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日本薬局方
注射用シベレスタットナトリウム
処方箋医薬品注)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
全身性炎症反応症候群に伴う急性肺障害の改善
通常、本剤を生理食塩液に溶解した後、1日量(シベレスタットナトリウム水和物として4.8mg/kg)を250~500mLの輸液で希釈し、24時間(1時間当たり0.2mg/kg)かけて静脈内に持続投与する。投与期間は14日以内とする。
本剤の投与は一般的な急性肺障害の治療法(呼吸管理、循環血液量の補正、抗菌剤等)に代わるものではないので、原疾患に対する適切な治療を実施すること。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
授乳しないことが望ましい。動物実験において乳汁中への移行が認められている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
一般に生理機能が低下している。
AST・ALTの著しい上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
1~10%未満
1%未満
頻度不明
過敏症
発疹等
肝臓
ビリルビン、AST、ALT、γ-GTP、アルカリホスファターゼの上昇
ウロビリノーゲン陽性、LDH上昇
血液
好酸球増加
血小板減少、血小板増多、貧血、出血傾向
腎臓
多尿、尿蛋白増加、BUN上昇
クレアチニン上昇
その他
高カリウム血症、総蛋白減少、注射部静脈炎
健康成人5例に、本剤を1時間当たり0.5mg/kg注1)で2時間静脈内投与した場合、2時間後の血漿中濃度は11.678μg/mLを示し、AUCは61.113μg・hr/mL、血漿中半減期は2→6hrで131.4分、6→10hrで199.9分である1)。
AUC0-∞(μg・hr/mL)
T1/2(2→6hr)(min)
T1/2(6→10hr)(min)
C2hr(μg/mL)
61.113±5.365
131.4±11.5
199.9±22.3
11.678±1.318
平均値±標準偏差
ヒト血清に対する蛋白結合率は99.6%である(in vitro、限外ろ過法)2)。
本剤はエステラーゼにより加水分解され、さらにグルクロン酸抱合及び硫酸抱合を受ける。肝臓が本剤の主代謝臓器であり、主にカルボキシエステラーゼで加水分解されるものと推定された。また、本剤の代謝にはチトクロームP-450代謝酵素の関与はないと推察される3)。
主排泄経路は尿中であり、健康成人5例に本剤を1時間当たり0.5mg/kg注1)で2時間静脈内投与した場合、尿中には代謝物のみ認められ、投与24時間後までに81.0%が、投与48時間後までに84.5%が尿中に排泄される1)。
二重盲検比較試験4)及び国際的な試験方法であるARDS Networkの基準に準拠した臨床試験5)において(いずれも投与前の臓器障害数が肺を含め3臓器以下の患者に本剤を14日間投与した)、全身性炎症反応症候群に伴う肺障害に対する本剤の有用性が確認されている。
障害臓器
診断基準
心臓
循環血液量が適正で通常量のinotropic agentsに反応しない血圧低下(SBP<100mmHg)
血清ビリルビン>5mg/dL又はs-ALT>200IU/L
BUN>50mg/dL又は血清クレアチニン>3mg/dL
消化管出血
輸血を要する消化管出血
中枢神経系
3,3,9度方式による意識レベルで2桁以上
血液凝固系
厚生省DIC基準に基づくDIC
全身性炎症反応症候群に伴う急性肺障害患者116例を対象に、1時間あたり0.2mg/kgを盲検下で14日間静脈内に持続投与した。肺機能改善度の「中等度改善」以上は、本剤の投与開始が肺障害発症後72時間以内の患者で72.5%(66/91例)、72時間を超える患者で54.5%(12/22例)であった。副作用発現率は18.6%(21/113例)であり、主な副作用はγ-GTP上昇11.5%(13/113例)、ALP上昇11.5%(13/113例)、ALT上昇8.0%(9/113例)、AST上昇5.3%(6/113例)であった4),6)。
投与前に肺を含め4臓器以上の多臓器障害を合併する患者、高度な慢性呼吸器疾患を合併する患者、熱傷、外傷に伴う急性肺障害患者を除外して実施したARDS Networkの基準に準拠した臨床試験(20例、1時間あたり0.2mg/kgを14日間静脈内に持続投与)において、Ventilator Free Days[VFD:28日間での人工呼吸器から離脱した状態での生存日数](平均±標準偏差)は、14.3±8.6日であった。副作用発現率は25.0%(5/20例)であり、主な副作用は、γ-GTP上昇25.0%(5/20例)、AST上昇、ALT上昇及びALP上昇がそれぞれ15.0%(3/20例)であった5),7)。なお、国内第Ⅲ相試験(二重盲検比較試験)に組み入れられた患者のうち、上記ARDS Networkの基準に準拠した臨床試験の選択基準に合致した患者107例でのサブグループ解析において、VFD(平均±標準偏差)は、対照群(61例、0.004mg/kg)では10.7±10.8日、至適用量群(46例、0.2mg/kg)では13.1±10.9日であった5),7)。
全身性炎症反応症候群に伴う急性肺障害患者57例を対象に、1時間あたり0.2mg/kgを盲検下で5日間静脈内に持続投与した。全般改善度の「中等度改善」以上は、投与前の臓器障害数が肺を含め3臓器以下の患者で63.2%(24/38例)、4臓器以上の患者で33.3%(5/15例)であった(なお、本試験では肺以外の臓器障害の診断基準を定めていない)。副作用発現率は7.3%(4/55例)であり、主な副作用は肝機能障害7.3%(4/55例)であった。また、関連性が否定できない臨床検査値の異常変動発現率は14.8%(8/54例)であり、γ-GTP上昇13.9%(5/36例)、ALP上昇11.4%(5/44例)、LDH上昇8.9%(4/45例)であった8),9)。
二重盲検比較試験を含む臨床試験234例において、全身性炎症反応症候群に伴う肺障害に効果がみられ、全般改善度の「中等度改善」以上は70.5%(165/234例)であった10)。
二重盲検比較試験を含む14日間投与で実施した臨床試験において、投与5日後の肺機能改善度を基準とした投与10日後、投与14日後の「中等度改善」以上は次のとおりであった11)。
5日後肺機能改善度
10日後肺機能改善度(中等度改善以上)
14日後肺機能改善度(中等度改善以上)
著明改善
100.0%(56/56例)
中等度改善
90.0%(36/40例)
軽度改善
64.5%(20/31例)
80.6%(25/31例)
不変
27.8%(10/36例)
34.3%(12/35例)
悪化
0.0%(0/12例)
計
69.7%(122/175例)
74.1%(129/174例)
5日後不変の1例は副作用のため中止され、14日後は欠測となった。
急性肺障害患者487例(プラセボ群246例、本剤投与群241例)を対象に、ARDS Networkの基準に準拠して、海外第Ⅱ相無作為化二重盲検プラセボ比較臨床試験(高度な慢性呼吸器疾患を合併する患者は除外し、投与前に肺を含め4臓器以上の多臓器障害を合併する患者、熱傷、外傷に伴う急性肺障害患者を除外せずに実施)において、本剤を0.16mg/kg/hrの投与速度注2)で最大14日間の持続静脈内投与を行った。その結果、VFD(平均±標準偏差)は、プラセボ群11.9±10.1日、本剤投与群11.4±10.3日であり、28日死亡率は、プラセボ群26.0%(64/246例)、本剤投与群26.6%(64/241例)であった。180日死亡率は、プラセボ群31.3%(77/246例)、本剤投与群40.2%(97/241例)であり、プラセボ群と比較して本剤投与群で180日死亡率は統計学的に有意に高かった12)※。
※なお、国内臨床試験の組み入れ基準に合致した患者(投与前に肺を含め4臓器以上の多臓器障害を合併する患者、熱傷、外傷に伴う急性肺障害患者を除外)で、かつ肺障害の重症度が国内二重盲検比較試験と同程度の患者100例での事後のサブグループ解析では、VFD(平均±標準偏差)は、プラセボ群12.0±10.3日、本剤投与群15.9±10.4日、28日死亡率は、プラセボ群34.0%(18/53例)、本剤投与群12.8%(6/47例)、180日死亡率は、プラセボ群45.3%(24/53例)、本剤投与群34.0%(16/47例)であった13)。
※独立した2つの多施設共同試験から本剤投与群384例と本剤非投与群172例を集積し、成績は両群間の患者背景の偏りを調整。
全身性炎症反応症候群に伴う急性肺障害において、本剤は、好中球から放出されたエラスターゼを選択的に阻害することにより、エラスターゼによる肺血管内皮細胞や肺胞上皮細胞のタンパク透過性亢進および血管基底膜の破綻を抑制し、肺胞内出血やタンパク漏出及び肺血管透過性亢進等の急性肺障害に特徴的な病態を改善すると考えられる。また、エラスターゼを阻害することにより組織への好中球浸潤を抑制すると考えられる。
塩酸により惹起したハムスター誤嚥性肺傷害モデルにおいて、静脈内持続投与により肺機能(動脈血酸素分圧)の低下を抑制し、生存率の改善効果を示した19)。
シベレスタットナトリウム水和物(Sivelestat Sodium Hydrate)
Monosodium N-{2-[4-(2,2-dimethylpropanoyloxy)-phenylsulfonylamino]benzoyl}aminoacetate tetrahydrate
C20H21N2NaO7S・4H2O
528.51
白色の結晶性の粉末である。メタノールに溶けやすく、エタノール(99.5)に溶けにくく、水にほとんど溶けない。水酸化ナトリウム試液に溶ける。融点:約190℃(分解、ただし60℃で2時間減圧乾燥後)
0.2(pH8.0、n-オクタノール/緩衝液)12.0(pH5.4、n-オクタノール/緩衝液)
外箱開封後は遮光して保存すること。
10バイアル
1) 中島光好他:臨床医薬, 1998;14(2):195-218[ELA0980030]
2) 藤本博昭他:薬物動態, 1997;12(6):576-588[ELA0970036]
3) 申請資料概要(注射用エラスポール100 2002年4月11日承認 申請資料概要 ヘ 2. 3))
4) 玉熊正悦他:臨床医薬, 1998;14(2):289-318[ELA0980044]
5) 玉熊正悦他:Pulm. Pharmacol. Ther., 2004;17(5):271-279[ELA2040158]
6) 申請資料概要(注射用エラスポール100 2002年4月11日承認 申請資料概要 ト 1. 4)(1))
7) 申請資料概要(注射用エラスポール100 2002年4月11日承認 申請資料概要 ト 1. 4)(2))
8) 玉熊正悦他:臨床医薬, 1998;14(2):263-288[ELA0980045]
9) 申請資料概要(注射用エラスポール100 2002年4月11日承認 申請資料概要 ト 1. 3))
10) 申請資料概要(注射用エラスポール100 2002年4月11日承認 申請資料概要 ト 2. 2))
11) 社内資料:肺機能改善度の推移
12) Zeiher B. G. et al.:Crit. Care Med., 2004;32(8):1695-1702[ELA2040096]
13) 社内資料:外国第Ⅱ相臨床試験結果の概要
14) 相川直樹他:Pulm. Pharmacol. Ther., 2011;24(5):549-554[ELA2110079]
15) 社内資料:国内市販後臨床試験結果の概要
16) 中尾進太郎他:基礎と臨床, 1997;31(12):3347-3356[ELA0970027]
17) 萩尾哲也他:Eur. J. Pharmacol., 2001;426(1-2):131-138[ELA2010008]
18) 川溿和一十他:Am. J. Respir. Crit. Care Med., 2000;161(6):2013-2018[ELA2000014]
19) 萩尾哲也他:Eur. J. Pharmacol., 2004;488(1-3):173-180[ELA2040055]
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