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L−ケフラール顆粒

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
5.効能又は効果に関連する注意
6.用法及び用量
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
9.2腎機能障害患者
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.8高齢者
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
12.臨床検査結果に及ぼす影響
14.適用上の注意
16.薬物動態
16.1血中濃度
16.3分布
16.4代謝
16.5排泄
16.6特定の背景を有する患者
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
18.薬効薬理
18.1作用機序
18.2抗菌作用
19.有効成分に関する理化学的知見
20.取扱い上の注意
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

L−ケフラール顆粒

添付文書番号

6132005E1020_3_03

企業コード

672173

作成又は改訂年月

2023年4月改訂(第1版)

日本標準商品分類番号

876132

薬効分類名

持続性経口用セフェム系抗生物質製剤

承認等

L−ケフラール顆粒

販売名コード

YJコード

6132005E1020

販売名英語表記

L-Kefral Granules

承認番号等

承認番号

16300EMZ02013

販売開始年月

1988年11月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

2年

基準名

日本薬局方

セファクロル複合顆粒

一般的名称

セファクロル

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

3. 組成・性状

3.1 組成

L−ケフラール顆粒

有効成分1包(0.75g)中、日局セファクロル375mg(力価)を含有する。
 胃溶性粒:セファクロル150mg(力価)
 腸溶性粒:セファクロル225mg(力価)  
添加剤D-マンニトール、トウモロコシデンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、β-カロテン、流動パラフィン、アラビアゴム、プロピレングリコール、リン酸、アスコルビン酸、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル、タルク、クエン酸トリエチル、ソルビタンセスキオレイン酸エステル、含水二酸化ケイ素

3.2 製剤の性状

L−ケフラール顆粒

性状・剤形わずかに特異なにおいのある淡黄白色~淡黄褐色の顆粒の混合物である。

4. 効能又は効果

  • 〈適応菌種〉

    本剤に感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属(肺炎球菌を除く)、大腸菌、クレブシエラ属、インフルエンザ菌

  • 〈適応症〉
    • 深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症
    • 咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、慢性呼吸器病変の二次感染
    • 中耳炎

5. 効能又は効果に関連する注意

  • 〈咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、中耳炎〉

    「抗微生物薬適正使用の手引き」1)を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与すること。

6. 用法及び用量

通常、成人及び体重20kg以上の小児には、セファクロルとして1日750mg(力価)(本剤2包)を2回に分割して、朝、夕食後に経口投与する。
重症の場合や分離菌の感受性が比較的低い症例には、セファクロルとして1日1500mg(力価)(本剤4包)を2回に分割して、朝、夕食後に経口投与する。
なお、年齢、体重、症状等に応じ適宜増減する。

8. 重要な基本的注意

  1. 8.1 ショックがあらわれるおそれがあるので、十分な問診を行うこと。
  2. 8.2 本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
  3. 8.3 急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、定期的に腎機能検査を行うなど観察を十分に行うこと。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 セフェム系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者(ただし、本剤に対し過敏症の既往歴のある患者には投与しないこと)

    治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しない。

  2. 9.1.2 ペニシリン系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者
  3. 9.1.3 本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー症状を起こしやすい体質を有する患者
  4. 9.1.4 経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者

    観察を十分に行うこと。ビタミンK欠乏症状があらわれることがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1 高度の腎障害のある患者

    投与量を減らすか、投与間隔をあけて使用すること。血中濃度が持続する。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中へ移行することが報告されている。

9.8 高齢者

  • 次の点に注意し、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
    • 生理機能が低下していることが多く副作用が発現しやすい。
    • ビタミンK欠乏による出血傾向があらわれることがある。

11. 副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

11.1 重大な副作用

  1. 11.1.1 ショック、アナフィラキシー(いずれも0.1%未満)

    ショック、アナフィラキシー(呼吸困難、喘鳴、全身潮紅、浮腫等)を起こすことがある。

  2. 11.1.2 急性腎障害(頻度不明)

    急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがある。

  3. 11.1.3 汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少(いずれも頻度不明)
  4. 11.1.4 偽膜性大腸炎(0.1%未満)

    偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎があらわれることがある。腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には、直ちに投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

  5. 11.1.5 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(いずれも頻度不明)
  6. 11.1.6 間質性肺炎、PIE症候群(いずれも頻度不明)

    発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎、PIE症候群等があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。

  7. 11.1.7 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)

    AST、ALT、Al-Pの著しい上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。

  8. 11.1.8 溶血性貧血

11.2 その他の副作用

0.1~5%未満

0.1%未満

頻度不明

過敏症

発疹

蕁麻疹、紅斑、そう痒、発熱等

リンパ腺腫脹、関節痛

血液

顆粒球減少、貧血(赤血球減少、ヘモグロビン減少、ヘマトクリット減少)、血小板減少、好酸球増多等

肝臓

AST上昇、ALT上昇

Al-P上昇

黄疸

腎臓

BUN上昇、血清クレアチニン上昇

消化器

悪心、下痢、腹痛

嘔吐、胃不快感、胸やけ、食欲不振等

菌交代症

口内炎、カンジダ症

ビタミン欠乏症

ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症、出血傾向等)、ビタミンB群欠乏症状(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等)

その他

頭痛、めまい等

12. 臨床検査結果に及ぼす影響

  1. 12.1 テステープ反応を除くベネディクト試薬、フェーリング試薬による尿糖検査では偽陽性を呈することがあるので注意すること。
  2. 12.2 直接クームス試験陽性を呈することがあるので注意すること。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意

原則としてSP包装のまま調剤すること。SP包装を開封して調剤すると2種類の顆粒が偏析を起こし、混合比率が変化することがあるので注意すること。

14.2 薬剤投与時の注意

  1. 14.2.1 かまずに服用するように注意すること。
  2. 14.2.2 制酸剤を配合したり、同時に服用すると、本剤の腸溶性が損なわれるおそれがあるので避けることが望ましい。やむを得ず併用するときは十分に服用間隔をあけること。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 単回投与

    健康成人に、セファクロル複合顆粒375mg(力価)を食後単回経口投与したときの血漿中濃度及び薬物動態パラメータを図16-1及び表16-1に示す2)。L-ケフラールは、溶出pHの異なる2種のセファクロル顆粒を配合することで、血中セファクロル濃度を速く高めるとともに長く維持することができる持続性製剤である。

    図16-1 経口投与時の血漿中濃度
    表16-1 薬物動態パラメータ

    投与量
    [mg(力価)]

    n

    Cmax
    (μg/mL)

    Tmax
    (hr)

    AUC0-10
    (μg・hr/mL)

    375

    12

    2.4

    1.7

    10.7

    (測定法:bioassay)(mean)

16.3 分布

  1. 16.3.1 経口投与後、喀痰中に移行が認められた3)
  2. 16.3.2 乳汁中に移行が認められた4)。(セファクロル通常製剤でのデータ)
  3. 16.3.3 血漿蛋白結合率:限外ろ過法にて測定されたセファクロルの血漿蛋白結合率は23.1%であった5)

16.4 代謝

ラット、マウス、ウサギ、イヌにセファクロルを経口投与後、大部分が未変化体のまま尿中に排泄され、主要代謝物は尿中に認められなかった5)

16.5 排泄

主として腎より排泄され、健康成人12例に375mg(力価)食後単回経口投与後12時間の尿中回収率は約56%であった2)

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1 腎機能障害患者

    セファクロル複合顆粒375mg(力価)を食後単回経口投与したとき、障害の程度に応じてCmaxが高値を示した。また、血中からの消失が遅延していた6)

    図16-2 経口投与時の血中濃度
    表16-2 薬物動態パラメータ

    記号

    腎機能

    n

    年齢
    (歳)

    Ccr
    (mL/min)

    Cmax
    (μg/mL)

    Tmax
    (hr)

    AUC0-12
    (μg・hr/mL)

    T1/2
    (hr)

    高度障害

    6

    52

    6.8

    10.7

    5.2

    61.0注1

    3.0注2

    中等度障害

    4

    79

    29.2

    7.9

    2.8

    36.2

    2.1

    正常

    3

    64

    74.8

    4.1

    1.7

    11.4

    0.5

    注1:0~8時間
    注2:0~6時間
    (測定法:bioassay)(mean)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験

  1. 17.1.1 一般臨床試験

    有効性評価対象例は456例(カプセル投与例を含む)であり、有効率は76.5%(349例)であった4),7),8),9),10),11),12),13),14),15),16),17)。(※L-ケフラールカプセルは販売中止)
    臨床成績を表17-1に示す。

    表17-1 臨床成績

    疾患名

    有効例数/有効性評価対象例数

    有効率(%)

    深在性皮膚感染症
    リンパ管・リンパ節炎
    慢性膿皮症
    咽頭・喉頭炎
    扁桃炎
    急性気管支炎
    慢性呼吸器病変の二次感染
    中耳炎

    26/36
    0/1
    36/42
    13/17
    84/88
    66/82
    92/121
    32/69

    72.2

    85.7
    76.5
    95.5
    80.5
    76.0
    46.4

18. 薬効薬理

18.1 作用機序

細菌の細胞壁合成を阻害することにより抗菌作用を発揮し、作用は殺菌的である。セファレキシンより低濃度・短時間で殺菌に至らしめる18),19)

18.2 抗菌作用

セファクロルは、試験管内で好気性グラム陽性菌のブドウ球菌属、レンサ球菌属(肺炎球菌を除く)、グラム陰性菌の大腸菌、クレブシエラ属、インフルエンザ菌に対して抗菌力を示す。リケッチア属、クラミジア属、マイコプラズマ属、ウイルス、真菌及び原虫には増殖阻止効果を示さない。細菌の産生する不活化酵素セファロスポリナーゼに対して、試験管内で安定性を示す18),19),20)

19. 有効成分に関する理化学的知見

一般的名称

セファクロル(Cefaclor)

化学名

(6R,7R)-7-[(2R)-2-Amino-2-phenylacetylamino]-3-chloro-8-oxo-5-thia-1-azabicyclo[4.2.0]oct-2-ene-2-carboxylic acid

分子式

C15H14ClN3O4S

分子量

367.81

性状

白色~黄白色の結晶性の粉末である。
水又はメタノールに溶けにくく、N,N-ジメチルホルムアミド又はエタノール(99.5)にほとんど溶けない。

化学構造式

融点

約199℃(分解)

分配係数

0.017[pH7.4、1-オクタノール/緩衝液]

略号

CCL

20. 取扱い上の注意

外箱開封後は遮光して保存すること。

22. 包装

100包[0.75g(SP)×100]

23. 主要文献

1) 厚生労働省健康局結核感染症課編:抗微生物薬適正使用の手引き

2) 大友正明, 他:Jpn. J. Antibiot. 1985;38(3):822-833

3) 大泉耕太郎, 他:最新医学. 1985;40(8):1747-1757

4) 高瀬善次郎, 他:Chemotherapy. 1979;27(S-7):666-672

5) 吉田正, 他:Chemotherapy. 1979;27(S-7):105-115

6) 荒川創一, 他:基礎と臨床. 1992. 26(13):5147-5155

7) 小田切繁樹, 他:Jpn. J. Antibiot. 1988;41(9):1325-1333

8) 谷本晋一, 他:Jpn. J. Antibiot. 1988;41(9):1319-1324

9) 平賀洋明, 他:Jpn. J. Antibiot. 1988;41(9):1304-1308

10) 林泉, 他:Jpn. J. Antibiot. 1988;41(9):1313-1318

11) 青沼清一, 他:Jpn. J. Antibiot. 1988;41(9):1309-1312

12) 高木健三, 他:共和薬品工業社内資料(S6472(持続性顆粒製剤)の呼吸器感染症に対する臨床的検討). 1987

13) 藤本幹夫, 他:共和薬品工業社内資料(S6472(持続性L-ケフラール顆粒)の臨床的検討). 1987

14) 藤本幹夫, 他:Jpn. J. Antibiot. 1985;38(3):849-857

15) 由良二郎, 他:Jpn. J. Antibiot. 1985;38(3):859-868

16) 守殿貞夫, 他:Jpn. J. Antibiot. 1985;38(3):869-904

17) 馬場駿吉, 他:Jpn. J. Antibiot. 1985;38(7):1750-1760

18) 吉田正, 他:Chemotherapy. 1979;27(S-7):71-97

19) 加藤博, 他:Chemotherapy. 1979;27(S-7):150-157

20) 五島瑳智子, 他:Chemotherapy. 1979;27(S-7):1-13

24. 文献請求先及び問い合わせ先

共和薬品工業株式会社 お問い合わせ窓口

〒530-0005 大阪市北区中之島3-2-4

 0120-041-189
FAX 06-6121-2858

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元

共和薬品工業株式会社

大阪市北区中之島3-2-4

〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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