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室温保存
3年
劇薬
処方箋医薬品注)
2年
24箇月
本剤は強い悪心、嘔吐が生じる抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)の投与の場合に限り使用すること1)。
通常、成人にはオランザピンとして5~10mgを1日1回経口投与により開始する。維持量として1日1回10mg経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、1日量は20mgを超えないこと。
通常、成人にはオランザピンとして10mgを1日1回経口投与により開始する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日量は20mgを超えないこと。
通常、成人にはオランザピンとして5mgを1日1回経口投与により開始し、その後1日1回10mgに増量する。なお、いずれも就寝前に投与することとし、年齢、症状に応じ適宜増減するが、1日量は20mgを超えないこと。
他の制吐剤との併用において、通常、成人にはオランザピンとして5mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜増量するが、1日量は10mgを超えないこと。
,,,
抗コリン作用により症状を悪化させることがある。
痙攣閾値を低下させることがある。
本剤の血漿中濃度が増加することがある。
治療初期に、めまい、頻脈、起立性低血圧等があらわれることがある。
自殺念慮、自殺企図があらわれることがある。,
他の抗うつ剤で精神症状の悪化が認められたとの報告がある2)。,,
肝障害を悪化させることがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。
授乳しないことが望ましい。ヒト母乳中への移行が報告されている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
本剤のクリアランスを低下させる要因(非喫煙者、女性等)を併せ持つ高齢者では、2.5~5mgの少量から投与を開始するなど、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。高齢者は一般的に生理機能が低下しており、本剤のクリアランスが低下していることがある。
アドレナリンの作用を逆転させ、重篤な血圧降下を起こすことがある。
アドレナリンはアドレナリン作動性α、β-受容体の刺激剤であり、本剤のα-受容体遮断作用によりβ-受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される。
減量するなど注意すること。
本剤及びこれらの薬剤は中枢神経抑制作用を有する。
相互に作用を増強することがある。
アルコールは中枢神経抑制作用を有する。
腸管麻痺等の重篤な抗コリン性の毒性が強くあらわれることがある。
本剤及びこれらの薬剤は抗コリン作用を有する。
これらの薬剤のドパミン作動性の作用が減弱することがある。
ドパミン作動性神経において、本剤がこれらの薬剤の作用に拮抗することによる。
本剤の血漿中濃度を増加させるので、本剤を減量するなど注意すること。
これらの薬剤は肝薬物代謝酵素(CYP1A2)阻害作用を有するため本剤のクリアランスを低下させる。
本剤の血漿中濃度を増加させる可能性がある。
本剤の血漿中濃度を低下させる。
これらの薬剤は肝薬物代謝酵素(CYP1A2)を誘導するため本剤のクリアランスを増加させる。
本剤の血漿中濃度を低下させる可能性がある。
喫煙は肝薬物代謝酵素(CYP1A2)を誘導するため本剤のクリアランスを増加させる。
重篤な血圧降下を起こすことがある。
アドレナリンはアドレナリン作動性α、β-受容体の刺激剤であり、本剤のα-受容体遮断作用によりβ-受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強されるおそれがある。
高血糖があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡から死亡に至るなどの致命的な経過をたどることがあるので、血糖値の測定や、口渇、多飲、多尿、頻尿等の観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、インスリン製剤の投与を行うなど、適切な処置を行うこと。,,,,,
脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等の低血糖症状が認められた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと。,
無動緘黙、強度の筋強剛、脈拍及び血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、水分補給、体冷却等の全身管理とともに、適切な処置を行うこと。本症発症時には、血清CKの上昇や白血球の増加がみられることが多い。また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下に注意すること。なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡した例が報告されている。
AST(1.5%)、ALT(2.5%)、γ-GTP(0.7%)、Al-P(頻度不明)の上昇等を伴う肝機能障害、黄疸(頻度不明)があらわれることがある。
痙攣(強直間代性、部分発作、ミオクロヌス発作等)があらわれることがある。
長期投与により、不随意運動(特に口周部)があらわれ、投与中止後も持続することがある。
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)を来し、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
初期症状として発疹、発熱がみられ、更に肝機能障害、リンパ節腫脹、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現等を伴う遅発性の重篤な過敏症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)等のウイルスの再活性化を伴うことが多く、投与中止後も発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること3)。
1%以上
0.1~1%未満
0.1%未満
頻度不明
精神神経系
興奮、傾眠(22.3%)、不眠(10.3%)、不安、めまい・ふらつき、頭痛・頭重、抑うつ状態、構音障害、立ちくらみ
易刺激性、自殺企図、幻覚、妄想、脱抑制、性欲亢進、躁状態、感覚鈍麻、下肢静止不能症候群、記憶障害、知覚過敏、違和感、意識喪失、焦燥
独語、空笑、会話障害、もうろう状態
しびれ感、吃音、健忘
錐体外路症状
アカシジア(静坐不能)、振戦、筋強剛、ジストニア、ジスキネジア、歩行異常、ブラジキネジア(動作緩慢)
嚥下障害、眼球挙上
舌の運動障害、運動減少、パーキンソン病徴候
循環器
血圧低下、動悸、頻脈
起立性低血圧、血圧上昇、徐脈、心室性期外収縮、心電図QT延長
心房細動
血栓
消化器
便秘、食欲亢進、口渇、嘔気、胃不快感、食欲不振、嘔吐、流涎過多
下痢、腹痛、口角炎
胃潰瘍、黒色便、痔出血、腹部膨満、胃炎
膵炎
血液
白血球減少、貧血、好中球減少
リンパ球減少
白血球増多、好酸球増多、赤血球減少、好中球増多、血小板減少、ヘモグロビン減少、血小板増多、好酸球減少、赤血球増多、単球減少、単球増多、ヘマトクリット値減少
内分泌
月経異常
プロラクチン上昇
乳汁分泌、乳房肥大、甲状腺機能亢進症
プロラクチン低下
肝臓
ALT上昇、AST上昇
γ-GTP上昇
LDH上昇
Al-P上昇、総ビリルビン上昇、ウロビリノーゲン陽性、総ビリルビン低下、肝炎
腎臓
蛋白尿
腎盂炎
BUN低下、尿沈渣異常、クレアチニン低下、BUN上昇
泌尿器
排尿障害
尿失禁
頻尿、尿閉
過敏症
発疹、顔面浮腫
蕁麻疹、小丘疹
光線過敏症、血管浮腫、そう痒症
代謝異常
トリグリセリド上昇、コレステロール上昇、糖尿病
尿糖、高尿酸血症、水中毒、高脂血症
トリグリセリド低下、脱水症、カリウム低下、カリウム上昇、ナトリウム低下
総蛋白低下、ナトリウム上昇、クロール上昇、クロール低下
呼吸器
鼻閉
鼻出血、嚥下性肺炎
その他
体重増加(20.1%)、倦怠感、脱力感、体重減少、発熱、浮腫
発汗、CK上昇、転倒、胸痛、骨折、低体温、肩こり、脱毛症
腰痛、死亡、眼のチカチカ、霧視感、ほてり
持続勃起、離脱反応(発汗、嘔気、嘔吐) 、アルブミン低下、A/G比異常、グロブリン上昇、関節痛
本剤の過量投与時に、頻脈、激越/攻撃性、構語障害、種々の錐体外路症状、及び鎮静から昏睡に至る意識障害が一般的な症状(頻度10%以上)としてあらわれることが報告されている。また他の重大な症状として、譫妄、痙攣、悪性症候群様症状、呼吸抑制、誤嚥、高血圧あるいは低血圧、不整脈(頻度2%以下)及び心肺停止があらわれることがある。450mg程度の急性過量投与による死亡例の報告があるが、2gの急性過量投与での生存例も報告されている。
催吐は行わないこと。本剤を過量に服用した場合は、活性炭の投与を行う。本剤は活性炭との併用時に生物学的利用率が50~60%低下する。アドレナリン、ドパミン、あるいは他のβ-受容体アゴニスト活性を有する薬剤は低血圧を更に悪化させる可能性があるので使用してはならない。,
なお、本剤の5試験では、死亡及び脳血管障害(脳卒中、一過性脳虚血発作等)の発現頻度がプラセボと比較して高く、その死亡の危険因子として、年齢(80歳以上)、鎮静状態、ベンゾジアゼピン系薬物の併用、呼吸器疾患が報告されている。脳血管障害を発現した患者においては、脳血管障害・一過性脳虚血発作・高血圧の既往又は合併、喫煙等の危険因子を有していたことが報告されている。また、外国での疫学調査において、定型抗精神病薬も非定型抗精神病薬と同様に死亡率の上昇に関与するとの報告がある。
がん原性試験において、雌マウス(8mg/kg/日以上、21ヵ月)及び雌ラット(2.5/4mg/kg/日以上、21ヵ月、投与211日に増量)で乳腺腫瘍の発生頻度の上昇が報告されている。これらの所見は、プロラクチンに関連した変化として、げっ歯類ではよく知られている。臨床試験及び疫学的調査において、ヒトにおける本剤あるいは類薬の長期投与と腫瘍発生との間に明確な関係は示唆されていない。
健康成人男子にオランザピン錠(普通錠)5mgを空腹時単回経口投与した5),6)。
投与量
Tmax(hr)
Cmax(ng/mL)
T1/2(hr)
AUC0-96(ng・hr/mL)
5mg錠×1錠
4.8±1.2
10.5±2.2
28.5±6.1
279±86.6
健康成人男子にオランザピン口腔内崩壊錠5mg又はオランザピン錠(普通錠)5mgを空腹時単回経口投与した。オランザピン口腔内崩壊錠5mgはオランザピン錠(普通錠)5mgと生物学的に同等であることが確認された7)。
口腔内崩壊錠
3.8±1.1
10.2±1.7
30.5±5.5
260±58.7
錠
3.4±1.0
10.9±2.8
31.2±5.4
259±72.0
オランザピンカプセル注)を投与したとき、患者の血漿中濃度は、2.5~20mgの範囲において投与量比例的であり、薬物動態の線形性が確認された8)。健康成人では、平均消失半減期は33時間(20.7~54.1時間:5~95パーセンタイル)であり、見かけのクリアランスは平均26.1L/hr(12~47L/hr:5~95パーセンタイル)である5)。1週間以内に定常状態に達する5)(外国人データ)。
オランザピン錠5mg「明治」とジプレキサ錠5mg、オランザピンOD錠5mg「明治」とジプレキサザイディス錠5mg又はオランザピン細粒1%「明治」とジプレキサ細粒1%を、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠又は細粒500mg(オランザピンとして5mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、いずれもlog(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、それぞれ両剤の生物学的同等性が確認された9),10),11)。なお、オランザピンOD錠5mg「明治」は、水あり及び水なしで投与した。
被験者数
判定パラメータ
参考パラメータ
AUCt(ng・hr/mL)
オランザピン錠5mg「明治」
24
292.3±71.9
11.2±2.7
3.4±1.3
32.9±5.9
ジプレキサ錠5mg
293.4±74.9
11.5±3.0
3.8±1.2
31.6±4.1
Mean±S.D.
水あり服用
オランザピンOD錠5mg「明治」
308.5±73.1
11.3±3.3
3.7±1.2
35.8±6.6
ジプレキサザイディス錠5mg
301.8±74.7
10.8±2.6
3.7±0.9
35.4±6.5
水なし服用
23
319.6±65.4
10.8±2.3
4.1±1.1
34.9±4.4
317.7±65.1
11.3±2.5
4.4±1.4
35.1±3.5
オランザピン細粒1%「明治」
20
247.8±31.3
10.5±2.4
3.9±0.8
41.4±7.2
ジプレキサ細粒1%
244.9±27.2
10.7±2.5
4.0±0.8
43.6±8.1
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
オランザピン錠(普通錠)を投与したとき、食事による吸収への影響は認められなかった6)。
約93%(in vitro、超遠心法)。特にアルブミンとα1-酸性糖蛋白質に結合する12)。
オランザピンの代謝に関与する酵素はグルクロン酸転移酵素、フラビン含有モノオキシゲナーゼ、チトクロームP450(CYP)である。オランザピンの代謝物10-N-グルクロン酸抱合体及び4'-N-グルクロン酸抱合体は、直接グルクロン酸抱合される13)。10-N-グルクロン酸抱合体が血漿中及び尿中における主要代謝物である14)。4'-N-オキシド体代謝物の生成はフラビン含有モノオキシゲナーゼが関与している。主な酸化代謝物である4'-N-デスメチル体はCYP1A2を介して生成される。比較的少ない代謝物である2-ヒドロキシメチル体はCYP2D6を介して生成されるが、オランザピンの全般的なクリアランスに大きく影響することはない14)。in vivoの動物試験において、4'-N-デスメチル体及び2-ヒドロキシメチル体の薬理活性はないか、又はオランザピンと比較して極めて低く、薬理活性の本体はオランザピンであることが確認されている15)。定常状態における未変化体、10-N-グルクロン酸抱合体及び4'-N-デスメチル体の血漿中濃度比は100:44:31であった14)。
健康成人に14Cオランザピンを経口投与したとき、21日間で全放射活性の約57%及び30%がそれぞれ尿中及び糞便中に排泄された16)(外国人データ)。
腎機能低下被験者10例にオランザピンカプセル注)を投与した検討によると、腎機能の低下はオランザピンの薬物動態に影響を与えなかった17)(外国人データ)。
肝機能障害はオランザピンのクリアランスを低下させることが予想されたが、肝機能低下患者8例にオランザピン錠(普通錠)又はオランザピンカプセル注)を投与した検討によると、肝機能低下はオランザピンの薬物動態に影響を与えなかった17)(外国人データ)。
オランザピンカプセル注)の単回投与では65歳以上の被験者16例の消失半減期は非高齢者に比し53%延長した(高齢者:52時間、非高齢者:34時間)17)。14日間連続投与では、65歳以上の被験者8例の消失半減期は59時間であった17)(外国人データ)。
オランザピン錠(普通錠)又はオランザピンカプセル注)を投与した検討によると、女性におけるオランザピンのクリアランスは男性よりも約30%低く、また喫煙者におけるオランザピンのクリアランスは非喫煙者よりも約40%高かったが、これらの要因のどれかひとつが存在することにより一般的に投与量を調節する必要はない。性別と喫煙を組み合わせた場合の平均クリアランス値は男性喫煙者で最も高く、次いで女性喫煙者、男性非喫煙者の順で、女性非喫煙者が最も低かった5),8),18)(外国人データ)。
オランザピン錠(普通錠)とフルボキサミンとの併用により、オランザピンの血漿中濃度は高値を示した。相互作用は男性(すべて喫煙者)で大きく、Cmaxの増加率は男性(喫煙)で75%、女性(すべて非喫煙者)で52%であった。AUC0-24の増加率は男性(喫煙)で108%、女性(非喫煙)で52%であった。また、クリアランス(CLp/F)は男性(喫煙)で52%、女性(非喫煙)で37%低下した。これはフルボキサミンがCYP1A2の阻害作用を有するためと推定された19)(外国人データ)。
オランザピンカプセル注)とカルバマゼピンとの併用により、オランザピンの血漿中濃度は低値を示した。併用によりCmaxは24%、AUC0-∞は34%低下した。これはカルバマゼピンがCYP1A2の誘導作用を有するためと推定された19)(外国人データ)。
オランザピン錠(普通錠)とフルオキセチン(国内未承認)との併用により、オランザピンの血漿中濃度はわずかに増加した。併用によりCmaxは16%増加、クリアランス(CLp/F)は16%低下した。これはフルオキセチンがCYP2D6の阻害作用を有するためと推定された19)(外国人データ)。
「含量が異なる経口固形製剤の生物学的同等性試験ガイドライン」(平成24年2月29日付、薬食審査発0229第10号)に基づき、オランザピン錠2.5mg「明治」及びオランザピン錠10mg「明治」はオランザピン錠5mg「明治」を、オランザピンOD錠2.5mg「明治」及びオランザピンOD錠10mg「明治」はオランザピンOD錠5mg「明治」を標準製剤としたとき、溶出挙動が等しく、生物学的に同等とみなされた21),22),23),24)。
注)オランザピンカプセルは開発途中に用いた製剤で、オランザピンカプセル5mgとオランザピン錠(普通錠)5mgは生物学的に同等であることが確認されている6)。
最初に実施された8週間投与試験でオランザピンカプセル注1)1~12.5mgが投与され、統合失調症患者計81例における中等度改善以上の改善率は59.3%(48/81例)であった25),26)。主な副作用は不眠(症)17.3%(14/81例)及び眠気16.0%(13/81例)であった26)。
引き続き実施された8週間投与試験では2.5~15mgが投与され、統合失調症患者計156例における中等度改善以上の改善率は58.3%(91/156例)であった27),28)。主な副作用は不眠(症)19.9%(31/156例)、眠気13.5%(21/156例)、無月経11.3%(女性のみ6/53例)、倦怠(感)10.9%(17/156例)、振戦10.9%(17/156例)及び口渇10.9%(17/156例)であった28)。
8週間の二重盲検比較試験でオランザピン錠(普通錠)5~15mgが投与され、オランザピン投与群の44.4%(40/90例)が中等度改善以上を示し、オランザピンの統合失調症に対する有用性が認められた29),30)。主な副作用は倦怠(感)、アカシジア、眠気、興奮、不安及び不眠(症)各11.1%(10/90例)であった30)。
躁病エピソード又は混合性エピソードを呈した双極I型障害患者を対象に実施したプラセボ対照二重盲検比較試験において、オランザピン錠(普通錠)5~20mgを1日1回3週間投与したとき、最終評価時におけるヤング躁病評価尺度(Young-Mania Rating Scale、YMRS)合計点のベースラインからの変化量(平均値±標準偏差)はオランザピン群-12.6±10.0、プラセボ群-6.8±14.0で、群間差とその95%信頼区間は-5.8[-9.1,-2.4]であり、統計学的な有意差が認められた(p<0.001、t検定)35),36)。
表1 投与3週後におけるYMRS合計点のベースラインからの変化量及びその群間差(FAS、LOCF)
投与群
例数
YMRS合計点
群間差[95%信頼区間]
p値注)
ベースライン
最終評価時
ベースラインからの変化量
オランザピン群
104
27.7±5.9
15.1±10.4
-12.6±10.0
-5.8[-9.1,-2.4]
<0.001
プラセボ群
97
26.9±5.6
20.1±15.0
-6.8±14.0
Mean±S.D.、注)t検定
6週間の評価期間における主な副作用は、傾眠23.8%(25/105例)及び口渇15.2%(16/105例)であった35)。
二重盲検試験に継続して実施した18週間の非盲検長期継続投与試験において、二重盲検試験を完了した被験者にはオランザピンの単剤投与を、効果不十分を理由に二重盲検試験を中止した被験者にはオランザピン単剤と気分安定薬1剤との併用投与を行った36),37),38)。
オランザピン錠(普通錠)5~20mgを1日1回経口投与したときのYMRS合計点のベースラインからの変化量(平均値±標準偏差)は、投与6週後で-3.3±5.3、18週後で-4.2±5.3であった。
1週
2週
4週
6週
10週
14週
18週
100
96
91
81
76
65
61
5.7±6.4
4.9±6.0
4.0±5.8
3.0±4.3
2.1±3.4
2.6±5.8
1.9±3.3
1.6±2.9
変化量
―
-0.8±3.6
-1.5±5.3
-2.4±4.9
-3.3±5.3
-2.8±5.7
-3.7±5.7
-4.2±5.3
副作用発現頻度は41.0%(41/100例)であった。主な副作用は、傾眠13.0%(13/100例)であった。
オランザピン錠(普通錠)5~20mgを1日1回経口投与、気分安定薬として炭酸リチウム、バルプロ酸ナトリウム、カルバマゼピンのいずれか1剤を承認用法及び用量で併用投与したときのYMRS合計点のベースラインからの変化量(平均値±標準偏差)は、投与6週後で-25.9±9.3、投与18週後で-29.6±5.7であった。
表3 YMRS合計点のベースラインからの変化量(気分安定薬併用群、FAS、OC)
39
34
31
22
18
14
12
33.2±6.6
25.1±9.6
17.9±10.3
12.5±12.8
7.1±8.7
2.9±4.4
3.1±4.1
1.7±3.2
-8.1±8.6
-15.4±11.1
-21.0±12.6
-25.9±9.3
-30.3±8.7
-30.0±9.4
-29.6±5.7
副作用発現頻度は59.0%(23/39例)であった。主な副作用は、血中トリグリセリド増加15.4%(6/39例)、傾眠12.8%(5/39例)及び体重増加10.3%(4/39例)であった。
うつ病エピソードを呈した双極I型障害患者(514例、日本人患者156例を含む)を対象に実施したプラセボ対照二重盲検比較試験において、オランザピン錠(普通錠)5~20mgを就寝時に1日1回6週間投与したとき、最終評価時におけるMontgomery-Asberg Depression Rating Scale(MADRS)合計点のベースラインからの変化量(平均値±標準偏差)はオランザピン群-14.26±9.73、プラセボ群-11.71±11.09で、群間差とその95%信頼区間は-2.15[-3.93, -0.36]であり、統計学的な有意差が認められた(p=0.018、共分散分析)39),40)。
MADRS合計点
群間差[95%信頼区間]注)
339
29.36±5.71
-14.26±9.73
-2.15[-3.93,-0.36]
0.018
169
28.69±6.33
-11.71±11.09
Mean±S.D.、注)共分散分析
副作用発現頻度はオランザピン群で55.7%(191/343例)、プラセボ群で36.8%(63/171例)であった。オランザピン群の主な副作用は、体重増加15.7%(54/343例)、傾眠15.2%(52/343例)及び食欲亢進12.0%(41/343例)であった39)。
国際共同試験(二重盲検期)に継続して実施した18週間の非盲検継続投与期において、オランザピン錠(普通錠)5~20mgを就寝時に1日1回経口投与したときのMADRS合計点は下表のとおりであった。MADRS合計点のベースライン(二重盲検期終了時)からの変化量(平均値±標準偏差)は、投与6週後で-3.76±8.50、投与18週後で-6.34±9.43であった39),41)。
385
349
295
14.00±9.05
10.10±8.37
7.61±7.20
-3.76±8.50
-6.34±9.43
副作用発現頻度は38.3%(149/389例)であった。主な副作用は体重増加15.9%(62/389例)であった39)。
国際共同試験(非盲検継続投与期)を完了した日本人患者又は新規患者を対象に実施した24又は48週間の国内非盲検長期投与試験において、オランザピン錠(普通錠)5~20mgを就寝時に1日1回経口投与したときのMADRS合計点は下表のとおりであった。新規患者では、MADRS合計点のベースライン(国内非盲検長期投与試験開始時)からの変化量(平均値±標準偏差)は、投与24週後で-5.2±13.2、投与48週後で-3.8±7.4であった41),42)。なお、本試験においては気分安定薬、抗うつ薬及び抗精神病薬の併用を可として実施した。
12週
24週
36週
48週
国際共同試験の完了例
73
8.6±7.2
8.7±8.1
6.9±6.8
新規症例
11
7
6
16.5±9.0
9.9±8.7
10.6±9.6
8.3±8.1
7.3±9.5
-6.9±10.8
-5.2±13.2
-5.3±8.6
-3.8±7.4
副作用発現頻度は40.6%(41/101例)であった。全体の主な副作用は体重増加17.8%(18/101例)であった42)。
オランザピンはチエノベンゾジアゼピン骨格を有する非定型抗精神病薬である。非臨床薬理試験において定型抗精神病薬とは異なる薬理学的特徴が明らかにされている。オランザピンは多数の神経物質受容体に対する作用を介して統合失調症の陽性症状のみならず、陰性症状、認知障害、不安症状、うつ症状等に対する効果や錐体外路症状の軽減をもたらし(多元作用型:multi-acting)、また、多くの受容体に対する作用が脳内作用部位への選択性につながる(受容体標的化:receptor-targeting)と考えられる43),44),45)。オランザピンは、ドパミンD2タイプ(D2、D3、D4)、セロトニン5-HT2A,2B,2C、5-HT6、α1-アドレナリン及びヒスタミンH1受容体へほぼ同じ濃度範囲で高い親和性を示すが、ドパミンD1タイプ(D1、D5)やセロトニン5-HT3受容体へはやや低い親和性で結合する46),47),48)。また、ムスカリン(M1、M2、M3、M4、M5)受容体への親和性はin vitroと比較してin vivoでは弱い49)。オランザピンはこれらの受容体に対し拮抗薬として働く50)。更にオランザピンによる大脳皮質前頭前野でのドパミンとノルアドレナリンの遊離増加51)や、グルタミン酸神経系の伝達障害の回復52),53)も、オランザピンと複数の受容体との相互作用より引き起こされている可能性がある44)。
オランザピンは、カタレプシー54)(錐体外路系副作用の指標)を惹起する用量よりも低い用量で、条件回避反応54)(陽性症状の指標)、プレパルスインヒビション52)(陰性症状及び認知障害の指標)、社会的接触減少53)(陰性症状の指標)、コンフリクト54),55)(陰性症状及び不安の指標)あるいは強制水泳(うつ症状の指標)等の統合失調症諸症状の動物モデルにおいて改善作用を示す48)。
オランザピンは、電気生理学的試験56)や組織学的試験57)において、錐体外路系副作用に関与している黒質線条体系よりも、抗精神病活性と関係する中脳辺縁系及び大脳皮質前頭前野への選択性を示す。
統合失調症では大脳皮質前頭前野でのドパミンD1系の機能低下やグルタミン神経系の伝達障害が仮説化されているが、オランザピンは大脳皮質前頭前野でドパミンとノルアドレナリンの遊離を増加させ51)、グルタミン酸神経系の伝達障害を回復させる52),53)。
オランザピン(Olanzapine)
2-Methyl-4-(4-methylpiperazin-1-yl)-10H-thieno[2,3-b][1,5]benzodiazepine
C17H20N4S
312.43
オランザピンは黄色の結晶又は結晶性の粉末である。本品はエタノール(99.5)及びメタノールに溶けにくく、水にほとんど溶けない。
約195℃(分解)
開封後は湿気、光を避けて保存すること。
使用期限内であっても開封後はなるべく速やかに使用すること。
PTP包装 100錠(10錠×10)バラ包装(ボトル入、乾燥剤入) 300錠
PTP包装(乾燥剤入) 100錠(10錠×10)バラ包装(ボトル入、乾燥剤入) 300錠
ボトル(乾燥剤入) 100g
1) 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書:オランザピン 抗悪性腫瘍剤投与に伴う消化器症状(悪心・嘔吐)
2) 厚生労働省医薬食品局:医薬品・医療機器等安全性情報, No.258(2009)
3) 厚生労働省:重篤副作用疾患別対応マニュアル 薬剤性過敏症症候群
4) Stone, M., et al.:BMJ. 2009;339:b2880
5) ジプレキサ:2000年12月22日承認、申請資料概要ヘ.3.2
6) 天本敏昭ほか:臨床医薬. 1998;14(15):2717-2735
7) 佐々木幸哉ほか:臨床精神薬理. 2006;9(10):2039-2044
8) ジプレキサ:2000年12月22日承認、申請資料概要ヘ.3.3
9) 社内資料:オランザピン錠5mg「明治」の生物学的同等性試験に関する資料
10) 社内資料:オランザピンOD錠5mg「明治」の生物学的同等性試験に関する資料
11) 社内資料:オランザピン細粒1%「明治」の生物学的同等性試験に関する資料
12) ジプレキサ:2000年12月22日承認、申請資料概要ヘ.3.5
13) Kassahun, K., et al.:Drug. Metab. Dispos. 1997;25(1):81-93
14) ジプレキサ:2000年12月22日承認、申請資料概要ヘ.3.6
15) ジプレキサ:2000年12月22日承認、申請資料概要ホ.2.2
16) ジプレキサ:2000年12月22日承認、申請資料概要ヘ.3.7
17) ジプレキサ:2000年12月22日承認、申請資料概要ヘ.3.8
18) Callaghan, JT., et al.:Clin. Pharmacokinet. 1999;37(3):177-193
19) ジプレキサ:2000年12月22日承認、申請資料概要ヘ.3.9
20) ジプレキサ:2010年10月27日承認、CTD2.7.6.2.1
21) 社内資料:オランザピン錠2.5mg「明治」の溶出性(生物学的同等性試験)に関する資料
22) 社内資料:オランザピン錠10mg「明治」の溶出性(生物学的同等性試験)に関する資料
23) 社内資料:オランザピンOD錠2.5mg「明治」の溶出性(生物学的同等性試験)に関する資料
24) 社内資料:オランザピンOD錠10mg「明治」の溶出性(生物学的同等性試験)に関する資料
25) Ishigooka, J., et al.:Psychiatry. Clin. Neurosci. 2001;55(4):353-363
26) ジプレキサ:2000年12月22日承認、申請資料概要ト.2
27) Ishigooka, J., et al.:Psychiatry. Clin. Neurosci. 2000;54(4):467-478
28) ジプレキサ:2000年12月22日承認、申請資料概要ト.3.1
29) Ishigooka, J., et al.:Psychiatry. Clin. Neurosci. 2001;55(4):403-414
30) ジプレキサ:2000年12月22日承認、申請資料概要ト.4.1
31) Beasley, CM, Jr., et al.:Neuropsychopharmacology. 1996;14(2):111-123
32) ジプレキサ:2000年12月22日承認、申請資料概要ト.4.2
33) Tran, PV., et al.:Br. J. Psychiatry. 1998;172:499-505
34) Beasley, CM., et al.:Br. J. Psychiatry. 1999;174:23-30
35) ジプレキサ:2010年10月27日承認、CTD2.7.6.3.1
36) ジプレキサ:2010年10月27日承認、審査報告書
37) ジプレキサ:2010年10月27日承認、CTD2.7.6.3.2
38) Katagiri, H., et al.:Curr. Med. Res. Opin. 2012;28(5):701-713
39) ジプレキサ:2012年2月22日承認、CTD2.7.6.2.1
40) ジプレキサ:2012年2月22日承認、CTD2.7.3.2
41) ジプレキサ:2012年2月22日承認、審査報告書
42) ジプレキサ:2012年2月22日承認、CTD2.7.6.2.2
43) Bymaster, FP.:J. Clin. Psychiatry. Monograph. 1997;15(2):10-12
44) Bymaster, FP. ほか:臨床精神薬理. 1999;2(8):885-911
45) 村崎光邦:臨床精神医学講座. 中山書店. 1999;14:96-108
46) Bymaster, FP., et al.:Neuropsychopharmacology. 1996;14(2):87-96
47) Schotte, A., et al.:Psychopharmacology(Berl). 1996;124(1-2):57-73
48) ジプレキサ:2000年12月22日承認、申請資料概要イ.2.2
49) Bymaster, FP., et al.:Eur. J. Pharmacol. 2000;390(3):245-248
50) Bymaster, FP., et al.:Schizophr. Res. 1999;37(1): 107-122
51) Li, XM., et al.:Psychopharmacology(Berl). 1998;136(2):153-161
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53) Corbett, R., et al.:Psychopharmacology(Berl). 1995;120(1):67-74
54) Moore, NA., et al.:J. Pharmacol. Exp. Ther. 1992;262(2):545-551
55) Moore, NA., et al.:Behav. Pharmacol. 1994;5(2):196-202
56) Stockton, ME., et al.:Neuropsychopharmacology. 1996;14(2):97-105
57) Robertson, GS., et al.:Neuropsychopharmacology. 1996;14(2):105-110
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