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日本薬局方
注射用セフォペラゾンナトリウム・スルバクタムナトリウム
処方箋医薬品注)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
〈適応菌種〉本剤に感性のブドウ球菌属、大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、プロビデンシア・レットゲリ、モルガネラ・モルガニー、インフルエンザ菌、緑膿菌、アシネトバクター属、バクテロイデス属、プレボテラ属〈適応症〉敗血症、感染性心内膜炎、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、膿胸、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、腹膜炎、腹腔内膿瘍、胆嚢炎、胆管炎、肝膿瘍、バルトリン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎、子宮旁結合織炎
「抗微生物薬適正使用の手引き」1)を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与すること。
スルバクタムナトリウム・セフォペラゾンナトリウムとして、通常成人には1日1~2g(力価)を2回に分けて静脈内注射する。小児にはスルバクタムナトリウム・セフォペラゾンナトリウムとして、1日40~80mg(力価)/kgを2~4回に分けて静脈内注射する。難治性又は重症感染症には症状に応じて、成人では1日量4g(力価)まで増量し2回に分けて投与する。小児では1日量160mg(力価)/kgまで増量し2~4回に分割投与する。
日局注射用水、日局生理食塩液又は日局ブドウ糖注射液に溶解し、緩徐に投与する。
補液に溶解して用いる。
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しない。
観察を十分に行うこと。ビタミンK欠乏による出血傾向があらわれることがある。
投与量・投与間隔に注意すること。血中濃度半減期が延長する。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中へ移行することが報告されている2)。
低出生体重児、新生児を対象とした臨床試験は実施していない。
次の点に注意し、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
利尿剤(フロセミド等)
類似化合物(他のセフェム系薬剤)との併用により腎障害増強作用が報告されているので、併用する場合には腎機能に注意すること。
機序は不明だが、利尿剤による脱水等で尿細管細胞へのセフェム薬の取り込みが亢進し、腎毒性を発揮すると考えられている。
アルコール
ジスルフィラム様作用(潮紅、悪心、頻脈、多汗、頭痛等)があらわれることがあるので、投与期間中及び投与後少なくとも1週間はアルコールの摂取を避けること。
テトラゾールチオメチル基が、肝におけるエタノールの分解を阻害することで、血中アセトアルデヒドの蓄積が生じ、潮紅、悪心、頻脈、多汗、頭痛等があらわれることがある。
急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがある。
偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎があらわれることがある。腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には直ちに投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎、PIE症候群等があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
溶血性貧血、汎血球減少症、顆粒球減少(無顆粒球症を含む)、血小板減少等の重篤な血液障害があらわれることがある。
劇症肝炎等の重篤な肝炎、AST、ALT、Al-Pの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
1%以上
0.1~1%未満
0.1%未満
頻度不明
過敏症
発疹(斑状丘疹性皮疹等)、そう痒
蕁麻疹、紅斑
血液
赤血球減少、血小板増多、白血球減少、好酸球増多
貧血
肝臓
AST、ALT、Al-Pの上昇
ビリルビンの上昇
消化器
下痢、軟便、悪心・嘔吐
中枢神経
痙攣
菌交代
口内炎、カンジダ症
その他
発熱
頭痛、血尿
ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症、出血傾向等)、ビタミンB群欠乏症状(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等)、低血圧、血管炎、注射部静脈炎、注射部痛
β-ラクタム系抗生物質製剤の脳脊髄液中濃度が高くなると、痙攣等を含む神経系の副作用を引き起こすことが考えられる。
腎機能障害患者に過量投与された場合は血液透析等を用いて体内から除去すること。
幼若ラットに皮下投与した実験において精巣萎縮、精子形成抑制作用が発現したとの報告がある。
成人患者5例に1g(力価)また健常成人4名に2g(力価)を1時間かけて点滴静注したときのセフォペラゾン、スルバクタムの平均血中濃度の推移は図1のとおりであり、健常成人5名に2g(力価)を5分間かけて静注したときは図2のとおりであった4),5),6)。また2g(力価)を1日2回、3日間連続投与したが、ほぼ同じ血中濃度の推移が得られ、蓄積は認められなかった7)。
本剤中のスルバクタム、セフォペラゾンはいずれもほとんど代謝されることなく、大部分は未変化体として排泄される。
一般臨床試験及び比較臨床試験(1,837症例)における臨床効果の概要は下表のとおりである。成人では1日1~2g(力価)投与例が約70%を占め、投与期間は大部分が1~2週間である15)。また、複雑性尿路感染症、呼吸器感染症、術後感染症に対する比較臨床試験により、本剤の有用性が認められている16),17),18)。
疾患群
有効例/症例
有効率(%)
敗血症・細菌性心内膜炎
16/30
53.3
外傷・手術創等の表在性二次感染
81/99
81.8
呼吸器感染症(肺炎、気管支炎、肺化膿症等)
531/640
83.0
尿路感染症(腎盂腎炎、膀胱炎等)
614/843
72.8
肝・胆道感染症(胆のう炎、肝膿瘍等)
34/37
91.9
腹膜炎(含、骨盤腹膜炎、ダグラス窩膿瘍)
53/58
91.4
産婦人科領域感染症(子宮付属器炎、子宮内感染等)
124/130
95.4
一般臨床試験で細菌学的検討が行われた1496株の菌消失率は81.8%(1224/1496株)であった。また、菌の薬剤感受性及びβ-ラクタマーゼ活性を測定した797株中セフォペラゾン耐性菌注)は385株で、そのうち本剤による菌消失率は72.2%(278/385株)であった。一方、β-ラクタマーゼ高度産生株に対する菌消失率は74.7%(236/316株)であった15)。注:耐性菌はセフォペラゾンのMIC≧25μg/mL(セフォペラゾンディスク感受性-、+に相当)とした。ただし、インフルエンザ菌についてはMIC≧3.13μg/mLとした。
本剤は、スルバクタムがβ-ラクタマーゼのⅠc、Ⅱ、Ⅲ及びⅣ型を強く、Ⅰa及びⅤ型を軽度に不可逆的に不活性化するため、セフォペラゾンがこれらの酵素により加水分解されることを防ぎ、セフォペラゾン耐性菌にも抗菌力を示す19)。セフォペラゾンは、細菌増殖期の細胞壁合成系のうちペプチドグリカン架橋形成を強く阻害し、殺菌的に作用する20)。
セフォペラゾンナトリウム(Cefoperazone Sodium)
Monosodium(6R,7R)-7-{(2R)-2-[(4-ethyl-2,3-dioxopiperazine-1-carbonyl)amino]-2-(4-hydroxyphenyl)acetylamino}-3-(1-methyl-1H-tetrazol-5-ylsulfanylmethyl)-8-oxo-5-thia-1-azabicyclo[4.2.0]oct-2-ene-2-carboxylate
C25H26N9NaO8S2
667.65
セフォペラゾンナトリウムは白色~帯黄白色の結晶性の粉末である。水に極めて溶けやすく、メタノールにやや溶けやすく、エタノール(99.5)に溶けにくい。
セフォペラゾンナトリウムの力価は、セフォペラゾン(C25H27N9O8S2)としての量を質量(力価)で示す。
CPZ
スルバクタムナトリウム(Sulbactam Sodium)
Monosodium(2S,5R)-3,3-dimethyl-7-oxo-4-thia-1-azabicyclo[3.2.0]heptane-2-carboxylate 4,4-dioxide
C8H10NNaO5S
255.22
スルバクタムナトリウムは白色~帯黄白色の結晶性の粉末である。水に溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、エタノール(99.5)に極めて溶けにくく、アセトニトリルにほとんど溶けない。
スルバクタムナトリウムの力価は、スルバクタム(C8H11NO5S)としての量を質量(力価)で示す。
SBT
10バイアル
1) 厚生労働省健康局結核感染症課編:抗微生物薬適正使用の手引き
2) 松田 静治ほか:Jpn J Antibiot. 1985;38(2):223-229
3) 厚生省薬務局:医薬品研究. 1994;25(3):332-334
4) 早崎 源基ほか:Chemotherapy(Tokyo). 1984;32(Suppl.4):649-665
5) 岡田 敬司ほか:Chemotherapy(Tokyo). 1984;32(Suppl.4):483-493
6) 斎藤 篤ほか:Chemotherapy(Tokyo). 1984;32(Suppl.4):192-201
7) 熊田 徹平:Chemotherapy(Tokyo). 1984;32(Suppl.4):214-221
8) 中西 昌美ほか:Chemotherapy(Tokyo). 1984;32(Suppl.4):379-391
9) 松本 慶蔵ほか:Chemotherapy(Tokyo). 1984;32(Suppl.4):368-375
10) 露木 建ほか:Chemotherapy(Tokyo). 1984;32(Suppl.4):404-412
11) 赤沢 信幸ほか:Chemotherapy(Tokyo). 1985;33(6):548-552
12) 松田 静治ほか:Chemotherapy(Tokyo). 1984;32(Suppl.4):627-632
13) 張 南薫ほか:産婦人科の世界. 1984;36(8):649-675
14) 本廣 孝ほか:Jpn J Antibiot. 1984;37(10):1898-1918
15) Chemotherapy(Tokyo). 1984;32(Suppl.4)SULBACTAM/CEFOPERAZONE論文特集号を中心に集計
16) 河田 幸道ほか:Chemotherapy(Tokyo). 1984;32(Suppl.4):606-626
17) 原 耕平ほか:Chemotherapy(Tokyo). 1985;33(2):159-188
18) 由良 二郎ほか:Jpn J Antibiot. 1985;38(3):643-670
19) 横田 健ほか:Chemotherapy(Tokyo). 1984;32(Suppl.4):11-19
20) Matsubara, N. et al.:Antimicrob Agents Chemother. 1980;18(1):195-199
21) 横田 健ほか:Chemotherapy(Tokyo). 1984;32(Suppl.4):1-10
22) 五島 瑳智子ほか:Chemotherapy(Tokyo). 1984;32(Suppl.4):38-50
23) 川崎 賢二ほか:Chemotherapy(Tokyo). 1984;32(Suppl.4):78-96
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