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ラピフォートワイプ2.5%

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能・効果
6.用法・用量
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
11.副作用
11.2その他の副作用
14.適用上の注意
16.薬物動態
16.1血中濃度
16.3分布
16.4代謝
16.5排泄
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
18.薬効薬理
18.1作用機序
19.有効成分に関する理化学的知見
20.取扱い上の注意
21.承認条件
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
25.保険給付上の注意
26.製造販売業者等

ラピフォートワイプ2.5%

添付文書番号

1259701X1026_1_03

企業コード

730155

作成又は改訂年月

**2023年5月改訂(第3版)
2022年4月改訂(第2版)

日本標準商品分類番号

871259

薬効分類名

原発性腋窩多汗症治療剤

承認等

ラピフォートワイプ2.5%

販売名コード

YJコード

1259701X1026

販売名英語表記

Rapifort Wipes

販売名ひらがな

らぴふぉーとわいぷ2.5%

承認番号等

承認番号

30400AMX00009000

販売開始年月

2022年5月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

36箇月

一般的名称

グリコピロニウムトシル酸塩水和物ワイプ

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 閉塞隅角緑内障の患者[抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。]
  2. 2.2 前立腺肥大による排尿障害のある患者[抗コリン作用により排尿時の膀胱収縮が抑制され、症状が悪化するおそれがある。]
  3. 2.3 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

3. 組成・性状

3.1 組成

ラピフォートワイプ2.5%

有効成分1包(薬液2.5g)中 グリコピロニウムトシル酸塩水和物   62.5mg
添加剤無水エタノール、pH調節剤、不織布(担体)

3.2 製剤の性状

ラピフォートワイプ2.5%

性状無色~微黄色澄明の薬液を不織布に含浸させた製剤

4. 効能・効果

原発性腋窩多汗症

6. 用法・用量

1日1回、1包に封入されている不織布1枚を用いて薬液を両腋窩に塗布する。

8. 重要な基本的注意

  1. 8.1 抗コリン作用により、羞明、霧視、散瞳等の眼の調節障害があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。
  2. 8.2 発汗が促進される環境下では、本剤の発汗抑制作用により、体温が上昇するおそれがある。熱中症を疑う症状があらわれた場合には、適切な処置を行うよう患者に指導すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 前立腺肥大症の患者(排尿障害のある患者を除く)

    抗コリン作用により、尿閉を誘発するおそれがある。当該患者は臨床試験で除外されている。

  2. 9.1.2 塗布部位に創傷や湿疹・皮膚炎等がみられる患者

    創傷や湿疹、皮膚炎等がある部位への使用は避けること。体内移行量が増加し、抗コリン作用に基づく副作用があらわれやすくなる可能性がある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット:皮下投与)で胎盤通過性が報告されている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット:皮下投与)で乳汁中移行が報告されている。

9.7 小児等

9歳未満の小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

11. 副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には使用を中止するなど適切な処置を行うこと。

11.2 その他の副作用

1%以上

1%未満

頻度不明

羞明、散瞳、霧視、ドライアイ

視力低下

泌尿器

排尿困難、頻尿

尿量減少、排尿回数減少、膀胱炎

消化器

口渇

悪心、口唇乾燥

**適用部位

接触皮膚炎、湿疹

皮膚炎、紅斑、色素沈着、皮脂欠乏性湿疹

そう痒感

**その他

代償性発汗、鼻乾燥、ALT増加、めまい、血圧上昇、倦怠感、湿疹、鉄欠乏性貧血、皮膚乾燥

無汗症、ほてり

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意

  1. 14.1.1 使用直前に開封すること。
  2. 14.1.2 本剤は1回使い切りである。使用後は患者及び他者が触れないところに廃棄すること。
  3. 14.1.3 本剤を扱った後は、その手で眼に触れず、直ちに手をよく洗うこと。
  4. 14.1.4 本剤の薬液が眼に入った場合、羞明、霧視等の眼の調節障害があらわれることがある。また、刺激を感じることがあるので、眼に入らないよう注意すること。万一、眼に入った場合は、直ちに水で洗い流すこと。

14.2 薬剤使用時の注意

  1. 14.2.1 清潔で乾いた状態の腋窩に使用すること。
  2. 14.2.2 左右の腋窩に1回ずつ塗布すること。
  3. 14.2.3 密封法は行わないこと。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 単回投与

    成人の原発性腋窩多汗症患者11例を対象に、本剤と同一有効成分を3.75%1)含有するワイプ製剤1枚を用いて左右の腋窩に単回塗布し、24時間後まで経時的に血漿中グリコピロニウム濃度を測定したところ、2.55時間後に最高血漿中濃度に達し、0.139ng/mLであった1)(外国人データ)。

  2. 16.1.2 反復投与

    原発性腋窩多汗症患者を対象に、本剤を1日1回(夜就寝前又は朝起床後)左右の腋窩に最大52週間反復塗布したときの血漿中グリコピロニウム濃度は次のとおりであった2)

    表 血漿中グリコピロニウム濃度

    例数a)
    (n/N)

    中央値
    (pg/mL)

    最小値-最大値
    (pg/mL)

    ベースラインb)

    30/182

    24.45

    10.2-201.0

    2週後

    54/182

    18.15

    10.1-170.0

    4週後

    52/180

    19.95

    10.5-154.0

    12週後

    53/179

    23.60

    10.1-1510.0

    28週後

    49/167

    20.10

    10.2-197.0

    52週後

    40/149

    21.15

    10.0-585.0

    a)n/N=血漿中グリコピロニウム濃度が定量下限値(10pg/mL)以上であった被験者数/各時点の被験者数
    b)182例中90例がベースライン時点で本剤を1日1回左右の腋窩に4週間塗布していた。

16.3 分布

14C]グリコピロニウムトシル酸塩水和物をグリコピロニウムとして10~1000ng/mLの濃度でヒト血漿に添加したときの血漿蛋白結合率は55.7%~57.8%であり、主にα1-酸性糖蛋白と結合した3)in vitro)。

16.4 代謝

グリコピロニウムの主要な代謝経路はシクロペンタン環又はベンゼン環の酸化であり4)、この酸化的代謝にはCYP2D6及びCYP3A4の関与が示唆された5)。また、エステル結合の加水分解により生じるカルボン酸化合物を認めた4)in vitro)。
原発性腋窩多汗症患者に本剤を1日1回左右の腋窩に4週間反復塗布したとき、血漿中にはカルボン酸化合物を、尿中にはカルボン酸化合物のほか、ベンゼン環又はシクロペンタン環の水酸化体を代謝物として認めた6)

16.5 排泄

14C]グリコピロニウムトシル酸塩水和物をラット及びミニブタに単回皮下投与した7),8)。ラットでは、投与後168時間までに投与放射能量の70.3%が尿中に、30.0%が糞中に排泄された。投与後48時間までの尿中放射能の34.8%が未変化体であった。ミニブタでは、投与後168時間までに投与放射能量の80.6%が尿中に、19.1%が糞中に排泄された。投与後72時間までの尿中放射能の13.4%が未変化体であった。

1) 本剤の承認規格は2.5%である。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験

  1. 17.1.1 国内第Ⅱ/Ⅲ相試験

    HDSS2)が3又は4かつ左右の腋窩共に5分間の発汗重量が50mg以上である9歳以上の原発性腋窩多汗症患者333例(14~71歳)を対象に、本剤又はプラセボを1日1回(夜就寝前)左右の腋窩に4週間塗布する無作為化二重盲検並行群間比較試験9)を実施した。投与4週後のHDSSがベースラインから2段階以上改善かつ両腋窩の平均発汗重量が50%以上改善した被験者の割合は、次のとおりであった。
    本剤群での副作用発現頻度は、15.5%(26/168例)であった。主な副作用は散瞳3.6%(6/168例)、排尿困難3.0%(5/168例)及び羞明2.4%(4/168例)であった。

    表 投与4週間後の有効性

    有効性評価項目

    投与群

    被験者の割合
    (例数)

    プラセボ群との群間差a)

    群間差
    [両側95%信頼区間]

    P

    HDSSがベースラインから2段階以上改善かつ両腋窩の平均発汗重量がベースラインから50%以上改善した割合

    本剤群

    41.1%(69/168)

    24.7%
    [14.0%~34.8%]

    <0.0001

    プラセボ群

    16.4%(27/165)

    a)ピアソンのカイ二乗検定

  2. 17.1.2 国内第Ⅲ相長期投与試験

    HDSSが2以上かつ左右の腋窩共に5分間の発汗重量が30mg以上の原発性腋窩多汗症患者183例(15~65歳)を対象に、本剤を1日1回(夜就寝前又は朝起床後)左右の腋窩に最大52週間塗布する長期投与試験2)を実施した。HDSSがベースラインから2段階以上改善した被験者の割合は、52週時点で64.3%(83/129例)であった。両腋窩の平均発汗重量がベースラインから50%以上改善した被験者の割合は、52週時点で85.3%(110/129例)であった。
    副作用発現頻度は20.8%(38/183例)であった。主な副作用は羞明、口渇が各3.8%(7/183例)、散瞳、霧視、接触皮膚炎が各2.7%(5/183例)、排尿困難が2.2%(4/183例)であった。

2) Hyperhidrosis disease severity scale(多汗症重症度判定指標)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序

グリコピロニウムは、汗腺細胞のムスカリンM3受容体に結合し、アセチルコリンの作用を阻害することで制汗作用を発揮する10)

18.2 発汗抑制作用

グリコピロニウムトシル酸水和物は、ピロカルピン誘発による発汗反応を用量依存的に抑制した11)(マウス)。

19. 有効成分に関する理化学的知見

一般的名称

グリコピロニウムトシル酸塩水和物(Glycopyrronium Tosilate Hydrate)(JAN)

化学名

(3RS)-3-[(2SR)-(2-Cyclopentyl-2-hydroxy-2-phenylacetyl)oxy]-1,1-dimethylpyrrolidin-1-ium mono(4-methylbenzenesulfonate) monohydrate

分子式

C19H28NO3・C7H7O3S・H2O

分子量

507.64

性状

白色の粉末である。
メタノール、エタノール(96)に溶けやすく、アセトニトリルにやや溶けやすく、水にやや溶けにくい。

化学構造式

20. 取扱い上の注意

子供の手のとどかない所に保管すること。

21. 承認条件

医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

22. 包装

アルミパウチ:1包×28

24. 文献請求先及び問い合わせ先

マルホ株式会社  製品情報センター

〒531-0071 大阪市北区中津1-11-1

TEL:0120-12-2834

25. 保険給付上の注意

  1. 25.1 *本製剤の効能・効果は「原発性腋窩多汗症」であることから、原発性腋窩多汗症の確定診断が行われた場合にのみ投与すること。
    また、本製剤の投与開始に当たっては、多汗症疾患重症度評価尺度(HDSS)を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売

マルホ株式会社

大阪市北区中津1-5-22

〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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