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オンダンセトロン注4mgシリンジ「マルイシ」

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
5.効能又は効果に関連する注意
6.用法及び用量
7.用法及び用量に関連する注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
9.3肝機能障害患者
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
9.8高齢者
10.相互作用
10.2併用注意(併用に注意すること)
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
13.過量投与
14.適用上の注意
15.その他の注意
15.1臨床使用に基づく情報
16.薬物動態
16.1血中濃度
16.3分布
16.4代謝
16.5排泄
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
18.薬効薬理
18.1作用機序
18.2制吐作用
18.35-HT3受容体拮抗作用
18.4その他の受容体に対する作用
19.有効成分に関する理化学的知見
20.取扱い上の注意
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

オンダンセトロン注4mgシリンジ「マルイシ」

添付文書番号

2391401G1045_2_04

企業コード

730119

作成又は改訂年月

**2022年5月改訂(第4版)
2022年2月改訂(第3版、効能変更)

日本標準商品分類番号

872391

薬効分類名

5-HT3受容体拮抗型制吐剤

承認等

オンダンセトロン注4mgシリンジ「マルイシ」

販売名コード

YJコード

2391401G1045

販売名英語表記

Ondansetron Injection 4mg syringe “Maruishi”

販売名ひらがな

おんだんせとろんちゅう4mgしりんじ「まるいし」

承認番号等

承認番号

21800AMZ10389

販売開始年月

2006年12月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

3年

一般的名称

オンダンセトロン塩酸塩水和物注射液

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者

3. 組成・性状

3.1 組成

オンダンセトロン注4mgシリンジ「マルイシ」

有効成分1シリンジ(2mL)中
オンダンセトロン塩酸塩水和物   5mg
(オンダンセトロンとして4mg  )
添加剤等張化剤、pH調節剤

3.2 製剤の性状

オンダンセトロン注4mgシリンジ「マルイシ」

剤形注射剤(シリンジ)
pH3.0~4.0
浸透圧比0.9~1.1(生理食塩液に対する比)
性状無色澄明の液

4. 効能又は効果

〇抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)

*〇術後の消化器症状(悪心、嘔吐)

5. 効能又は効果に関連する注意

  • 〈抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)〉

    本剤は強い悪心・嘔吐が生じる抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)の投与の場合に限り使用すること。

6. 用法及び用量

  • 〈抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)〉

    成人

    • 通常、成人にはオンダンセトロンとして1回4mg、1日1回緩徐に静脈内投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
    • また、効果不十分な場合には、同用量を追加投与できる。
  • 小児
    • 通常、小児にはオンダンセトロンとして1回2.5mg/m2、1日1回緩徐に静脈内投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
    • また、効果不十分な場合には、同用量を追加投与できる。
  • *〈術後の消化器症状(悪心、嘔吐)〉

    成人

    • 通常、成人にはオンダンセトロンとして1回4mgを緩徐に静脈内投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
  • 小児
    • 通常、小児にはオンダンセトロンとして1回0.05~0.1mg/kg(最大4mg)を緩徐に静脈内投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

7. 用法及び用量に関連する注意

  • *〈術後の消化器症状(悪心、嘔吐)〉

    患者背景や術式等を考慮し、術前から術後の適切なタイミングで投与すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 薬物過敏症の既往歴のある患者
  2. 9.1.2 消化管通過障害の症状のある患者

    投与後観察を十分に行うこと。消化管運動の低下があらわれることがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1 重篤な肝障害のある患者

    本剤は主として肝臓で代謝されるので、血中濃度が上昇するおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)において乳汁への移行が報告されている。

9.7 小児等

  • 〈抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)〉

    低出生体重児、新生児、乳児を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

  • *〈術後の消化器症状(悪心、嘔吐)〉

    低出生体重児、新生児を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

血漿クリアランスの減少及び半減期の延長が認められているが、安全性、有効性に65歳以下の患者と差がないことから、高齢者で用法及び用量の調整は必要ないとの報告がある1) 。なお、副作用が発現した場合には、副作用の程度と有効性を勘案し減量するなど適切な処置を行うこと。生理機能が低下していることがある。

10. 相互作用

  • 本剤は、肝チトクロームP-450(CYP3A4、CYP2D6及びCYP1A2)で代謝される。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子

CYP3A4誘導作用を有する薬剤

  • フェニトイン
    カルバマゼピン
    リファンピシン等

本剤の作用が減弱するおそれがある。

併用薬剤のCYP3A4誘導作用により、本剤のクリアランスが増大し血中濃度が低下する可能性がある。

トラマドール

本剤がトラマドールの鎮痛作用を減弱させるおそれがある。

本剤との併用によりトラマドールの鎮痛作用が減弱するとの報告がある。

セロトニン作用薬

  • 選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)
    セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)
    MAO阻害剤 等

セロトニン症候群(不安、焦燥、興奮、錯乱、発熱、発汗、頻脈、振戦、ミオクローヌス等)があらわれるおそれがある。

セロトニン作用が増強するおそれがある。

アポモルヒネ

海外において、5-HT3受容体拮抗剤との併用により、重度の血圧低下、失神/意識消失、徐脈、けいれん発作が発現したとの報告がある。

機序は明らかではないが、アポモルヒネの副作用が増強されるおそれがある。

11. 副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

11.1 重大な副作用

  1. 11.1.1 ショック(頻度不明)、アナフィラキシー(頻度不明)
  2. 11.1.2 てんかん様発作(頻度不明)

11.2 その他の副作用

1%以上

1%未満

頻度不明

過敏症

発疹

そう痒

精神神経系

ふるえ感、眠気、頭痛、頭重感

消化器

下痢、便秘

循環器

動悸

胸痛、徐脈、不整脈、低血圧

肝臓

AST、ALT、LDH、γ-GTP、総ビリルビン値等の上昇

注射部位

血管痛

発疹、蕁麻疹、そう痒、紅斑等の局所症状、静脈炎

その他

全身けん怠感、発汗、しゃっくり、顔面紅潮、発熱

熱感、不随意運動(眼球回転発作、ジストニー反応等の錐体外路様症状)、一過性の視覚障害(霧視、一過性盲等)

13. 過量投与

海外臨床試験において、オンダンセトロン32mgを15分かけて単回静脈内投与したとき、QTcF間隔の延長が認められ、最大平均変化量(90%信頼区間上限)は投与終了5分後に19.6(21.5)msecであった2) 。また、海外において、小児が誤って過量服用し、セロトニン症候群が認められたとの報告がある。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤投与時の注意

急速に静注した場合、めまいを起こすことがあるので、緩徐に静脈内投与すること。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報

  1. 15.1.1 **妊娠初期に本剤が投与された妊婦より出生した児において、口唇口蓋裂及び心奇形の発現割合が増加したとする報告がある。一方で増加がみられないとする報告もあり、本剤との関連性は不明である3),4),5),6)

16. 薬物動態

16.1 血中濃度

健康成人男子にオンダンセトロン塩酸塩水和物注射剤(オンダンセトロンとして4mg)を単回静脈内投与した時、血漿中オンダンセトロン濃度推移及び薬物動態パラメータは以下の通りであった7)

投与量
(mg)

t1/2(β)
(hr)

AUC0-24
(ng・hr/mL)

4

5.13±1.50

153.15±63.00

                   (Mean ± S.D., n=6)

16.3 分布

  1. 16.3.1 血漿蛋白結合率

    In vitroにおけるヒト血漿蛋白に対する結合率は、約88%であった8)

16.4 代謝

本剤は、肝チトクロームP-450(CYP3A4、CYP2D6及びCYP1A2)で代謝される9),10)

16.5 排泄

健康成人にオンダンセトロン塩酸塩水和物注射剤(オンダンセトロンとして8mg)を静脈内投与した時、投与後24時間までの未変化体、水酸化体、並びに水酸化体のグルクロン酸抱合体及び硫酸抱合体の尿中排泄率は投与量の40%であった11)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験

  • 〈抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)〉
  1. 17.1.1 国内臨床試験
    シスプラチンを含む抗悪性腫瘍剤投与による悪心・嘔吐に対する抑制効果の有効率は70.9%(180例/254例)、シスプラチン以外の抗悪性腫瘍剤投与による悪心・嘔吐に対する抑制効果の有効率は67.6%(23例/34例)であった12),13),14),15),16),17)
  2. 17.1.2 国内臨床試験(小児)
    シスプラチンを含む抗悪性腫瘍剤投与による悪心・嘔吐に対する抑制効の有効率は62.9%(22例/35例)、シスプラチン以外の抗悪性腫瘍剤投与による悪心・嘔吐に対する抑制効果の有効率は77.1%(84例/109例)であった18)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序

オンダンセトロンは、延髄の最後野にあるCTZ(chemoreceptor trigger zone)や求心性迷走神経の5-HT3受容体に作用し、嘔吐を抑制すると考えられている19)

18.2 制吐作用

フェレットにオンダンセトロンを静脈内あるいは経口投与した後、抗悪性腫瘍剤であるシスプラチン10mg/kgを静脈内又は腹腔内投与した場合、誘発される嘔吐に対してオンダンセトロン静脈内投与では0.01mg/kg以上、経口投与では5.0mg/kg以上で有意に嘔吐回数を減少させ、嘔吐発現時間を延長させる20),21) 。また、フェレットにオンダンセトロンを経口投与し、30分後に抗悪性腫瘍剤であるシクロホスファミド200mg/kgを腹腔内投与した場合、誘発される嘔吐に対してオンダンセトロンは0.1mg/kgで有意に嘔吐回数を減少させ、嘔吐発現時間を延長させる21)

18.3 5-HT3 受容体拮抗作用

  1. 18.3.1 迷走神経の脱分極に対する作用

オンダンセトロンはin vitroにおいて、5-HT3受容体を介した5-HTによるラット迷走神経の脱分極を強力かつ競合的に抑制する22)

  1. 18.3.2 von Bezold-Jarisch反射に対する作用

麻酔ラットにおける5-HT3受容体を介した5-HTによる反射性の徐脈に対し、オンダンセトロンは静脈内又は経口投与により用量依存的に抑制する22)

  1. 18.3.3 5-HT3受容体への親和性

オンダンセトロンはラット最後野及び迷走神経のホモジネートを用いた放射性リガンド結合試験において、5-HT3受容体に対して高い親和性を示す23)

18.4 その他の受容体に対する作用

In vitro(ネコ、イヌ、ウサギ、ラット、モルモット)において5-HT1 like、5-HT2受容体、並びにアドレナリン、ムスカリン及びヒスタミン等の5-HT以外の各種受容体が介在する反応に対して、オンダンセトロンは5-HT3受容体拮抗作用を示す濃度の1,000倍以上を用いてもほとんど作用を示さない22)

19. 有効成分に関する理化学的知見

一般的名称

オンダンセトロン塩酸塩水和物
(Ondansetron Hydrochloride Hydrate)

化学名

(±)-2,3-dihydro-9-methyl-3-[(2-methylimidazol-1-yl)methyl]carbazol-4(1H)-one monohydrochloride dihydrate

分子式

C18H19N3O・HCl・2H2O

分子量

365.86

構造式

性状

白色~微黄白色の結晶性の粉末である。
酢酸(100)に溶けやすく、メタノールにやや溶けやすく、水又はエタノール(99.5)にやや溶けにくく、アセトニトリルに溶けにくい。
本品の水溶液(1→50)は旋光性を示さない。

20. 取扱い上の注意

  1. 20.1 本剤は光により着色するので、使用直前に遮光袋から取り出すこと。着色したものは使用しないこと。

22. 包装

2mL×5シリンジ

23. 主要文献

1) 矢島忠孝ほか:臨床医薬, 1998;14(14):2589-2601〔H0980001〕

2) Zuo, P. et al.:J. Clin. Pharmacol., 2014;54(11):1221-1229〔H2140001〕

3) Huybrechts KF et al.:JAMA, 2018;320(23):2429-2437〔H2180002〕

4) Zambelli-Weiner A et al.:Reprod.Toxicol., 2019;83:14-20〔H2190005〕

5) Huybrechts KF et al..:JAMA, 2020;323(4):372-374〔H2200003〕

6) MS Fejzo, et al.:Reprod.Toxicol., 2016;62:87-91〔H2160003〕

7) 熊谷雄治ほか:臨床医薬, 1992;8(7):1505-1513〔H0920001〕

8) Hallifax D, et al.:基礎と臨床, 1992;26(4):1337-1347〔H0920002〕

9) Dixon CM, et al.:Drug Metab. Dispos., 1995;23(11):1225-1230〔H0950001〕

10) Ashforth EIL, et al.:Br. J. Pharmacol., 1994;37(4):389-391〔H0940001〕

11) ゾフラン注2・注4 医薬品インタビューフォーム

12) 住永雅司ほか:癌と化学療法, 1992;19(9):1333-1345〔H0920003〕

13) 太田 潤ほか:癌と化学療法, 1992;19(12):2041-2055〔H0920004〕

14) 池田正典ほか:癌と化学療法, 1992;19(12):2071-2084〔H0920005〕

15) 赤阪雄一郎ほか: 癌と化学療法, 1992;19(9):1359-1374〔H0920006〕

16) 池田正典ほか:癌と化学療法, 1992;19(11):1905-1914〔H0920007〕

17) 忽滑谷直孝ほか: 癌と化学療法, 1992;19(9):1375-1385〔H0920008〕

18) 恒松由記子ほか:小児科診療, 1995;58(10):1819-1834〔H0950002〕

19) 髙折修二他監訳:グッドマン・ギルマン薬理書(下)薬物治療の基礎と臨床 第12 版(廣川書店)2013;1725-1726

20) Stables R, et al.:Cancer Treat. Rev., 1987;14(3, 4):333-336〔H0870001〕

21) 南 勝ほか:基礎と臨床, 1992;26(4):1323-1335〔H0920009〕

22) Butler A, et al.:Br. J. Pharmacol., 1988;94(2):397-412〔H0880001〕

23) Kilpatrick GJ, et al.:Eur. J. Pharmacol., 1989;159(2):157-164〔H0890001〕

24. 文献請求先及び問い合わせ先

丸石製薬株式会社 学術情報部

〒538−0042 大阪市鶴見区今津中2−4−2

TEL. 0120−014−561

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元

丸石製薬株式会社

大阪市鶴見区今津中2−4−2



シリンジの使用方法

① 遮光袋を開封し、フィルム包装されたシリンジを取り出す。

② フィルム包装を開封口から開封し、シリンジを取り出す。

③ ゴム栓(トップキャップ)を回しながら引き抜く。

④ ゴム栓を外したら直ちに注射針を装着し、使用する。

(注意)
●本剤はシリンジポンプでは使用しないこと。
●フィルム包装又は遮光袋開封前に破れ等があった場合は使用しないこと。
●内容液が漏れている場合や、内容液に着色、混濁や浮遊物等の異常が認められるときは使用しないこと。
●シリンジに破損等の異常が認められるときは使用しないこと。
●シリンジ先端のゴム栓(トップキャップ)を外した後、シリンジ先端部に触れないこと。
●注入前後ともにプランジャーを引かないこと。
●開封後の使用は一回限りとし、使用後の残液は容器とともに速やかに廃棄すること。
●シリンジの再滅菌・再利用はしないこと

〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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