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劇薬
処方箋医薬品注)
根治切除不能又は転移性の腎細胞癌
通常、成人にはテムシロリムスとして25mgを1週間に1回、30~60分間かけて点滴静脈内投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
症状
投与の可否等
無症候性で画像所見の異常のみ
投与継続。
軽度の臨床症状注)を認める(日常生活に支障なし)
症状が回復するまで休薬すること。
重度の臨床症状注)を認める(日常生活に支障があり、酸素療法を要する)
投与中止。
臨床症状に増悪傾向を認め、肺拡散能の低下を認める
肺の基礎疾患があり、臨床上又は画像所見上の変化を認める
注)呼吸困難、咳嗽等
間質性肺疾患が発症、重症化するおそれがある。
免疫抑制により感染症が悪化するおそれがある。
免疫抑制により、肝炎ウイルス、結核等が再活性化する可能性がある。また、B型肝炎ウイルスキャリアの患者又はHBs抗原陰性の患者においてB型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれることがある。
減量を考慮すること。本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないこと。動物実験(ラット、ウサギ)において、胚・胎児死亡率の増加、胎児発育遅延が報告されている。また、動物実験(ウサギ)において、催奇形性作用(臍ヘルニア)が報告されている。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。海外の臨床試験において、高齢者では浮腫、下痢、肺炎等の副作用注)を発現する可能性が高いと報告されている。注)本剤25mg投与群で発現率10%以上の有害事象のうち、65歳以上の患者での発現率が65歳未満の患者の2倍以上かつインターフェロン-α投与群の65歳以上の患者での発現率が65歳未満の患者の2倍未満の副作用。
生ワクチン(乾燥弱毒生麻しんワクチン、乾燥弱毒生風しんワクチン、経口生ポリオワクチン、乾燥BCG等)
免疫抑制下で生ワクチンを接種すると発症するおそれがあるので併用しないこと。
免疫抑制下で生ワクチンを接種すると増殖し、病原性をあらわす可能性がある。
CYP3A酵素誘導作用を有する薬剤
テムシロリムス及びその代謝物であるシロリムスの血中濃度が低下し、本剤の有効性が減弱する可能性がある。
これらの薬剤は、CYP3A4/5を誘導することにより、本剤及びその代謝物であるシロリムスの血中濃度を低下させるおそれがある。
CYP3A酵素阻害作用を有する薬剤
テムシロリムス及びその代謝物であるシロリムスの血中濃度が上昇する可能性があるので、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。
これらの薬剤は、CYP3A4を阻害することにより、本剤及びその代謝物であるシロリムスの血中濃度を上昇させるおそれがある。
不活化ワクチン(不活化インフルエンザワクチン等)
ワクチンの効果が得られないおそれがある。
免疫抑制作用によってワクチンに対する免疫が得られないおそれがある。
ACE阻害剤
本剤とこの薬剤の併用により、血管神経性浮腫反応(投与開始2ヵ月後に発現した遅延性反応を含む)が報告されている。
機序不明
致命的な転帰をたどることもある。呼吸困難、咳嗽、発熱等の臨床症状が認められた場合には、必要に応じて、肺機能検査(肺拡散能力[DLCO]、動脈血酸素飽和度測定等)を実施し、観察を十分に行うこと。
infusion reactionとして、潮紅、胸痛、呼吸困難、低血圧、無呼吸、意識消失、アナフィラキシー等の症状があらわれることがあり、致命的な転帰をたどることもある。infusion reactionを発現した場合には、全ての徴候及び症状が完全に回復するまで患者を十分に観察すること。
致命的な転帰をたどることがある。
糖尿病、耐糖能障害等の高血糖があらわれることがある。
肺炎(ニューモシスティス肺炎を含む)等の重篤な感染症があらわれることがある。また、本剤の免疫抑制作用により、細菌、真菌、ウイルスあるいは原虫による感染症や日和見感染が発現又は悪化する可能性がある。
口内炎、口腔内潰瘍形成、舌炎、口腔内痛等があらわれることがある。
5%以上
5%未満
頻度不明
皮膚注)
発疹(そう痒性皮疹、斑状丘疹状皮疹、膿疱性皮疹、湿疹を含む)(44.8%)、そう痒症、爪の障害、ざ瘡、皮膚乾燥
剥脱性皮膚炎
循環器
高血圧
呼吸器
鼻出血、咳嗽、呼吸困難
消化器
食欲不振、悪心、下痢、嘔吐、腹痛
腹部膨満、歯肉炎、消化管出血
肝臓
ALT上昇、AST上昇、ALP上昇、γ-GTP上昇等の肝機能障害
代謝・内分泌
高コレステロール血症、高脂血症、低リン酸血症、高トリグリセリド血症、低カリウム血症
腎臓
クレアチニン上昇
感染症
上気道感染
咽頭炎、細菌・ウイルス感染(蜂巣炎、帯状疱疹、単純ヘルペス、気管支炎、膿瘍を含む)、鼻炎、毛包炎、尿路感染(排尿困難、血尿、膀胱炎、頻尿を含む)
眼
結膜炎(流涙障害を含む)、白内障
精神神経系
不眠症、味覚消失、味覚異常、不安、うつ病
筋・骨格系
筋肉痛(下肢痙攣を含む)、関節痛、背部痛
その他
無力症(31.4%)、浮腫、粘膜炎、発熱、疲労、疼痛、悪寒
胸痛、倦怠感
創傷治癒遅延
バイアル
実充填量
トーリセル点滴静注液25mg(テムシロリムスとして)
1.2mL(30mg)
添付希釈用液
2.2mL
本剤の調製は、無菌的に、二段階の希釈調製を行う。
本剤を投与する際には、孔径5μm以下のインラインフィルターを使用すること。
本剤15mg/週注)静脈内投与にスニチニブ25mg経口投与(1~28日)を併用した第Ⅰ相臨床試験において、忍容性が認められなかった。注)本剤の承認用法・用量は、テムシロリムスとして25mg週1回投与である。
日本人進行性固形癌患者7例にテムシロリムス15mg/m2(平均投与量:24.2mg)注1)を30分間静脈内投与したとき、血中テムシロリムス濃度は多相性の消失を示した1)。
テムシロリムスのCmax及びシロリムスのCmax及びAUCは用量比よりも低い割合で上昇した。
15mg/m2投与時(n=7)
45mg/m2投与時(n=3)
テムシロリムス
Cmax (ng/mL)
1014±316
1793±422
tmax (hr)
0.51±0.0
0.34±0.2
t1/2 (hr)
14.8±0.68
13.5±1.09
AUC0~∞ (ng・h/mL)
2873±358
2750±250
CL (L/hr)
8.48±1.73
27.2±6.37
Vdss (L)
84±11
163±27
シロリムス(代謝物)
89.1±40.5
157.3±37.1
7.53±11.3
1.87±1.9
67.0±17.4
59.2±28.9
8168±2089
13524±9763
CL/fma) (L/hr)
3.05±0.61
7.11±3.41
Vdss/fma) (L)
190±23
325±103
平均±標準偏差a)fm:テムシロリムスからシロリムスへの代謝率
テムシロリムスは血球中のFKBP-12と結合し用量依存的な分布を示す。その解離定数Kd(血球中の全FKBP-12の50%が結合する濃度)は5.1±3.0ng/mL(平均±標準偏差)であった(外国人データ)。14C-標識テムシロリムス濃度を20及び100ng/mLに調製したヒト血液を37℃で30分間インキュベーションしたときの血液/血漿中放射能濃度比はそれぞれ3.6及び3.4であった(in vitro試験)。14C-標識テムシロリムスを10及び100ng/mL含有する赤血球懸濁血漿中(ヘマトクリット0.45)において、14C-標識テムシロリムスの蛋白結合率はそれぞれ85%及び87%であった2),3) (in vitro試験)。
テムシロリムス及びシロリムスはCYP3A4により代謝される。テムシロリムス静脈内投与後に見られる主な代謝物はシロリムス(活性代謝物)であると考えられた4)(外国人データ)。
男性健康被験者に14C-標識テムシロリムス25mgを静脈内投与したとき、総放射能の78%が糞中に、4.6%が尿中に排泄された4)(外国人データ)。
軽度及び中等度注2)の肝機能障害患者(17例及び7例)にテムシロリムス25mgを30分間静脈内投与したとき、テムシロリムスの平均AUCは同じ投与量を肝機能正常患者6名に投与したときの約1.4倍及び約1.7倍であり、シロリムスの平均AUCはそれぞれ約1.5倍及び約1.7倍であった。また、重度注2)の肝機能障害患者7名にテムシロリムス10mg注1)を30分間静脈内投与したときのテムシロリムスの平均AUCは同じ投与量を軽度注2)の肝機能障害患者7名に投与したときの約1.7倍であり、シロリムスの平均AUCは約0.8倍であった5)(外国人データ)。注1)本剤の承認用法・用量は、テムシロリムスとして25mg週1回投与である。注2)NCI-ODWG基準による分類
日本、中国及び韓国で実施した国際共同(アジア)第Ⅱ相臨床試験において、進行性腎細胞癌患者82例を対象として、本剤20mg/m2注1)(6例)又は25mg/body(76例)を1週間に1回、30~60分かけて点滴静脈内投与を行うスケジュールで投与した結果、20mg/m2投与群注1)に奏効例はなく、25mg/body投与群の奏効例は9例(11.8%)であった。また、本剤が投与された82例中81例(98.8%)に副作用が認められた。その主な副作用は、発疹48例(58.5%)、口内炎47例(57.3%)、高コレステロール血症35例(42.7%)、高トリグリセリド血症32例(39.0%)、食欲不振30例(36.6%)、ALT上昇27例(32.9%)、高血糖26例(31.7%)であった6)。また、間質性肺疾患は14例(17.1%)に認められた。注1)本剤の承認用法・用量は、テムシロリムスとして25mg週1回投与である。
高リスク注2)の未治療進行性腎細胞癌患者を対象とした第Ⅲ相臨床試験において、本剤投与群(25mg週1回点滴静脈内投与)は、インターフェロン-α投与群に比較して、全生存期間の有意な延長が認められた。なお、本剤とインターフェロン-αとの併用時は延命効果が検証されていない。注2)以下に示す6項目の予後因子のうち3項目以上に該当する患者
評価指標
インターフェロン-α投与群(207例)
本剤投与群(209例)
本剤とインターフェロン-α併用投与群(210例)
全生存期間の中央値(ヵ月)(95%信頼区間)
7.3(6.1, 8.9)
10.9(8.6, 12.7)
8.4(6.6, 10.2)
ハザード比a)(95%信頼区間)
―
0.73(0.58, 0.92)
0.96(0.76, 1.20)
P値b)
0.0083c)
0.6956
a)Cox比例ハザードモデル(腎切除の有無及び地域により層別)b)log-rank検定(腎切除の有無及び地域により層別)c)第2回中間解析の有意水準0.0135(O’Brien-Fleming法に基づく)よりも小さいため、統計学的に有意であると判定した。
また、安全性評価対象208例中、195例(93.8%)に副作用が認められた。その主な副作用は無力症83例(39.9%)、発疹70例(33.7%)、貧血68例(32.7%)、悪心54例(26.0%)、高脂血症51例(24.5%)、食欲不振47例(22.6%)、高コレステロール血症43例(20.7%)、口内炎41例(19.7%)、粘膜炎38例(18.3%)であった7)。また、肺臓炎は4例(1.9%)に認められた。
本剤はmTORの活性化を阻害し、その結果、細胞周期のG1からS期への移行を抑制すること、さらに、腫瘍微小環境における血管新生に重要な低酸素誘導性転写因子(HIF)及び血管内皮増殖因子(VEGF)の発現を抑制することにより、腫瘍細胞の増殖を抑制すると考えられている8)。
本剤は米国国立がん研究所のヒト腫瘍細胞株パネル(ヒト腎細胞癌由来細胞株として、786-O細胞株、UO-31細胞株、TK-10細胞株、SN12C細胞株、RXF393細胞株、CAKI-1細胞株を含む)を用いたin vitro試験において、ヒト腎細胞癌由来細胞株の増殖を抑制した。また、in vivo試験において、ヌードマウスに移植したヒト腎細胞癌由来細胞株(A498細胞株)の増殖を抑制した9),10) 。
テムシロリムス(Temsirolimus)
(1R,2R,4S)-4-{(2R)-2-[(3S,6R,7E,9R,10R,12R,14S,15E,17E,19E,21S,23S,26R,27R,34aS)-9,27-Dihydroxy-10,21-dimethoxy-6,8,12,14,20,26-hexamethyl-1,5,11,28,29-pentaoxo-1,4,5,6,9,10,11,12,13,14,21,22,23,24,25,26,27,28,29,31,32,33,34,34a-tetracosahydro-3H-23,27-epoxypyrido[2,1-c][1,4]oxazacyclohentriacontin-3-yl]propyl}-2-methoxycyclohexyl 3-hydroxy-2-(hydroxymethyl)-2-methylpropanoate
C56H87NO16
1030.29
本品は白色~灰白色の粉末である。本品はエタノール(99.5)に溶けやすく、水にほとんど溶けない。
外箱開封後は遮光して保存すること。
1バイアル(添付希釈用液 1バイアル1.8mL付き)
1) Fujisaka, Y. et al.:Jpn J Clin Oncol. 2010;40(8):732-738
2) 社内資料:分布(承認年月日:2010.07.23、CTD 2.7.2.2.2.2)[L20100707003]
3) 社内資料:血漿蛋白結合と血球移行(承認年月日:2010.07.23、CTD 2.6.4.4.2.1、2.6.4.4.2.2)[L20100707004]
4) 社内資料:代謝及び排泄(承認年月日:2010.07.23、CTD 2.6.4.1.4、2.6.4.5、2.6.4.6.5)[L20100203174]
5) 社内資料:肝機能障害患者における薬物動態(承認年月日:2010.07.23、CTD 2.7.2.2.1.8)[L20100707002]
6) 社内資料:国際共同(アジア)第Ⅱ相臨床試験(2217-AP試験)(承認年月日:2010.07.23、CTD 2.7.6.19)[L20100707001]
7) 社内資料:海外第Ⅲ相臨床試験(304-WW試験)(承認年月日:2010.07.23、CTD 2.7.6.10)[L20100203181]
8) Rini BI:Clin Cancer Res. 2008;14(5):1286-1290
9) 社内資料:抗腫瘍作用に関する試験(細胞増殖抑制作用(in vitro))(承認年月日:2010.07.23、CTD 2.6.2.2.1)[L20100203163]
10) 社内資料:抗腫瘍作用に関する試験(ヒト腎癌由来細胞移植ヌードマウスに対する作用(in vivo))(承認年月日:2010.07.23、CTD 2.6.2.2.1)[L20100203164]
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