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劇薬
処方箋医薬品注)
本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される患者のみに行うこと。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。
通常、成人にはツシジノスタットとして1日1回40mgを週2回、3又は4日間隔で食後に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
開始用量
40mg
ステップ1(1段階減量)
30mg
ステップ2(2段階減量)
20mg
ステップ3
投与中止
副作用注1)
処置
好中球減少
下記以外の1,000/mm3未満の好中球数減少
好中球数が1,500/mm3以上に回復するまで休薬する。回復後は、休薬前の用量で再開することができる。再開した後に再び発現した場合、回復するまで休薬し、回復後は1段階減量して投与を再開することができる。
7日間を超えて持続する500/mm3未満の好中球数減少発熱又は感染症を伴う1,000/mm3未満の好中球数減少
好中球数が1,500/mm3以上に回復するまで休薬する。回復後は、1段階減量して投与を再開することができる。
血小板減少
下記以外の50,000/mm3未満の血小板数減少
血小板数が75,000/mm3以上に回復するまで休薬する。回復後は、休薬前の用量で再開することができる。再開した後に再び発現した場合、回復するまで休薬し、回復後は1段階減量して投与を再開することができる。
臨床的に重大な出血を伴う又は血小板輸血を要する50,000/mm3未満の血小板数減少
血小板数が75,000/mm3以上に回復するまで休薬する。回復後は、1段階減量して投与を再開することができる。
非血液学的事象(臨床的意義のない無症候性の検査値異常を除く)
Grade 3
Grade 1以下に回復するまで休薬する。回復後は、1段階減量して投与を再開することができる。
Grade 4
投与を中止する。
好中球減少、血小板減少、貧血、リンパ球減少等を増悪させるおそれがある。,,
不整脈を悪化又は再発させるおそれがある。,
QT間隔延長を起こすおそれがある。,
本剤は主に肝臓で代謝されるため、血中濃度が上昇する可能性がある。なお、肝機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。
**妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。本剤を用いた生殖発生毒性試験は実施されていない。HDAC活性阻害により催奇形性を含む発生毒性が報告されており2),3)、本剤が胚・胎児発生に影響を及ぼす可能性がある。,,
授乳しないことが望ましい。本剤のヒト乳汁中への移行は不明である。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
本剤の副作用が増強されるおそれがあるので、併用する場合には、本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。
これらの薬剤等の強いCYP3A阻害作用により、本剤の代謝が阻害され、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
QT間隔延長を増強するおそれがあるため、併用を避けることが望ましい。併用する場合には、患者の状態をより慎重に観察すること。
これらの薬剤ではQT間隔を延長するとの報告があり、相加的なQT間隔延長を起こすことがある。
血小板減少(76.9%)、好中球減少(55.1%)、白血球減少(39.7%)、貧血(26.9%)、リンパ球減少(23.1%)、発熱性好中球減少症(5.1%)等の骨髄抑制があらわれることがある。,
肺臓炎(5.1%)、間質性肺疾患(2.6%)等があらわれることがある。異常が認められた場合には、胸部X線、胸部CT等の検査を実施すること。間質性肺疾患が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
ニューモシスチス・イロベチイ肺炎(2.6%)、尿路感染(1.3%)、肺炎(1.3%)等の重篤な感染症があらわれることがある。
QT間隔延長(6.4%)、動悸(3.8%)、第一度房室ブロック(1.3%)、心房細動(1.3%)、不整脈(1.3%)等があらわれることがある。,,
10%以上
5%~10%未満
5%未満
血液及びリンパ球系障害
好酸球増加
再生不良性貧血
胃腸障害
下痢、悪心
腹痛、腹部不快感、便秘、齲歯、消化不良、心窩部不快感、胃炎、口内炎、嘔吐
一般・全身障害
倦怠感
疲労、発熱
末梢性浮腫、悪寒、無力症、胸部不快感、歩行障害
臨床検査
γ-GTP増加
ALP増加、体重減少、AST増加、ALT増加
血中クレアチニン増加、C-反応性蛋白増加、リパーゼ増加、血中クレアチンホスホキナーゼMB増加、血中クレアチンホスホキナーゼ増加、血中免疫グロブリンA減少、脳性ナトリウム利尿ペプチド増加、心胸郭比増加、心電図T波逆転
代謝
食欲減退
低アルブミン血症、低ナトリウム血症
低カリウム血症、低カルシウム血症、糖尿病、低リン酸血症
筋骨格系
筋痙縮、関節痛、関節炎、背部痛、関節腫脹、筋肉疲労、筋骨格硬直、四肢痛
神経系
味覚異常
頭痛、味覚消失、浮動性めまい、傾眠
腎泌尿器
蛋白尿、尿瘻
呼吸器
呼吸困難、鼻出血、咳嗽、胸水
皮膚
発疹
蕁麻疹、多形紅斑、全身性そう痒症、紫斑、ざ瘡様皮膚炎、全身性剥脱性皮膚炎、紅斑、点状出血、光線過敏性反応、そう痒症、斑状丘疹状皮疹、皮膚潰瘍
その他
高血圧、回転性めまい、結膜出血、末梢性T細胞リンパ腫・非特定型、心嚢液貯留
PTP包装の薬剤は使用前にPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔炎等の重篤な合併症を併発することがある。
非ホジキンリンパ腫患者14例に本剤30又は40mgを週2回注)、3又は4日間隔で食後に反復経口投与したときの薬物動態パラメータ及び血漿中濃度推移を示す。本剤40mgを投与したときの投与25日目における本剤の蓄積比は1.24であった4)。
用量(mg)
30
40
投与日(日)
1
25
N
7
6
4
Cmax(ng/mL)
199±105
240±79.6
590±464
385±218
tmax*(h)
3.98(2.50, 11.9)
5.00(2.47, 12.0)
2.42(1.52, 5.95)
4.19(0.78, 12.0)
AUCtau(ng・h/mL)
3,740±1,210
4,870±1,320
6,760±3,650
6,010±3,500
t1/2(h)
17.1±3.15
21.6±5.27
19.4±6.51
18.7±2.05
平均値±標準偏差、*:中央値(範囲)
健康成人16例に本剤20mgを単回経口投与注)したとき、空腹時投与に対する高脂肪食後投与における本剤のCmax及びAUCinfの幾何平均値の比[90%信頼区間]は、それぞれ0.757[0.615, 0.932]及び1.094[0.968, 1.237]であり、空腹時投与と比較して食後投与でtmaxは2.5時間遅延した5)(外国人データ)。
本剤のヒト血漿タンパク結合率は88.9~89.4%であり、ヒト血球移行率は59.2~76.0%であった6)(in vitro)。
本剤は主にCYP3A4により代謝される7)(in vitro)。
非ホジキンリンパ腫患者における本剤40mgの単回投与時注)には、本剤の総投与量の25%が投与後72時間までに尿中に未変化体として排泄された4)。
健康成人16例において、イトラコナゾール(強いCYP3A阻害剤)200mgを1日1回反復経口投与し、本剤20mgを単回経口投与注)したとき、本剤単独投与時に対するイトラコナゾール併用投与時における本剤のCmax及びAUCinfの幾何平均値の比[90%信頼区間]は、それぞれ1.41[1.02, 1.94]及び1.46[1.23, 1.72]であった8)(外国人データ)。
本剤はP-gp、BCRP及びMRP2の基質であり、CYP2C19及び3Aを阻害した9)(in vitro)。
注)本剤の承認用法・用量は「1回40mgを週2回経口投与」である。
再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫患者注1)を対象に、本剤1日1回40mgを週2回、3又は4日間隔で食後に経口投与したときの有効性及び安全性を検討した。その結果、奏効率は、下表のとおりであった。組み入れられた患者の病型別での奏効率は、急性型46.2%(6/13例)、リンパ腫型12.5%(1/8例)、予後不良因子を有する慢性型0%(0/2例)であった10)。
最良総合効果
例数(%)23例
完全奏効
1(4.3)
不確定完全奏効
0(0)
部分奏効
6(26.1)
安定
5(21.7)
病勢進行
11(47.8)
奏効(奏効率[95%信頼区間])
7(30.4[13.2, 52.9])
安全性評価症例23例中23例(100%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、血小板減少18例(78.3%)、好中球減少12例(52.2%)、白血球減少10例(43.5%)、貧血9例(39.1%)、食欲減退8例(34.8%)及び倦怠感7例(30.4%)であった10)。
注1)HBI-8000-210試験対象患者の詳細
・モガムリズマブ(遺伝子組換え)治療歴がある又はモガムリズマブ(遺伝子組換え)に不耐容の患者
・急性型、リンパ腫型又は予後不良因子(血中尿素窒素高値、乳酸脱水素酵素高値又は血清アルブミン低値のいずれか)を有する慢性型
再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫患者注2)を対象に、本剤1日1回40mgを週2回、3又は4日間隔で食後に経口投与したときの有効性及び安全性を検討した。その結果、有効性評価症例46例(日本人患者34例を含む)での奏効率は、45.7%(21/46例)(95%信頼区間:30.9~61.0%)であった。組み入れられた患者の病理組織型別の奏効率は、下表のとおりであった11)。
病理組織型
例数
奏効(奏効率(%))
合計
46
5
16
12
13
21(45.7)
PTCL-NOS
34
3
9
10
12(35.3)
AITL
8
2
0
7(87.5)
ALCL ALK-
1(33.3)
EATL
1(100)
PTCL-NOS:末梢性T細胞リンパ腫・非特定型、AITL:血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、ALCL ALK-:ALK陰性未分化大細胞リンパ腫、EATL:腸管症関連T細胞リンパ腫
安全性評価症例55例中51例(92.7%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、血小板減少42例(76.4%)、好中球減少31例(56.4%)、白血球減少21例(38.2%)、貧血12例(21.8%)、食欲減退12例(21.8%)及び悪心11例(20.0%)であった11)。
注2)HBI-8000-203試験対象患者の病理組織型
・PTCL-NOS、AITL、ALCL ALK-、EATL、肝脾T細胞リンパ腫、皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫、ALK陽性未分化大細胞リンパ腫
ツシジノスタットは、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)の活性を阻害する12)。HDAC活性阻害によりヒストン等の脱アセチル化が阻害され、細胞周期停止及びアポトーシス誘導が生じることにより、腫瘍増殖が抑制されると推測されている。しかし、詳細な作用機序は解明されていない。
ツシジノスタットは、in vitroにおいて、成人T細胞白血病リンパ腫由来初代細胞に対して、増殖抑制作用を示した13)。
ツシジノスタット(Tucidinostat)
N-(2-Amino-4-fluorophenyl)-4-{[(2E)-3-(pyridin-3-yl)prop-2-enamido]methyl}benzamide
C22H19FN4O2
390.42
ツシジノスタットは白色の結晶性の固体である。
235〜240℃
2.3
PTP包装 8錠(8錠×1)
1) 社内資料:反復経口投与毒性試験(2021年6月23日承認、CTD2.6.6.6)
2) Eikel, D., et al.:Chem. Res. Toxicol. 2006;19(2):272-278.
3) Wise, L. D., et al.:Birth Defects Res. B Dev. Reprod. Toxicol. 2007;80(1):57-68.
4) 社内資料:国内第I相試験(HBI-8000-201試験)(2021年6月23日承認、CTD2.7.2.2.2.1.1)
5) 社内資料:食事の影響試験(HBI-8000-304試験)(2021年6月23日承認、CTD2.7.2.3.3.1)
6) 社内資料:血漿タンパク結合(2021年6月23日承認、CTD2.7.2.2.1.3)
7) 社内資料:代謝に関与するCYPフェノタイプの特定(2021年6月23日承認、CTD2.6.4.5.1)
8) 社内資料:薬物相互作用試験(HBI-8000-304試験)(2021年6月23日承認、CTD2.7.2.3.3.2)
9) 社内資料:トランスポータへの影響(2021年6月23日承認、CTD2.7.2.2.1.8)
10) 社内資料:国内第IIb相試験(HBI-8000-210試験)(2021年6月23日承認、CTD2.7.3.3.2.1、2.7.4.2.1.2.1)
11) 社内資料:国際共同第IIb相試験(HBI-8000-203試験)(2021年11月25日承認、CTD2.7.3.3.2.1、2.7.4.2.1.2.1)
12) Ning, Z.-Q., et al.:Cancer Chemother. Pharmacol. 2012;69:901-909.
13) Hasegawa, H., et al.:Cancer Sci. 2016;107:1124-1133.
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