医療用医薬品 詳細表示

アネメトロ点滴静注液500mg

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
5.効能又は効果に関連する注意
6.用法及び用量
7.用法及び用量に関連する注意
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
9.2腎機能障害患者
9.3肝機能障害患者
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
9.8高齢者
10.相互作用
10.2併用注意(併用に注意すること)
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
14.適用上の注意
15.その他の注意
15.2非臨床試験に基づく情報
16.薬物動態
16.1血中濃度
16.3分布
16.4代謝
16.5排泄
16.6特定の背景を有する患者
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
18.薬効薬理
18.1作用機序
19.有効成分に関する理化学的知見
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

アネメトロ点滴静注液500mg

添付文書番号

6419401A1027_2_05

企業コード

672212

作成又は改訂年月

**2024年10月改訂(第4版)
2023年8月改訂

日本標準商品分類番号

876419

薬効分類名

嫌気性菌感染症治療剤

承認等

アネメトロ点滴静注液500mg

販売名コード

YJコード

6419401A1027

販売名英語表記

ANAEMETRO Intravenous infusion 500mg

販売名ひらがな

あねめとろてんてきじょうちゅうえき500mg

承認番号等

承認番号

22600AMX00750

販売開始年月

2014年9月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

3年

一般的名称

メトロニダゾール

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  2. 2.2 脳、脊髄に器質的疾患のある患者(化膿性髄膜炎及び脳膿瘍の患者を除く)[中枢神経系症状があらわれることがある。]
  3. 2.3 妊娠3ヵ月以内の女性(有益性が危険性を上回ると判断される疾患の場合は除く),

3. 組成・性状

3.1 組成

アネメトロ点滴静注液500mg

容量  100.0mL
有効成分  1バイアル中
日局 メトロニダゾール 500mg
添加剤  無水クエン酸 36mg
無水リン酸一水素ナトリウム 60mg
塩化ナトリウム
注射用水

3.2 製剤の性状

アネメトロ点滴静注液500mg

性状無色~微黄色澄明の注射液
pH4.5~6.0
浸透圧比約1.0(生理食塩液対比)

4. 効能又は効果

  • 嫌気性菌感染症
    • 〈適応菌種〉

      本剤に感性のペプトストレプトコッカス属、バクテロイデス属、プレボテラ属、ポルフィロモナス属、フソバクテリウム属、クロストリジウム属、ユーバクテリウム属

    • 〈適応症〉
      • 敗血症
      • 深在性皮膚感染症
      • 外傷・熱傷及び手術創等の二次感染
      • 骨髄炎
      • 肺炎、肺膿瘍、膿胸
      • 骨盤内炎症性疾患
      • 腹膜炎、腹腔内膿瘍
      • 胆嚢炎、肝膿瘍
      • 化膿性髄膜炎
      • 脳膿瘍
  • 感染性腸炎
    • 〈適応菌種〉

      本剤に感性のクロストリジウム・ディフィシル

    • 〈適応症〉

      感染性腸炎(偽膜性大腸炎を含む)

  • アメーバ赤痢

5. 効能又は効果に関連する注意

  • 〈感染性腸炎(偽膜性大腸炎を含む)〉

    「抗微生物薬適正使用の手引き」1)を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与すること。

6. 用法及び用量

通常、成人にはメトロニダゾールとして1回500mgを1日3回、20分以上かけて点滴静注する。なお、難治性又は重症感染症には症状に応じて、1回500mgを1日4回投与できる。

7. 用法及び用量に関連する注意

  1. 7.1 中枢神経障害、末梢神経障害等の副作用があらわれることがあるので、特に10日を超えて本剤を投与する場合は、副作用の発現に十分注意すること。,,
  2. 7.2 本剤は嫌気性菌に対して抗菌活性を有する。したがって、好気性菌等を含む混合感染と診断された場合、又は混合感染が疑われる場合は、適切な薬剤を併用して治療を行うこと。
  3. 7.3 クロストリジウム・ディフィシルによる感染性腸炎においては、他の抗菌薬の併用により、治癒の遷延につながる場合があることから、併用の必要性について十分検討すること。
  4. 7.4 本剤は血液透析により除去されるため、血液透析を受けている患者に投与する場合は、透析後に投与すること。

8. 重要な基本的注意

  1. 8.1 本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
  2. 8.2 白血球減少、好中球減少があらわれることがあるので、定期的に血液検査を実施するなど、患者の状態を十分に観察すること。,
  3. 8.3 本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること。
    1. 8.3.1 事前に既往歴等について十分な問診を行うこと。なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認すること。
    2. 8.3.2 投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。
    3. 8.3.3 投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行うこと。特に、投与開始直後は注意深く観察すること。
  4. 8.4 肝機能障害があらわれることがあるので、定期的に肝機能検査を実施するなど、患者の状態を十分に観察すること。,

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 血液疾患のある患者

    白血球減少、好中球減少があらわれることがある。,

  2. 9.1.2 化膿性髄膜炎及び脳膿瘍のある患者

    中枢神経症状があらわれることがある。,

  3. 9.1.3 コケイン症候群の患者

    重度の肝毒性又は急性肝不全が発現し死亡に至ることがある。,

  4. 9.1.4 心臓、循環器系機能障害のある患者

    本剤には、塩化ナトリウムが含まれるため、循環血液量を増やすことから心臓に負担をかけ、症状が悪化するおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

本剤には、塩化ナトリウムが含まれるため、水分、塩化ナトリウムの過剰投与に陥りやすく、症状が悪化するおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。

9.5 妊婦

  1. 9.5.1 妊娠3ヵ月以内の女性

    有益性が危険性を上回ると判断される疾患の場合を除き、投与しないこと。胎盤関門を通過して胎児へ移行することが報告されている。,

  2. 9.5.2 妊娠3ヵ月を過ぎた女性

    有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。母乳中へ移行することが報告されている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

一般に、生理機能が低下している。

10. 相互作用

    10.2 併用注意(併用に注意すること)

    薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子

    アルコール

    腹部の疝痛、嘔気、嘔吐、頭痛、潮紅があらわれることがある2)

    機序不明

    リトナビル含有製剤(内用液)

    ジスルフィラム様反応を起こすおそれがある。

    リトナビル含有製剤(内用液)はエタノールを含有するので本剤によりジスルフィラム様反応を起こすおそれがある。

    ジスルフィラム

    精神症状(錯乱等)があらわれることがある3)

    機序不明

    ワルファリン

    ワルファリンの抗凝血作用を増強し、出血等があらわれることがある4),5),6)

    本剤はワルファリンの代謝を阻害し、その血中濃度を上昇させる。

    ブスルファン

    ブスルファンの作用が増強されることがある7),8)

    本剤はブスルファンの血中濃度を上昇させることがある。

    リチウム

    リチウムの血中濃度が上昇し、リチウム中毒があらわれることがある9)

    機序不明

    5-フルオロウラシル

    5-フルオロウラシルの作用が増強される可能性がある10)

    本剤は5-フルオロウラシルの血中濃度を上昇させることがある。

    シクロスポリン

    シクロスポリンの作用が増強される可能性がある11)

    本剤はシクロスポリンの血中濃度を上昇させることがある。

    フェノバルビタール

    本剤の作用が減弱する可能性がある12),13)

    フェノバルビタールは本剤の代謝酵素を誘導し、その血中濃度を低下させることがある。

    11. 副作用

    次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    11.1 重大な副作用

    1. 11.1.1 中枢神経障害(頻度不明)

      脳症、痙攣、錯乱、幻覚、小脳失調等があらわれることがある。ふらつき、歩行障害、意識障害、構語障害、四肢のしびれ等の初期症状があらわれ、本剤による脳症が疑われた場合には、本剤の投与を中止すること。,

    2. 11.1.2 末梢神経障害(頻度不明)

      四肢のしびれ、異常感等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

    3. 11.1.3 無菌性髄膜炎(頻度不明)

      頸部硬直、発熱、頭痛、悪心・嘔吐あるいは意識混濁等を伴う無菌性髄膜炎があらわれることがある。

    4. 11.1.4 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(頻度不明)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)
    5. 11.1.5 急性膵炎(頻度不明)

      腹痛、背部痛、悪心・嘔吐、血清アミラーゼ値の上昇等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

    6. 11.1.6 白血球減少(頻度不明)、好中球減少(頻度不明)

      ,

    7. 11.1.7 肝機能障害(頻度不明)

      ,

    8. 11.1.8 QT延長(頻度不明)、心室頻拍(Torsade de pointes を含む)(頻度不明)

    11.2 その他の副作用

    10%以上

    10%未満

    頻度不明

    胃腸障害

    下痢

    悪心、腹痛、嘔吐

    舌苔、胃不快感、口内炎、舌炎、口内乾燥、胃腸の炎症

    一般・全身障害及び投与部位の状態

    無力症、発熱

    感染症及び寄生虫症

    カンジダ属の出現、膿疱

    肝胆道系障害

    AST増加、ALT増加、γ-GTP増加

    総ビリルビン上昇、Al-P上昇、LDH上昇、黄疸

    眼障害

    複視、近視

    筋骨格系及び結合組織障害

    筋肉痛

    血液及びリンパ系障害

    血小板減少症、血液障害

    呼吸器、胸郭及び縦隔障害

    咳嗽

    心臓障害

    心房細動、洞性頻脈

    **神経系障害

    味覚異常

    頭痛、傾眠、浮動性めまい、運動失調、痙攣、耳鳴、難聴

    腎及び尿路障害

    着色尿

    精神障害

    幻覚

    代謝及び栄養障害

    食欲減退

    *皮膚及び皮下組織障害

    湿疹、皮膚乾燥

    発疹、蕁麻疹、血管浮腫、水疱性皮膚炎、固定薬疹

    免疫系障害

    ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応

    14. 適用上の注意

    14.1 薬剤調製時の注意

    本剤は調製不要の使い切り製剤であるため、残液は使用しないこと。

    14.2 薬剤投与時の注意

    配合変化を起こす可能性があるので他の薬剤との混注を避けること。

    15. その他の注意

    15.2 非臨床試験に基づく情報

    マウスに長期経口投与した場合、肺腫瘍が、またラットでは乳腺腫瘍の発生が報告されているが、ハムスターの生涯投与試験では腫瘍はみられていないとの報告がある14),15),16)

    16. 薬物動態

    16.1 血中濃度

    1. 16.1.1 単回投与

      日本人健康成人6例にメトロニダゾール500mgを20分かけて単回点滴静注したときのメトロニダゾール及び活性代謝物であるヒドロキシメトロニダゾール[1-(2-hydroxyethyl)-2-hydroxymethyl-5-nitroimidazole]の血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータを以下に示す17)

      図 日本人健康成人にメトロニダゾール500mgを単回点滴静注したときの血漿中濃度推移(6例、平均値±標準偏差)
      表 日本人健康成人にメトロニダゾール500mgを単回点滴静注したときの薬物動態パラメータ[6例、幾何平均値(変動係数%)]

      メトロニダゾール

      ヒドロキシメトロニダゾール

      Cmax
      (μg/mL)

      13.1
      (23)

      0.678
      (67)

      Tmax
      (h)

      0.32
      (0.32-1.00)

      12.0
      (12.0-12.0)

      AUCinf
      (μg・h/mL)

      161
      (19)

      27.4
      (52)

      t1/2
      (h)

      12.4
      (22)

      18.8
      (29)

      CL
      (L/h)

      3.10
      (19)

      N/A

      Tmaxは中央値(範囲)、t1/2は算術平均値(変動係数%)
      N/A:算出していない

    2. 16.1.2 反復投与

      日本人健康成人6例にメトロニダゾール500mgを20分かけて1日4回5日間反復点滴静注したとき、血漿中メトロニダゾール濃度は投与開始後約3日で定常状態に達し、反復投与開始3~5日目のトラフ濃度は28.0~30.4μg/mLであった。メトロニダゾールに対するヒドロキシメトロニダゾールの比はCmaxが0.13、AUC0-6が0.15であった17)

      表 日本人健康成人にメトロニダゾール500mgを反復点滴静注したときの薬物動態パラメータ[6例、幾何平均値(変動係数%)]

      メトロニダゾール

      ヒドロキシメトロニダゾール

      Cmax
      (μg/mL)

      44.5
      (13)

      5.24
      (32)

      Tmax
      (h)

      0.41
      (0.32-1.00)

      1.50
      (0.00-6.00)

      AUC0-6
      (μg・h/mL)

      206
      (15)

      28.3
      (35)

      t1/2
      (h)

      13.4
      (17)

      21.9
      (18)

      CL
      (L/h)

      2.44
      (16)

      N/A

      Tmaxは中央値(範囲)、t1/2は算術平均値(変動係数%)
      N/A:算出していない

    16.3 分布

    1. 16.3.1 組織・体液中濃度

      メトロニダゾール投与後、唾液、歯肉溝滲出液、腹腔液中及び母乳中に血中と同程度のメトロニダゾール濃度が認められている。またメトロニダゾールは脳膿瘍中、脳脊髄液中及び精漿中に移行するほか、胎盤を通過し、臍帯動脈血から胎児に移行する18),19),20),21),22),23),24),25),26)(外国人データ)。,,,

      表 組織中又は体液中メトロニダゾール濃度

      組織/体液

      投与量

      採取時間
      (投与後時間)

      組織内濃度又は体液中濃度
      (μg/g又はμg/mL)

      血液中濃度
      (μg/mL)

      唾液

      500mg PO BID/TID

      2時間

      15.15

      14.33

      歯肉溝滲出液

      500mg PO BID/TID

      2時間

      12.86

      14.33

      腹腔液

      500mg IV SD

      58分

      7.2

      10.7

      腹壁

      1000mg IV SD

      38分

      2.6

      25.1

      腹膜脂肪

      1000mg IV SD

      38分

      2.7

      25.1

      結腸壁

      1000mg IV SD

      156分

      8.9

      19.1

      胎盤

      500mg IV SD

      40分

      3.5b)

      13.5

      胎児a)

      500mg IV SD

      40分

      9.0b)

      13.5d)

      臍帯動脈血

      500mg IV SD

      20分

      11.74c)

      13.92

      母乳

      400mg PO TID

      2時間

      15.52

      17.46

      8時間

      9.07

      9.87

      新生児a)

      400mg PO TID

      4-8時間

      1.62

      9.87d)

      精漿

      250mg PO BID

      2-3時間

      7.0

      8.7

      脳脊髄液

      500mg PO BID

      2-8時間

      11.0-13.9

      8.3-15.4

      脳膿瘍

      400mg PO TID

      不明

      34.4-35.0

      11.5-35.1

      600mg IV TID

      不明

      45.0

      12.5

      a:母体に投与したときの値、b:μg/mg、c:帝王切開時の濃度、d:母体の血液中濃度
      PO:経口投与、IV:静脈内投与、SD:単回投与、BID:1日2回投与、TID:1日3回投与

    2. 16.3.2 蛋白結合

      メトロニダゾールの血漿蛋白結合率は15%以下である27),28)(外国人データ)。

    16.4 代謝

    主として肝臓で酸化及びグルクロン酸抱合を受け代謝され、代謝物としてヒドロキシメトロニダゾール、酸代謝物(1-acetic acid-2-methyl-5-nitroimidazole)、未変化体とヒドロキシメトロニダゾールのグルクロン酸抱合体及び硫酸抱合体が認められている。主代謝物であるヒドロキシメトロニダゾールへの代謝にはCYP2A6が関与している29),30)(外国人データ)。

    16.5 排泄

    健康成人に14C-メトロニダゾールを単回静脈内投与したとき、投与量の約60%が尿中に、6%が糞中に排泄された29)(外国人データ)。

    16.6 特定の背景を有する患者

    1. 16.6.1 腎機能障害患者
      1. (1) 腎機能障害患者(血液透析患者を除く)

        腎機能障害患者を対象にメトロニダゾールを点滴静注したとき、メトロニダゾールの血漿中濃度推移は健康成人と大きく異ならず、メトロニダゾールのAUCに対する腎機能低下の明らかな影響は認められなかった。血中の酸代謝物は健康成人では認められなかったが、腎機能障害患者では認められた。ヒドロキシメトロニダゾール及び酸代謝物のAUCは腎機能低下に従って増加する傾向が認められた31),32),33)(外国人データ)。

      2. (2) 血液透析患者

        血液透析を受けている腎機能障害患者4例を対象に、メトロニダゾール500mgを30分かけて単回点滴静注したとき、投与量の約45%が透析によって除去された31),32),33)(外国人データ)。

    2. 16.6.2 肝機能障害患者

      健康成人7例及び肝機能障害患者35例を対象に、メトロニダゾール500mgを20分かけて単回点滴静注したとき、肝機能障害の重症度に従い、メトロニダゾールのCLは減少し、t1/2は延長した。また肝機能障害患者のAUC0-24は健康成人と比較して有意に増加した34)(外国人データ)。

      表 肝機能障害患者にメトロニダゾール500mgを単回点滴静注したときの薬物動態パラメータ(平均値±標準偏差)

      健康成人

      Child-
      Pugh A

      Child-
      Pugh B

      Child-
      Pugh C

      例数

      7

      14

      9

      12

      t1/2
      (h)

      7.4±2.2

      10.7±2.3

      13.5±5.1

      21.5±12.7

      CL
      (mL/min/kg)

      1.53±0.37

      0.85±0.26

      0.79±0.36

      0.56±0.28

      AUC0-24
      (μg・h/mL)

      81.4±27.0

      124.9±42.3

      124.4±25.8

      174.1±52.0

    17. 臨床成績

    17.1 有効性及び安全性に関する試験

    1. 17.1.1 国内第Ⅲ相試験

      腹腔内感染症注1)ならびに骨盤内炎症性疾患注2)及びその関連疾患患者30例を対象とし、1回500mgを1日3回点滴静注した。なお、重症又は難治性感染症に対しては、1日4回までの投与を可とした。好気性菌との混合感染を考慮し、セフトリアキソンナトリウムを併用した。結果は以下のとおりである。

      • 〈全対象疾患〉

        臨床効果(有効率)は、96.7%(29/30)であった。主な原因嫌気性菌であるバクテロイデス属に対する有効率及び細菌学的効果(菌消失率)は、共に100%(11/11)であった。

      • 〈腹腔内感染症注1)

        臨床効果(有効率)は、100%(20/20)であった。

      • 〈骨盤内炎症性疾患注2)

        臨床効果(有効率)は、90.0%(9/10)であった。
        また、副作用は38例中14例(36.8%)に認められた。その主な副作用は、下痢(23.7%)、悪心(5.3%)等であった35)
        注1:詳細診断名:腹膜炎及び腹腔内膿瘍
        注2:詳細診断名:ダグラス窩膿瘍、骨盤腹膜炎、卵管卵巣膿瘍、付属器膿瘍、卵巣膿瘍、子宮付属器炎、子宮内膜炎、子宮内感染

    18. 薬効薬理

    18.1 作用機序

    メトロニダゾールは、菌体又はアメーバ内の酸化還元系によって還元を受け、ニトロソ化合物(R-NO)に変化する。このR-NOが嫌気性菌に対する抗菌作用及び抗アメーバ作用を示す。また、反応途中で生成したヒドロキシラジカルがDNAを切断し、DNAらせん構造の不安定化を招く36),37),38)

    19. 有効成分に関する理化学的知見

    一般的名称

    メトロニダゾール(Metronidazole)

    化学名

    2-(2-Methyl-5-nitro-1H-imidazol-1-yl)ethanol

    分子式

    C6H9N3O3

    分子量

    171.15

    性状

    白色~微黄白色の結晶又は結晶性の粉末である。
    酢酸(100)に溶けやすく、エタノール(99.5)又はアセトンにやや溶けにくく、水に溶けにくい。
    希塩酸に溶ける。
    光によって黄褐色になる。

    化学構造式

    融点

    159~163℃

    略号

    MNZ

    22. 包装

    5バイアル

    23. 主要文献

    1) 厚生労働省健康局結核感染症課編:抗微生物薬適正使用の手引き

    2) Alexander I.:Br J Clin Pract.1985;39(7):292-293

    3) Rothstein E, et al.:N Engl J Med.1969;280(18):1006-1007

    4) O'Reilly RA.:N Engl J Med.1976;295(7):354-357

    5) Kazmier FJ.:Mayo Clin Proc.1976;51(12):782-784

    6) Howard-Thompson A, et al.:Am J Geriatr Pharmacother.2008;6(1):33-36

    7) Nilsson C, et al.:Bone Marrow Transplant.2003;31(6):429-435

    8) Gulbis AM, et al.:Ann Pharmacother.2011;45(7-8):e39

    9) Teicher MH, et al.:JAMA.1987;257(24):3365-3366

    10) Bardakji Z, et al.:Cancer Chemother Pharmacol.1986;18(2):140-144

    11) Zylber-Katz E, et al.:Drug Intell Clin Pharm.1988;22(6):504-505

    12) Mead PB, et al.:N Engl J Med.1982;306(24):1490

    13) Gupte S.:N Engl J Med.1983;308(9):529

    14) Rustia M, et al.:J Natl Cancer Inst.1972;48(3):721-729

    15) Roe FJ.:Surgery.1983;93(1):158-164

    16) Rustia M, et al.:J Natl Cancer Inst.1979;63(3):863-868

    17) 社内資料:日本人健康成人における単回及び反復投与試験(2014年7月4日承認、CTD2.7.2.2) [L20140115001]

    18) Pahkla ER, et al.:J Clin Periodontol.2005;32(2):163-166

    19) Berger SA, et al.:Antimicrob Agents Chemother.1990;34(2):376-377

    20) Martin C, et al.:Antimicrob Agents Chemother.1991;35(12):2602-2605

    21) Karhunen M.:Br J Clin Pharmacol.1984;18(2):254-257

    22) Visser AA, et al.:J Antimicrob Chemother.1984;13(3):279-283

    23) Passmore CM, et al.:Br J Clin Pharmacol.1988;26(1):45-51

    24) Eliasson R, et al.:Int J Androl.1980;3(3):236-242

    25) O'Grady LR, et al.:Am J Dis Child.1976;130(8):871-873

    26) Ingham HR, et al.:Br Med J.1977;2(6093):991-993

    27) Ralph ED, et al.:Antimicrob Agents Chemother.1974;6(6):691-696

    28) Schwartz DE, et al.:Chemotherapy.1976;22(1):19-29

    29) 社内資料:外国人健康男性におけるマスバランス試験(2014年7月4日承認、CTD2.7.2.2) [L20140115002]

    30) Pearce RE, et al.:Drug Metab Dispos.2013;41(9):1686-1694

    31) Houghton GW, et al.:Br J Clin Pharmacol.1985;19(2):203-209

    32) Bergan T, et al.:Chemotherapy.1986;32(4):305-318

    33) Somogyi A, et al.:Eur J Clin Pharmacol.1983;25(5):683-687

    34) Muscara MN, et al.:Br J Clin Pharmacol.1995;40(5):477-480

    35) 社内資料:日本人腹腔内感染症に対する注射剤のセフトリアキソンとの併用で検討した非対照試験(2014年7月4日承認、CTD2.7.3.2) [L20140115003]

    36) Tran CM, et al.:Antimicrob Agents Chemother.2011;55(5):2398-2402

    37) Upcroft JA, et al.:Antimicrob Agents Chemother.2001;45(6):1810-1814

    38) 山本 達男ほか:日本臨牀.2005;63(S-11):376-381

    24. 文献請求先及び問い合わせ先

    ファイザー株式会社
    Pfizer Connect/メディカル・インフォメーション

    〒151-8589 東京都渋谷区代々木3-22-7

    TEL 0120-664-467

    26. 製造販売業者等

    26.1 製造販売元

    ファイザー株式会社

    東京都渋谷区代々木3-22-7

    〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

    画面を閉じる

    Copyright © Pharmaceuticals and Medical Devices Agency, All Rights reserved.