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ミヤBM細粒/ミヤBM錠

添付文書番号

2316009C1026_1_07

企業コード

750144

作成又は改訂年月

2022年11月改訂(第1版)

日本標準商品分類番号

872316

薬効分類名

酪酸菌(宮入菌)製剤

承認等

ミヤBM細粒

販売名コード

YJコード

2316009C1026

販売名英語表記

MIYA-BM FINE GRANULES

販売名ひらがな

みやびーえむさいりゅう

承認番号等

承認番号

14300AMZ01369000

販売開始年月

1968年10月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

3年

ミヤBM錠

販売名コード

YJコード

2316009F1022

販売名英語表記

MIYA-BM TABLETS

販売名ひらがな

みやびーえむじょう

承認番号等

承認番号

14500AMZ01905000

販売開始年月

1972年3月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

3年

一般的名称

酪酸菌

3. 組成・性状

3.1 組成

ミヤBM細粒

有効成分1g中に宮入菌末   40mgを含有する。
添加剤乳糖水和物、トウモロコシデンプン、沈降炭酸カルシウム

ミヤBM錠

有効成分1錠中に宮入菌末   20mgを含有する。
添加剤乳糖水和物、沈降炭酸カルシウム、白糖、トウモロコシデンプン、タルク

3.2 製剤の性状

ミヤBM細粒

剤形細粒剤
色調白色~淡灰白色
識別コード(分包品)

ミヤBM錠

剤形錠剤
色調白色~淡灰白色
外形表面
裏面
側面
大きさ直径9mm
厚さ4.2mm
質量350mg
識別コード

4. 効能又は効果

腸内菌叢の異常による諸症状の改善

6. 用法及び用量

  • 〈細粒〉

    通常、成人1日1.5~3gを3回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

  • 〈錠〉

    通常、成人1日3~6錠を3回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意

  • 〈製剤共通〉

    アミノフィリン、イソニアジドとの配合により着色することがあるので、配合を避けることが望ましい。

14.2 薬剤交付時の注意

  • 〈錠〉

    PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

16. 薬物動態

16.3 分布

宮入菌を107個経口投与したラットに対して消化管内における増殖・分布を調べたところ、宮入菌は投与30分後に小腸上部から小腸中部で発芽、2時間後には小腸下部で分裂増殖を開始していた。5時間後には胃から大腸まで広範に分布し、3日以内に糞便から排泄された1),2),3)

16.5 排泄

宮入菌を107個服用した健康な成人男子において、宮入菌は服用後1~2日以内に糞便中から検出され、3~5日後に糞便中から消失した4)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験

  1. 17.1.1 宮入菌製剤を使用した臨床試験の概要は、次のとおりであった5),6),7)

    対象疾患

    改善率

    胃腸炎

    75%(3/4例)

    腹部症状

    80%(271/338例)

    下痢

    97%(117/121例)

    便秘

    67%(6/9例)

    交替性便通異常

    80%(8/10例)

    軟便

    59%(94/159例)

  2. 17.1.2 急性鼻咽頭炎あるいは急性扁桃炎により抗生物質投与を受けた乳児、幼児及び小児において、下痢が40例中19例(47.5%)に発症した。これに対し宮入菌製剤を併用した例の下痢発症率は91例中17例(18.7%)であった8)
  3. 17.1.3 キャンピロバクター腸炎の小児47例において、宮入菌製剤、抗生物質及び止瀉剤を単独、2剤併用あるいは3剤併用で服用した場合、宮入菌製剤と抗生物質の併用例は最も回復が早かった9)
  4. 17.1.4 過敏性腸症候群の症例において、腹痛、下痢、便秘あるいは交替性便通異常等に対して、宮入菌製剤は123例中99例(80.5%)に有効であった7)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序

本剤中の宮入菌は、腸管内で発芽、増殖することにより1),2),3),4)、酪酸等の短鎖脂肪酸や各種代謝産物を産生し10),11),12)、有害菌や病原性細菌の発育を抑制13),14),15),16)または有用菌の発育を促進する17)ことで、腸内細菌叢のバランスを整え、諸症状を改善する。
また、宮入菌の産生する酪酸や酢酸などの短鎖脂肪酸は、消化管粘膜上皮細胞の増殖促進作用18),19)、水・ナトリウムの吸収調節作用を示す20)。さらに、酪酸は腸管内における大腸上皮細胞の重要なエネルギー源として利用されやすい21)など、消化管内でさまざまな生理作用を発揮することが知られている。

18.2 腸内細菌に対する作用

  1. 18.2.1 混合培養において、宮入菌はコレラ菌、赤痢菌、腸炎ビブリオ菌、サルモネラ属菌、腸管病原性大腸菌、腸管毒素原性大腸菌、腸管出血性大腸菌など、各種腸管病原菌の発育を抑制した13),14),15),16)in vitro)。
  2. 18.2.2 無菌マウスにおいて、宮入菌を投与することにより、腸管出血性大腸菌O157:H7の増殖性、毒素産生性及び致死率が有意に抑制された16)
  3. 18.2.3 宮入菌が産生する酪酸は、腸管毒素原性大腸菌による毒素の産生を抑制した22)in vitro)。
  4. 18.2.4 ウサギ、マウスによる腸管毒素原性大腸菌誘発下痢モデルにおいて、宮入菌を投与することにより、腸管水分貯留が有意に抑制された23),24)
  5. 18.2.5 宮入菌の培養ろ液を添加した液体培地において、ビフィズス菌の発育が促進された17)in vitro)。
  6. 18.2.6 宮入菌は有害細菌によるアンモニア、アミン類の産生を抑制した25)in vitro)。

18.3 化学療法剤投与時における整腸作用

  1. 18.3.1 各種抗菌剤の投与を受けた成人において、偽膜性大腸炎の原因菌とされるClostridium difficileの糞便中検出率が著しく増加したが、宮入菌製剤を併用することにより、その出現頻度並びに菌数は減少した26)
  2. 18.3.2 予め宮入菌を定着させた後Clostridium difficileを感染させた無菌マウスは、Clostridium difficileを単独感染させた無菌マウスと比較して致死率が減少し、上皮細胞の壊死及び出血等も観察されなかった27)

18.4 その他の整腸作用

  1. 18.4.1 モルモット摘出回腸縦走筋標本において、生体内下痢誘発因子であるセロトニンにより生じる縦走筋収縮に対し、宮入菌培養ろ液が拮抗した28),29)
  2. 18.4.2 経管栄養療法施行の高齢者において、宮入菌製剤を併用することにより、腸粘膜萎縮の抑制が観察されるとともに、糞便中の水分率の減少と、糞便性状及び排便回数の改善が認められた30)
  3. 18.4.3 成分栄養剤を給与したラットにおいて、宮入菌を投与することにより、空腸、回腸、盲腸および遠位結腸での消化管クリプト細胞増殖率が上昇した18)
  4. 18.4.4 ラットDSS大腸炎モデルにおいて、宮入菌製剤を投与することにより、腸管内で酪酸などの短鎖脂肪酸が増加するとともに、Ulcer IndexとMPO活性の低下が認められた31)
  5. 18.4.5 宮入菌はアミラーゼ、ビタミンB群(B1・B2・B12・ニコチン酸・葉酸)を産生した11),12)in vitro)。

19. 有効成分に関する理化学的知見

一般的名称

酪酸菌

菌種

Clostridium butyricum

性状

グラム陽性、有芽胞、偏性嫌気性の桿菌で、酪酸、酢酸などの短鎖脂肪酸を産生する10)。嫌気培養することにより、BL寒天培地で灰褐色で中心部茶色の正円形~不規則形の集落を作る。

20. 取扱い上の注意

開封後は密閉し、湿気の少ない室温に保存すること。

22. 包装

  • 〈細粒〉

    バラ包装[500g、1kg(500g×2)、5kg(500g×10)]
    HS包装[1g×630包、1g×2,520包]

  • 〈錠〉

    バラ包装[1,000錠]
    PTP包装[100錠(10錠×10枚)、400錠(10錠×10枚×4)、800錠(10錠×10枚×8)]

23. 主要文献

1) 佐藤留美子 他:日本細菌学雑誌. 1995;50(1):227

2) Sato R, et al.:Microb Ecol Health Dis. 1996;9(3):115-122

3) Sato R, et al.:Microbiol Immunol. 1997;41(9):665-671

4) 社内資料:宮入菌のADMEに関する研究

5) 武田英二 他:新薬と臨牀. 1976;25(9):1505-1509

6) 岡林一夫 他:新薬と臨牀. 1994;43(2):300-320

7) Zhang D, et al.:Chin J Gastroenterol. 1998;3(2):82-87

8) 倉田 晉 他:小児科臨床. 1988;41(10):2409-2414

9) 山下亮子 他:小児科臨床. 1993;46(11):2703-2708

10) Ikeda T, et al.:Bifidobacteria Microflora. 1988;7(1):57-60

11) 青木夏樹 他:医学と生物学. 2004;148(1):26-29

12) 社内資料:Clostridium butyricum MIYAIRIのVitamin合成能

13) 藤田逸樹 他:医学と生物学. 1988;116(1):27-30

14) 社内資料:酪酸菌と食中毒菌との拮抗作用とそのメカニズムについて

15) 黒岩豊秋 他:感染症学雑誌. 1990;64(3):257-263

16) 高橋志達 他:Prog Med. 1997;17(7):1869-1873

17) 社内資料:Cl. butyricumが生産するLactobacillus bifidus増殖因子について

18) Ichikawa H, et al.:Dig Dis Sci. 1999;44(10):2119-2123

19) Sakata T, et al.:Comp Biochem Physiol. 1983;A74:459-462

20) McNeil NI, et al.:Gut. 1978;19(9):819-822

21) Roediger WE.:Gut. 1980;21(9):793-798

22) Fujita I, et al.:Jpn Pharmacol Ther. 1986;14(10):6073-6080

23) Fujita I, et al.:Jpn Pharmacol Ther. 1986;14(7):4651-4655

24) Fujita I, et al.:Jpn Pharmacol Ther. 1987;15(3):1219-1223

25) 社内資料:Clostridium butyricum Miyairiのアミン、アンモニア産生抑制試験

26) 黒岩豊秋 他:感染症学雑誌. 1990;64(11):1425-1432

27) 田口晴彦 他:Prog Med. 1997;17(5):1405-1409

28) 黒岩豊秋 他:応用薬理. 1989;37(1):1-7

29) 待井一浩 他:応用薬理. 1989;37(1):9-16

30) 伊藤いづみ 他:日本老年医学会雑誌. 1997;34(4):298-304

31) Okamoto T, et al.:J Gastroenterol. 2000;35(5):341-346

24. 文献請求先及び問い合わせ先

ミヤリサン製薬株式会社 サイエンス情報戦略室

〒114-0016 東京都北区上中里1-10-3

電話(03)3917-1191 FAX(03)3940-1140

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元

ミヤリサン製薬株式会社

長野県埴科郡坂城町中之条102番地15

〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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