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通常、成人にはアスピリンとして100mgを1日1回経口投与する。なお、症状により1回300mgまで増量できる。
急性期有熱期間は、アスピリンとして1日体重1kgあたり30~50mgを3回に分けて経口投与する。解熱後の回復期から慢性期は、アスピリンとして1日体重1kgあたり3~5mgを1回経口投与する。なお、症状に応じて適宜増減する。
消化性潰瘍を再発させることがある。,
血液の異常を悪化又は再発させるおそれがある。
出血を増強させるおそれがある。,
アスピリン喘息でないことを十分に確認すること。気管支喘息の患者の中にはアスピリン喘息患者も含まれている可能性があり、それらの患者では重篤な喘息発作を誘発させることがある。,
アルコールと同時に服用すると、消化管出血を誘発又は増強することがある。,
手術、心臓カテーテル検査又は抜歯時の失血量を増加させるおそれがある。
本剤を継続投与する場合には、十分経過を観察し、慎重に投与すること。ミソプロストールは非ステロイド性消炎鎮痛剤により生じた消化性潰瘍を効能・効果としているが、ミソプロストールによる治療に抵抗性を示す消化性潰瘍もある。
腎障害を悪化又は再発させるおそれがある。
肝障害を悪化又は再発させるおそれがある。
投与しないこと。妊娠期間の延長、動脈管の早期閉鎖、子宮収縮の抑制、分娩時出血の増加につながるおそれがある。海外での大規模な疫学調査では、妊娠中のアスピリン服用と先天異常児出産の因果関係は否定的であるが、長期連用した場合は、母体の貧血、産前産後の出血、分娩時間の延長、難産、死産、新生児の体重減少・死亡などの危険が高くなるおそれを否定できないとの報告がある。また、ヒトで妊娠末期に投与された患者及びその新生児に出血異常があらわれたとの報告がある。さらに、妊娠末期のラットに投与した実験で、弱い胎児の動脈管収縮が報告されている。
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。シクロオキシゲナーゼ阻害剤(経口剤、坐剤)を妊婦に使用し、胎児の腎機能障害及び尿量減少、それに伴う羊水過少症が起きたとの報告がある。動物実験(ラット)で催奇形性作用があらわれたとの報告がある。妊娠期間の延長、過期産につながるおそれがある。
授乳中の女性には本剤投与中は授乳を避けさせること。母乳中へ移行することが報告されている。
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に腎機能、肝機能などの生理機能が低下しているため、副作用があらわれやすい。
抗凝固剤
,
クマリン系抗凝固剤の作用を増強し、出血時間の延長、消化管出血等を起こすことがあるので、クマリン系抗凝固剤を減量するなど慎重に投与すること。
本剤は血漿タンパクに結合したクマリン系抗凝固剤と置換し、遊離させる。また、本剤は血小板凝集抑制作用、消化管刺激による出血作用を有する。
これら薬剤との併用により、出血の危険性が増大するおそれがあるので、観察を十分に行い、注意すること。
本剤は血小板凝集抑制作用を有するため、これら薬剤との併用により出血傾向が増強されるおそれがある。
血小板凝集抑制作用を有する薬剤
血栓溶解剤
糖尿病用剤
糖尿病用剤の作用を増強し、低血糖を起こすことがあるので、糖尿病用剤を減量するなど慎重に投与すること。
本剤(高用量投与時)は血漿タンパクに結合した糖尿病用剤と置換し、遊離させる。また、本剤は大量で血糖降下作用を有する。
メトトレキサート
メトトレキサートの副作用(骨髄抑制、肝・腎・消化器障害等)が増強されることがある。
本剤(高用量投与時)は血漿タンパクに結合したメトトレキサートと置換し、遊離させる。また、本剤はメトトレキサートの腎排泄を阻害すると考えられている。
バルプロ酸ナトリウム
バルプロ酸ナトリウムの作用を増強し、振戦等を起こすことがある。
本剤(高用量投与時)は血漿タンパクに結合したバルプロ酸ナトリウムと置換し、遊離させる。
フェニトイン
総フェニトイン濃度を低下させるが、非結合型フェニトイン濃度を低下させないとの報告があるので、総フェニトイン濃度に基づいて増量する際には臨床症状等を慎重に観察すること。
本剤(高用量投与時)は血漿タンパクに結合したフェニトインと置換し、遊離させる。
副腎皮質ホルモン剤
本剤(高用量投与時)との併用時に副腎皮質ホルモン剤を減量すると、サリチル酸中毒を起こすことが報告されている。また、消化管出血を増強させることが考えられる。
機序は不明。
リチウム製剤
リチウム中毒を起こすことが報告されている。
本剤(高用量投与時)は腎のプロスタグランジンの生合成を抑制し、腎血流量を減少させることにより、リチウムの腎排泄を低下させることが考えられる。
チアジド系利尿剤
ループ利尿剤
これらの薬剤の作用を減弱させることが報告されている。
本剤は腎のプロスタグランジンの生合成を抑制して、水、塩類の体内貯留が生じ、利尿剤の水、塩類排泄作用に拮抗するためと考えられる。
β遮断剤
ACE阻害剤
本剤は血管拡張作用を有する腎プロスタグランジンの生合成、遊離を抑制し、血圧を上昇させることが考えられる。
ニトログリセリン製剤
ニトログリセリンの作用を減弱させることがある。
本剤はプロスタグランジンの生合成を抑制することにより、冠動脈を収縮させ、ニトログリセリンの作用を減弱させることが考えられる。
尿酸排泄促進剤
これらの薬剤の作用を減弱させることがある。
本剤(高用量投与時)はこれらの薬剤の尿酸排泄に拮抗する。
非ステロイド性解熱鎮痛消炎剤
出血及び腎機能の低下を起こすことがある。
イブプロフェンナプロキセンピロキシカムスルピリン
本剤の血小板凝集抑制作用を減弱するとの報告がある。
血小板のシクロオキシゲナーゼ-1(COX-1)と本剤の結合を阻害するためと考えられる。
炭酸脱水酵素阻害剤
アセタゾラミドの副作用を増強し、嗜眠、錯乱等の中枢神経系症状、代謝性アシドーシス等を起こすことが報告されている。
本剤は血漿タンパクに結合したアセタゾラミドと置換し、遊離させる。
ドネペジル塩酸塩
消化性潰瘍を起こすことがある。
コリン系が賦活され胃酸分泌が促進される。
タクロリムス水和物、シクロスポリン
腎障害が発現することがある。
腎障害の副作用が相互に増強されると考えられる。
ザフィルルカスト
ザフィルルカストの血漿中濃度が上昇することがある。
機序不明。
プロスタグランジンD2、トロンボキサンA2受容体拮抗剤
ヒト血漿タンパク結合に対する相互作用の検討(in vitro)において、本剤によりこれらの薬剤の非結合型分率が上昇することがある。
これら薬剤が本剤と血漿タンパク結合部位で置換し、遊離型血中濃度が上昇すると考えられる。
選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)
皮膚の異常出血(斑状出血、紫斑等)、出血症状(胃腸出血等)が報告されている。
SSRIの投与により血小板凝集が阻害され、本剤との併用により出血傾向が増強すると考えられる。
アルコール,
消化管出血が増強されるおそれがある。
アルコールによる胃粘膜障害と本剤のプロスタグランジン合成阻害作用により、相加的に消化管出血が増強すると考えられる。
ショックやアナフィラキシー(呼吸困難、全身潮紅、血管浮腫、じん麻疹等)があらわれることがある。
脳出血等の頭蓋内出血(初期症状:頭痛、悪心・嘔吐、意識障害、片麻痺等)、肺出血、消化管出血、鼻出血、眼底出血等があらわれることがある。,,,,
AST、ALT、γ-GTP等の著しい上昇を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがある。,,
下血(メレナ)を伴う胃潰瘍・十二指腸潰瘍等の消化性潰瘍があらわれることがある。また、消化管出血、腸管穿孔、狭窄・閉塞を伴う小腸・大腸潰瘍があらわれることがある。,,
頻度不明
消化器
胃腸障害、嘔吐、腹痛、胸やけ、便秘、下痢、食道炎、口唇腫脹、吐血、吐き気、悪心、食欲不振、胃部不快感
過敏症
じん麻疹、発疹、浮腫
血液
貧血、血小板機能低下(出血時間延長)
皮膚
そう痒、皮疹、膨疹、発汗
精神神経系
めまい、興奮、頭痛
肝臓
AST上昇、ALT上昇
腎臓
腎障害
循環器
血圧低下、血管炎、心窩部痛
呼吸器
気管支炎、鼻炎
感覚器
角膜炎、結膜炎、耳鳴、難聴
その他
過呼吸、代謝性アシドーシス、倦怠感、低血糖
耳鳴、めまい、頭痛、嘔吐、難聴、軽度の頻呼吸等の初期症状から血中濃度の上昇に伴い、重度の過呼吸、呼吸性アルカローシス、代謝性アシドーシス、痙攣、昏睡、呼吸不全等が認められる。
催吐、胃洗浄、活性炭投与(ただし、催吐及び胃洗浄後)、輸液注入によるアシドーシス是正、アルカリ尿促進(ただし、腎機能が正常の場合)、血液透析、腹膜透析を必要に応じて行う。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
健康成人男性にアスピリン腸溶錠100mgを空腹時単回経口投与した際の薬物動態パラメータは以下のとおりである4)。
Cmax(μg/L)
tmax(h)
AUC(μg・h/L)
t1/2(h)
アスピリン
455.3
4.00
542.2
0.44
Cmax:最高血中濃度 tmax:最高血中濃度到達時間AUC:血中濃度時間曲線下面積 t1/2:半減期(n=6)
なお、アスピリン腸溶錠は、他製剤(アスピリン普通錠等)と比較して吸収が遅延するので、血中アスピリン及びサリチル酸のtmaxが長く、Cmaxは低い5)(外国人データ)。
アスピリン腸溶錠100mg「VTRS」を健康成人男子に1錠(アスピリンとして100mg)絶食時単回経口投与したときの薬物動態は以下のとおりであった6)。(「経口固形製剤の処方変更の生物学的同等性試験ガイドライン」に従い、ヒトを対象とした生物学的同等性試験によりバイアスピリン錠100mgとの同等性が確認された旧処方製剤と、現処方製剤について実施した生物学的同等性試験におけるデータ)
判定パラメータ
参考パラメータ
AUC0-12(ng・hr/mL)
Cmax(ng/mL)
Tmax(hr)
T1/2(hr)
アスピリン腸溶錠100mg「VTRS」
628.4±181.8
392.8±184.5
4.1±1.3
1.1±1.6
(平均値±標準偏差、n=20)
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
サリチル酸は中枢神経系、母乳、胎児組織を含む全身の組織及び体液中に広く分布する。高濃度の分布が認められるのは血漿、肝臓、腎皮質、心臓、肺である。サリチル酸のタンパク結合率は血中濃度依存性を示し、低濃度域(<100μg/mL)では約90%であるのに対し、高濃度域(>400μg/mL)では約75%である。耳鳴等の過量投与の初期徴候は、血中サリチル酸濃度が約200μg/mLに達すると認められる。重度の毒性作用は400μg/mLを超えると発現する7)(外国人データ)。
アスピリンは腸管での吸収過程及び生体内(主として肝臓)でサリチル酸に加水分解される。サリチル酸はさらに、生体内でグリシン抱合及びグルクロン酸抱合を受け、また、ごく一部は水酸化を受けゲンチジン酸に代謝される。血中濃度の上昇に伴い、サリチル酸代謝能は飽和に達し、全身クリアランスが低下する。毒性用量(10~20g)投与後では、サリチル酸の半減期は20時間を超えるほど延長することがある7),8)(外国人データ)。
アスピリン腸溶錠100mgを空腹時単回経口投与したとき、投与後24時間までに投与量の大部分がサリシレートとして尿中に排出され、投与24時間の尿中累積排泄率は約90%であった。サリチル酸の腎クリアランスは尿pH依存性を示し、低pHでは5%未満であるが、pH>6.5では80%以上となることから、尿のアルカリ化は過量投与の処置上重要である4),7)(外国人データ)。
川崎病患者に対しアスピリンを急性期有熱期間には30~50mg/kg/日(患者の重症度に応じて免疫グロブリン製剤併用療法又はアスピリン単独療法を選択)、解熱後には5mg/kg/日を投与した試験等において、冠動脈障害の発生に対する抑制効果が認められている11),12)。
注)本剤の成人における承認用量は、「通常、成人にはアスピリンとして100mgを1日1回経口投与する。なお、症状により1回300mgまで増量できる。」である。
低用量アスピリンはシクロオキシゲナーゼ1(COX-1)を阻害(セリン残基のアセチル化)することにより、トロンボキサンA2(TXA2)の合成を阻害し、血小板凝集抑制作用を示す。血小板におけるCOX-1阻害作用は、血小板が本酵素を再合成できないため、不可逆的である13),14),15)。一方、血管組織ではCOX-1の再合成が行われるため、プロスタサイクリン(PGI2)合成阻害作用は可逆的で比較的速やかに回復する16)。なお、代謝物であるサリチル酸はCOX-1を阻害せず、血小板凝集抑制作用を有しない。アスピリンのその他の作用(解熱、鎮痛、抗炎症)については成書15)を参照のこと。
アスピリン(Aspirin)
2-Acetoxybenzoic acid
C9H8O4
180.16
白色の結晶、粒又は粉末で、においはなく、僅かに酸味がある。エタノール(95)又はアセトンに溶けやすく、ジエチルエーテルにやや溶けやすく、水に溶けにくい。水酸化ナトリウム試液又は炭酸ナトリウム試液に溶ける。湿った空気中で徐々に加水分解してサリチル酸及び酢酸になる。
約136℃(あらかじめ溶液を130℃に加熱しておく)
100錠[10錠(PTP)×10、乾燥剤入り]500錠[10錠(PTP)×50、乾燥剤入り]
1) Ryan TJ,et al.:J Am Coll Cardiol. 1996;28:1328-1419
2) 厚生省医薬安全局:医薬品等安全性情報. 1998;151:2-7
3) Sim SM,et al.:Br J Clin Pharmacol. 1991;32:17-21
4) 吸収、分布、代謝、排泄(バイアスピリン錠:2000.9.22承認、審査報告書)
5) 吸収、分布、代謝、排泄(バイアスピリン錠:2005.10.31承認、審査報告書)
6) 社内資料:生物学的同等性試験(アスピリン腸溶錠100mg「VTRS」)
7) Fed Regist. 1998 Oct 23;63:56802-56818
8) Wilson JT,et al.:Clin Pharmacol Ther. 1978;23:635-643
9) Ali M,et al.:Stroke. 1980;11:9-13
10) Jimenez AH,et al.:Am J Cardiol. 1992;69:258-262
11) Sato N,et al.:Pediatr Int. 1999;41:1-7
12) 草川三治ほか:日小児会誌. 1983;87:2486-2491
13) Lecomte M,et al.:J Biol Chem. 1994;269:13207-13215
14) Smith WL,et al.:Curr Opin Invest Drugs. 1994;3:1-11
15) 高折修二ほか監訳:グッドマン・ギルマン薬理書(上). 廣川書店. 2003;第10版:872-934
16) Gordon JL,et al.:Brit J Pharmac. 1978;64:481-483
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