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処方箋医薬品注)
閉経後乳癌
通常、成人にはエキセメスタンとして1日1回25mgを食後に経口投与する。
本剤の重度の腎障害患者における長期安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
本剤の重度の肝障害患者における長期安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。本剤は、閉経後の患者を対象とするため、妊婦に対する投与は想定されていないが、妊婦への投与の安全性については次の知見がある。動物実験(ラット)で、分娩障害、妊娠期間の延長、吸収胚数の増加及び生存胎児数の減少が認められている。また動物実験(ウサギ)で、流産、吸収胚数の増加及び胎児体重の低下が認められている。しかし両種による動物実験で、催奇形性は認められてはいない。本剤の妊婦又は妊娠している可能性のある女性における臨床使用経験はない。
投与しないこと。本剤は、閉経後の患者を対象とするため、授乳婦に対する投与は想定されていないが、授乳婦への投与の安全性については次の知見がある。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が認められている。本剤の授乳中の女性における臨床使用経験はない。
エストロゲン含有製剤
本剤の効果を減弱させる可能性がある。
本剤の薬理作用はエストロゲン合成阻害によるものであるため。
肝炎、AST、ALT、Al-P、γ-GTP等の上昇を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
5%以上
0.1~5%未満
頻度不明
精神神経系
多汗、めまい
しびれ(感)、頭痛、知覚障害、ふらつき(感)、不眠(症)、抑うつ、不安、手根管症候群
傾眠
消化器
悪心
食欲不振、腹痛、嘔吐、腸管閉塞、のどの通過障害感、胃もたれ感、心窩部痛(心窩部の疼痛)、下痢
肝臓
肝機能異常、Al-P上昇
皮膚
発疹、脱毛(症)、爪の変化
蕁麻疹、そう痒症
*筋骨格系
関節痛、筋骨格痛
骨折、骨粗鬆症、弾発指、狭窄性腱鞘炎
循環器
高血圧
動悸、低血圧
呼吸器
鼻出血、かぜ症候群、肺炎
泌尿器
膀胱炎、尿検査異常
生殖器
不正(子宮)出血、帯下
*その他
ほてり、疲労
疼痛、体重減少、倦怠(感)、体臭、浮腫、味覚異常、嗅覚障害
過敏症
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
24ヵ月間のマウスがん原性試験において、中用量(150mg/kg/日)、高用量(450mg/kg/日)で雌雄において肝細胞腺腫及び肝細胞癌の発生率の上昇が認められた。また、雄の高用量群で腎腺腫の発生の上昇がみられた。これらの腫瘍はマウス特有なものである可能性が高くヒトにおける臨床的な安全性との関連は低いと考えられる1)。
日本人の閉経後進行乳癌患者にエキセメスタン25mgを1日1回反復投与したとき、tmaxは2.01±1.35時間、Cmaxは27.4±16.6ng/mL、AUCは115±76ng・h/mL、終末相のt1/2は20.2±11.7時間であった。血漿中エキセメスタン濃度推移を下図に示す。
日本人の閉経後健康成人女性に単回及び反復経口投与(0.5~50mg)後のエキセメスタンのCmax及びAUCは用量比例的であった2),3),4)。
エキセメスタン25mgを閉経後健康女性(欧米人)に高脂肪食摂取直後に投与した時、Cmax及びAUCの平均値は空腹投与時に比べそれぞれ25%及び39%上昇した2)。
雌性ラットに14C-エキセメスタン1mg/kgを単回経口投与した後、放射能は組織中に広範囲に分布し、大部分の組織で投与後1あるいは6時間に最高放射能濃度を示した。肝臓、腎臓及び皮膚を除いた他の組織からの放射能の消失は速やかであった5)。
妊娠ラットに14C-エキセメスタンを経口投与した後の放射能は、胎盤を通過し胎児に分布した5)。
健康成人女性の血漿を用いたin vitroにおけるエキセメスタンの蛋白結合率は約96%であった。結合蛋白質はヒト血清アルブミン及びα1-酸性糖蛋白質と考えられた6)。
本剤の主要代謝経路はCYP3A4による6位のメチレン基の酸化もしくはアルド-ケト還元酵素による17位のオキソの還元であり、その後加水分解又は抱合反応により代謝される。CYP3A4阻害剤であるケトコナゾール(経口剤は国内未承認)との併用投与(欧米人閉経後健康女性対象)において、エキセメスタンの薬物動態に影響は認められず、CYP3A誘導剤であるリファンピシンとの併用投与(欧米人閉経後健康女性対象)において、エキセメスタンのCmax及びAUCは有意に低下したが、血漿中エストロゲン(エストロンスルフェート)濃度の低下率には変動は認められなかった7)。
中等度又は重度の腎機能障害患者(欧米人の閉経後女性、クレアチニンクリアランス<60mL/min/1.73m2)にエキセメスタン25mgを単回経口投与した後のAUCは、欧米人の閉経後健康女性におけるAUCの約2~3倍であった9)。
中等度又は重度の肝機能障害患者(欧米人の閉経後女性、Child-Pugh分類でB又はC)にエキセメスタン25mgを単回経口投与した後のAUCは、欧米人の閉経後健康女性におけるAUCの約2~3倍であった9)。
第Ⅰ相試験において、閉経後健康女性(単回14例、反復25例)を対象として、本剤の0.5~50mg/日までの用量における安全性及び薬力学的作用(血清中エストロゲン濃度抑制作用)を検討した結果、用量依存的な血清中エストロゲン濃度の低下が認められた。前期第Ⅱ相試験において、閉経後乳癌患者(10mg、25mg各36例)を対象として、本剤の有効性及び安全性を検討の上、臨床推奨用量の設定を試みた。奏効率において有意差はないものの25mgの方が10mgより優っていたことなどから、本剤の臨床推奨用量として25mg/日を選択した。ホルモン療法耐性例に対する25mg群の奏効率は26.1%(6/23)であった3),4),10)。
後期第Ⅱ相試験において、抗エストロゲン剤耐性の閉経後乳癌患者33例を対象として本剤の有効性及び安全性が検討された。なお、本試験は海外にて実施された同様の試験(No.120002及びNo.010)結果の再現性を確認することを目的として実施された11),12),13)。
実施国(試験番号)抗腫瘍効果
日本(No.042)
米国等(No.120002)
欧州等(No.010)
奏効率(奏効例/評価例)
24.2%(8/33)
28.1%(36/128)
23.4%(32/137)
長期NC注1)を含む有効率(奏効例+長期NC例/評価例)
39.4%(13/33)
46.9%(60/128)
47.4%(65/137)
注1)長期NC:24週以上のNC持続
欧米19ヵ国が参加した多施設共同試験において、タモキシフェンに無効となった閉経後の進行乳癌に対する本剤の抗腫瘍効果及び安全性を、酢酸メゲストロール(160mg/日:国内未承認)を対照薬として検討した。抗腫瘍効果において、奏効率では群間に有意差は認められなかったものの、本剤の奏効率は15.0%(55/366)であり、酢酸メゲストロール群は12.4%(50/403)であった。長期NCを含む有効率はエキセメスタンで37.4%、酢酸メゲストロールで34.6%であった。さらに本剤の病勢進行までの期間、治療変更等までの期間及び生存期間は、酢酸メゲストロール群と比較し有意に延長した14) 。
海外37ヵ国が参加した多施設共同二重盲検比較試験において、術後補助療法としてタモキシフェンを2~3年投与した閉経後乳癌患者(4,724例)を対象とし、タモキシフェン継続群(2,372例)と、本剤に切り替えた本剤投与群(2,352例)に割り付け、無病生存率及び安全性を検討した(両群とも術後補助療法としての投与期間:5年間)。その結果、追跡期間(中央値34.5ヵ月)における再発・対側乳癌・死亡発生数は本剤投与群213例、タモキシフェン継続群306例であり、無病生存率は本剤投与群90%(95%信頼区間89-92%)、タモキシフェン継続群86%(95%信頼区間85-88%)であった。また、無病生存期間のハザード比は0.69(95%信頼区間0.58-0.82、p=0.00003)であり、本剤投与群はタモキシフェン継続群と比較して乳癌再発リスクを31%低下させた。対側乳癌の発生リスクのハザード比は0.32(本剤投与群8例、タモキシフェン継続群25例、95%信頼区間0.15-0.72、p=0.0034)であり、本剤投与群は対側乳癌のリスクを68%低下させた15)。
海外で実施した多施設共同二重盲検比較試験において、再発リスクの低い乳癌又は腺管上皮内癌(147例)を、本剤投与群(73例)とプラセボ群(74例)に割り付け、骨密度(Bone Mineral Density)に与える影響及び有効性、安全性を検討した(投与期間:2年間、追跡期間最長:1年間)。投与2年後の本剤投与群の腰椎・大腿骨頸部における骨密度の年平均変化率はそれぞれ-2.17%、-2.72%であり、プラセボ群は-1.84%、-1.48%(p=0.568、p=0.024)であった。試験中に6例が再発し、1例は本剤投与群、5例がプラセボ群であった。また、HDL-コレステロールは本剤投与群(6-9%低下)は、プラセボ群(1-2%増加)に比較し、有意(p<0.01)に低下したが、他の脂質パラメータ及び凝固系パラメータでは両群間に差は認められなかった16)。
日本を含む25ヵ国が参加した多施設共同非盲検無作為化比較試験において、閉経後の転移性乳癌患者382例を対象とし、本剤投与群(190例)とタモキシフェン投与群(192例)に割り付け、無増悪生存期間を比較検討した。その結果、本剤投与群の無増悪生存期間が(中央値9.86ヵ月、95%信頼区間8.74-11.47)タモキシフェン投与群(中央値5.82ヵ月、95%信頼区間5.32-8.08)に比べて長かったが、統計的に有意な差は認められなかった(log-rank検定p=0.1214)。また、全生存期間の中央値は、タモキシフェン群が43.3ヵ月(95%信頼区間34.00-51.55)、本剤投与群が37.2ヵ月(95%信頼区間29.80-45.47)であったが、統計的に有意な差は認められなかった(log-rank検定p=0.9198)。さらに副次的評価項目である安全性プロファイルから本剤の忍容性が確認された17)。
エキセメスタンはアンドロゲンをエストロゲンに変換する酵素であるアロマターゼを非可逆的に阻害することにより、血中エストロゲン濃度を抑制し、エストロゲン依存性の乳癌の増殖を阻害する。
妊馬血清ゴナドトロピン刺激ラットにおいて、エキセメスタンの単回経口投与は卵巣アロマターゼ活性を用量依存的に減少させ、そのED50値は3.7mg/kgであった。
エキセメスタンは、他のステロイド合成系酵素にはほとんど影響を与えることなく、アロマターゼを選択的に不活性化した。
DMBA誘発ラット乳癌(閉経後モデル)に対しエキセメスタンを週6日、4週間経口投与した結果、1mg/kg/日以上の用量で腫瘍の増殖を有意に阻害した。
エキセメスタン(Exemestane)
(+)-6-methyleneandrosta-1,4-diene-3,17-dione
C20H24O2
296.40
白色~黄白色の粉末である。N,N-ジメチルホルムアミド及びテトラヒドロフランに溶けやすく、メタノール及びエタノール(95)にやや溶けやすく、アセトニトリルにやや溶けにくく、水にほとんど溶けない。
28錠[14錠(PTP)×2]140錠[14錠(PTP)×10]
1) 社内資料:マウスにおける発癌性試験 [L20050107111]
2) 社内資料:閉経後乳癌患者における薬物動態(2002年7月5日承認、申請資料概要ヘ.3.1.2、ヘ.3.2.1.ⅳ) [L20070831006]
3) 三浦 重人ほか:癌と化学療法.2002;29(7):1179-1187
4) 三浦 重人ほか:癌と化学療法.2002;29(7):1189-1197
5) 社内資料:臓器・組織内濃度(単回投与)(2002年7月5日承認、申請資料概要ヘ.2.2.1.ⅰ、ヘ.2.2.3.ⅰ、ヘ.2.4.4) [L20070831010]
6) 社内資料:蛋白結合率(2002年7月5日承認、申請資料概要ヘ.2.2.4) [L20070831009]
7) 社内資料:代謝(2002年7月5日承認、申請資料概要ヘ.2.3、ヘ.3.2.1.ⅵ、ヘ.4) [L20070831007]
8) 社内資料:健康人における薬物動態(海外データ)(2002年7月5日承認、申請資料概要ヘ.3.2.1.ⅰ) [L20070831008]
9) Jannuzzo Maria Gabriella et al.:Cancer Chemother Pharmacol.2004;53(6):475-481
10) 田部井 敏夫ほか:癌と化学療法.2002;29(7):1199-1209
11) 渡辺 亨ほか:癌と化学療法.2002;29(7):1211-1221
12) 社内資料:第二次療法における第Ⅱ相試験(海外データ)(2002年7月5日承認、申請資料概要ト.1.3) [L20070831011]
13) Kvinnaland, S. et al.:Eur J Cancer.2000;36(8):976-982
14) Kaufmann, M. et al.:J Clin Oncol.2000;18(7):1399-1411
15) 社内資料:術後補助療法としてタモキシフェンを2から3年間投与された閉経後原発乳癌患者を対象にエキセメスタン療法への切り替えとタモキシフェン療法継続とを比較する無作為化二重盲検試験 [L20041214003]
16) Lonning, P. E. et al.:J Clin Oncol.2005;23(22):5126-5137
17) 社内資料:閉経後患者における転移性乳癌に対する第一次ホルモン療法としてのエキセメスタンおよびタモキシフェンを比較する無作為化第Ⅱ-Ⅲ相試験 [L20060111037]
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