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日本薬局方
イソフルラン
劇薬
処方箋医薬品注)
全身麻酔
悪性高熱があらわれることがある。
QT延長、心室頻拍(torsade de pointesを含む)、心室細動、完全房室ブロック等が出現し、心停止に至ることがある。
胆道疾患が増悪するおそれがある。
腎機能がさらに悪化するおそれがある。
肝疾患が増悪するおそれがある。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
低出生体重児、新生児、乳児又は幼児を対象とした臨床試験は実施していない。
副作用発現率は年齢と相関して高くなる。使用成績調査の結果、80歳以上の高齢者では、成人(15歳~64歳)に比べ副作用発現率が高く、有意差がみられた。
アドレナリン製剤
頻脈、不整脈、場合によっては心停止を起こすことがある。本剤麻酔中のヒトの50%に心室性期外収縮を誘発するアドレナリン量(粘膜下投与)は6.7μg/kgと報告されている1) 。この量は60kgのヒトの場合、20万倍希釈アドレナリン含有溶液80mLに相当する。
本剤が心筋のアドレナリンに対する感受性を亢進することが知られている。
筋弛緩剤
筋弛緩剤の作用を増強するため、本剤による麻酔中、筋弛緩剤を投与する場合には減量すること。
相互に作用を増強させるためと考えられる。
Ca拮抗剤
低血圧、陰性変力作用等の副作用があらわれやすくなるおそれがある。
中枢神経抑制作用を有する薬剤
呼吸抑制等の副作用があらわれやすくなるおそれがある。
原因不明の頻脈・不整脈・血圧変動、急激な体温上昇、筋強直、血液の暗赤色化(チアノーゼ)、過呼吸、ソーダライムの異常過熱・急激な変色、発汗、アシドーシス、高カリウム血症、ミオグロビン尿(ポートワイン色尿)等を伴う重篤な悪性高熱があらわれることがある。本剤を使用中、もしくは使用後に悪性高熱に伴うこれらの症状を認めた場合は、直ちに投与を中止し、ダントロレンナトリウムの静脈内投与、全身冷却、純酸素での過換気、酸塩基平衡の是正など適切な処置を行うこと。また、本症は腎不全を続発することがあるので、尿量の維持を図ること。,
麻酔中、呼吸抑制(咳、喉頭痙攣、気管支痙攣等)があらわれることがある。
血圧低下、呼吸困難、血管浮腫(顔面浮腫、喉頭浮腫等)、全身紅潮、蕁麻疹等の異常が認められた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと。
肝炎、AST、ALT等の著しい上昇を伴う肝機能障害があらわれることがある。短期間内に反復投与した場合、その頻度が増すとの報告があるので、少なくとも3ヵ月以内の反復投与は避けることが望ましい。また、本剤と他のハロゲン化麻酔剤との間に交叉過敏性のあることが報告されている。
0.1~5%未満
0.1%未満
頻度不明
精神神経
激越、譫妄
循環器
不整脈(徐脈、頻脈を含む)、血圧変動、ST低下、心電図異常
肝臓
肝機能異常、AST上昇、ALT上昇
消化器
悪心、嘔吐
その他
シバリング、頭痛
覚醒困難
痙攣
使用成績調査における肝臓・胆管系障害の副作用発現率は0.75%であった。患者背景別では、男性、MAC・hour(総投与量)の高い群、術中併用薬あり群でそれぞれ副作用発現率が高く、有意差がみられた。
健康成人にイソフルラン吸入麻酔液1.2%(7例)又は1.8%(6例)を1時間吸入させると、動脈血中濃度は速やかに上昇した。吸入終了時の動脈血中濃度はそれぞれ、平均7.1mg/dL、10.1mg/dLであった。吸入中止10分後(覚醒時間とほぼ一致)の動脈血中濃度はそれぞれ、平均1.7mg/dL、2.9mg/dLと、速やかに低下した2) 。消失半減期は第1相半減期が2.2~2.8分、第2相半減期が50.2~51.0分であった3) 。
本剤は、代謝されてCF3COOH(トリフルオロ酢酸)やHF(無機フッ素)を生成する4) 。
手術患者をイソフルラン吸入麻酔液1.2%で1~2時間麻酔したとき、平均92.3%が未変化体のまま呼気中より排泄された。平均0.43%が有機及び無機フッ化物として尿中に排泄された5) 。
14歳から80歳までの全身麻酔を適応とする予定手術患者595例を対象に、エンフルランを対照として、イソフルランの有効性、安全性及び有用性を検討した。導入法は、緩徐導入が15%(91/595例)、急速導入が83%(495/595例)、その他2%(9/595例)であった。覚醒(P<0.05)、血圧調節性(P<0.01)、麻酔深度調節性(P<0.01)については、イソフルラン群が有意に優れていた。導入のしやすさを加えた4項目での有効性の総合評価においても、イソフルラン群が有意に優れており(P<0.01)、イソフルランの有用性が認められている。イソフルランの副作用は、12.8%(38/296例)で認められた。主な副作用は、頻脈(14例)、肝機能障害(8例)、血圧下降(6例)、頭痛、不整脈、吐気(各3例)であった6) 。
中枢神経系に作用して麻酔状態がもたらされるが、その機序に関しては、リポイド説、Hydrate crystal説、電縮水開放説など多くの学説が提唱されているが、未だ不明である3) 。
イソフルランの小児手術患者におけるMAC7) 、及び成人手術患者におけるMAC8) は以下のとおりである(外国人データ)。
MAC(%)
小児(年齢)
0~1月
1.60
1~6月
1.87
6~12月
1.80
1~3歳
3~5歳
成人(平均年齢±SE)
26.1±0.9歳
1.28
44.2±1.3歳
1.15
64.0±1.0歳
1.05
健康成人及び手術患者での本剤による麻酔の導入及び覚醒は速やかである2),9),10) 。
ネコ11) 及び手術患者12) にて、本剤による痙攣を示唆する脳波所見はみられない。また、健康成人13) にて、過換気を行っても棘波や痙攣様脳波は誘発されない。
健康成人にイソフルラン吸入麻酔液1.8%を1時間吸入させたとき、麻酔深度の増加に伴い1回換気量は低下したが、呼吸数は不変又は軽度増加した2) 。本剤は他の吸入麻酔剤と同様、呼吸抑制作用が強い。麻酔中は患者の換気動態の観察を十分行い、必要に応じて補助ないしは調節呼吸を行うのが望ましい9) 。
健康成人で、本剤による麻酔中調節呼吸下でPaCO2を正常に保った場合、心拍出量はほぼ一定に保たれる4) 。維持中は麻酔深度が深くなるにつれて末梢血管抵抗が低下するため、血圧は低下し14) 、心筋のアドレナリンに対する感受性を高める1) 。
イソフルラン(Isoflurane)
(2RS)-2-Chloro-2-(difluoromethoxy)-1,1,1-trifluoroethane
C3H2ClF5O
184.49
無色透明の流動性の液である。エタノール(99.5)、メタノール又はο-キシレンと混和する。水に溶けにくい。揮発性で引火性はない。旋光性を示さない。
約1.30
47~50℃
250mL[1瓶]
1) Johnston RR,et al.:Anesth Analg. 1976;55(5):709-712
2) 吉矢生人ほか:麻酔. 1987;36(10):1506-1518
3) 第十七改正 日本薬局方 医薬品情報 JPDI2016.(株)じほう. 2016:84
4) Eger EI Ⅱ:Anesthesiology. 1981;55(5):559-576
5) 酒井資之ほか:麻酔. 1987;36(10):1560-1565
6) 高橋成輔ほか:麻酔. 1987;36(10):1533-1550
7) Cameron CB,et al.:Anesth Analg.1984;63:418-420
8) Stevens WC,et al.:Anesthesiology. 1975;42(2):197-200
9) 釘宮豊城ほか:麻酔. 1987;36(10):1519-1532
10) 森健次郎ほか:麻酔. 1987;36(10):1551-1559
11) 尾松芳輝ほか:麻酔. 1985;34(11S):S340
12) Homi J,et al.:Anesth Analg. 1972;51(3):439-447
13) Eger EI Ⅱ,et al.:Anesthesiology. 1971;35(5):504-508
14) Stevens WC,et al.:Anesthesiology. 1971;35(1):8-16
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