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日本薬局方
注射用イダルビシン塩酸塩
毒薬
処方箋医薬品注)
急性骨髄性白血病(慢性骨髄性白血病の急性転化を含む)
1バイアル5mg(力価)に5mLの日局注射用水を加え溶解する。通常、成人にはイダルビシン塩酸塩として12mg(力価)/m2(体表面積)を1日1回、3日間連日静脈内投与する。骨髄機能が回復するまで休薬し、投与を繰り返す。
出血傾向が発現又は増悪し、致命的となることがあるので、本剤投与時に前治療又は他の薬剤による骨髄抑制を起こしている患者では、治療上の有益性が危険性を上回ると判断されるとき以外は投与しないこと。
感染症をコントロールしてから投与すること。感染症が発現又は増悪し、致命的となることがあるので、重篤な感染症を合併している患者には投与しないこと。,
致命的な全身障害があらわれることがある。
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投与しないこと。本剤の血中からの消失が遅延するとの報告がある。,
本剤の血中からの消失が遅延するとの報告がある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。動物実験で催奇形性(ラット:腰肋、頸肋、椎骨弓の癒合・形成不全・欠損)、胎児毒性(体重増加抑制、初期死亡胎児数の増加等)が報告されている。
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。
用量に留意して患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。本剤は主として肝臓で代謝され、一部は腎臓から排泄されるが、高齢者では肝・腎機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続するおそれがある。また、一般に高齢者では生理機能の低下に伴い、心毒性、骨髄抑制があらわれやすい。,
潜在的に心毒性を有する抗悪性腫瘍剤
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これらの薬剤が過去に投与されている場合、あるいは併用療法を行う場合は、心筋障害が増強されるおそれがあるので、患者の状態を観察しながら、減量するなど用量に注意すること。
心筋に対する蓄積毒性が増強される。
心臓部あるいは縦隔への放射線照射
心筋障害が増強するおそれがあるので、患者の状態を観察しながら、減量するなど用量に注意すること。
抗悪性腫瘍剤放射線照射
骨髄低形成の遷延及び副作用が増強するおそれがある。また、本剤と他の抗悪性腫瘍剤を併用した患者に、二次性白血病、骨髄異形成症候群(MDS)が発生することがある。併用療法を行う場合には、患者の状態を観察しながら、減量するなど用量に注意すること。
ともに骨髄抑制作用を有する。
心筋障害、更に心不全等があらわれることがある。,,,,,,,
汎血球減少(52.8%)、血小板減少(66.5%)、顆粒球減少(66.9%)、貧血(63.5%)、出血傾向(24.6%)があらわれることがある。重篤な感染症(敗血症、肺炎等)又は出血(脳出血、消化管出血等)等を引き起こした場合は、投与を中止すること。また、必要に応じて抗菌剤の投与又は血小板輸血等適切な処置を行うこと。なお、高度な骨髄抑制の持続により、重篤な感染症(敗血症、肺炎等)や出血(脳出血、消化管出血等)等を併発し、死亡した例が報告されている。,,,,
高度な口内炎により食事摂取が困難な場合は栄養輸液投与等の適切な措置を行うこと。
20%以上
1~20%未満
1%未満
頻度不明
心臓
頻脈、心電図異常
心膜炎
消化器
食欲不振、悪心・嘔吐、下痢
腹部不快感、腹痛、口腔内の疼痛、食道炎、胃炎
腸炎、消化管潰瘍、消化管出血
過敏症
紅斑、発疹
そう痒、蕁麻疹
皮膚
脱毛
色素沈着、放射線照射リコール反応
肝臓
肝障害(AST・ALT上昇、総ビリルビン上昇、Al-P上昇等)
腎臓
腎障害(BUN上昇、クレアチニン上昇等)
精神神経系
頭痛
注射部位
血管痛
静脈炎
血栓
その他
発熱
疼痛、胸部圧迫感
全身の筋肉痛
脱水、ほてり
本剤を3日間で135mg/m2を投与した1例と3日間で本剤を45mg/m2と塩酸ダウノルビシン90mg/m2を投与した1例に死亡が報告されている。
本剤の尿中排泄により尿が赤色になることがある。
ラットに静脈内投与した実験で、乳腺腫瘍が発生したとの報告がある。また、細菌を用いた復帰突然変異試験及びマウスを用いた染色体異常試験において、遺伝毒性が報告されている。
急性白血病患者21例を対象として、5、7.5、10、12.5、15mg/m2を3日間静脈内投与注)したとき、未変化体(イダルビシン)は投与後速やかに減少し、24時間後にはほとんど血漿中より消失した。主代謝物であるイダルビシノールの血漿中濃度は2~4時間後には未変化体の濃度を超え、3日間投与後96時間でも血漿中に認められた。投与3日目における未変化体の消失半減期は、血漿で6.40~9.85時間、血球で8.48~16.34時間であり、イダルビシノールの消失半減期は、血漿で43.46~51.01時間、血球で36.61~54.70時間であった1)。
急性白血病患者21例を対象として、5、7.5、10、12.5、15mg/m2を3日間静脈内投与注)したとき、投与後7日までの累積尿中排泄率は、未変化体2.04%、イダルビシノール11.53%で合計13.57%であった1)。
腎機能障害を有する患者では、腎機能が正常な患者に比較して、未変化体の血漿クリアランスが有意に低下した。また、イダルビシノールの血漿中消失半減期及び平均滞留時間も有意に延長した2)(外国人データ)。,
高度の肝機能障害を有する患者で、未変化体の血漿からの消失が遅延する例がみられた3)(外国人データ)。,注)本剤の承認用法・用量は、イダルビシン塩酸塩として12mg(力価)/m2(体表面積)を1日1回、3日間連日静脈内投与である。
臨床試験は急性白血病患者193例を対象として、1988年11月から1992年12月まで全国41施設で実施された。投与スケジュールは5~15mg/m2の3日間連日投与注)であった。有効率は、単剤投与で42.6%(20/47例)、他剤併用投与で83.7%(41/49例)、全体では63.5%(61/96例)であった。病型別の有効率は、急性骨髄性白血病で64.8%(57/88例)、慢性骨髄性白血病の急性転化で50.0%(4/8例)であった。主な副作用は、食欲不振67.2%(88/131例)、悪心・嘔吐59.4%(79/133例)、発熱58.2%(78/134例)、感染56.0%(75/134例)、脱毛54.8%(63/115例)、口内炎42.5%(57/134例)であった。高度な(grade3,4)口内炎の発現は11例にみられ、16日間持続した例が認められた。前治療のない急性骨髄性白血病を対象とした後期第Ⅱ相比較試験において、本剤の有用性が認められた4),5),6),7)。
前治療のない急性骨髄性白血病患者を対象とした第Ⅲ相試験において、他剤併用投与で完全寛解率は69.9%(51/73例)であった。また、予後調査を行った結果3年生存率は46.1%(95%信頼区間32.4-59.8%)であった。主な副作用は、感染(70.1%)、脱毛(症)(62.3%)、下痢(46.8%)、嘔吐(44.2%)及び発疹(35.1%)であった。また、重篤な副作用として、死亡に至った敗血症が1例に認められた8)。注)本剤の承認用法・用量は、イダルビシン塩酸塩として12mg(力価)/m2(体表面積)を1日1回、3日間連日静脈内投与である。
ダウノルビシンの4位が脱メトキシル化された構造のため、脂溶性が増し、その結果、速やかに、かつ高濃度に細胞内へ取り込まれる。DNAと結合した後、核酸ポリメラーゼ活性を阻害し、また、トポイソメラーゼⅡ阻害によりDNA鎖を切断する9),10),11),12),13)。
マウスP388白血病細胞及びヒト腫瘍細胞系であるHL60、CCRF-CEM、K562細胞等に対して、IC50値で比較すると、本剤の細胞増殖抑制効果は塩酸ダウノルビシン及び塩酸ドキソルビシンより優れていた9),10),14)。
実験腫瘍マウス白血病(L1210、P388、グロス)に対し、抗腫瘍効果を示した。また、ダウノルビシン耐性マウスP388白血病に対してやや有効であった。主代謝物イダルビシノールもマウス白血病に抗腫瘍効果を示した14),15),16)。
イダルビシン塩酸塩(Idarubicin Hydrochloride)
(2S,4S)-2-Acetyl-4-(3-amino-2,3,6-trideoxy-α-L-lyxo-hexopyranosyloxy)-2,5,12-trihydroxy-1,2,3,4,-tetrahydrotetracene-6,11-dione monohydrochloride
C26H27NO9・HCl
533.95
黄赤色の粉末である。メタノールにやや溶けにくく、水又はエタノール(95)に溶けにくく、アセトニトリル又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。
1バイアル
1) 藤田 浩:癌と化学療法. 1992;19(6):791-798
2) Camaggi C M, et al.:Cancer Chemother Pharmacol. 1992;30(4):307-316
3) Lu K, et al.:Cancer Chemother Pharmacol. 1986;17(2):143-148
4) 小川 一誠ほか:癌の臨床. 1991;37(13):1497-1504
5) 小川 一誠ほか:癌と化学療法. 1993;20(7):897-906
6) 小川 一誠ほか:癌と化学療法. 1993;20(7):907-914
7) 正岡 徹ほか:癌と化学療法. 1993;20(13):1995-2005
8) 社内資料:前治療のない成人急性骨髄性白血病に対する第Ⅲ相試験 [L20071016110]
9) Fukushima T, et al.:Int J Hematol. 1993;57(2):121-130
10) Kuffel M J, et al.:Cancer Chemother Pharmacol. 1992;30(1):51-57
11) Zunino F, et al.:Biochem Biophys Res Commun. 1976;69(3):744-750
12) Spadari S, et al.:Anticancer Res. 1986;6(5):935-940
13) Supino R, et al.:Cancer Res. 1977;37(12):4523-4528
14) Tsuruo T, et al.:Anticancer Res. 1993;13(2):357-361
15) Casazza A M, et al.:Tumori. 1980;66:549-564
16) Casazza A M.:Cancer Treat Rep. 1979;63(5):835-844
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