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劇薬
処方箋医薬品注)
乳児血管腫
通常、プロプラノロールとして1日1mg/kg~3mg/kgを2回に分け、空腹時を避けて経口投与する。投与は1日1mg/kgから開始し、2日以上の間隔をあけて1mg/kgずつ増量し、1日3mg/kgで維持するが、患者の状態に応じて適宜減量する。
プロプラノロールとしての1日投与量
1mg/kg
2mg/kg
3mg/kg
体重
2kg
0.5mL
1.1mL
1.6mL
3kg
0.8mL
2.4mL
4kg
2.1mL
3.2mL
5kg
1.3mL
2.7mL
4.0mL
6kg
4.8mL
7kg
1.9mL
3.7mL
5.6mL
8kg
4.3mL
6.4mL
9kg
7.2mL
10kg
5.3mL
8.0mL
心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。
症状が悪化するおそれがある。,
房室伝導時間が延長し、症状が悪化するおそれがある。
心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。,
高カリウム血症が報告されている。
血圧低下や血流量低下により、脳卒中のリスクを高める可能性がある。
薬物の代謝・排泄が影響をうける可能性がある。
薬物の代謝が影響をうける可能性がある。
出生後5週未満の患者には慎重に投与すること。低出生体重児、新生児、出生後5週未満の乳児を対象とした臨床試験は実施していない。
交感神経系に対し抑制的に作用する他の薬剤
交感神経系の過剰の抑制(徐脈、心不全等)をきたすことがあるので、減量するなど慎重に投与すること。
相互に作用(交感神経抑制作用)を増強させる。
血糖降下剤
血糖降下作用が増強されることがある。また、低血糖症状(頻脈等)をマスクすることがあるので血糖値に注意すること。
血糖値が低下するとカテコールアミンが副腎から分泌され、肝でのグリコーゲンの分解を促し、血糖値を上昇させる。このとき、肝臓のβ受容体が遮断されていると、カテコールアミンによる血糖上昇作用が抑えられ、血糖降下作用が増強する可能性がある。また、カテコールアミンによる頻脈のような低血糖症状がマスクされると考えられている。
カルシウム拮抗剤
ベラパミル、ジルチアゼム等では、低血圧、徐脈、房室ブロック等の伝導障害、心不全が発現するおそれがあるので減量するなど注意すること。また、ジヒドロピリジン系薬剤でも、低血圧、心不全が発現するおそれがあるので注意すること。
相互に作用(心収縮力や刺激伝導系の抑制作用、降圧作用等)を増強させる。薬物動態的な相互作用のメカニズムは解明されていないが、肝血流量の変化によって本剤の代謝が影響をうけると考えられている。
クロニジン
クロニジンの投与中止後のリバウンド現象(血圧上昇、頭痛、嘔気等)を増強する可能性がある。クロニジンを中止する場合には、本剤を先に中止し、その後数日間観察した後、クロニジンを中止すること。また、クロニジンから本剤へ投与を変更する場合にはクロニジンを中止した数日後から本剤を投与すること。
クロニジンを投与されている患者でクロニジンを中止すると、血中カテコールアミンが上昇し、血圧上昇をきたす。β遮断剤が投与されていると、カテコールアミンによるα刺激作用が優位になり、血管収縮がさらに増強される。
クラスⅠ抗不整脈剤
クラスⅢ抗不整脈剤
過度の心機能抑制(徐脈、心停止等)があらわれることがあるので、減量するなど慎重に投与すること。
抗不整脈剤は陰性変力作用及び陰性変時作用を有する。β遮断剤もカテコールアミンの作用を遮断することにより心機能を抑制するため、併用により心機能が過度に抑制される。
交感神経刺激剤
相互の薬剤の効果が減弱する。また、血管収縮、血圧上昇をきたすことがあるので注意すること。
非選択性のβ遮断剤により末梢血管のβ受容体が遮断された状態でアドレナリンなどの交感神経作動薬が投与されると、α受容体を介する血管収縮作用のみがあらわれる。また、徐脈は副交感神経の反射によるものである。
麻酔剤
反射性頻脈が弱まり、低血圧のリスクが増加することがある。陰性変力作用の小さい麻酔剤を選択すること。また、心筋抑制作用を有する麻酔剤との併用は出来るだけ避けること。
麻酔剤により低血圧が起こると反射性の頻脈が起こる。β遮断剤が併用されていると、反射性の頻脈を弱め、低血圧が強められる可能性がある。また、陰性変力作用を有する麻酔剤では、相互に作用を増強させる。
リドカイン
リドカインの代謝を遅延させ、血中濃度を上昇させることがあるので併用は避けること。
本剤が肝血流量を減らし、また肝の薬物代謝酵素を阻害するために、リドカインの代謝が遅れると考えられている。
ジギタリス製剤
房室伝導時間が延長し、徐脈、房室ブロック等が発現することがあるので注意すること。
ジギタリス、β遮断剤はともに房室結節伝導時間を延長させる。ジギタリス中毒時には特に注意を要する。
シメチジン
本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強する可能性があるので注意すること。
シメチジンが肝血流量を低下させ、また、肝の薬物代謝酵素を阻害することにより、肝での本剤の分解が低下し、血中濃度が上昇すると考えられている。
クロルプロマジン
本剤とクロルプロマジンの作用がそれぞれに増強することがある。
本剤とクロルプロマジンが薬物代謝酵素を競合するために、本剤、クロルプロマジンともに血中濃度が上昇すると考えられている。
ヒドララジン
ヒドララジンが肝血流量を増加させるためと考えられている。
非ステロイド性抗炎症剤
乳児血管腫への影響は不明であるが、本剤の降圧作用が減弱することがある。
非ステロイド性抗炎症剤は血管拡張作用を有するプロスタグランジンの合成を阻害する。
リファンピシン
本剤の血中濃度が低下し、作用が減弱する可能性があるので注意すること。
リファンピシンが肝酵素を誘導し、本剤の代謝・消失を促進すると考えられている。
キニジン、プロパフェノン
チトクロームP450によって代謝をうける薬剤との間で、血中濃度が影響をうける可能性がある。
ワルファリン
ワルファリンの血中濃度が上昇し、作用が増強する可能性があるので注意すること。
相互作用のメカニズムは解明されていないが、本剤がワルファリンの肝代謝を阻害することが考えられている。
コレスチラミン
本剤と陰イオン交換樹脂であるコレスチラミンが消化管内で結合し、本剤の吸収が遅延・抑制する可能性がある。
副腎皮質ホルモン剤
副腎皮質ホルモン剤を長期間使用している患者等では、副腎皮質機能抑制が生じる場合がある。このような患者においては、本剤は低血糖のリスクを高める可能性があるので注意すること。
本剤は低血糖から回復するためのカテコールアミンの作用を抑制する可能性及び低血糖の症状(頻脈、振戦等)をマスクする可能性があると考えられる。
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痙攣、意識障害(意識混濁、昏睡)をきたした例も報告されている。,,
気管支痙攣、気管支反応性亢進(喘鳴、咳嗽や発熱を伴う気管支炎及び細気管支炎等の気道感染症の悪化)があらわれることがある。
乳児血管腫の細胞が崩壊し、高カリウム血症があらわれることがある。
1%以上
1%未満
頻度不明
過敏症
紅斑、発疹
蕁麻疹
循環器
血圧低下
心電図QT延長
レイノー現象、血管収縮
精神神経系
睡眠障害、悪夢、傾眠、激越、易刺激性
呼吸器
喘鳴
咳嗽、上気道感染、気管支炎、細気管支炎
消化器
下痢、食欲減退、嘔吐、吐き戻し、便秘、腹痛、排便回数増加
悪心、放屁、異常便
肝臓
AST増加、ALT増加
ALP増加
血液
好中球数減少
貧血
その他
末梢冷感、多汗症、発熱、気分変化
泣き、冷汗、無力症、脱毛症、体重減少、血中カリウム増加
おむつ皮膚炎、乾癬様皮膚炎
心血管症状:心拍数の減少及び低血圧が起こることがある。より重度では、房室ブロック、心室内伝導遅延及びうっ血性心不全が発現する場合がある。気管支痙攣:特に喘息を有する患者においては、気管支痙攣が発現する場合がある。低血糖:低血糖が発現することがある。さらに、本剤は低血糖症の症状(頻脈、振戦等)をマスクする可能性がある。また、低血糖性痙攣が起こることがある。
直ちに本剤の投与を中止し、バイタルサイン、全身状態及び血糖値をモニタリングする。低血圧には静脈内輸液を、徐脈にはアトロピンを投与する。静脈内輸液で改善されない場合は、グルカゴン投与、カテコールアミン類による処置を検討する。気管支痙攣にはイソプロテレノール及びアミノフィリンの使用を考慮する。
β遮断剤(プロプラノロール、アテノロール等)服用中の患者では、他の薬剤によるアナフィラキシー反応がより重篤になることがあり、通常用量のアドレナリンによる治療に抵抗するとの報告がある1),2)(外国人データ)。一方、アナフィラキシー反応に対してグルカゴン静注が有効であったとの報告がある3)。
国内の乳児血管腫患者に、本剤をプロプラノロールとして3mg/kg/日の用量で1日2回反復経口投与したとき、12週間後の投与2時間後の血漿中濃度(平均値±標準偏差)は、生後35~90日齢では72.4±42.4ng/mL(11例)、生後91~150日齢では93.2±48.0ng/mL(20例)であった4)。外国の乳児血管腫患者に、本剤をプロプラノロールとして3mg/kg/日の用量で1日2回反復経口投与したとき、4週間後又は12週間後の投与2時間後の血漿中濃度(平均値±標準偏差)は、それぞれ71.7±28.1ng/mL(8例)及び73.6±41.9ng/mL(11例)であり、下図のように推移した5)(外国人データ)。
プロプラノロールは健康成人に経口投与後ほぼ完全に吸収されるが、肝臓で初回通過効果を強く受けるため全身循環に到達するプロプラノロールの割合は平均で約25%である6)(外国人データ)。
プロプラノロールの血漿タンパク結合率は93.6%であり7)、主に血漿中のα1-酸性糖タンパク質と結合する8)(in vitro)。プロプラノロールの分布容積は3.6L/kgである9)。プロプラノロールは血液脳関門及び胎盤を通過し、母乳にも分布する10),11),12)。
プロプラノロールは主として肝臓で代謝され、主に芳香族水酸化(主に4-水酸化)、N-脱アルキル化後にさらに側鎖の酸化、及び直接的なグルクロン酸抱合の3つの経路で代謝される13)。主な最終代謝物は、プロプラノロールのグルクロン酸抱合体、ナフトキシ乳酸、4-ヒドロキシプロプラノロールのグルクロン酸及び硫酸抱合体である14)(in vitro)。
健康成人では、経口投与された14C-プロプラノロールの大部分が48時間以内に代謝され、尿中に排泄される15)。未変化体として尿中に排泄されるのは、投与量の1%未満である16)(外国人データ)。
増殖期の乳児血管腫患者(生後35日~150日)を対象とした非盲検非対照試験4)の結果、有効性解析対象症例32例のうち3mg/kg/日の24週間投与後に血管腫が治癒又はほぼ治癒した割合は、78.1%(25/32例)であった。安全性解析対象症例32例中10例(31.3%)に副作用が認められた。主な副作用は、下痢4例(12.5%)、AST増加2例(6.3%)、ALT増加2例(6.3%)、拡張期血圧低下2例(6.3%)、収縮期血圧低下2例(6.3%)等であった。
増殖期の乳児血管腫患者(生後35日~150日)を対象とした二重盲検比較試験17),18)の結果、有効性解析対象症例276例のうち血管腫が治癒又はほぼ治癒した割合は、3mg/kg/日を24週間投与した群では60.4%(61/101例)であり、プラセボ群3.6%(2/55例)と比べ有意に高かった(P<0.001)。3mg/kg/日を24週間投与した群の安全性解析対象症例101例中35例(34.7%)に副作用が認められた。主な副作用は、末梢冷感9例(8.9%)、下痢8例(7.9%)、睡眠障害7例(6.9%)、悪夢5例(5.0%)、中期不眠症4例(4.0%)等であった(外国人データ)。
プロプラノロールはヒトのβ1-、β2-及びβ3-アドレナリン受容体に結合する19)(in vitro)。また、そのβ受容体遮断作用によりウサギの右心房、大動脈及び胃の平滑筋標本におけるβ受容体刺激による反応を抑制する20)(in vitro)。本剤の薬効発現機序は明らかではないが、β受容体遮断作用に基づく薬理作用が関係すると考えられる。
プロプラノロールは、イヌ冠状動脈の平滑筋標本を収縮させる21)(in vitro)。
プロプラノロールは、ヒト臍帯静脈内皮細胞及び乳児血管腫由来内皮細胞の増殖を抑制する22),23)(in vitro)。
プロプラノロールは、ヒト臍帯静脈内皮細胞の遊走及び管腔形成、並びにヒト皮膚微小血管内皮細胞及び乳児血管腫由来内皮細胞の管腔形成を抑制する22),24)(in vitro)。
プロプラノロールはヒト臍帯静脈内皮細胞及び乳児血管腫由来内皮細胞においてカスパーゼ活性及びアポトーシス誘導因子の発現を亢進させ、アポトーシスを誘導する25),26)(in vitro)。
プロプラノロール塩酸塩(Propranolol Hydrochloride)(JAN)
(2RS)-1-(1-Methylethyl)amino-3-(naphthalen-1-yloxy)propan-2-ol monohydrochloride
C16H21NO2・HCl
295.80
白色の結晶性の粉末である。メタノールに溶けやすく、水又は酢酸(100)にやや溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けにくい。
光を避けて保存すること。本剤は光により変色することがある。瓶は使用前に振らないこと。
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
瓶:120mL×1
1) Howard P.J., et al.:Scot. Med. J. 1988; 33(5): 344-345[11111112-7633]
2) Hannaway P.J., et al.:N. Engl. J. Med. 1983; 308(25): 1536[11111112-7634]
3) 厚生労働省 重篤副作用疾患別対応マニュアル「アナフィラキシー」[11111112-7545]
4) 社内資料:乳児血管腫患者を対象とした第Ⅲ相臨床試験(2016年7月4日承認、CTD2.7.6.5)[11111112-7668]
5) 社内資料:乳児血管腫患者を対象とした薬物動態試験(2016年7月4日承認、CTD2.7.6.2)[11111112-7666]
6) Borgström L., et al.:J. Pharmacokinet. Biopharm. 1981; 9(4): 419-429[11111112-7593]
7) Evans G.H., et al.:J. Pharmacol. Exp. Ther. 1973; 186: 114-122[11111112-7580]
8) Belpaire F.M., et al.:Biochem. Pharmacol. 1984; 33: 2065-2069[11111112-7581]
9) Cruickshank J.M.:Am. Heart. J. 1980; 100: 160-178[11111112-7646]
10) Cruickshank J.M.:Clin. Sci. 1980; 59: 453s-455s[11111112-7647]
11) 友田昭二ら:産婦人科の進歩 1986; 38: 669-672[11111112-7594]
12) Bauer J.H., et al.:Am. J. Cardiol. 1979; 43: 860-862[11111112-7595]
13) Marathe P.H., et al.:Drug Metab. Dispos. 1994; 22: 237-247[11111112-7582]
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15) Paterson J.W., et al.:Pharmacol. Clin. 1970; 2: 127-133[11111112-7596]
16) Nace G.S., et al.:Clin. Pharmacokinet. 1987; 13: 51-64[11111112-7648]
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18) 社内資料:海外第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験(2016年7月4日承認、CTD2.7.6.4.2.4)[11111112-7665]
19) Hoffmann C., et al.:Naunyn-Schmiedebergs. Arch. Pharmacol. 2004; 369: 151-159[11111112-7571]
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22) Lamy S., et al.:Vascul. Pharmacol. 2010; 53: 200-208[11111112-7574]
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