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日本薬局方
注射用バンコマイシン塩酸塩
処方箋医薬品注)
本剤の耐性菌の発現を防ぐため、「5. 効能・効果に関連する注意」、「8. 重要な基本的注意」の項を熟読の上、適正使用に努めること。
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
敗血症、感染性心内膜炎、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、骨髄炎、関節炎、肺炎、肺膿瘍、膿胸、腹膜炎、化膿性髄膜炎
敗血症、感染性心内膜炎、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、骨髄炎、関節炎、腹膜炎、化膿性髄膜炎
敗血症、肺炎、化膿性髄膜炎
通常、成人にはバンコマイシン塩酸塩として1日2g(力価)を1回0.5g(力価)6時間ごと又は1回1g(力価)12時間ごとに分割して、それぞれ60分以上かけて点滴静注する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。高齢者には、1回0.5g(力価)12時間ごと又は1回1g(力価)24時間ごとに、それぞれ60分以上かけて点滴静注する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。小児、乳児には、1日40mg(力価)/kgを2~4回に分割して、それぞれ60分以上かけて点滴静注する。新生児には、1回投与量を10~15mg(力価)/kgとし、生後1週までの新生児に対しては12時間ごと、生後1ヵ月までの新生児に対しては8時間ごとに、それぞれ60分以上かけて点滴静注する。
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。難聴が発現又は増悪するおそれがある。,
腎機能障害の程度に応じた投与量・投与間隔の調節が必要となる。血中濃度をモニタリングするなど慎重に投与すること。排泄が遅延し、蓄積する。,,,
肝障害が悪化することがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
授乳しないことが望ましい。ヒト母乳中に移行する。
血中濃度をモニタリングするなど慎重に投与すること。腎の発達段階にあるため、特に低出生体重児、新生児においては血中濃度の半減期が延長し高い血中濃度が長時間持続するおそれがある。,,,
投与前及び投与中に腎機能検査を行い、腎機能低下の程度により投与量・投与間隔を調節し、血中濃度をモニタリングするなど慎重に投与すること。高齢者では腎機能が低下している場合が多い。,,
同時に投与すると、紅斑、ヒスタミン様潮紅、アナフィラキシー反応等の副作用が発現することがある。全身麻酔の開始1時間前には本剤の点滴静注を終了すること。
全身麻酔薬には、アナフィラキシー作用、ヒスタミン遊離作用を有するものがあり、本剤にもヒスタミン遊離作用がある。しかし、相互作用の機序は不明である。
腎障害、聴覚障害が発現、悪化するおそれがあるので、併用は避けること。やむを得ず併用する場合は、慎重に投与すること。
機序:両剤共に腎毒性、聴器毒性を有するが、相互作用の機序は不明である。危険因子:腎障害のある患者、高齢者、長期投与の患者等
腎障害が発現、悪化するおそれがあるので、併用は避けること。やむを得ず併用する場合は、慎重に投与すること。
機序:両剤共に腎毒性を有するが、相互作用の機序は不明である。危険因子:腎障害のある患者、高齢者、長期投与の患者等
ショック、アナフィラキシー(呼吸困難、全身潮紅、浮腫等)を起こすことがある。
急性腎障害、間質性腎炎等の重篤な腎障害があらわれることがある。
初期症状として発疹、発熱がみられ、更に肝機能障害、リンパ節腫脹、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現等を伴う遅発性の重篤な過敏症状があらわれることがある。なお、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)等のウイルスの再活性化を伴うことが多く、投与中止後も発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること2)。
眩暈、耳鳴、聴力低下、難聴等の第8脳神経障害があらわれることがある。,
偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎があらわれることがあるので、腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には、直ちに投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
AST、ALT、Al-P等の上昇、黄疸があらわれることがある。
2%以上
2%未満
頻度不明
過敏症
発疹
発赤、顔面潮紅
そう痒、蕁麻疹、線状IgA水疱症
肝臓
AST上昇、ALT上昇、ビリルビン上昇
Al-P上昇、LDH上昇
γ-GTP上昇、LAP上昇
腎臓
BUN上昇
クレアチニン上昇
血液
白血球減少、血小板減少、好酸球増多
貧血
消化器
下痢
嘔気、嘔吐、腹痛
その他
発熱、静脈炎、血管痛
皮膚血管炎、悪寒、注射部疼痛
HPM(high performance membrane)を用いた血液透析により血中濃度を下げることが有効であるとの報告がある3),4)。
外国で急速静注により心停止を起こしたとの報告がある。
健康成人に単回点滴静注した時の血漿中濃度を図1に、薬物動態パラメータを表1に示す5)。
記号
投与量〔g(力価)〕
n
Cmax(μg/mL)
AUC0-∞(μg・hr/mL)
T1/2(hr)
●
0.5
6
23.0
85
4.29
○
1.0
49.5
166
5.23
(測定法:bioassay)(mean)
骨髄血6)、骨組織6)、関節液6)、腹水7)に移行が認められた。また、髄液(髄膜炎時)8)にも移行が認められた。
健康成人に1.0g(力価)点滴静注時の血清を用い、遠心限外ろ過法にて測定された血清蛋白結合率は34.3%であった5)。
本剤の代謝物は尿中では確認されていない。
主に糸球体ろ過により腎臓より未変化体として排泄された。健康成人における0.5g(力価)、1.0g(力価)(n=6)60分点滴静注時の累積尿中排泄率は、点滴終了後24時間までに投与量の約85%、72時間までに90%以上であった。総クリアランスは約100mL/minであった5)。
点滴静注時の血清中濃度を図2に、薬物動態パラメータを表2に示す。腎機能の低下に伴って、半減期の延長、AUCの増大が認められた9)。,
患者群
Ccr(mL/min)
T1/2α(hr)
T1/2β(hr)
健康成人
70≦Ccr
4
34.53
90.4
0.32
3.08
腎障害A群
50≦Ccr<70
22.60
95.4
0.43
7.41
△
腎障害B群
30≦Ccr<50
5
22.85
163.2
0.70
10.73
▲
腎障害C群
15≦Ccr<30
24.99
374.8
0.49
20.22
□
腎障害D群
Ccr<15
35.13
682.8
0.38
35.49
投与量:0.5g(力価)、60分点滴
〔測定法:FPIA(蛍光偏光免疫測定法)〕(mean)
点滴静注時の血漿中濃度を図3に、薬物動態パラメータを表3に示す10)。
No.
年齢
CL(mL/min/kg)
Vc(L/kg)
○●△▲
1234
1歳1歳10ヵ月2歳1ヵ月2歳9ヵ月
29.027.020.719.8
78755967
0.290.310.510.65
2.523.212.085.70
2.132.232.812.49
0.210.220.440.43
11歳
49.1
113
0.29
4.17
1.47
0.16
mean
-
29.1
78
0.41
3.54
2.23
投与量:10mg(力価)/kg×3~4回/日反復投与、60分点滴
〔測定法:FPIA(蛍光偏光免疫測定法)〕
点滴静注時の薬物動態パラメータを表4に示す。低出生体重児、特に体重1000g以下の超低出生体重児では消失半減期の延長が認められた11)。
修正在胎(週)
日齢(日)
体重(g)
SCr(mg/dL)
投与量注1)(mg/kg/日)
Cmax注2)(μg/mL)
CL(mL/kg/min)
12345
2526302830
1910312040
442472708735790
0.61.90.71.00.6
15×115×125×115×125×1
22.835.139.328.358.8
11.0129.4219.7020.788.22
0.8670.2810.5490.8190.657
0.7690.6270.9080.2970.257
67
2932
1917
10641188
0.80.7
25×125×1
44.750.8
8.519.06
0.9151.028
0.4770.417
8910
333843
111910
151218442060
0.70.40.5
17.5×217.5×220×2
46.525.262.2
8.1910.327.99
0.7530.9820.745
0.3590.8750.212
注1)投与量;15~25mg(力価)/kg×5回反復投与、60分点滴承認外用法・用量である。〔本剤の承認された用法・用量は、1回10~15mg(力価)/kgを生後1週までの新生児には12時間ごと、生後1ヵ月までの新生児には8時間ごとに60分以上かけて点滴静注する。〕
注2)2回投与時の成績
点滴静注時の症例の内訳を表5に、血清中濃度を図4に、薬物動態パラメータを表6に示す12)。
1
2
3
年齢(歳)
84
87
73
74
19.3
21.0
34.4
51.3
62.6
62.7
体重(kg)
高齢患者
78.3
34.8
41.9
22.6
186
12.99
22.0
115.0
38.0
110
2.98
投与量注3):10mg(力価)/kg、60分点滴
注3)承認外用法・用量である。〔本剤の承認された用法・用量は、1回0.5g(力価)12時間ごと又は1回1g(力価)24時間ごとに60分以上かけて点滴静注する。〕
有効性を確保し、かつ副作用の発現を避けるため、長期間投与中の患者、低出生体重児、新生児及び乳児、高齢者、腎機能障害又は難聴のある患者、腎障害、聴覚障害を起こす可能性のある薬剤(アミノグリコシド系抗生物質等)を併用中の患者等については、血中濃度をモニタリングすることが望ましい。国内外のガイドライン等では、AUCを指標とする投与設計を行うことが推奨されている13)。点滴終了1~2時間後の血中濃度が60~80μg/mL以上、最低血中濃度が30μg/mL以上が継続すると、聴覚障害、腎障害等の副作用が発現する可能性があると報告されている14)(外国人データ)。,,,,,
承認時における一般臨床試験での有効性評価対象例76例中68例(89.5%)が有効であった。臨床検査値の異常変動を含む副作用は、安全性評価対象例107例中33例(30.8%)に認められた。主な副作用は、ALT上昇12例(11.2%)、AST上昇10例(9.3%)、発疹8例(7.5%)であった15)。
疾患名
有効例数/有効性評価 対象例数
有効率(%)
敗血症
26/27
96.3
感染性心内膜炎
3/3
外傷・熱傷及び手術創等の二次感染
骨髄炎
1/1
関節炎
4/4
肺炎、肺膿瘍
18/25
72.0
膿胸
5/5
腹膜炎
化膿性髄膜炎
承認時における2つの一般臨床試験での有効性評価対象例は小児肺炎4例、成人肺炎1例であり、有効性評価対象例5例中4例が有効であった16)。
バンコマイシンの作用は細菌の細胞壁合成阻害によるものであり、その抗菌作用は殺菌的である17)。更に細菌の細胞膜の透過性に変化を与える。
バンコマイシン塩酸塩(Vancomycin Hydrochloride)
(1S,2R,18R,19R,22S,25R,28R,40S)-50-[3-Amino-2,3,6-trideoxy-3-C-methyl-α-L-lyxo-hexopyranosyl-(1→2)-β-D-glucopyranosyloxy]-22-carbamoylmethyl-5,15-dichloro-2,18,32,35,37-pentahydroxy-19-[(2R)-4-methyl-2-(methylamino)pentanoylamino]-20,23,26,42,44-pentaoxo-7,13-dioxa-21,24,27,41,43-pentaazaoctacyclo[26.14.2.23,6.214,17.18,12.129,33.010,25.034,39]pentaconta-3,5,8,10,12(50),14,16,29,31,33(49),34,36,38,45,47-pentadecaene-40-carboxylic acid monohydrochloride
C66H75Cl2N9O24・HCl
1485.71
バンコマイシン塩酸塩は白色の粉末である。本品は水に溶けやすく、ホルムアミドにやや溶けやすく、メタノールに溶けにくく、エタノール(95)に極めて溶けにくく、アセトニトリルにほとんど溶けない。本品は吸湿性である。
VCM
10バイアル
1) Moellering, R. C. et al.:Ann. Intern. Med. 1981;94:343-346
2) 厚生労働省:重篤副作用疾患別対応マニュアル 薬剤性過敏症症候群
3) 南方 保ほか:腎と透析. 1991;30:118-119
4) 上條利幸ほか:日透析医学会誌. 1994;27:1127-1132
5) 中島光好ほか:Chemotherapy. 1992;40:210-224
6) 倉田和男:化学療法の領域. 1993;9:138-144
7) 田中日出和ほか:第38回日本化学療法学会東日本支部総会・第40回日本感染症学会東日本地方総会 合同学会発表. 1991;札幌
8) 美原 盤ほか:医学のあゆみ. 1993;164:915-916
9) 竹中 皇ほか:Chemotherapy. 1993;41:1079-1089
10) 藤井良知ほか:Chemotherapy. 1994;42:863-870
11) 石関しのぶほか:日本小児科学会雑誌. 1996;100:633-637
12) Cho, T. et al.:Jpn. J. Clin. Pharmacol. Ther. 1995;26:743-751
13) *日本化学療法学会、日本TDM学会:抗菌薬TDM臨床実践ガイドライン2022
14) Matzke, G. R. Jr. et al.:Clin. Pharmacokinet. 1986;11:257-282
15) 島田 馨ほか:Chemotherapy. 1992;40:86-101
16) ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)感染症に対する第Ⅲ相臨床試験(塩酸バンコマイシン点滴静注用0.5g:2004年10月22日承認、申請資料概要ト 1.1、1.2)
17) Barna, J. C. J. et al.:Annu. Rev. Microbiol. 1984;38:339-357
18) 吉田 勇ほか:Jpn. J. Antibiot. 2012;65:49-72
19) 永田 弘ほか:Chemotherapy. 1992;40:581-591
20) 青木泰子ほか:感染症学雑誌. 1990;64:549-556
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