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劇薬
処方箋医薬品注)
統合失調症
通常、成人にはアセナピンとして1回5mgを1日2回舌下投与から投与を開始する。維持用量は1回5mgを1日2回とし、年齢、症状に応じ適宜増減するが、最高用量は1回10mgを1日2回までとする。
血圧降下があらわれることがある。
痙攣閾値を低下させるおそれがある。
QT延長があらわれるおそれがある。
自殺念慮、自殺企図があらわれることがある。
,,
悪性症候群(Syndrome malin)が起こりやすくなる。また、錐体外路症状の悪化に加えて、錯乱、意識レベルの低下、転倒を伴う体位不安定等の症状が発現するおそれがある。
投与しないこと。血中濃度が上昇することがある。,
血中濃度が上昇するおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。動物実験(ウサギ、ラット)では、生殖発生毒性試験において催奇形性は認められなかったが、着床後胚損失率・出生児死亡数の増加(ラット)、胎児・出生児の体重増加抑制(ウサギ、ラット)、出生児の身体・機能発達への影響(ラット)が認められた1)。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている2)。
小児等を対象とした国内臨床試験は実施していない。
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。高齢者の薬物動態試験で曝露量の増加が認められている。
アドレナリン(アナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)
,
アドレナリンの作用を逆転させ、重篤な血圧降下を起こすことがある。
アドレナリンはアドレナリン作動性α、β受容体の刺激剤であり、本剤のα受容体遮断作用によりβ受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される。
中枢神経抑制剤
アルコール
中枢神経抑制作用があるので、減量するなど注意すること。
本剤及びこれらの薬剤は中枢神経抑制作用を有する。
ドパミン作動薬
相互に作用を減弱することがある。
本剤はドパミン遮断作用を有していることから、ドパミン作動性神経において作用が拮抗する可能性がある。
降圧剤
降圧作用が増強するおそれがある。
本剤のα受容体遮断作用により降圧剤の作用を増強する可能性がある。
抗コリン作用を有する薬剤
抗コリン作用を増強させるおそれがある。
併用により抗コリン作用が強くあらわれる可能性がある。
CYP1A2を阻害する薬剤
本剤の血中濃度が増加し、作用を増強するおそれがある。
これらの薬剤はCYP1A2を阻害することから本剤の代謝が阻害される可能性がある。
パロキセチン
本剤投与中に、パロキセチンを単回投与した際に、パロキセチンのCmax及びAUCがそれぞれ82%及び92%増加したとの報告がある。本剤投与中に、パロキセチンの投与を開始する場合には、パロキセチンの投与開始量を適宜減量するなど慎重に投与し、観察を十分に行うこと。
パロキセチンはCYP2D6で代謝され、CYP2D6阻害作用を有する。本剤はパロキセチンのCYP2D6阻害作用を増強する可能性がある。
QT延長を起こすことが知られている薬剤
併用によりQT延長作用が相加的に増加するおそれがある。
アドレナリン含有歯科麻酔剤
重篤な血圧降下を起こすことがある。
アドレナリンはアドレナリン作動性α、β受容体の刺激剤であり、本剤のα受容体遮断作用によりβ受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強されるおそれがある。
発熱、無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗、白血球数増加、血清CK上昇等の異常が認められた場合には、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理と共に適切な処置を行うこと。また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられ、急性腎障害に至ることがあるので注意すること。
口周部等の不随意運動があらわれ、投与中止後も持続することがある。
AST、ALT、γ-GTP、Al-Pの上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがある。
嚥下障害、呼吸困難等を伴うことがあるので注意すること。
高血糖や糖尿病の悪化があらわれた場合、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡に至ることがあるので、血糖値の測定や、口渇、多飲、多尿、頻尿等の観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、インスリン製剤の投与を行うなど、適切な処置を行うこと。,,
脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等の低血糖症状が認められた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと。,
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)を来し、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
5%以上
1~5%未満
1%未満
頻度不明
血液及びリンパ系障害
好中球減少症
内分泌障害
高プロラクチン血症
代謝及び栄養障害
食欲亢進、脂質異常症、食欲減退、高脂血症
体液貯留
精神障害
激越、不眠症
攻撃性、不安、易刺激性、気分動揺、パニック発作、落ち着きのなさ、睡眠障害、自殺念慮
錯乱状態、精神病性障害、悪夢、躁病、うつ病
神経系障害
アカシジア、浮動性めまい、錐体外路障害、傾眠(12.9%)
味覚異常、頭痛、パーキンソニズム、鎮静、振戦
運動緩慢、構語障害、ジスキネジア、ジストニア、感覚鈍麻、失神、舌の麻痺、口下顎ジストニア
下肢静止不能症候群
眼障害
調節障害、眼痛、眼球回転発作、霧視
心臓障害
動悸、洞性徐脈、頻脈
洞性頻脈、脚ブロック
血管障害
高血圧、低血圧
起立性低血圧
呼吸器、胸郭及び縦隔障害
呼吸困難
咽喉絞扼感、咽頭感覚鈍麻
胃腸障害
口の感覚鈍麻(10.1%)
便秘、悪心、口腔内不快感、流涎過多、嘔吐、口の錯感覚
口腔内潰瘍形成、腹部不快感、嚥下障害、舌痛
変色歯、口内炎、口腔粘膜水疱形成
肝胆道系障害
肝機能異常
皮膚及び皮下組織障害
異汗性湿疹、そう痒症、小水疱性湿疹、多汗症、発疹、脱毛症
顔面腫脹、蕁麻疹、血管性浮腫、全身性皮疹
筋骨格系及び結合組織障害
筋固縮、筋緊張、筋骨格硬直、四肢痛、筋肉痛、関節痛
筋痙縮、筋攣縮、関節腫脹、筋力低下
腎及び尿路障害
遺尿、尿失禁
生殖系及び乳房障害
不規則月経
乳汁漏出症、無月経
免疫系障害
過敏症
一般・全身障害及び投与部位の状態
口渇、倦怠感
無力症、胸部不快感、疲労、歩行障害、末梢性浮腫、浮腫
異常感、局所腫脹
臨床検査
体重増加
ALT増加、AST増加、血中CK増加、血中プロラクチン増加、γ-GTP増加、体重減少
血中コレステロール増加、血中ブドウ糖増加、血中インスリン増加、血中トリグリセリド増加、心電図QT延長、好酸球数増加、グリコヘモグロビン増加、低比重リポ蛋白増加、尿中蛋白陽性、血中ALP増加
心拍数増加、血圧上昇
その他
転倒
過量投与に関する情報は少ないが、臨床症状として激越、錯乱状態、アカシジア、口腔顔面ジストニア、鎮静の症状及び無症候性心電図所見(徐脈、上室性波形及び心室内伝導遅延)が報告されている。
低血圧及び循環虚脱の場合には、アドレナリン、ドパミンあるいは他のβ刺激薬は、低血圧を更に悪化させる可能性があるので投与しないこと。重度の錐体外路症状の場合は、抗コリン薬を投与する。,
通常の錠剤に比べてやわらかいため、自動分包機には適さない。
以下の点について、患者等に指導すること。
日本人健康成人にアセナピン5mgを単回舌下投与したときの薬物動態学的パラメータは以下のとおりであった3)。
用量(mg)
評価例数
Tmaxa)(hr)
Cmax(ng/mL)
T1/2(hr)
AUC0-∞(ng・hr/mL)
5
6
1.25(0.50~4.03)
3.31±1.71
17.1±6.1
26.4±8.0
a)中央値(最小値~最大値) Mean±S.D.
日本人健康成人にアセナピン5mg及び10mgを1日2回6日間反復舌下投与したとき、最終投与後の血漿中アセナピン濃度推移及びその際の薬物動態パラメータは以下のとおりであった。10mgを1日2回反復舌下投与したとき、3日以内に定常状態に到達した3)。
AUC0-12hr(ng・hr/mL)
0.50(0.50~1.50)
5.05±2.58
35.5±20.2
29.4±10.3
10
1.00(0.33~1.50)
5.39±2.49
27.8± 7.9
37.5±16.6
健康成人にアセナピン5mgを絶食時及び高脂肪朝食摂取直後に単回舌下投与したとき、絶食時に比べ高脂肪食摂取直後のアセナピンのAUC0-∞は21%減少した。また、投与4時間後に食事を摂取したところ、アセナピンのAUC0-∞は13%減少した4)(外国人データ)。健康成人にアセナピン10mgを1日1回舌下投与したとき、10分経過後に水を摂取しても薬物動態に影響を及ぼさなかった。一方、投与後5分又は2分時点で水を摂取したとき、アセナピンのAUC0-24hrがそれぞれ10%及び19%低下した5)(外国人データ)。
in vitro試験において、本剤はヒト血漿蛋白への結合率が高く、1~500ng/mLの濃度範囲で平均97.3%であった6)(外国人データ)。
アセナピンは広範に代謝され、血漿中の主要代謝物はN+-グルクロン酸抱合体であり、他にN-脱メチル体、N-脱メチル-N-カルバモイル体のグルクロン酸抱合体、未変化体が少量確認されている7)(外国人データ)。ヒト肝ミクロソームを用いたin vitro試験では、本剤はUGT1A4を介したグルクロン酸抱合及びCYP1A2を介した酸化代謝を受け、一部はCYP2D6及びCYP3A4によっても代謝されることが示唆された8)。
健康成人に[14C]で標識したアセナピン10mgを舌下投与したとき、投与後11日以内に投与した放射能の88%が尿及び糞中に排泄された(尿中に49%、糞中に39%)。尿中では、N+-グルクロン酸抱合体が主要代謝物であり(投与量の10~21%)、糞中には未変化体が最も多く排泄された(投与量の5~16%)7)(外国人データ)。
種々の程度の腎機能障害者(非透析者)にアセナピン5mgを単回舌下投与したとき、腎機能障害者では腎機能正常者に比べてアセナピンのAUC0-∞は1.03~1.31倍であった9)(外国人データ)。
肝機能障害者(Child-Pugh分類A~C)にアセナピン5mgを単回舌下投与したとき、重度の肝機能障害者群(Child-Pugh分類C)では肝機能正常者群に比べてアセナピンのAUC0-∞が5.5倍大きかったが、軽度もしくは中等度の肝機能障害者群(Child-Pugh分類A、B)では、肝機能正常者群と同様であった。血漿蛋白非結合形のAUC0-∞は重度の肝機能障害者群では肝機能正常者群に比べて7.7倍大きかったが、軽度もしくは中等度の肝機能障害者群では、肝機能正常者群と同様であった10)(外国人データ)。肝機能障害者(Child-Pugh分類A~C)にアセナピン0.3mgを単回舌下投与したとき、中等度もしくは重度の肝機能障害者群(Child-Pugh分類B、C)では肝機能正常者群に比べてアセナピンのAUC0-∞がそれぞれ2.2倍及び2.1倍大きかった。一方、軽度の肝機能障害者群(Child-Pugh分類A)では、肝機能正常者群と同様であった。血漿蛋白非結合形のAUC0-∞は中等度もしくは重度の肝機能障害者群では肝機能正常者群に比べてそれぞれ2.89倍及び2.72倍大きかったが、軽度の肝機能障害者群では、肝機能正常者群と同様であった10)(外国人データ)。,,※本剤の承認された1回用量はアセナピンとして5mg又は10mgである。
精神疾患を有する高齢の患者にアセナピン10mgを1日2回舌下投与したとき、アセナピンのCmax及びAUC0-12hrの平均値はそれぞれ10.3ng/mL及び70.3ng・hr/mLであった11)(外国人データ)。
健康成人にアセナピン(5mg、単回舌下)とCYP1A2阻害作用を有するフルボキサミン(25mg、1日2回反復経口)を併用投与したとき、アセナピンのCmax及びAUC0-∞はアセナピン単独投与時と比べそれぞれ13%及び29%増加した12)(外国人データ)。
健康成人にCYP2D6阻害作用を有するパロキセチン(20mg、1日1回経口)を反復投与下、アセナピン(5mg、舌下)を単回併用投与したとき、アセナピンのCmaxはアセナピン単独投与時と比べ13%減少した。また、アセナピン(5mg、1日2回舌下)反復投与下、パロキセチン(20mg、経口)を単回併用投与したとき、パロキセチンのCmax及びAUC0-∞はパロキセチン単独投与時と比べそれぞれ82%及び92%増加した13)(外国人データ)。
健康成人にアセナピン(5mg、単回舌下)とCYP1A2、CYP2D6、CYP2C19及びCYP3A4の基質であるイミプラミン(75mg、単回経口)を併用投与したとき、アセナピンのCmaxはアセナピン単独投与時と比べ17%増加した。一方、イミプラミンの薬物動態パラメータはアセナピン併用により影響を受けなかった14)(外国人データ)。
健康成人にアセナピン(5mg、単回舌下)とCYP1A2、CYP2D6及びCYP3A4阻害作用を有するシメチジン(800mg、1日2回)を併用投与したとき、アセナピンのCmaxはアセナピン単独投与時と比べ13%減少した15)(外国人データ)。
健康成人にアセナピン(5mg、単回舌下)とCYP3A4誘導作用を有するカルバマゼピン(400mg、1日2回経口)を併用投与したとき、アセナピンのCmax及びAUC0-∞はアセナピン単独投与時と比べともに16%低下した16)(外国人データ)。
健康成人にアセナピン(5mg、単回舌下)とUGT阻害作用を有するバルプロ酸(500mg、1日2回経口)を併用投与したとき、アセナピンの薬物動態に影響は認められなかった17)(外国人データ)。
急性増悪期の統合失調症患者(525例、日本人患者273例を含む)を対象に実施したプラセボ対照二重盲検比較試験において、本剤5mg又は10mgを1日2回6週間舌下投与したとき、最終評価時におけるPositive and Negative Syndrome Scale(PANSS)合計スコア及びベースラインからの変化量は次のとおりであった。本剤5mg投与群及び10mg投与群のいずれの群でも、PANSS合計スコアはベースラインから減少し、その変化量はプラセボ投与群と比較して有意に大きかった18),19)。
投与群(評価例数)
PANSS合計スコア
ベースラインからの変化量
プラセボ群との比較a)
ベースライン
最終評価時
変化量の群間差b)
p値
プラセボ(174例)
94.51±17.26
93.38±25.30
-1.13±19.36
本剤5mg(173例)
94.23±18.06
81.84±26.10
-12.39±18.93
-11.29[-15.42,-7.16]
<0.0001
本剤10mg(178例)
92.83±17.42
78.60±25.01
-14.23±20.45
-13.22[-17.33,-9.12]
Mean±S.D.
a)投与群及び地域を因子、ベースライン値を共変量とした共分散分析モデルに基づく
b)本剤群-プラセボ群[95%信頼区間]
副作用発現頻度及び主な副作用は次のとおりであった。
本剤5mg投与群
本剤10mg投与群
プラセボ群
副作用発現頻度
60.0%(105/175例)
58.6%(106/181例)
47.1%(82/174例)
主な副作用
種類
頻度
口の感覚鈍麻
10.9%(19/175例)
9.4%(17/181例)
3.4%(6/174例)
アカシジア
9.7%(17/175例)
9.9%(18/181例)
4.0%(7/174例)
傾眠
8.6%(15/175例)
11.0%(20/181例)
不眠症
4.6%(8/174例)
国際共同第Ⅲ相試験(先行試験)を終了した患者(197例、日本人患者108例含む)を対象に継続して実施した非盲検長期継続投与試験において、本剤(5mg~10mg)を1日2回52週間(先行試験がプラセボ投与群の患者は投与1~2週はプラセボを投与)舌下投与したとき、PANSS合計スコアの推移は次のとおりであった20),21)。
先行試験プラセボ投与群a)
先行試験本剤投与群b)
合計スコア
変化量c)
44
73.14±17.72
153
68.37±18.37
4週時
31
71.00±21.53
-1.90± 8.87
138
67.36±19.19
-1.56±10.44
8週時
28
67.86±18.26
-4.46± 8.35
131
66.41±19.59
-2.91±11.87
12週時
26
71.73±18.70
-1.08±14.26
118
63.91±18.53
-4.58±11.39
24週時
21
68.10±19.69
-3.81±11.29
94
64.60±19.72
-4.48±13.30
40週時
18
69.00±20.68
-1.72±12.81
76
63.21±19.16
-5.53±13.29
52週時
15
63.40±14.53
-4.07±16.35
70
64.37±19.26
-5.10±13.03
74.64±20.08
1.50±14.67
70.14±20.88
1.78±16.27
a)先行試験でプラセボ群に割付けられ、長期投与試験では本剤を投与された集団
b)先行試験で本剤10mg/日群又は本剤20mg/日群に割付けられ、長期投与試験で引き続き本剤を投与された集団
c)長期投与試験ベースラインからの変化量
副作用発現頻度は、58.2%(117/201例)であった。主な副作用は、傾眠10.4%(21/201例)、体重増加7.5%(15/201例)、アカシジア6.5%(13/201例)であった。
残遺型統合失調症、抗精神病薬の多剤あるいは多量投与、治療抵抗性、高齢者の患者(153例)を対象に実施した非盲検長期投与試験において、本剤(5mg~10mg)を1日2回52週間舌下投与したとき、最終評価時におけるPANSS合計スコアのベースラインからの変化量(Mean±S.D.)は次のとおりであり、ベースラインより減少した22),23)。
最終評価時点
本剤投与群(153例)
90.20±18.50
84.72±21.66
-5.48±13.34
副作用発現頻度は、58.0%(91/157例)であった。主な副作用は、傾眠11.5%(18/157例)、口の感覚鈍麻10.2%(16/157例)、体重増加8.3%(13/157例)であった。
アセナピンは、in vitro受容体結合試験においてセロトニン受容体の幅広いサブタイプ(5-HT1A、5-HT1B、5-HT2A、5-HT2B、5-HT2C、5-HT6、5-HT7)に加え、ドパミン受容体(D1、D2、D3)、アドレナリン受容体(α1A、α2A、α2B、α2C)及びヒスタミン受容体(H1、H2)に対して高い親和性を示す。一方で、ムスカリン受容体及びβ受容体への親和性は低い。アセナピンはこれらの受容体に対してin vitroで拮抗作用を示したが、in vivoでは5-HT1A受容体に対して刺激作用を有することが示唆された。これらの受容体に対する作用が、アセナピンの主要な作用機序と考えられる24)。
アセナピンは、ラットにおいて条件回避反応とd-アンフェタミンが誘発する運動亢進を抑制し、アポモルヒネが誘発するプレパルス抑制障害を改善した。アセナピンのラットにおけるカタレプシー誘発作用は弱かった。また、アセナピンはラットとサルの各種認知障害を改善し、ストレス負荷によるラットのアンヘドニアを改善した24),25)。
アセナピンは、ラットの内側前頭前皮質と海馬においてドパミン、ノルアドレナリン並びにアセチルコリンの遊離を促進した24)。
アセナピンマレイン酸塩(Asenapine Maleate)
(3aRS,12bRS)-5-Chloro-2-methyl-2,3,3a,12b-tetrahydro-1H-dibenzo[2,3:6,7]oxepino[4,5-c]pyrrole monomaleate
C17H16ClNO・C4H4O4
401.84
アセナピンマレイン酸塩は白色の粉末である。
139.9℃
(1-オクタノール/水系)LogP=4.9(中性)LogP=1.4(酸性)
本品はエタノールにやや溶けにくく、水に溶けにくい。
凍結乾燥製剤であり吸湿性を有するのでブリスター包装のまま保存すること。
ブリスター包装 100錠(10錠×10) 300錠(10錠×30)
1) 社内資料:生殖発生毒性試験(2016年3月28日承認、CTD2.6.6.1、2.6.6.6)
2) 社内資料:乳汁移行試験(2016年3月28日承認、CTD2.6.4.4)
3) 社内資料:健康成人における薬物動態試験(2016年3月28日承認、CTD2.7.2.2)
4) 社内資料:食事の影響試験(2016年3月28日承認、CTD2.7.1.2)
5) 社内資料:飲水の影響試験(2016年3月28日承認、CTD2.7.1.2)
6) 社内資料:in vitro血漿蛋白結合率試験(2016年3月28日承認、CTD2.7.2.2)
7) 社内資料:健康成人におけるマスバランス試験(2016年3月28日承認、CTD2.7.2.2)
8) 社内資料:in vitro代謝試験(2016年3月28日承認、CTD2.7.2.2)
9) 社内資料:腎機能障害者における薬物動態試験(2016年3月28日承認、CTD2.7.2.2)
10) 社内資料:肝機能障害者における薬物動態試験(2016年3月28日承認、CTD2.7.2.2)
11) 社内資料:精神疾患を有する高齢の患者における薬物動態試験(2016年3月28日承認、CTD2.7.2.2)
12) 社内資料:薬物相互作用試験(フルボキサミン)(2016年3月28日承認、CTD2.7.2.2)
13) 社内資料:薬物相互作用試験(パロキセチン)(2016年3月28日承認、CTD2.7.2.2)
14) 社内資料:薬物相互作用試験(イミプラミン)(2016年3月28日承認、CTD2.7.2.2)
15) 社内資料:薬物相互作用試験(シメチジン)(2016年3月28日承認、CTD2.7.2.2)
16) 社内資料:薬物相互作用試験(カルバマゼピン)(2016年3月28日承認、CTD2.7.2.2)
17) 社内資料:薬物相互作用試験(バルプロ酸)(2016年3月28日承認、CTD2.7.2.2)
18) 社内資料:国際共同第Ⅲ相試験(2016年3月28日承認、CTD2.7.3.2)
19) Kinoshita, T., et al.:Psychopharmacology. 2016;233(14):2663-2674
20) 社内資料:国際共同長期継続投与試験(2016年3月28日承認、CTD2.7.6.41)
21) 木下利彦ほか:臨床精神薬理. 2016;19(6):753-770
22) 社内資料:国内長期投与試験(2016年3月28日承認、CTD2.7.6.62)
23) 木下利彦ほか:臨床精神薬理. 2016;19(6):771-787
24) 社内資料:薬効薬理試験(2016年3月28日承認、CTD2.6.2.2)
25) Franberg, O., et al.:Psychopharmacology. 2008;196:417-429
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