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日本薬局方
メトトレキサートカプセル
劇薬
処方箋医薬品注)
以下のいずれかを満たす患者に投与すること。
通常、1週間単位の投与量をメトトレキサートとして6mgとし、1週間単位の投与量を1回又は2~3回に分割して経口投与する。分割して投与する場合、初日から2日目にかけて12時間間隔で投与する。1回又は2回分割投与の場合は残りの6日間、3回分割投与の場合は残りの5日間は休薬する。これを1週間ごとに繰り返す。なお、患者の年齢、症状、忍容性及び本剤に対する反応等に応じて適宜増減するが、1週間単位の投与量として16mgを超えないようにする。
通常、1週間単位の投与量をメトトレキサートとして4~10mg/m2とし、1週間単位の投与量を1回又は2~3回に分割して経口投与する。分割して投与する場合、初日から2日目にかけて12時間間隔で投与する。1回又は2回分割投与の場合は残りの6日間、3回分割投与の場合は残りの5日間は休薬する。これを1週間ごとに繰り返す。なお、患者の年齢、症状、忍容性及び本剤に対する反応等に応じて適宜増減する。
4~8週間投与しても十分な効果が得られない場合にはメトトレキサートとして1回2~4mgずつ増量する。増量する前には、患者の状態を十分に確認し、増量の可否を慎重に判断すること。
また、本剤投与中も、胸部X線検査等の適切な検査を定期的に行うなど結核の発現には十分に注意し、患者に対し、結核を疑う症状が発現した場合(持続する咳、発熱等)には速やかに主治医に連絡するよう説明すること。なお、結核の活動性が確認された場合は本剤を投与しないこと。
症状が再燃又は増悪するおそれがある。,
感染症が増悪するおそれがある。
胸部X線検査等を定期的に行うなど、結核症状の発現に十分注意すること。結核を活動化させるおそれがある。
致命的な全身障害があらわれることがある。
肝障害を増悪させるおそれがある。
B型肝炎ウイルスキャリアの患者及び既往感染者(HBs抗原陰性、かつHBc抗体又はHBs抗体陽性)又はC型肝炎ウイルスキャリアの患者に対し本剤を投与する場合、投与期間中及び投与終了後は継続して肝機能検査や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型又はC型肝炎ウイルス増殖の徴候や症状の発現に注意すること。重篤な肝炎や肝障害の発現が報告されており、死亡例が認められている。また本剤投与終了後にB型肝炎ウイルスが活性化することによる肝炎等の発現も報告されている。,
投与しないこと。副作用が強くあらわれるおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。催奇形性を疑う症例報告があり、また、動物実験で胎児死亡及び催奇形作用(マウス、ラット及びウサギ)が報告されている。
投与しないこと。母乳中への移行が報告されている。
副作用の発現に特に注意し、慎重に投与すること。低出生体重児、新生児、乳児を対象とした臨床試験は実施していない。
腎機能検査値に十分注意し、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。腎機能等生理機能が低下していることが多く、メトトレキサートの排泄遅延により副作用があらわれやすい。また、免疫機能低下の影響を受けやすいため、重篤な感染症があらわれやすい。
サリチル酸等の非ステロイド性抗炎症剤
メトトレキサートの副作用(骨髄抑制、肝・腎・消化管障害等)が増強されることがある。頻回に臨床検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、メトトレキサートの減量、休薬等適切な処置を行うこと。また、メトトレキサートの拮抗剤であるホリナートカルシウム(ロイコボリンカルシウム)を投与すること。
主として、非ステロイド性抗炎症剤の腎におけるプロスタグランジン合成阻害作用による腎血流量の低下及びナトリウム、水分貯留傾向のためメトトレキサートの排泄が遅延するためと考えられている。
スルホンアミド系薬剤テトラサイクリンクロラムフェニコールフェニトインバルビツール酸誘導体
メトトレキサートの副作用(骨髄抑制、肝・腎・消化管障害、血液障害等)が増強されることがある。頻回に臨床検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、メトトレキサートの減量、休薬等適切な処置を行うこと。また、メトトレキサートの拮抗剤であるホリナートカルシウム(ロイコボリンカルシウム)を投与すること。
併用薬剤が血漿蛋白と結合しているメトトレキサートを競合的に置換遊離し、メトトレキサートの濃度を上昇させ、その毒性を増強させる。
スルファメトキサゾール・トリメトプリム
両薬剤の葉酸代謝阻害作用が協力的に作用するためと考えられている。
ペニシリン(ピペラシリン等)プロベネシド
併用薬剤がメトトレキサートの腎排泄を競合的に阻害するためと考えられている。
シプロフロキサシン
発現機序の詳細は不明であるが、メトトレキサートの腎尿細管からの排泄が阻害されるためと考えられている。
レフルノミド
併用により骨髄抑制等の副作用を増強するためと考えられている。
プロトンポンプ阻害剤(オメプラゾール、ラベプラゾール、ランソプラゾール等)
機序は不明であるが、メトトレキサートの血中濃度が上昇することがある。
ポルフィマーナトリウム
光線過敏症を起こすことがある。
ポルフィマーナトリウムは光感受性を高める作用があるため、光線過敏症を起こしやすい薬剤の作用を増強する。
ショック、アナフィラキシー(冷感、呼吸困難、血圧低下等)があらわれることがある。
汎血球減少、無顆粒球症(前駆症状として発熱、咽頭痛、インフルエンザ様症状等があらわれる場合がある)、白血球減少、血小板減少、貧血等の骨髄抑制、再生不良性貧血があらわれることがある。
呼吸不全にいたるような肺炎(ニューモシスティス肺炎等を含む)、敗血症、サイトメガロウイルス感染症、帯状疱疹等の重篤な感染症(日和見感染症を含む)があらわれることがあるので、患者の状態を十分観察し、異常が認められた場合には投与を中止し、抗生剤、抗菌剤の投与等の適切な処置を行うこと。,
劇症肝炎、肝不全、肝組織の壊死・線維化、肝硬変等の重篤な肝障害(B型又はC型肝炎ウイルスによるものを含む)があらわれることがある。,,
急性腎障害、尿細管壊死、重症ネフロパチー等の重篤な腎障害があらわれることがある。
間質性肺炎、肺線維症、胸水等があらわれ、呼吸不全にいたることがあるので、投与開始後は観察を十分に行い、発熱、咳嗽、呼吸困難等の呼吸器症状があらわれた場合には、速やかに胸部X線検査、胸部CT検査、血液ガス検査、血中KL-6測定等を行い、本剤の投与を中止するとともに、ニューモシスティス肺炎との鑑別診断(β-Dグルカンの測定等)を考慮に入れ副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群等の重篤な皮膚障害があらわれることがある。発熱、紅斑、そう痒感、眼充血、口内炎等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
出血性腸炎、壊死性腸炎等の重篤な腸炎があらわれることがあるので、激しい腹痛、下痢等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
骨塩量減少等の異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
本剤投与中及び投与終了後は患者の状態を十分に観察すること。意識障害、認知機能障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、構音障害、失語等の症状があらわれた場合は、MRI による画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
5%以上
0.1~5%未満
0.1%未満
頻度不明
過敏症
発疹、そう痒、発熱
蕁麻疹
血液
好酸球増多
出血
低ガンマグロブリン血症、リンパ節腫脹
肝臓
肝機能障害(ALT、AST、AL-Pの上昇等)
LDHの上昇
黄疸、脂肪肝
腎臓
BUN上昇、血尿、クレアチニンの上昇、蛋白尿
消化器
嘔気、腹痛、下痢、口内炎、食欲不振、嘔吐、舌炎
口唇腫脹、消化管潰瘍・出血
メレナ、イレウス
皮膚
脱毛
紅斑、皮下斑状出血、皮膚潰瘍
光線過敏症、色素沈着、色素脱出、ざ瘡、結節、乾癬病変局面の有痛性びらん
精神神経系
頭痛、めまい
意識障害、眠気、目のかすみ、しびれ感、味覚異常
項部緊張、背部痛、錯感覚
呼吸器
咳嗽、呼吸困難
生殖器
無精子症、卵巣機能不全、月経不全、流産
その他
倦怠感、動悸、胸部圧迫感、低蛋白血症、血清アルブミン減少、浮腫
膀胱炎、結膜炎、関節痛
耳下腺炎、悪寒
トリメトプリム(スルファメトキサゾール・トリメトプリム配合剤)を併用した場合、2水素葉酸還元酵素(dihydrofolate reductase:DHFR)を用いたメトトレキサート濃度の測定で見かけ上高値を呈することがあるので注意すること。
外国で週間総用量が20mgを超えると重篤な副作用、特に骨髄抑制の発生率等が有意に上昇するという報告がある。過量投与時に報告された主な症状は血液障害及び消化管障害であった。また、重篤な副作用を発現し、致命的な経過をたどった症例が報告されている。
過量投与したときは、すみやかに本剤の拮抗剤であるホリナートカルシウム(ロイコボリンカルシウム)を投与するとともに、本剤の排泄を促進するために水分補給と尿のアルカリ化を行うこと。本剤とホリナートカルシウムの投与間隔が長いほど、ホリナートカルシウムの効果が低下することがある。
一側腎臓を摘出した(腎摘)ラットで偽手術ラットを比較対照にメトトレキサートの0.06、0.2、0.6mg/kg/日の28日間反復経口投与毒性試験を実施した。死亡・瀕死動物数は腎摘ラットで高く、一般状態の異常は腎摘ラットで先行して発現した。無毒性量は腎摘ラットでは、0.06mg/kg/日を下回る量、偽手術ラットでは0.06mg/kg/日であった。
メトトレキサートとジクロフェナクナトリウムの併用毒性を雌ラットを用い、メトトレキサート0.2、0.4、0.6mg/kg/日及びジクロフェナクナトリウム4mg/kg/日で28日間同時反復経口投与により検討した。死亡・瀕死動物数は併用群がメトトレキサート単独群より高かった。一般状態の異常や病理組織学的検査等の異常所見の出現頻度及び程度は併用群がメトトレキサート単独群より増加あるいは重篤化する傾向が認められた。
メトトレキサートによる肺毒性をラットを用い、気管支肺胞洗浄法及び肺の病理組織学的検索により検討した。メトトレキサート投与により、瀕死動物の半数に肺に感染を示す細菌塊の集簇が認められたが、感染巣が認められない個体においても肺胞壁肥厚・出血等の病変が認められた。感染は常在菌による日和見感染であった。肺胞腔内に滲出物が貯留した個体では軽度の炎症細胞浸潤が認められたが、著しいリンパ球や好酸球の浸潤は認められなかった。また、無菌ラットでも同様に軽度の肺胞壁肥厚、肺水腫・出血、肺胞マクロファージ増加がみられた。
関節リウマチ患者17名にメトトレキサートを1週間あたり6mg(1回2mg、12時間間隔で3回投与)経口投与し、これを12週間繰り返し投与した時の第1週目及び最終週の初回2mg投与時の最高血清中濃度(Cmax)は、投与1~2時間(Tmax)後に得られ、その平均値は0.215μM及び0.252μMであった。また、その時の血清中濃度半減期(T1/2)はそれぞれ2.4時間及び2.3時間であった。第1週目及び最終週の第3回目投与時のCmaxは、投与1~2時間(Tmax)後に得られ、その平均値は0.223μM及び0.357μMであった。また、その時のT1/2はそれぞれ3.2時間及び2.2時間であった。第1週目と最終週の投与後の血清中濃度を比較した結果から、メトトレキサートの蓄積性はほとんどないと考えられた。
長期にわたりメトトレキサートを平均12.4mg/1回/週(7.5又は15mg/1回/週)内服している関節リウマチ患者の赤血球中のメトトレキサート濃度は血清中濃度の低下にもかかわらず、経口投与9日後まで0.05~0.34μMの範囲でほぼ一定値を示した3)。
手術不能癌患者2例に3H-メトトレキサートを0.1mg/kg経口投与した時のメトトレキサートの主排泄経路は尿中であり、累積尿中排泄率及び累積糞中排泄率はそれぞれ69.5%、8%であった。また、分娩1ヵ月後の絨毛性腫瘍患者1例にメトトレキサート22.5mg/日を経口投与した時の乳汁中メトトレキサート濃度は、投与10時間後に最高濃度5.0×10-9Mを示した。最高血清中濃度は投与6時間後に1.8×10-7Mを示し、メトトレキサートの乳汁中濃度は相当する血清中濃度の約1/12以下であった。メトトレキサート投与後12時間までの乳汁中へのメトトレキサートの分泌量は0.32μgと微量であるが乳汁中への移行が認められた4),5)。
国内延べ46施設で実施された204例の関節リウマチ患者に対する臨床試験成績では、最終全般改善度の評価対象150例のうち6mg/週投与群で、その改善率(著明改善と中等度改善)は、60.4%(32/53例)であった。副作用発現率は、17.6%(12/68例)であり、臨床検査値異常発現率は23.8%(15/63例)であった6)。
本剤は抗体産生、リンパ球増殖、血管新生、滑膜増生、炎症部位への好中球遊走、インターロイキン-1産生、コラゲナーゼ産生を抑制することにより、関節リウマチ等の活動性を低下させる7),8),9),10),11),12),13),14),15)。
コラーゲン関節炎を惹起したラットにメトトレキサート0.05及び0.1mg/kg/日又は0.6~1.2mg/kg/週(3回/週)反復経口投与したところ、後肢腫脹抑制、体重増加抑制の改善、骨破壊抑制などがみられた。また、アジュバント関節炎の一種である溶連菌細胞壁誘発関節炎を惹起したラットにメトトレキサート0.125mg/kg/日を反復経口投与したところ、慢性期後肢腫脹及び骨破壊が抑制された。さらに、アジュバント関節炎を惹起したラットの非処置足の炎症に対してもメトトレキサート0.15~0.6mg/kg/週あるいは0.375mg/kg/3週の反復経口投与で抑制がみられた16),17),18),19)。
メトトレキサート(Methotrexate)
N-{4-[(2,4-Diaminopteridin-6-ylmethyl)(methyl)amino]benzoyl}-L-glutamic acid
C20H22N8O5
454.44
本品は黄褐色の結晶性の粉末である。本品はピリジンに溶けにくく、水、アセトニトリル、エタノール(95)又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。本品は希水酸化ナトリウム試液又は希炭酸ナトリウム試液に溶ける。本品は光によって徐々に変化する。
30カプセル[3カプセル(PTP)×10]
1) 厚生労働省:小児薬物療法検討会議報告書:メトトレキサート若年性特発性関節炎.2007:1-15
2) 社内資料:副作用発現状況一覧表(再審査終了時) [L70010001741]
3) Kremer J M,et al.:Arthritis Rheum.1986;29(7):832-835
4) Henderson E S,et al.:Cancer Res.1965;25(7):1018-1024
5) Johns D G,et al.:Am J Obstet Gynecol.1972;112(7):978-980
6) 柏崎 禎夫ほか:炎症.1996;16(6):437-458
7) 四方 義幸ほか:応用薬理.1996;52(6):425-436
8) 四方 義幸ほか:応用薬理.1996;52(6):437-442
9) Ridge S C,et al.:J Rheumatol.1986;13(5):895-898
10) Welles W L,et al.:J Rheumatol.1985;12(5):904-906
11) O’Meara A M L,et al.:J Immunopharm.1985;7(2):235-245
12) Rosenthal G J,et al.:Int Immunopharmacol.1987;9(7):793-801
13) Hirata S,et al.:Arthritis Rheum.1989;32(9):1065-1073
14) 佐京 かつふみほか:応用薬理.1996;52(6):451-457
15) 佐京 かつふみほか:応用薬理.1996;52(6):443-450
16) Cronstein B N,et al.:Proc Natl Acad Sci USA.1991;88(6):2441-2445
17) Sperling R I,et al.:Arthritis Rheum.1992;35(4):376-384
18) Hu S K,et al.:J Rheumatol.1988;15(2):206-209
19) Firestein G S,et al.:Arthritis Rheum.1994;37(2):193-200
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