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劇薬
処方箋医薬品注)
本剤投与により肝機能障害が発現するため、肝機能検査を必ず投与前に行い、投与中においても、少なくとも1ヵ月に1回実施すること。なお、投与開始3ヵ月間は2週に1回の検査が望ましい。肝機能検査値の異常が認められた場合はその程度及び臨床症状に応じて、減量及び投与中止など適切な処置をとること。,,,,,
肺動脈性肺高血圧症(WHO機能分類クラスⅡ、Ⅲ及びⅣ)
通常、成人には、投与開始から4週間は、ボセンタンとして1回62.5mgを1日2回朝夕食後に経口投与する。投与5週目から、ボセンタンとして1回125mgを1日2回朝夕食後に経口投与する。なお、用量は患者の症状、忍容性などに応じ適宜増減するが、最大1日250mgまでとする。
AST/ALT値
投与法と肝機能検査の実施時期
>3及び≦5×ULN
減量又は投与を中止する。その後少なくとも2週間毎にAST、ALT値を測定し、それらが治療前値に回復した場合は、適宜投与を継続又は再開注1)する。
>5及び≦8×ULN
投与を中止する。その後少なくとも2週間毎にAST、ALT値を測定し、それらが治療前値に回復した場合は、投与の再開注1)を考慮する。
>8×ULN
投与を中止し再投与してはならない。
ULN:基準値上限
血圧を一層低下させるおそれがある。
本剤投与開始時、増量・減量時及び中止時には必ずINR値の確認を行い、ワルファリン投与量の調節を行うこと。適切なINR値になるまでは2週に1回の検査が望ましい。本剤との併用によりワルファリンの効果が減弱することがある。,,
体液貯留の徴候(例えば体重の増加)に対して経過観察を行うこと。徴候が認められた場合には、利尿剤の投与開始、又は投与中の利尿剤の増量などを考慮すること。本剤投与開始前に体液貯留が認められた患者には利尿剤の投与を検討すること。
投与しないこと。肝機能障害を増悪させるおそれがある。,,,,
肝機能障害を増悪させるおそれがある。,,,,
避妊薬単独での避妊をさけ、本剤投与開始前及び投与期間中は、毎月妊娠検査を実施すること。,
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験で催奇形性が報告されている。,
*本剤投与中は授乳しないことが望ましい。ヒトにおいて本剤が乳汁中に移行するとの報告がある。
一般に生理機能が低下していることが多い。
シクロスポリン(サンディミュン、ネオーラル)、タクロリムス(プログラフ)
,
(1)本剤の血中濃度が急激に上昇し、本剤の副作用が発現するおそれがある。(2)シクロスポリン、タクロリムスの血中濃度が低下し、効果が減弱するおそれがある。
(1)シクロスポリンのCYP3A4活性阻害作用及び輸送タンパク質阻害による肝細胞への取込み阻害により、本剤の血中濃度を上昇させる。タクロリムスは主にCYP3A4で代謝され、シクロスポリンと同等以上に本剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。(2)本剤のCYP3A4誘導作用により、シクロスポリン、タクロリムスの血中濃度を低下させる。
グリベンクラミド(オイグルコン、ダオニール)
肝酵素値上昇の発現率が2倍に増加した。
胆汁酸塩の排泄を競合的に阻害し、肝細胞内に胆汁酸塩の蓄積をもたらす。一部の胆汁酸塩の肝毒性作用により、二次的にトランスアミナーゼの上昇をもたらす可能性がある。
ワルファリン
,,
ワルファリンの血中濃度が低下することがある。そのため、ワルファリンを併用する際には、凝血能の変動に十分注意しながら、必要に応じ用量を調整すること。
本剤のCYP2C9及びCYP3A4誘導作用により、ワルファリンの血中濃度を低下させる。
ケトコナゾール注2)、フルコナゾール
本剤の血中濃度が上昇し、本剤の副作用が発現しやすくなるおそれがある。
ケトコナゾールのCYP3A4阻害作用により、本剤の血中濃度を上昇させる。フルコナゾールのCYP2C9及びCYP3A4阻害作用により、本剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。
HMG-CoA還元酵素阻害薬(シンバスタチン等)
シンバスタチンの血中濃度が低下し、シンバスタチンの効果が減弱する。また、CYP3A4又はCYP2C9により代謝されるスタチン製剤及びその活性水酸化物の血中濃度を低下させ、効果を減弱させる可能性がある。そのため、これらの薬剤を併用する場合には、血清コレステロール濃度を測定し、必要に応じ用量を調整すること。
本剤のCYP3A4又はCYP2C9誘導作用により、シンバスタチン及びこれらの酵素により代謝されるスタチン製剤の血中濃度を低下させる。
リファンピシン
本剤の血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。
リファンピシンのCYP2C9及びCYP3A4誘導作用により、本剤の血中濃度を低下させる。
Ca拮抗薬(アムロジピン、ニフェジピン、ジルチアゼム等)
(1)血圧低下を助長するおそれがある。(2)Ca拮抗薬の血中濃度が低下する可能性がある。
(1)両剤の薬理学的な相加作用等が考えられる。(2)本剤のCYP3A4誘導作用により、Ca拮抗薬の血中濃度を低下させる可能性がある。
経口避妊薬
経口避妊薬の血中濃度が低下し、避妊効果が得られないおそれがある。
本剤のCYP3A4誘導作用により、経口避妊薬の血中濃度を低下させる。
グレープフルーツジュース
本剤の血中濃度が上昇し、本剤の副作用が発現しやすくなるおそれがあるので、本剤投与時はグレープフルーツジュースを摂取しないようにすること。
グレープフルーツジュースに含まれる成分のCYP3A4阻害作用により、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
セイヨウオトギリソウ(セントジョーンズワート)含有食品
本剤の血中濃度が低下するおそれがあるので、本剤投与時はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないようにすること。
セイヨウオトギリソウに含まれる成分のCYP3A4誘導作用により、本剤の血中濃度が低下する可能性がある。
プロスタグランジン系薬物(ベラプロストナトリウム、エポプロステノールナトリウム)
血圧低下を助長するおそれがある。
両剤の薬理学的な相加作用等が考えられる。
PDE5阻害薬(シルデナフィルクエン酸塩、バルデナフィル塩酸塩水和物、タダラフィル)
(1)血圧低下を助長するおそれがある。(2)PDE5阻害薬の血中濃度が低下する可能性がある。(3)シルデナフィルの血中濃度が低下し、本剤の血中濃度が上昇する。
(1)両剤の薬理学的な相加作用等が考えられる。(2)本剤のCYP3A4誘導作用により、この酵素で代謝されるPDE5阻害薬の血中濃度を低下させる可能性がある。(3)本剤のCYP3A4誘導作用により、シルデナフィルの血中濃度を低下させる。また、機序は不明であるが、シルデナフィルは本剤の血中濃度を上昇させる。
HIV感染症治療薬(リトナビル等)
これらの薬剤のCYP3A4阻害作用により、本剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。
AST、ALT等の上昇を伴う重篤な肝機能障害があらわれることがある。,,,,
汎血球減少、白血球減少、好中球減少、血小板減少、貧血(ヘモグロビン減少)があらわれることがある。
心不全が増悪することがあるので、投与中は観察を十分に行い、体液貯留、急激な体重増加、心不全症状・徴候(息切れ、動悸、心胸比増大、胸水等)が増悪あるいは発現した場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
10%以上
10%未満
頻度不明
神経系障害
頭痛
体位性めまい
浮動性めまい
心臓障害
動悸
血管障害
ほてり、潮紅、血圧低下
呼吸器、胸郭及び縦隔障害
呼吸困難
胃腸障害
悪心、嘔吐、下痢
肝胆道系障害
肝機能異常
皮膚及び皮下組織障害
皮膚炎、そう痒症、発疹
筋骨格系及び結合組織障害
筋痛
背部痛
全身障害及び投与局所様態
倦怠感
下肢浮腫、疲労
発熱、浮腫
臨床検査
AST上昇、ALT上昇、γ-GT(GTP)上昇、白血球数減少、ヘモグロビン減少
ALP上昇、赤血球数減少、好酸球数増加、ヘマトクリット減少
血小板数減少、ビリルビン上昇
代謝及び栄養障害
体液貯留
外国において、健康男性にボセンタン2400mgを単回経口投与した時、主な有害事象は、軽度から中等度の頭痛であった。市販後において、ボセンタン10000mgを投与された1例の男性患者では、悪心、嘔吐、低血圧、浮動性めまい、発汗、霧視が発現したが、24時間の血圧管理の下、回復した。
ボセンタンは血漿タンパクとの親和性が高く、透析により除去できないと考えられる。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
海外において、本剤の投与により肝硬変及び肝不全があらわれたとの報告がある。
エンドセリン受容体拮抗薬の一部において、10週以上の投与により雄ラットで輸精管の萎縮、精子数減少、受胎率低下が認められた。
健康成人10例にボセンタンとして62.5mg又は125mgを食後単回経口投与した時、血漿中ボセンタン濃度は、すみやかに上昇し、投与後3-4時間でCmaxに達した。薬物動態パラメータは下表のとおりである1)。
Cmax(ng/mL)
AUC0-∞(ng・h/mL)
t1/2(h)
62.5mg(n=10)
772(619,964)
3721(3182,4351)
4.3(3.7,5.0)
125mg(n=10)
1922(1364,2710)
7996(6695,9550)
3.6(3.0,4.3)
数値は幾何平均値(95%信頼区間)
健康成人16例にボセンタン水和物錠62.5mg又はボセンタン水和物分散錠(小児用製剤)64mg(32mg錠を2錠)を空腹時に単回経口投与した時の薬物動態パラメータは以下のとおりである。また、ボセンタン水和物分散錠の薬物動態パラメータのボセンタン水和物錠に対する幾何平均比は、Cmaxでは0.82(90%信頼区間:0.65~1.04)、AUC0-∞では0.87(90%信頼区間:0.78~0.97)であり、生物学的同等性の基準範囲(90%信頼区間:0.8~1.25)から外れていた2)(外国人データ)。
n
tmax(h)
62.5mg(錠)
16
592(453,774)
3494(2809,4345)
4.0(2.0-5.0)
8.3(6.5,10.4)
64mg(分散錠)
496(395,623)
3118(2524,3852)
4.0(3.0-5.0)
9.3(7.4,11.5)
数値は幾何平均値(95%信頼区間)tmaxは中央値(最小値-最大値)
健康成人12例にボセンタンとして125mgを1日2回7.5日間経口投与した時、血漿中ボセンタン濃度は、投与後3.0時間(中央値、最小値-最大値:1.0-4.0)でCmax 1212ng/mL(95%信頼区間:940-1564)に達した。また、AUC0-12 は4640ng・h/mL(95%信頼区間:3641-5914)、血漿中濃度半減期は5.6時間(95%信頼区間:4.6-6.9)であった。反復投与においては、投与開始初期に酵素誘導が誘発され、ボセンタンのトラフ濃度は減少するが、投与開始5日目に定常状態に達した3)。WHO機能分類クラスⅡ又はⅢの肺動脈性肺高血圧症患者6例にボセンタン1回125mgを1日2回2週間以上反復経口投与した患者にボセンタン125mgを投与した時の薬物動態パラメータは以下のとおりである4),5)。
AUC0-12(ng・h/mL)
125mg(n=6)
1748(1287,2374)
6996(6193,7904)
4.0(2.5-4.0)
5.0(3.4,7.2)
WHO機能分類クラスⅢ又はⅣの肺動脈性肺高血圧症患者13例にボセンタンとして62.5mg 1日2回を4週間経口反復投与後、引き続き125mg 1日2回に増量して4週間経口反復投与後のボセンタンの薬物動態パラメータは下表のとおりである6),7)(外国人データ)。
62.5mg(n=12)
1187(814,1560)
6232(4582,7881)
3.0(1.0-4.0)
125mg(n=11)
2286(1234,3337)
8912(6296,11531)
2.3(1.0-6.0)
数値は算術平均値(95%信頼区間)tmaxは中央値(最小値-最大値)
ボセンタン錠62.5mg「VTRS」とトラクリア錠62.5mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(ボセンタンとして62.5mg)健康成人男子に絶食時単回経口投与して血漿中ボセンタン濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された8)。
判定パラメータ
参考パラメータ
AUCt(ng・hr/mL)
Tmax(hr)
T1/2(hr)
ボセンタン錠62.5mg「VTRS」
6471.6±2276.6
1550.1±546.5
3.4±1.0
3.26±2.51
トラクリア錠62.5mg
6213.7±2816.5
1518.8±835.1
3.6±1.1
3.46±1.80
(平均値±標準偏差、n=38)
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
健康成人16例を対象にクロスオーバー法により、ボセンタンとして125mgを空腹時又は食後に単回経口投与した時、空腹時に比べ食後投与時のAUC0-∞、Cmaxはそれぞれ10%、22%上昇したが、臨床的影響はないと考えられた9)(外国人データ)。
ボセンタンの平衡透析法によるin vitroにおける血漿蛋白との結合率(n=28)は、0.211~21.9μg/mLの濃度範囲で約98%であった10)。
ボセンタンは主に肝臓で代謝され、その代謝物のほとんどが胆汁(糞)中に代謝物の形で排泄された。ヒト肝細胞を用いたin vitro試験において、CYP2C9及びCYP3A4によって代謝され、CYP2C9、CYP2C19及びCYP3A4に対し弱い阻害活性を示し、CYP2C9、CYP2C19及びCYP3A4を誘導した11),12)。
健康成人4例に14C-ボセンタン経口用懸濁液500mgを単回経口投与した時、尿及び糞中の回収率は平均97%で、投与量の90%以上が糞中に排泄され、3%が尿中への排泄であった13)(外国人データ)。
国内及び海外において、特に高齢者を対象とした薬物動態評価試験は実施されていない。
肝機能障害患者(Child-Pugh分類でA)8例にボセンタンとして125mgを単回又は反復経口投与した時の薬物動態を健康成人と比較したが、体内動態に差はみられなかった。なお、忍容性は良好であった14)(外国人データ)。
重度腎機能障害患者(15<クレアチニンクリアランス≦30mL/min)8例にボセンタンとして125mgを単回投与した時の薬物動態を健康成人と比較した。両群ともに投与後約4時間でCmaxに達した。ボセンタンのCmaxは、健康成人に比し重度腎機能障害患者で約37%低かったが、AUC0-∞は、類似した数値を示した。なお、忍容性は良好であった15)(外国人データ)。
健康成人にボセンタン500mg含有懸濁液を1日2回7.5日間反復投与し、さらにシクロスポリンを血漿中トラフ濃度が200~250ng/mLで安定するように1日2回7.0日間併用投与した時、ボセンタン単独投与時に比較して、シクロスポリン併用での単回投与後のボセンタンのトラフ濃度は約30倍、定常状態では約3~4倍に上昇した(各n=8)。また、シクロスポリンのAUC0-12はシクロスポリン単独投与時(n=9)と比較してボセンタン併用時(n=8)には平均49%減少した16),17)(外国人データ)。,
健康成人12例にボセンタンとして125mgを1日2回9.5日間反復投与し、6~10日目の4.5日間についてグリベンクラミドとして2.5mgを1日2回で併用投与した時、グリベンクラミドのCmax及びAUC0-12は単独投与時に比較してそれぞれ22%及び40%有意に減少した。また、ボセンタンのCmax、AUC0-12は単独投与時に比べ、それぞれ24%及び29%減少した18),19)(外国人データ)。,
健康成人12例にボセンタンとして500mg又はプラセボを1日2回10日間投与し、6日目の朝のみ、ワルファリン26mgを単回投与した時、ワルファリン単独投与時に比較して(ボセンタン併用時は)R-ワルファリンとS-ワルファリンのAUC0-∞はそれぞれ平均38%及び29%減少した。また、国内臨床試験において、ワルファリン併用例のうち1例にINR値の低下が認められ、ボセンタン中止時にINR値の上昇が認められた20),21)(外国人データ)。,,
健康成人10例にボセンタンとして62.5mgを1日2回及びケトコナゾール200mg 1日1回を5.5日間併用にて反復投与した時、ボセンタンのAUC0-12及びCmaxはボセンタン単独投与時に比較して、約2倍に増加した22)(外国人データ)。
健康成人9例にボセンタンとして125mgを1日2回5.5日間とシンバスタチンとして40mgを1日1回6日間併用投与した時、シンバスタチン単独投与時に比較して、シンバスタチンとその代謝物β-ヒドロキシ酸シンバスタチンのAUC0-12をそれぞれ34%及び46%減少させた。シンバスタチンとの併用により、ボセンタンとその代謝物の薬物動態に対する影響は見られなかった23)(外国人データ)。,
健康成人9例にボセンタンとして1回125mgを1日2回6.5日間及びリファンピシンとして1回600mgを1日1回6日間併用にて反復投与した。併用開始後6日目のボセンタンの平均AUCτは、単独投与時に比較して58%低下した24)(外国人データ)。
健康成人19例にボセンタンとして125mgを1日2回及び経口避妊薬(1mgノルエチステロン及び35μgエチニルエストラジオール含有)をボセンタン投与後7日目に併用にて単回投与した時、経口避妊薬単独投与時に比較して、ノルエチステロンとエチニルエストラジオールのAUC0-∞はそれぞれ14%及び31%減少した25)(外国人データ)。
健康成人19例にボセンタンとして1回125mgを1日2回6日間及びシルデナフィルとして最初の3日間は1回20mgを1日3回、引き続き2日間は1回80mgを1日3回、最終日は1回80mgを計6日間併用投与した。併用開始後6日目のシルデナフィルのAUCτ及びCmaxはそれぞれ63%及び55%低下し、ボセンタンのAUCτ及びCmaxは、それぞれ50%及び42%増加した26)(外国人データ)。
WHO機能分類クラスⅢ又はⅣの原発性肺高血圧症患者あるいは強皮症に合併する肺高血圧症患者を対象とし、運動耐容能、肺血行動態、呼吸困難指数、WHO機能分類に対する効果及び安全性を検討するためプラセボ対照無作為二重盲検比較試験を実施した(n=32)。その結果、ボセンタン水和物錠125mg 1日2回投与はプラセボに比べ、原発性肺高血圧症及び強皮症に合併する肺高血圧症患者の6分間歩行試験による歩行距離及び肺血行動態を有意に改善した。また、臨床症状の悪化、呼吸困難指数及びWHO機能分類によって評価した臨床症状についても、ボセンタン水和物錠による改善が認められた。安全性解析対象例21例中9例(42.9%)20件に副作用が認められた。主な副作用は、頭痛3例(14.3%)、呼吸困難、関節痛及び胸痛がそれぞれ2例(9.5%)であった27),28)。
WHO機能分類クラスⅢ又はⅣの肺動脈性肺高血圧症患者を対象とし、プラセボ対照無作為二重盲検比較試験を実施した(n=213)。本試験において、用量相関効果を探索するために125mg 1日2回の比較群に加え、高用量群(250mg 1日2回投与)を設定した。その結果、ボセンタン水和物錠の低用量及び高用量の両群とプラセボ群との比較において、有意な運動耐容能の改善及び当該疾患の臨床症状悪化の抑制が認められた。有害事象が最低1件発現した症例は、ボセンタン群全体で94.4%、プラセボ群で92.8%であり、最も頻度の高かった有害事象は頭痛であった(ボセンタン群全体:20.8%、プラセボ群:18.8%)29),30)。
WHO機能分類クラスⅡの肺動脈性肺高血圧症患者を対象とし、プラセボ対照無作為二重盲検比較試験を実施した(n=185)。その結果、ボセンタン水和物錠125mg 1日2回投与はプラセボに比べ、肺血行動態の有意な改善、6分間歩行試験による歩行距離の改善及び臨床症状悪化の抑制が認められた。安全性解析対象例93例中、主な有害事象は、肝機能検査異常7例(8%)、末梢性浮腫6例(6%)及び頭痛4例(4%)であった31)。
海外で実施した各種臨床試験及び日本人と白人を対象とした単回/反復投与試験によるボセンタン水和物錠の安全性並びに体内動態の類似性をもとに、WHO機能分類クラスⅢ又はⅣの原発性肺高血圧症15例及び膠原病を合併した肺高血圧症6例の計21例を対象とし、肺動脈性肺高血圧症に対する有効性(n=18)及び安全性(n=21)を検討した。その結果、海外で認められた主要評価項目である肺血行動態及び6分間歩行試験において、ボセンタン水和物錠125mg 1日2回投与で投与前と12週後の間に有意な改善が認められ、また、身体活動能力指数の有意な改善及びWHO機能分類の重症度の有意な改善が認められた。安全性解析対象例21例中14件(66.7%)35件に副作用が認められた。主な副作用は、頭痛8件(38.1%)、倦怠感4件(19.0%)、筋痛3件(14.3%)であった。また、21例中10例(47.6%)47件に臨床検査値異常が認められた。主な臨床検査値異常は、AST上昇及びALT上昇がそれぞれ8件(38.1%)、γ-GT(GTP)上昇が6件(28.6%)、ヘモグロビン減少及び白血球数減少がそれぞれ3件(14.3%)であった32),33)。
WHO機能分類クラスⅡの日本人肺動脈性肺高血圧症患者19例を対象にボセンタン水和物錠125mg 1日2回を経口投与し、有効性及び安全性を検討した。主要評価項目である投与開始12週後の肺血行動態(肺血管抵抗)において投与前に比べ有意な改善が認められた34)。
ボセンタンはエンドセリンETA及びETBの両受容体に非選択的に結合するエンドセリン受容体拮抗薬である。両受容体を阻害することにより、ET-1による血管収縮、細胞増殖及び肥大、細胞外マトリックス産生等を抑制する35)。
ボセンタンはラットから摘出した内皮剥離大動脈のET-1刺激による収縮(ETA受容体媒介性)及び上皮剥離気管のサラフォトキシンS6c刺激による収縮(ETB受容体媒介性)を阻害し、そのpA2はそれぞれ7.2及び6.0であった36)。
ボセンタンはET-1のETA及びETB両受容体を介した細胞増殖を阻害した。自然発症高血圧ラットより採取した動脈血管平滑筋細胞及び気管平滑筋細胞のET-1刺激による細胞増殖を阻害した37),38)。
ボセンタンはラット心臓において、虚血/再灌流時の冠血管におけるアセチルコリン誘発内皮依存性弛緩反応の低下を改善することにより内皮機能を高めた。また、ボセンタンは本モデルにおいて、左心室圧及び冠血流を改善することにより心筋機能を高めた。ボセンタンはヒト伏在静脈の組織培養系において、血管内膜過形成を抑制した。また、ボセンタンはヒト血管において、アセチルコリンによる血管拡張作用を増強した。また別のモデルでは、ボセンタンは一酸化窒素合成酵素阻害剤により誘発した昇圧を抑制した39),40),41),42),43)。
ボセンタンは低酸素曝露により誘発した肺動脈高血圧動物モデルにおいて、全身血圧に影響せず平均肺動脈圧の上昇を抑制した。また、ボセンタンは低酸素の慢性曝露で誘発した右心室心筋重量比の増大並びに小肺動脈内壁の肥厚を抑制した44)。
ボセンタンはDOCA食塩高血圧ラットにおいて、左室壁の肥厚を低下させ、心内膜下の間質コラーゲン及び血管周囲のコラーゲン量を低下させた45)。
ボセンタンはブレオマイシンにより誘発した肺線維症動物モデルにおいて、結合組織の体積分率の上昇及び気腔の体積分率の低下を抑制した43)。
ボセンタン水和物(Bosentan Hydrate)
4-(1,1-Dimethylethyl)-N-[6-(2-hydroxyethoxy)-5-(2-methoxyphenoxy)-2-(pyrimidin-2-yl)pyrimidin-4-yl]benzenesulfonamide monohydrate
C27H29N5O6S・H2O
569.63
白色~淡黄色の粉末である。アセトンにやや溶けやすく、メタノール又は2-プロパノールに溶けにくい。
60錠[10錠(PTP)×6]
1) Van Giersbergen PLM,et al.:J Clin Pharmacol. 2005;45:42-47
2) Gutierrez MM,et al.:Int J Clin Pharmacol Ther. 2013;51(6):529-536
3) 健康成人を対象とした反復投与試験(トラクリア錠:2005.4.11承認、申請資料概要へ.3.1.6)
4) 薬物動態試験(トラクリア錠:2012.11.21承認、審査報告書)
5) 薬物動態試験(トラクリア錠:2017.9.28、再審査報告書)
6) 肺動脈性肺高血圧症患者における薬物動態(トラクリア錠:2005.4.11承認、申請資料概要へ.3.7)
7) 第Ⅲ相試験長期投与試験(AC-052-357試験)(トラクリア錠:2005.4.11承認、申請資料概要ト.1.5)
8) 社内資料:生物学的同等性試験(ボセンタン錠62.5mg「VTRS」)
9) Dingemanse J,et al.:J Clin Pharmacol. 2002;42:283-289
10) 血漿蛋白結合率(トラクリア錠:2005.4.11承認、申請資料概要ヘ.2.2.3)
11) 代謝(トラクリア錠:2005.4.11承認、申請資料概要ヘ.2.3)
12) 排泄(トラクリア錠:2005.4.11承認、申請資料概要ヘ.3.3)
13) Weber C,et al.:Drug Metab Disp. 1999;27(7):810-815
14) Van Giersbergen PLM,et al.:J Clin Pharmacol. 2003;43:15-22
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20) Weber C,et al.:J Clin Pharmacol. 1999;39:847-854
21) ワルファリンとの相互作用(トラクリア錠:2005.4.11承認、申請資料概要ヘ.3.8.2.2)
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28) 海外第Ⅲ相試験(トラクリア錠:2005.4.11承認、申請資料概要ト.1.3)
29) Rubin LJ,et al.:N Engl J Med. 2002;346(12):896-903
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31) Galie N,et al.:Lancet. 2008;371:2093-2100
32) Sasayama S,et al.:Circ J. 2005;69:131-137
33) 国内第Ⅲ相試験(トラクリア錠:2005.4.11承認、申請資料概要2.2.7)
34) Hatano M,et al.:Heart Vessels. 2015;30:798-804
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