反応、不安、焦燥、興奮、幻覚
神経系
傾眠(15.2%)、頭痛、浮動性めまい、振戦、感覚減退
起立性めまい、味覚異常、頭部不快感、運動障害(アカシジア、錐体外路症状、運動過多、歯ぎしり、歩行異常等)、錯感覚
不随意性筋収縮、ジスキネジー、ジストニー、片頭痛、失神
感覚器
調節障害、視覚異常(霧視、羞明、視力低下等)、耳鳴、耳閉感、回転性眩暈
散瞳
循環器
動悸
起立性低血圧、血圧低下、血圧上昇、頻脈
肝臓
ALT増加、AST増加、γ-GTP増加
LDH増加、Al-P増加、総ビリルビン増加、直接ビリルビン増加
*血液
白血球数増加又は減少、単球増加、出血傾向(鼻出血、胃腸出血、血尿等)
血小板機能異常、紫斑、斑状出血、皮下出血
消化器系
悪心・嘔吐(20.3%)、口内乾燥、下痢・軟便、便秘、腹部不快感、腹痛、腹部膨満、消化不良、食欲不振
胃腸障害、食欲亢進
膵炎
過敏症
発疹
蕁麻疹、そう痒症、顔面浮腫、眼窩周囲浮腫
光線過敏性反応
泌尿器・生殖器
排尿困難、尿閉、頻尿、性機能障害(射精遅延、持続勃起症等)、月経障害
尿失禁・夜尿、乳汁漏出症、女性化乳房
筋・骨格系
背部痛、関節痛、筋緊張異常(筋硬直、筋緊張亢進、筋痙攣等)
開口障害
代謝・内分泌
総蛋白減少、総コレステロール増加、尿糖、尿蛋白
甲状腺機能低下症、低ナトリウム血症、高プロラクチン血症、血糖異常
その他
倦怠感、多汗(発汗、寝汗等)
無力症、熱感、異常感、胸痛、胸部圧迫感、疲労、発熱、ほてり、悪寒、体重減少、体重増加、末梢性浮腫、あくび、脱毛症
気管支痙攣、好酸球性肺炎
本剤の過量投与、又は本剤の過量投与と他剤やアルコールとの併用による死亡例が海外で報告されている。
傾眠、胃腸障害(悪心・嘔吐等)、頻脈、振戦、不安、焦燥、興奮、浮動性めまいのようなセロトニン性の副作用であり、まれに昏睡が認められた。
特異的な解毒剤は知られていない。活性炭投与等の適切な処置を行うこと。催吐は薦められない。本剤は分布容積が大きいので、強制利尿、透析、血液灌流及び交換輸血はあまり効果的でない。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
本剤は舌の上にのせて唾液を湿潤させると崩壊するため、水なしで服用可能である。また、水で服用することもできる。
健康成人男性(6例)にセルトラリン50、100及び200mg注)を食後に単回経口投与した時の最高血漿中濃度(Cmax)はそれぞれ15.1、30.8及び90.8ng/mL、血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC0-∞)はそれぞれ0.557、1.081及び2.975μg・hr/mLであり用量に伴い増加した。また、血漿中濃度半減期(T1/2)は50、100及び200mg注)投与に対し、それぞれ22.5、24.1及び23.4時間であった14)。
投与量(mg)
n
Cmax(ng/mL)
Tmax(hr)
T1/2(hr)
AUC0-∞(μg・hr/mL)
50
6
15.1±4.3
8.7±2.1
22.5±8.1
0.557±0.261
100
30.8±7.9
6.7±1.0
24.1±7.9
1.081±0.551
200注)
90.8±15.0
6.3±1.5
23.4±6.2
2.975±1.001
(平均値±標準偏差)Tmax:最高濃度到達時間
健康成人男性(6例)にセルトラリン100mgを1日1回10日間朝食後に反復経口投与した時の血漿中濃度は投与5日目には定常状態に達し、10日間の反復投与により理論値(R=2.0)を超える蓄積(投与1日目:Cmax 40.5ng/mL、AUC0-24 0.612μg・hr/mL、10日目:Cmax 69.9ng/mL、AUC0-24 1.22μg・hr/mL)は認められなかった15)。
セルトラリン錠50mg「アメル」及びセルトラリン錠100mg「アメル」と各標準製剤について、下記のとおりクロスオーバー法により健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された16)。
標準製剤
試験投与量
セルトラリン錠50mg「アメル」
ジェイゾロフト錠50mg
それぞれ1錠(セルトラリンとして50mg)
セルトラリン錠100mg「アメル」
セルトラリン錠100mg「アメル」1錠、標準製剤2錠(それぞれセルトラリンとして100mg)
判定パラメータ
参考パラメータ
AUC(0→96)(ng・hr/mL)
535.25±187.91
18.81±5.77
5.7±0.8
24.98±4.74
499.98±207.51
17.39±6.60
5.5±0.7
25.29±4.49
(Mean±S.D.,n=24)
923.47±281.60
39.13±9.01
4.6±0.9
24.36±4.55
892.81±290.70
34.60±8.63
5.0±0.6
24.80±4.60
セルトラリンOD錠50mg「アメル」とジェイゾロフト錠50mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(セルトラリンとして50mg)健康成人男子に水なし又は水ありで絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~ log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された16)。
セルトラリンOD錠50mg「アメル」
340.81±112.56
11.09±2.82
6.1±1.1
25.00±4.16
ジェイゾロフト錠50mg※
376.63±121.38
13.09±3.36
5.9±1.2
25.09±4.65
(Mean±S.D.,n=62)※水で服用
449.36±177.70
14.62±3.98
25.48±6.03
460.35±180.51
15.55±4.65
5.6±0.7
26.22±7.88
(Mean±S.D.,n=22)
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
健康成人男性(12例)にセルトラリン75mgを空腹時及び食後に単回経口投与し、薬物動態を比較した。食後投与時のCmaxは21.9ng/mLであり、空腹時投与時の18.1ng/mLに比べて高く、有意な差が認められたものの、AUC0-∞、Tmax及びT1/2には有意差は認められなかった17)。
in vitroにおけるヒト血清蛋白結合率は約98.5%であった18)。
大うつ病を伴う授乳婦(26例)にセルトラリン25~200mg注)を1日1回、14日間以上反復経口投与した時、いずれの授乳婦の乳汁においてもセルトラリンは検出され、乳児の血清においてもセルトラリンが確認された3)(外国人データ)。
腎機能障害患者(24例)にセルトラリン100mgを食後に単回経口投与した時、セルトラリンの血漿中濃度は腎機能の障害により高くなる傾向を示したが、その上昇の程度は小さかった20)(外国人データ)。
慢性非活動性肝不全患者(Child-Pughの分類A及びB、10例)にセルトラリン100mgを単回経口投与した時の血漿中濃度推移は、健康成人と比較して、Cmaxが約1.7倍、AUC0-∞が4.4倍増加し、T1/2は2.3倍延長した。また、セルトラリン50mgを肝機能障害者(改訂Child-Pughの分類A及びB、10例)に21日間反復経口投与した時、単回投与時と同様の傾向が認められた21)(外国人データ)。
高齢うつ病患者(日本人、男性5例、女性8例、65歳以上)にセルトラリンを1日1回、最高6週間反復経口投与(25mg/日から75mg/日まで増量)した。高齢者のT1/2(男性30.7時間、女性35.7時間)は、健康成人男性の23.4時間と比較して長くなる傾向が認められた15),22)。高齢者(外国人、男性11例、女性11例、65歳以上)及び成人(外国人、男性11例、女性11例、18~45歳)にセルトラリンを1日1回、30日間反復経口投与(50mg/日から200mg/日注)まで増量)した。成人男性の最終投与後のCmaxは117.5ng/mLであり、高齢者(男性135.4ng/mL、女性147.1ng/mL)及び成人女性(165.6ng/mL)に比べ低かったが、AUCにはいずれの群間でも有意な差は認められなかった23),24)。
健康成人男性(15例)にセルトラリン反復投与(50mg/日から200mg/日注)まで増量)前及び投与22日目にワルファリン0.75mg/kgを単回経口投与し、ワルファリンのプロトロンビン反応時間曲線下面積(AUC0-120)及び血漿蛋白結合率を比較した。セルトラリンとワルファリンの併用投与により、わずかながら有意な変化が認められた8),25)(外国人データ)。
健康成人男性(25例)にセルトラリン反復投与(50mg/日から200mg/日注)まで増量)前及び投与22日目にトルブタミド1000mgを単回静脈内投与した時のトルブタミドの薬物動態を検討した。セルトラリンとトルブタミドの併用投与により、トルブタミドのクリアランスに軽度な低下が認められた9)(外国人データ)。
健康成人男性(12例)にシメチジン800mgを8日間反復投与し、投与2日目にセルトラリン100mgを単回併用投与した時のセルトラリンの薬物動態を検討した。シメチジンの併用により、プラセボ併用時に比べセルトラリンのAUC0-∞は約50%、Cmax及びT1/2は約25%増大した10)(外国人データ)。注)本剤の承認用量は1日100mgまでである。
セルトラリン錠25mg「アメル」及びセルトラリンOD錠25mg「アメル」について、「含量が異なる経口固形製剤の生物学的同等性試験ガイドライン(平成24年2月29日 薬食審査発0229第10号)」に基づき、セルトラリン錠50mg「アメル」及びセルトラリンOD錠50mg「アメル」を標準製剤としたとき、溶出挙動が同等と判断され、生物学的に同等とみなされた26)。
前期第Ⅱ相試験(内科・心療内科)、前期第Ⅱ相試験(精神科)、後期第Ⅱ相試験、第Ⅲ相試験(内科・心療内科)、第Ⅲ相試験(精神科)、ランダム化治療中止試験、高齢者試験及び長期投与試験を総合(計8試験)した場合、セルトラリン塩酸塩の改善率は55.7%(491/882例)であった。初期用量で効果が認められない患者においても、増量することで効果が認められた。ただし、第Ⅲ相試験ではトラゾドン塩酸塩及びアミトリプチリン塩酸塩と比較する二つの二重盲検比較試験が行われたが、有効性について両薬剤と同等、あるいはそれ以上の効果を有することは検証されなかった。有効性を検討した上記8試験に再燃抑制試験を加え総合(計9試験)した場合、副作用発現頻度は51.5%(497/965例)であった。主な副作用は悪心13.2%(127/965例)、傾眠12.3%(119/965例)、口内乾燥10.2%(98/965例)、頭痛6.8%(66/965例)及び下痢5.0%(48/965例)であった27),28),29)。
主要評価項目であるセルトラリン塩酸塩の再燃率は8.5%(10/117例)であり、プラセボの19.5%(23/118例)に比べ、統計的に有意に低かった。また、Kaplan-Meier法による再燃-時間の推定曲線から、セルトラリン塩酸塩の再燃率は二重盲検期を通してプラセボに比べて統計的に有意に低く推移した。副次的評価項目であるハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)合計点はプラセボに比べて統計的に有意に少なく、Quality of Life Enjoyment and Satisfaction Questionnaire(Q-LES-Q)スコアにおいてもプラセボに比べて統計的に有意な改善が、二重盲検期において認められた30)。
セルトラリン塩酸塩群(症例数:117a))
プラセボ群(症例数:118)
二重盲検期開始時
終了・中止時
HAM-D合計点b)
8.3±3.4
6.3±6.2
8.1±3.3
9.7±7.2
全般改善度における改善率
81.2%(95/117)
84.6%(99/117)
87.3%(103/118)
67.8%(80/118)
Q-LES-Qスコアb)
62.9±11.2
67.4±15.3
64.2±10.4
61.3±12.6
a)Q-LES-Qスコアにおける終了・中止時の症例数は116例b)平均値±標準偏差
副作用発現頻度は、非盲検期66.2%(239/361例)であり、主な副作用は悪心、傾眠、口内乾燥、頭痛であった。また、二重盲検期では、セルトラリン塩酸塩群29.9%(35/117例)、プラセボ群31.4%(37/118例)であった。主な副作用は、セルトラリン塩酸塩群で傾眠、頭痛、浮動性めまい、下痢及び上腹部痛であった30),31)。セルトラリン塩酸塩を用いた治療によって改善の得られたうつ状態の再燃を抑える点でプラセボより優れていることを検証したが、うつ状態の改善における有効性では、すでに発売されている抗うつ薬(トラゾドン塩酸塩及びアミトリプチリン塩酸塩)と同等あるいはそれ以上の効果があることを検証していない。
前期第Ⅱ相試験、後期第Ⅱ相試験及びランダム化治療中止試験を総合(計3試験)した場合、改善率は72.7%(352/484例)であった。初期用量で効果が認められない患者においても、増量することで効果が認められた。副作用発現頻度は74.9%(384/513例)であった。主な副作用は、悪心29.6%(152/513例)、傾眠20.7%(106/513例)、頭痛9.6%(49/513例)、下痢9.2%(47/513例)、口内乾燥7.6%(39/513例)、浮動性めまい7.6%(39/513例)、倦怠感6.6%(34/513例)、食欲不振6.6%(34/513例)、胃不快感6.0%(31/513例)、食欲減退5.8%(30/513例)であった29),32)。
プラセボ群、セルトラリン塩酸塩25-75mg群(低用量群)、50-150mg注)群(高用量群)の3群間で二重盲検比較試験が行われた結果、全般改善度ではプラセボ群との間に有意差は認められなかった。また、パニック発作の回数では、投与前の発作回数に群間で不均衡がみられたが、プラセボに比べて高用量群では有意な減少は認められなかったものの、低用量群において有意な減少が認められた。副作用発現頻度は、低用量群で55.3%(26/47例)、高用量群で56.8%(25/44例)であった。主な副作用は低用量群で下痢、傾眠及び悪心、高用量群で悪心であった33)。
主要評価項目であるセルトラリン塩酸塩の再燃率は10.1%(12/119例)であり、プラセボの13.2%(16/121例)に比べて低かったが、有意差は認められなかった。また、Kaplan-Meier法による再燃-時間の推定曲線から、セルトラリン塩酸塩の再燃率は二重盲検期を通してプラセボに比べて低く推移したが有意な差は認められなかった。副次的評価項目である全般改善度における改善率、パニック発作の回数、パニック障害重症度評価尺度(PDSS)合計点においては二重盲検期において、プラセボに比べて統計的に有意な差が認められた。
セルトラリン塩酸塩群(症例数:119)
プラセボ群(症例数:121)
100%(119/119)
89.9%(107/119)
100%(121/121)
74.4%(90/121)
パニック発作の回数(回/週)a)b)
0.8±1.7
0.6±1.3
0.9±2.1
1.0±1.8
PDSS合計点b)
5.7±3.6
4.3±4.1
6.5±3.7
6.4±4.7
a)対数変換を施し解析を実施したb)平均値±標準偏差
副作用発現頻度は、非盲検期で81.5%(321/394例)であり、主な副作用は悪心、傾眠、頭痛であった。また、二重盲検期では、26.9%(32/119例)であり、主な副作用は悪心、頭痛、初期不眠症、下痢及び寝汗であった34),35)。
パロキセチンを対照とした二重盲検比較試験(製造販売後臨床試験)における主要評価項目である12週・中止時のPanic and Agoraphobia Scale(PAS)合計点において、セルトラリン塩酸塩の有効性はパロキセチンと同程度であった36)。
対象例数
セルトラリン
パロキセチン
120
117
調整済み平均a)(95%信頼区間)
-17.5(-19.0,-16.0)
-16.7(-18.2,-15.1)
調整済み平均の差a)(95%信頼区間)
-0.9(-3.0,1.3)
a)ベースラインのPAS合計点で調整
セルトラリン塩酸塩が投与された治療期の総症例147例中100例(68.0%)に243件の副作用が発現した。主な副作用は、悪心30例(20.4%)、傾眠30例(20.4%)、下痢22例(15.0%)であった。注)本剤の承認用量は1日100mgまでである。
セルトラリン塩酸塩は脳内セロトニン神経に存在するセロトニン再取り込み機構を強力かつ選択的に阻害する薬物であり、脳内のシナプス間隙におけるセロトニン濃度を高めて持続的にセロトニン神経伝達を亢進するものと考えられる37),38),39)。
m-クロロフェニルピペラジン(m-CPP)の投与によるラットの自発運動量の減少を軽減した44)。
セルトラリン塩酸塩(Sertraline Hydrochloride)
(+)-(1S,4S)-4-(3,4-Dichlorophenyl)-1,2,3,4-tetrahydro-N-methyl-1-naphthylamine monohydrochloride
C17H17Cl2N・HCl
342.69
白色の結晶性の粉末である。メタノール、エタノール(95)、N,N-ジメチルアセトアミドにやや溶けやすく、水に溶けにくい。
アルミピロー開封後は湿気を避けて保存すること。
100錠[10錠(PTP)×10]500錠[10錠(PTP)×50]500錠[瓶、バラ]
100錠[10錠(PTP)×10]
100錠[10錠(PTP)×10、乾燥剤入り]
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6) Obach, R. S. et al.:Drug Metab Dispos. 2005;33(2):262-270
7) Alderman, J.:Clin Ther. 2005;27(7):1050-1063
8) Apseloff, G. et al.:Clin Pharmacokinet. 1997;32(Suppl.1):37-42
9) Tremaine, L. M. et al.:Clin Pharmacokinet. 1997;32(Suppl.1):31-36
10) シメチジンとの薬物相互作用(ジェイゾロフト錠:2006年4月20日承認、申請資料概要 ヘ.3.(4).3))
11) *MID-NET®を用いた調査結果の概要(MID-NET®を用いた抗うつ薬による血小板減少指標への影響評価):https://www.pmda.go.jp/files/000265771.pdf
12) Safarinejad, M. R.:J Urol. 2008;180(5):2124-2128
13) Tanrikut, C. et al.:Fertil Steril. 2010;94(3):1021-1026
14) 上島国利, 他:神経精神薬理. 1997;19(6):395-423
15) 上島国利, 他:神経精神薬理. 1997;19(6):425-447
16) 社内資料:生物学的同等性試験[錠50mg、錠100mg、OD錠50mg]
17) 上島国利, 他:神経精神薬理. 1997;19(6):461-470
18) 血清蛋白結合(ジェイゾロフト錠:2006年4月20日承認、申請資料概要 ヘ.2.(2).4))
19) 血漿及び尿・糞中代謝物(ジェイゾロフト錠:2006年4月20日承認、申請資料概要 ヘ.3.(3).1))
20) 腎機能低下者における試験(ジェイゾロフト錠:2006年4月20日承認、申請資料概要 ヘ.3.(5).1))
21) 肝機能低下者における試験(ジェイゾロフト錠:2006年4月20日承認、申請資料概要 ヘ.3.(5).2))
22) 上島国利, 他:神経精神薬理. 1997;19(6):569-585
23) Ronfeld, R. A. et al.:Clin Pharmacokinet. 1997;32(Suppl.1):22-30
24) 高齢者における試験(ジェイゾロフト錠:2006年4月20日承認、申請資料概要 ヘ.3.(1).4)
25) 薬物相互作用(ジェイゾロフト錠:2006年4月20日承認、審査報告書)
26) 社内資料:生物学的同等性試験(溶出挙動比較)
27) 有効性のまとめ,うつ病及びうつ状態のまとめ(ジェイゾロフト錠:2006年4月20日承認、申請資料概要 ト.2.(1).1))
28) うつ病及びうつ状態を対象とした臨床試験・第Ⅲ相試験(ジェイゾロフト錠:2006年4月20日承認、申請資料概要 ト.1.(2).1)③)
29) 安全性のまとめ(ジェイゾロフト錠:2006年4月20日承認、申請資料概要 ト.2.(2))
30) Kamijima, K. et al.:Int Clin Psychopharmacol. 2006;21(1):1-9
31) うつ病及びうつ状態を対象とした臨床試験・ランダム化治療中止試験(ジェイゾロフト錠:2006年4月20日承認、申請資料概要 ト.1.(2).1).④)
32) 臨床試験成績のまとめ,パニック障害(ジェイゾロフト錠:2006年4月20日承認、申請資料概要 ト.2.(1).2))
33) パニック障害を対象とした臨床試験・後期第Ⅱ相試験(ジェイゾロフト錠:2006年4月20日承認、申請資料概要 ト.1.(3).1).②)
34) Kamijima, K. et al.:Int Clin Psychopharmacol. 2005;20(5):265-273
35) パニック障害を対象とした臨床試験・ランダム化治療中止試験(ジェイゾロフト錠:2006年4月20日承認、申請資料概要 ト.1.(3).1).③)
36) 製造販売後試験の概要(ジェイゾロフト錠:2016年3月25日承認、再審査報告書)
37) 各種受容体に対する作用(ジェイゾロフト錠:2006年4月20日承認、申請資料概要 ホ.1.(2).5))
38) Sprouse, J. et al.:Neuropsychopharmacology. 1996;14(4):225-231
39) Koe, B. K. et al.:J Pharmacol Exp Ther. 1983;226(3):686-700
40) Tadokoro, C. et al.:Psychopharmacology. 1997;130(2):124-130
41) Butler, J. et al.:Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry. 1988;12(5):585-594
42) Kennett, G. A. et al.:Eur J Pharmacol. 1987;134(3):265-274
43) 山中教造, 他:神経精神薬理. 1997;19(6):387-393
44) Kennedy, A. J. et al.:Psychopharmacology. 1993;113(2):262-268
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