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日本薬局方
アンピロキシカムカプセル
下記疾患並びに症状の鎮痛、消炎
通常、成人にはアンピロキシカムとして27mgを1日1回食後に経口投与する。なお、年齢、症状により適宜減量する。
消化性潰瘍を再発させることがある。,
本剤を継続投与する場合には、十分経過を観察し、慎重に投与すること。ミソプロストールは非ステロイド性消炎鎮痛剤により生じた消化性潰瘍を効能・効果としているが、ミソプロストールによる治療に抵抗性を示す消化性潰瘍もある。
血液の異常を悪化又は再発させることがある。,
血小板機能異常が起こることがある。
水、ナトリウムの貯留が起こる可能性があり、心機能障害を悪化させるおそれがある。
水、ナトリウムの貯留が起こる可能性があり、血圧を上昇させるおそれがある。
喘息発作を誘発させることがある。
病態を悪化させることがある。
必要に応じて適切な抗菌剤を併用し、観察を十分に行い慎重に投与すること。感染症を不顕性化するおそれがある。
投与しないこと。腎機能障害を悪化させることがある。,
腎機能障害を悪化又は再発させることがある。
投与しないこと。肝機能障害を悪化させることがある。,
肝機能障害を悪化又は再発させることがある。
投与しないこと。動物実験(ラット)で周産期投与により分娩遅延が報告されている1)。妊娠後期のラットに投与した実験で、胎仔の動脈管収縮が報告されている2)。,
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。投与する際には、必要最小限にとどめ、羊水量、胎児の動脈管収縮を疑う所見を妊娠週数や投与日数を考慮して適宜確認するなど慎重に投与すること。シクロオキシゲナーゼ阻害剤(経口剤、坐剤)を妊婦に使用し、胎児の腎機能障害及び尿量減少、それに伴う羊水過少症が起きたとの報告がある。シクロオキシゲナーゼ阻害剤(全身作用を期待する製剤)を妊娠中期の妊婦に使用し、胎児の動脈管収縮が起きたとの報告がある。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ピロキシカムで母乳中へ移行することが報告されている3),4)。
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。やむを得ず使用する場合には副作用の発現に特に注意し、必要最小限の使用にとどめるなど慎重に投与すること。
穿孔を伴う消化性潰瘍、胃腸出血等があらわれやすいので副作用の発現に特に注意し、必要最小限の使用にとどめるなど慎重に投与すること。
*リトナビル(ノービア)
本剤の活性本体であるピロキシカムの血中濃度が大幅に上昇し、不整脈、血液障害、痙攣等の重篤な副作用を起こすおそれがある。
リトナビルのチトクロームP450に対する競合的阻害作用によると考えられる。
クマリン系抗凝血剤(ワルファリン等)
本剤の活性本体であるピロキシカムとの併用により、クマリン系抗凝血剤(ワルファリン等)の作用を増強したとの報告があるので、併用する場合にはその医薬品を減量するなど、慎重に投与すること5)。
ピロキシカムのヒトでの蛋白結合率が99.8%と高いため、ワルファリンの活性型が増加するためと考えられている。
選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)
出血傾向が増強するおそれがある。
SSRIの投与により血小板凝集能が阻害され、併用により出血傾向が増大すると考えられている。
アスピリン
本剤の活性本体であるピロキシカムとの併用により、低用量アスピリンの血小板凝集抑制作用が減弱するおそれがある。
血小板のシクロオキシゲナーゼ-1(COX-1)とアスピリンの結合を阻害するためと考えられている。
本剤の活性本体であるピロキシカムとの併用により、双方又は一方の医薬品の副作用の発現頻度が増加したとの報告がある。
両剤ともにプロスタグランジン生合成阻害作用を示すためと考えられている。
非ステロイド性消炎鎮痛剤
消化性潰瘍、胃腸出血の発現が高まるおそれがある。
抗血小板薬
胃腸出血の発現が高まるおそれがある。
抗血小板薬が血小板の凝集を阻害するためと考えられている。
リチウム(炭酸リチウム)
本剤の活性本体であるピロキシカムとの併用により、リチウムの血中濃度が上昇し、リチウム中毒を呈したとの報告があるので、併用する場合には観察を十分に行い慎重に投与すること6)。
ピロキシカムの腎におけるプロスタグランジン生合成阻害により、これらの薬剤の腎排泄が減少し、血中濃度が上昇するためと考えられている。
メトトレキサート
メトトレキサートの作用が増強するおそれがある。併用する場合には観察を十分に行い慎重に投与すること。
ジゴキシンジギトキシン
これらの薬剤の作用が増強するおそれがある。併用する場合には観察を十分に行い慎重に投与すること。
チアジド系利尿剤(ヒドロクロロチアジド等)
他の非ステロイド性消炎鎮痛剤とチアジド系利尿剤との併用により、チアジド系利尿剤の作用が減弱したとの報告がある7)。
ピロキシカムの腎におけるプロスタグランジン生合成阻害により、水、ナトリウムの排泄が減少するためと考えられている。
フロセミド
本剤の活性本体であるピロキシカムとの併用により、フロセミドの作用が減弱したとの報告がある8)。
カリウム保持性利尿剤(スピロノラクトン等)
降圧作用の減弱、腎機能障害患者における重度の高カリウム血症が発現するおそれがある。
ピロキシカムの腎におけるプロスタグランジン生合成阻害によるためと考えられている。
エプレレノン
ACE阻害剤アンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤β遮断薬
これらの薬剤の降圧作用が減弱するおそれがある。
コレスチラミン
本剤の活性本体であるピロキシカムの排泄が促進され、血中濃度半減期が短縮したとの報告がある9)。
コレスチラミンの薬物吸着作用により、本剤の活性本体であるピロキシカムの消失が速まると考えられている。
副腎皮質ステロイド剤(プレドニゾロン等)
両剤とも消化管粘膜を傷害するため、併用した場合その影響が大きくなると考えられている。
シクロスポリンタクロリムス
これらの薬剤の腎毒性が高まるおそれがある。
プロスタグランジン生合成阻害に伴う腎血流量低下により、腎機能障害の副作用が相互に増強されると考えられている。
,
ショック、アナフィラキシー(蕁麻疹、潮紅、血管浮腫、呼吸困難等)を起こすことがある。
乏尿、血尿、尿蛋白、BUN・血中クレアチニン上昇、高カリウム血症、低アルブミン血症等があらわれた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。,,
AST・ALTの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、定期的に肝機能検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。,,
心筋梗塞、脳血管障害等の心血管系血栓塞栓性事象があらわれることがある10)。
1%以上
1%未満
頻度不明
消化器
胃・腹部痛、胃・腹部不快感
食欲不振、嘔気・嘔吐、胸やけ、胃炎、下痢・軟便、便秘、口内炎、舌炎、口角炎、便潜血、腹部膨満感
便意、小腸潰瘍
血液
白血球数増加、赤血球数減少、ヘモグロビン減少、ヘマトクリット減少、好酸球数増加、血小板数減少、貧血
白血球数減少、紫斑、血小板機能低下(出血時間の延長)
肝臓
AST、ALT、Al-P上昇
LDH上昇
腎臓
BUN上昇、蛋白尿
過敏症a)
発疹、そう痒、湿疹、発赤、蕁麻疹
光線過敏症、固定薬疹
精神・神経系
眠気、めまい、頭痛
その他
浮腫、口渇、唾液増加、脱力感、ほてり、充血、鼻出血、眼のかすみ、全身倦怠感、発熱
血圧上昇、脱毛、肩こり、体重増加
嗜眠、傾眠、嘔気・嘔吐、心窩部痛
本剤は蛋白結合率が高いため、透析による除去は有用ではないと考えられる。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
非ステロイド性消炎鎮痛剤を長期間投与されている女性において、一時的な不妊が認められたとの報告がある11),12),13),14)。
健康成人9名にアンピロキシカム13.5mg、27mg又はピロキシカム20mgをクロスオーバー法にて単回経口投与した時の最高血漿中ピロキシカム濃度(Cmax)及び最高血漿中濃度到達時間(Tmax)、血漿中濃度半減期(T1/2)は表に示すとおりであった15)。アンピロキシカム27mg投与時のパラメーターは、活性本体ピロキシカムの等量(20mg)を経口投与した場合の値に類似していた(表、図参照)。以上のようにアンピロキシカムは生体内に吸収された後、活性本体であるピロキシカムとしての体内動態を示す。
投与薬剤(投与量)
Tmax(hr)
Cmax(μg/mL)
T1/2(hr)
アンピロキシカム(13.5mg)
4.2±0.5
0.86±0.04
40.2±2.3
アンピロキシカム(27mg)
4.0±0.0
1.81±0.10
41.9±2.2
ピロキシカム(20mg)
3.2±0.5
2.36±0.16
40.9±2.4
(平均値±標準誤差、n=9)
健康成人6名にアンピロキシカム27mgを1日1回14日間連続経口投与した場合の毎回投与後24時間の血漿中ピロキシカム濃度は、投与7日目にはほぼ定常状態に達し、以降投与最終日の14日目まで6.09~7.86μg/mLの範囲にあった。投与中止後漸減し、最終投与後7日目には1.62μg/mLまで減少している。
関節リウマチ患者又は関節疾患で手術施行の患者11例にアンピロキシカム27mgを単回経口投与した場合、活性本体ピロキシカムの滑膜への移行率は、血漿中濃度の約35%であった16)。また、関節リウマチ患者にアンピロキシカム27mgを4~61週経口投与した場合、血漿中濃度の約53%が膝関節液に移行することが認められている17)。
ピロキシカムの血漿中蛋白結合率は99.8%であった。
本剤の活性本体であるピロキシカムは、主として肝代謝酵素CYP2C9で代謝される。
健康成人10名にアンピロキシカム27mgを単回経口投与した場合、投与後9日間の尿中へのピロキシカムの排泄率はわずか0.2%であった。その他に5′-ヒドロキシピロキシカム及びそのグルクロン酸抱合体等の代謝物が認められ、その総和は約23%であった。なお、これら代謝物に本剤をしのぐ薬理作用、毒性は認められていない15)。
関節リウマチ、変形性膝関節症、腰痛症(変形性脊椎症、椎間板症、腰椎分離症、腰椎辷り症、骨粗鬆症等)、頸肩腕症候群、肩関節周囲炎に対する二重盲検比較試験及び一般臨床試験において、本剤の有用性が認められている。二重盲検比較試験及び一般臨床試験における疾患別改善率は次のとおりである18),19),20),21),22),23),24),25),26),27)。
改善率疾患名
中等度改善以上
軽度改善以上
関節リウマチ
33.6%(94/280)
66.1%(185/280)
変形性膝関節症
67.2%(135/201)
88.6%(178/201)
腰痛症
75.3%(116/154)
88.3%(136/154)
肩関節周囲炎
71.6%(53/74)
90.5%(67/74)
頸肩腕症候群
52.6%(30/57)
82.5%(47/57)
アンピロキシカムは経口投与後、腸管から吸収される過程でピロキシカムに変換するものである。この活性本体ピロキシカムの作用は、アラキドン酸代謝におけるシクロオキシゲナーゼを阻害し、炎症・疼痛に関与するプロスタグランジンの生合成を抑制することによるものと考えられている。
アンピロキシカムのカラゲニン足蹠浮腫(ラット)抑制作用は、ピロキシカムとほぼ同等、アセメタシンよりもやや強かった。打撲浮腫(ラット)及び紫外線紅斑(モルモット)に対しても、アンピロキシカムの効力はピロキシカムと同等であり、アセメタシンよりも強かった。綿球法による肉芽形成(ラット)、アジュバント関節炎(ラット)等の亜急性・慢性炎症に対しても、ピロキシカムと同等の抗炎症作用を示した28)。
アンピロキシカムの酢酸ライシング(マウス)抑制作用は、ピロキシカム及びアセメタシンと同等であった。ラット足蹠の炎症性疼痛に対する抑制作用(Randall-Selitto法)は、ピロキシカム及びアセメタシンと同等であった。また、アジュバント関節痛(ラット)に対する鎮痛作用も、ピロキシカム及びアセメタシンと同等であった28)。
アンピロキシカム(Ampiroxicam)
Ethyl(1RS)-1-({2-methyl-1,1-dioxido-3-[(pyridin-2-ylamino)carbonyl]-2H-1,2-benzothiazin-4-yl}oxy)ethyl carbonate
C20H21N3O7S
447.46
白色~帯黄白色の結晶性の粉末である。酢酸(100)に溶けやすく、アセトニトリルにやや溶けやすく、エタノール(99.5)に極めて溶けにくく、水にほとんど溶けない。アセトニトリル溶液(1→20)は旋光性を示さない。
約156℃(分解)
100カプセル[10カプセル(PTP)×10]
1) 堀本 政夫ほか:応用薬理.1991;42(6):559-569
2) 社内資料:アンピロキシカムのラット胎児動脈管に及ぼす影響[L20070418010]
3) Ostensen, M.:Eur J Clin Pharmacol.1983;25(6):829-830
4) Ostensen, M. et al.:Eur J Clin Pharmacol.1988;35(5):567-569
5) Jacotot, B.:Proceedings of 9th European Congress of Rheumatology.1979:46-47
6) 宮川 朋大ほか:精神医学.1996;38(2):205-207
7) 厚生省薬務局企画課監修:医薬品相互作用ハンドブック薬業時報社.1992:195
8) Baker, D. E.:Drug Intell Clin Pharm.1988;22(6):505-506
9) Ferry, D. G. et al.:Eur J Clin Pharmacol.1990;39(6):599-601
10) データベース調査結果の概要(NDBを用いた非ステロイド性抗炎症薬による心血管系イベント発現のリスク評価):https://www.pmda.go.jp/files/000270714.pdf
11) Mendonça, L. L. F. et al.:Rheumatology.2000;39(8):880-882
12) Akil, M. et al.:Br J Rheumatol.1996;35(1):76-78
13) Smith, G. et al.:Br J Rheumatol.1996;35(5):458-462
14) Calmels, C. et al.:Rev Rhum Engl Ed.1999;66(3):167-168
15) 金沢 真雄ほか:炎症.1991;11(1):81-90
16) 岩田 久ほか:医学と薬学.1991;25(6):1645-1654
17) 菅原 幸子ほか:炎症.1991;11(6):597-605
18) 藤巻 悦夫ほか:臨床医薬.1990;6(9):1829-1857
19) 菅原 幸子ほか:臨牀と研究.1991;68(11):3569-3580
20) 青木 虎吉ほか:薬理と治療.1991;19(6):2267-2292
21) 井田 英雄ほか:医学と薬学.1991;25(6):1669-1684
22) 岩佐 悟ほか:医学と薬学.1991;25(6):1685-1696
23) 増田 明敏ほか:医学と薬学.1991;25(6):1697-1712
24) 入交 昭一郎ほか:炎症.1992;12(1):81-92
25) 佐々木 孝ほか:医学と薬学.1991;25(6):1616-1643
26) 鈴木 明夫ほか:Progress in Medicine.1991;11(6):1544-1554
27) 菅原 幸子ほか:医学と薬学.1991;25(6):1655-1668
28) 山中 教造ほか:応用薬理.1991;41(6):597-612
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