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注射用レザフィリン100mg

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能・効果
5.効能・効果に関連する注意
6.用法・用量
7.用法・用量に関連する注意
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
9.3肝機能障害患者
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
9.8高齢者
10.相互作用
10.2併用注意(併用に注意すること)
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
14.適用上の注意
15.その他の注意
15.1臨床使用に基づく情報
15.2非臨床試験に基づく情報
16.薬物動態
16.1血中濃度
16.3分布
16.4代謝
16.5排泄
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
18.薬効薬理
18.1作用機序
18.2薬理作用
19.有効成分に関する理化学的知見
21.承認条件
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

注射用レザフィリン100mg

添付文書番号

4299404D1028_1_11

企業コード

780009

作成又は改訂年月

2023年9月改訂(第1版)

日本標準商品分類番号

874299

薬効分類名

光線力学的療法用剤

承認等

注射用レザフィリン100mg

販売名コード

YJコード

4299404D1028

販売名英語表記

LASERPHYRIN FOR INJECTION

販売名ひらがな

ちゅうしゃようれざふぃりん100mg

承認番号等

承認番号

21500AMZ00509000

販売開始年月

2004年6月

貯法・有効期間

貯法

冷所保存

有効期間

3年

一般的名称

タラポルフィンナトリウム

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

  • 〈効能共通〉
    1. 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
    1. 2.2 ポルフィリン症の患者[症状を増悪させるおそれがある。]
  • 〈早期肺癌〉
    1. 2.3 腫瘍が気管支軟骨層より外側に浸潤している患者[レーザ光が十分到達しない可能性があり、気管支壁外に浸潤している患者では穿孔の危険性がある。]
    1. 2.4 太い気管の広範な病巣又は気管狭窄を来している患者[呼吸困難、窒息を起こす危険性がある。]
    1. 2.5 亜区域支より末梢側に腫瘍のある患者[一般にレーザ光照射が困難とされている。]
  • 〈化学放射線療法又は放射線療法後の局所遺残再発食道癌〉
    1. 2.6 化学放射線療法又は放射線療法前のCT検査で腫瘍が大動脈に浸潤している(Aorta T4)と診断された患者[食道大動脈瘻を発現し、死亡に至る可能性がある。]

3. 組成・性状

3.1 組成

注射用レザフィリン100mg

有効成分  1バイアル中タラポルフィンナトリウム100mg
添加剤  pH調節剤

3.2 製剤の性状

注射用レザフィリン100mg

形状粉末又は塊(凍結乾燥品)
暗青緑色
pH7.0~8.0
[濃度25mg/mL(精製水)]
浸透圧比
(日局生理食塩液対比)
約1~2
[濃度25mg/mL(日局生理食塩液)]

4. 効能・効果

  • 外科的切除等の他の根治的治療が不可能な場合、あるいは、肺機能温存が必要な患者に他の治療法が使用できない場合で、かつ、内視鏡的に病巣全容が観察でき、レーザ光照射が可能な下記疾患。
    • 早期肺癌(病期0期又はⅠ期肺癌)
  • 原発性悪性脳腫瘍(腫瘍摘出手術を施行する場合に限る)
  • 化学放射線療法又は放射線療法後の局所遺残再発食道癌

5. 効能・効果に関連する注意

  • 〈早期肺癌〉
    1. 5.1 本療法が適応となるのは、長径1cm以下で内視鏡的に末梢辺縁が確認でき、生検標本で浸潤が気管支軟骨層までにとどまる腫瘍である。長径が1cmより大きい腫瘍、内視鏡的に末梢辺縁が確認できない腫瘍で外科的切除など根治的治療が可能な場合はこれらの治療を優先すること。
    1. 5.2 対象症例は転移がなく、他の治療法よりも光線力学的療法が有用と判断される症例に行うこと。
    1. 5.3 治療にあたっては、リンパ節転移のないことを確認すること。リンパ節転移が疑われる場合には、他の療法を併せて行うか、又は他の療法に変更すること。
  • 〈原発性悪性脳腫瘍〉
    1. 5.4 臨床試験に組み入れられた患者の組織型等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。
    1. 5.5 視覚誘発電位(VEP)測定時の光刺激により、網膜等に損傷を引き起こすおそれがあるので、VEPを測定する予定の患者への本剤の投与は避けること。
    1. 5.6 レーザ光の組織内への透過深度及び1回の照射範囲は限定的であることから、臨床試験に組み入れられた患者の腫瘍摘出率を考慮し、手術により腫瘍を最大限に摘出した上で、残存が疑われる部位にレーザ光を照射すること。
  • 〈化学放射線療法又は放射線療法後の局所遺残再発食道癌〉
    1. 5.7 臨床試験に組み入れられた患者の条件について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。
    1. 5.8 外科的切除又は内視鏡的治療(EMR/ESD)等の根治的治療が可能な場合にはこれらの治療を優先すること。
    1. 5.9 下記の病変に対する有効性及び安全性は確立していない。
      • 壁深達度がT3及びT4の病変
      • 長径が3cmより大きい病変
      • 周在性が1/2周より大きい病変
      • 頸部食道に及ぶ病変
    1. 5.10 化学放射線療法又は放射線療法前のCT検査で、腫瘍が食道の隣接臓器に浸潤していると診断された場合には、腫瘍の状態に応じて、本療法の適用に関して慎重に検討すること。

6. 用法・用量

  • 〈早期肺癌、化学放射線療法又は放射線療法後の局所遺残再発食道癌〉

    通常、成人にはタラポルフィンナトリウムとして40mg/m2を1回静脈内注射する。静脈内注射4~6時間後にレーザ光を病巣部位に照射する。

  • 〈原発性悪性脳腫瘍〉

    通常、成人にはタラポルフィンナトリウムとして40mg/m2を1回静脈内注射する。静脈内注射22~26時間後にレーザ光を病巣部位に照射する。

7. 用法・用量に関連する注意

  • 〈効能共通〉
    1. 7.1 本剤とともに癌を標的として使用することを目的として承認されたPDT半導体レーザを使用しレーザ光照射を行うこと。なお、レーザ光照射の条件等については、当該医療機器の電子添文を参照すること1),2),3)
    1. 7.2 本剤を用いて光線力学的療法を繰り返し実施した場合の安全性は確認されていない。再度本剤を投与する場合には休薬期間を1ヵ月以上おき、光線過敏反応が起こらないことを確認してから実施すること。
  • 〈原発性悪性脳腫瘍〉
    1. 7.3 術中蛍光診断薬又はカルムスチン脳内留置用剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。
  • 〈化学放射線療法又は放射線療法後の局所遺残再発食道癌〉
    1. 7.4 レーザ光照射翌日に内視鏡観察を行い、残存及び潰瘍の有無を確認すること。残存病変を認めた場合、静脈内注射22~32時間後に追加のレーザ光照射を行うこと。

8. 重要な基本的注意

  • 〈効能共通〉
    1. 8.1 本剤の投与により光感受性が高められた結果、光線過敏症を起こすことがあるので、本剤投与後2週間は、直射日光を避けさせ、遮光カーテン等を用いて照度500ルクス以下に調整した室内で過ごさせること。また、投与後3日間はサングラスをかけさせること。

      ※日本産業規格の照明基準総則(JIS Z 9110)では、保健医療施設の照度範囲について、病室75~150ルクス、食堂200~500ルクス、一般検査室・診察室・薬局300~750ルクス、手術室750~1500ルクスと規定している。

    1. 8.2 本剤投与2週間経過後に指、手掌背部を直射日光で5分間曝露させたとき、紅斑、水疱等の光線過敏反応を示した場合には、さらに1週間直射日光を避けさせるなどして、異常がみられなくなるまで同様の試験を繰り返すこと。なお、光線過敏反応が消失後も投与後4週間以内の外出に際しては帽子、手袋、長袖等の衣類やサングラスの使用により日光を避けることが望ましい。
    1. 8.3 パルスオキシメータ等の光を測定原理とする検査測定機器を長時間継続的に装着した場合、装着部位に水疱等の反応が生じることがあるため、継続的装着を可能な限り避け、検査が必要な時点での一時的な使用に限ること。
    1. 8.4 肝機能障害があらわれることがあるので、肝機能検査を行うなど患者の状態を十分に観察すること。
    1. 8.5 手術中の患者の眼、皮膚が光に曝露されないようにカバーで覆うなどの保護手段を施すこと。
    1. 8.6 無影灯等の手術用照明は必要最小限とすること。
  • 〈早期肺癌〉
    1. 8.7 レーザ光照射部位の穿孔を避け、かつ腫瘍浸潤の深さがレーザ光が十分到達する深さであることを確認するため、気管支軟骨層までに腫瘍がとどまっていることをCT、気管支エコー、生検等により確認すること。
    1. 8.8 本療法施行後は、定期的に内視鏡検査、細胞診、組織診等を行い、病巣の経過を観察すること。
  • 〈化学放射線療法又は放射線療法後の局所遺残再発食道癌〉
    1. 8.9 本療法施行当日朝から絶食とし、補液による管理を行うこと。食事摂取が強い炎症を惹起し組織を脆弱化させ、食道穿孔を生じる可能性があることから、レーザ光照射翌日まで絶食とし、補液による栄養管理を行うこと。翌日より内視鏡検査を行い、レーザ光照射部位に深掘潰瘍がある場合には引き続き絶食・補液管理を行うこと。
    1. 8.10 レーザ光照射後は食道痛、嚥下障害、食道狭窄等の随伴症状があらわれることがあるので、このような場合には適切な処置を行うこと。
    1. 8.11 本療法施行後は、定期的に内視鏡検査、組織診等を行い、病巣の経過を観察すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 肺癌における気管癌の患者

    気管癌の患者へのレーザ光照射後に、肉芽形成に起因した気管狭窄による呼吸困難があらわれたとの報告がある。

9.3 肝機能障害患者

排泄が遅延し、高い血中濃度が持続するおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)で胎児の骨化遅延が報告されている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。高齢者では一般に生理機能が低下していることが多い。

10. 相互作用

    10.2 併用注意(併用に注意すること)

    薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
    • 光線過敏症を発現することがある薬剤
      • テトラサイクリン系薬剤
        スルホンアミド系薬剤
        フェノチアジン系薬剤
        スルホニルウレア系血糖降下剤
        チアジド系利尿剤
        ニューキノロン系抗菌剤
        非ステロイド系消炎鎮痛剤
        フルオロウラシル系抗悪性腫瘍剤
        メトトレキサート
        グリセオフルビン
        メトキサレン

    光線過敏症が発現するおそれがあるので、本剤と併用、又は本剤投与の前後にこれらの薬剤の投与又は食品を摂取する場合には、直射日光を避け薄暗い室内で過ごさせるなど十分な管理を行うこと。

    本剤は光感受性を高める作用があるので、これらの薬剤との併用又は食品の摂取により光感受性が増強されるおそれがある。

    • 光線過敏症を発現することがある食品
      • クロレラ加工品等

    光線過敏症が発現するおそれがあるので、本剤と併用、又は本剤投与の前後にこれらの薬剤の投与又は食品を摂取する場合には、直射日光を避け薄暗い室内で過ごさせるなど十分な管理を行うこと。

    本剤は光感受性を高める作用があるので、これらの薬剤との併用又は食品の摂取により光感受性が増強されるおそれがある。

    11. 副作用

    次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    11.1 重大な副作用

    • 〈早期肺癌〉
      1. 11.1.1 呼吸困難(2.0%注1)

        早期肺癌において、レーザ光照射後、肉芽形成に起因する気管狭窄による呼吸困難があらわれることがある。

    • 〈効能共通〉
      1. 11.1.2 肝機能障害(32.4%)

        AST、ALT、血中ビリルビンの上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがある。

    11.2 その他の副作用

    20%以上

    5~20%未満

    5%未満

    皮膚

    光線過敏症

    瘙痒

    血液

    血中アルブミン減少、リンパ球減少

    白血球減少、好中球減少、リンパ球増多、白血球増多、単球増多、ヘモグロビン減少、血小板減少、血中カリウム上昇、好中球増多、ヘモグロビン増多、乳状血清

    腎臓

    BUN上昇、蛋白尿

    呼吸器

    喀痰、血痰、咳、咽頭痛

    しゃっくり、低酸素症

    消化器

    食道痛注2)

    嚥下障害注2)、食道狭窄注2)

    下痢、嚥下痛、上腹部痛、悪心、嘔吐、便秘、食道炎

    その他

    CRP上昇

    発熱

    心電図異常(房室ブロック、洞性頻脈)、倦怠感、胸部不快感、低カルシウム血症、背部痛

    注1)頻度は、早期肺癌の臨床試験に基づき記載した。
    注2)頻度は、化学放射線療法又は放射線療法後の局所遺残再発食道癌の臨床試験に基づき記載した。

    14. 適用上の注意

    14.1 薬剤調製時の注意

    1. 14.1.1 1バイアルに日局生理食塩液4mLを加え、よく攪拌して溶解する。
    2. 14.1.2 他剤との混注は避けること。
    3. 14.1.3 本剤は防腐剤を含まず光に不安定なので、溶解後は遮光し速やかに使用すること。

    15. その他の注意

    15.1 臨床使用に基づく情報

    海外の臨床試験において、ホルター心電図を用いた観察で、心室性頻拍や完全房室ブロック等の不整脈が発現したとの報告がある。

    15.2 非臨床試験に基づく情報

    モルモット抗原性試験において一部の動物に掻鼻がみられ弱い抗原性が認められたとの報告がある。本剤を繰り返し投与する場合は、アナフィラキシー等の発現に注意すること。

    16. 薬物動態

    16.1 血中濃度

    早期肺癌患者(n=9)に本剤40mg/m2を静脈内投与したときの血漿中濃度は、4~6時間後に約20μg/mLであった。薬物動態パラメータは表のとおりであった。

    表 薬物動態パラメータ

    T1/2α(hr)

    T1/2β(hr)

    CLtot(mL/hr/m2

    Vdss(L/m2

    14.6±2.96

    138±21.4

    19.0±3.8

    3.26±0.51

    Mean±S.D.

    16.3 分布

    1. 16.3.1 蛋白結合

      限外濾過法により測定したヒト血清蛋白結合率は、5、100μg/mLの濃度でほぼ100%であった(in vitro)。

    16.4 代謝

    ヒトではほとんど代謝されない(in vitro)。

    16.5 排泄

    早期肺癌患者(n=5)に本剤40mg/m2を静脈内投与したとき、投与7日後までの尿中排泄率は約3.4%であった。

    17. 臨床成績

    17.1 有効性及び安全性に関する試験

    • 〈早期肺癌〉
      1. 17.1.1 国内第Ⅰ相試験

        早期肺癌患者を対象に、本剤40mg/m2単回静脈内投与4時間後に照射エネルギー密度100J/cm2の条件で光線力学的療法が実施された症例3例(3病変)の臨床効果は、何れも著効であり著効率100%であった4)
        安全性評価対象例9例中42件の副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主なものは、喀痰増加9件(100%)、血痰5件(55.6%)、咳7件(77.8%)、咽頭痛5件(55.6%)等の呼吸器系障害、CRP上昇4件(44.4%)、発熱2件(22.2%)等の一般的全身障害、ALT上昇2件(22.2%)等の肝臓・胆管系障害であった。

      1. 17.1.2 国内第Ⅱ相試験

        早期肺癌患者を対象に、本剤40mg/m2単回静脈内投与4時間後に照射エネルギー密度100J/cm2の条件で光線力学的療法が実施された症例35例(39病変)の臨床効果は、病変別は表1、症例別は表2のとおりであった5)

        表1 早期肺癌に対する腫瘍縮小効果(病変別)

        照射エネルギー
        密度

        著効病変/
        評価病変

        著効率
        (%)

        奏効病変/
        評価病変

        奏効率
        (%)

        100J/cm2

        33/39

        84.6

        37/39

        94.9

        表2 早期肺癌に対する腫瘍縮小効果(症例別)

        照射エネルギー
        密度

        著効症例/
        評価症例

        著効率
        (%)

        奏効症例/
        評価症例

        奏効率
        (%)

        100J/cm2

        29/35

        82.9

        33/35

        94.3

        ※奏効率:(著効+有効)/評価母数

        安全性評価対象例40例中63件の副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主なものは、喀痰増加11件(27.5%)、血痰10件(25.0%)、咳6件(15.0%)、咽頭痛2件(5.0%)等の呼吸器系障害、CRP上昇8件/37例(21.6%)、発熱4件(10.0%)等の一般的全身障害、ALT上昇4件(10.0%)等の肝臓・胆管系障害であった。

      1. 17.1.3 追跡調査

        光線力学的療法施行後1年の追跡調査(国内臨床試験の全例を対象)では、確認できた34病変のうち、2病変で再発が確認され、1年以内の再発率は5.9%であった。全体(39病変)では、6病変で再発が確認され、調査時点(追跡症例数36例、追跡期間中央値832日、範囲457~2012日)での全体の局所再発率は15.4%(6/39病変)であった。

    • 〈原発性悪性脳腫瘍〉
      1. 17.1.4 国内第Ⅱ相試験

        術前画像診断により原発性悪性脳腫瘍が疑われる患者を対象に、本剤40mg/m2単回静脈内投与22~26時間後に、残存腫瘍組織に対して27J/cm2を基本照射量として光線力学的療法を実施し12ヵ月後の全生存率を主要評価項目とした。有効性解析対象22例のうち、中央病理診断による組織型は、膠芽腫13例、退形成性星細胞腫3例、退形成性乏突起膠腫及び退形成性乏突起星細胞腫各2例、膠肉腫及び退形成性変化を伴う毛様細胞性星細胞腫各1例であった。腫瘍摘出率は、全摘出8例、亜全摘出11例、部分摘出3例であった。
        術中に光線力学的療法を施行し、術後放射線化学療法等の標準治療を行った際の12ヵ月全生存率は、有効性解析対象22例では95.5%、初発膠芽腫13例注)では100%であった。
        安全性評価対象例27例中18例(66.7%)、60件の副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主なものは、γ-GTP上昇16件(59.3%)、ALT上昇13件(48.1%)、AST上昇10件(37.0%)、Al-P上昇7件(25.9%)、LDH上昇6件(22.2%)等の肝機能検査値異常であった6),
        注)腫瘍摘出率は、全摘出5例、亜全摘出8例であった。

    • 〈化学放射線療法又は放射線療法後の局所遺残再発食道癌〉
      1. 17.1.5 国内第Ⅱ相試験

        化学放射線療法又は放射線療法後の局所遺残再発食道癌患者を対象に、本剤40mg/m2単回静脈内投与4~6時間後に照射エネルギー密度100 J/cm2の条件で光線力学的療法を実施した。なお、全身化学療法が適応となる遠隔転移又はリンパ節転移を有する患者は除外された。また、本剤投与及びレーザ光照射翌日に内視鏡検査により病変を観察し、残存病変を認めた場合、本剤投与22~32時間後に追加でレーザ光を照射した。
        本試験に登録された26例全例が有効性の解析対象とされ、主要評価項目である中央判定による局所完全奏効率[95%信頼区間]の結果は、88.5[69.8,97.6]%(23/26例)であった。
        安全性評価対象例26例中26例(100.0%)、109件の副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主なものは、CRP上昇21件(80.8%)、食道痛14件(53.8%)、血中アルブミン減少9件(34.6%)、発熱8件(30.8%)、リンパ球減少7件(26.9%)、ALT上昇5件(19.2%)、AST上昇5件(19.2%)、γ-GTP上昇3件(11.5%)、好中球増多3件(11.5%)等であった。

    18. 薬効薬理

    18.1 作用機序

    タラポルフィンナトリウムにレーザ光を照射することにより一重項酸素が生じる。この一重項酸素が腫瘍細胞に直接障害を与えること、あるいは腫瘍血管に障害を与えることにより、抗腫瘍効果を示すと考えられる7),8)

    18.2 薬理作用

    本療法は、ヌードマウス移植ヒト肺癌9)(5、10mg/kg、静脈内投与)、ヒト膠芽腫由来細胞株10)(T98G、A172及びU251)及びヒト食道癌由来細胞株11)(TE-5及びTE-10)に対して抗腫瘍効果を示した。

    19. 有効成分に関する理化学的知見

    一般的名称

    タラポルフィンナトリウム(Talaporfin Sodium)

    化学名

    (+)-tetrasodium(2S,3S)-18-carboxylato-20-[N-(S)-1,2-dicarboxylatoethyl]carbamoylmethyl-13-ethyl-3,7,12,17-tetramethyl-8-vinylchlorin-2-propanoate

    分子式

    C38H37N5Na4O9

    分子量

    799.69

    性状

    タラポルフィンナトリウムは暗青緑色の粉末である。
    本品は水に溶けやすく、酢酸(100)にやや溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、エタノール(99.5)に極めて溶けにくく、アセトニトリルにほとんど溶けない。
    旋光度〔α〕20546:約+1000°(脱水物に換算したもの0.02g、水、500mL、100mm)。
    本品は吸湿性である。

    化学構造式

    融点

    約150℃(分解点)

    分配係数

    21. 承認条件

    1. 21.1 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
    2. 21.2 本薬による光線力学的療法についての講習を受け、当該療法に関する十分な知識・経験のある医師のみによって用いられるよう、必要な措置をとること。

    22. 包装

    1バイアル

    24. 文献請求先及び問い合わせ先

    Meiji Seika ファルマ株式会社 くすり相談室

    〒104-8002 東京都中央区京橋2-4-16

    フリーダイヤル(0120)093-396 電話(03)3273-3539
    FAX(03)3272-2438

    26. 製造販売業者等

    26.1 製造販売元

    Meiji Seika ファルマ株式会社

    東京都中央区京橋2-4-16

    〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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