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処方箋医薬品注)
本剤の投与により出血が発現し、重篤な出血の場合には死亡に至るおそれがある。本剤の使用にあたっては、出血の危険性を考慮し、本剤投与の適否を慎重に判断すること。,,,,
後天性血栓性血小板減少性紫斑病
成人及び12歳以上かつ体重40kg以上の小児には、本剤の投与初日は、血漿交換前に10mgを静脈内投与し、血漿交換終了後に10mgを皮下投与する。その後の血漿交換期間中は、血漿交換終了後に1日1回10mgを皮下投与する。血漿交換期間後は、1日1回10mgを30日間皮下投与する。なお、患者の状態に応じて、血漿交換期間後30日間を超えて本剤の投与を継続することができる。
活動性の出血(臨床的に重大な出血を除く)又は基礎疾患に凝固障害(例えば血友病や他の血液凝固因子欠乏症)のある患者では治療上の有益性と危険性について検討した上で、本剤の投与可否を慎重に判断し、投与する場合は、観察を十分に行うこと。出血を助長する又は出血の危険性が増大する可能性がある。
治療上の有益性と危険性について検討した上で、本剤の投与可否を慎重に判断し、投与する場合は、観察を十分に行うこと。重度の肝機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。出血の危険性が増大するおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠モルモットで胎児へ移行することが報告されている。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
抗凝固薬(ビタミンK拮抗薬、経口トロンビン阻害薬、凝固第X因子阻害薬、高用量ヘパリン等)、血栓溶解薬(ウロキナーゼ、アルテプラーゼ等),
これら薬剤との併用により、出血の危険性が増大するおそれがあるので、治療上の有益性と危険性を評価して慎重に判断すること。投与中は観察を十分に行い、出血の発現に注意すること。
本剤は止血及び凝固に影響を及ぼす薬剤との併用により、出血の危険性が増大するおそれがある。
血小板凝集抑制作用を有する薬剤(チクロピジン塩酸塩、クロピドグレル硫酸塩、アセチルサリチル酸等),
本剤及び抗血小板薬の薬理作用のため、これら薬剤との併用により出血の危険性が増大するおそれがある。
脳出血(頻度不明)、消化管出血(頻度不明)等の生命を脅かす致死的な出血を含む大出血、鼻出血(18.6%)、歯肉出血(10.2%)等があらわれることがある。,,,
10%以上
10%未満
呼吸器、胸郭および縦隔障害
呼吸困難
胃腸障害
直腸出血、腹壁血腫、下痢
腎および尿路障害
血尿
生殖系および乳房障害
腟出血、月経過多
一般・全身障害および投与部位の状態
注射部位反応、発熱
カテーテル留置部位出血、注射部位出血、疲労
傷害、中毒および処置合併症
挫傷
筋骨格系および結合組織障害
筋肉痛
神経系障害
頭痛
皮膚および皮下組織障害
蕁麻疹
海外第III相試験(ALX0681-C301/HERCULES試験)では、本剤投与下で産生された抗薬物抗体が本剤投与患者の3.1%に認められ、その全例で中和抗体が認められた。国内第II/III相試験(ALX0681-C202試験)では、本剤投与下で産生された抗薬物抗体が本剤投与患者の14.3%に認められ、その全例で中和抗体が認められた。抗体発現と臨床効果及び安全性との関連は明らかではない。
日本人健康被験者に本剤5mg注4) 及び10mgを単回静脈内投与、並びに本剤10mgを単回皮下投与したときの本剤の血漿中薬物濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった1) 。
投与量
例数
Cmax(ng/mL)
tmax注5)(h)
T1/2(h)
AUC0-∞(h・ng/mL)
CL(mL/h)
Vz(mL)
5mg iv
6
1240±129.9
0.25(0.25-0.25)
21.29±4.866
14740±4419
310.3±104.6
8952±1060
10mg iv
8
1986±165.5
0.25(0.25-0.3)
21.06±5.433
17020±3837
569.8±123.6
16630±1986
10mg sc
749.8±205.3
3.020(2.97-6)
36.88±9.943
31850±10380
326.1±137.9
16190±5023
平均値±SD iv:静脈内投与 sc:皮下投与
日本人健康被験者に本剤10mgを1日1回7日間反復皮下投与したときの薬物動態パラメータは以下のとおりであった1) 。
投与日
tmax注6)(h)
AUC0-24(h・ng/mL)
RAUC注7)
1日目
9
679.2±275.9
3.00(3-9)
11360±4273
7日目
468.3±150.8
3.00(2.95-3.02)
8439±1836
0.7862±0.1545
平均値±SD
母集団薬物動態/薬力学(PK/PD)モデルを用いて、後天性TTP患者に本剤10mgを初回静脈内投与後、血漿交換を実施せずに本剤10mgを1日1回反復皮下投与したときの曝露量をシミュレーションした結果、定常状態におけるCmax(中央値)は609.4ng/mL、トラフ血漿中濃度(中央値)は435.5ng/mL、AUC0-24(中央値)は12473ng・h/mLであった2) 。
後天性TTP患者における母集団薬物動態/薬力学(PK/PD)解析の結果、軽度(クレアチニンクリアランス60mL/min以上90mL/min未満)、中等度(クレアチニンクリアランス30mL/min以上60mL/min未満)又は重度(クレアチニンクリアランス30mL/min未満)の腎機能障害を有する患者と健康被験者(クレアチニンクリアランス90mL/min以上)との間で、本剤の薬物動態に差は認められなかった2) 。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。成人被験者(18歳以上)を対象とした臨床試験で得られた併合データを基に、本剤の曝露量と全von Willebrand因子抗原(VWF:Ag)との相互作用を検討した母集団薬物動態/薬力学(PK/PD)モデルを構築した。母集団PK/PDモデルを用いて、本剤の曝露量を予測してシミュレーションした結果、体重40kg以上の小児に本剤10mg/日を投与した場合、本剤の薬物動態は成人と同様であると予測された2) 。
後天性TTPの被験者を対象に、標準治療(血漿交換、免疫抑制療法)に追加して本剤を投与する単群、非盲検試験を実施した。有効性解析は、PP集団注8) (n=15)を対象として行った。
安全性解析対象集団は、治験薬を1回以上投与された全ての被験者とした。本試験では、登録前に最大1回血漿交換を受けた被験者が組み入れられた。用法及び用量は、登録後最初の血漿交換前に、本剤10mgを静脈内への急速注射により1回投与することとされた。その後の連日血漿交換期間及び30日間の連日血漿交換後期間は、血漿交換終了後2時間以内に本剤10mgを皮下注射により1日1回投与することとされた。30日間の連日血漿交換後期間以後の治験薬投与の延長については、後天性TTPの症状又は徴候(ADAMTS13活性低下持続等)を示す場合には、治験薬の投与を1週間ずつ追加し、最長で8週間とした。同時に、免疫抑制療法の最適化を行った。治験薬が1回以上投与された被験者では、全治験期間における投与期間の中央値は35日であり、最大の投与期間は69日であった。本剤の有効性は、全治験期間(治験薬の最終投与後28日間の追跡調査期間を含む)におけるTTP再発割合で評価した(PP集団)。TTP再発は、最初の血小板数の正常化(連日血漿交換を中止しても血小板数が150,000/μL以上になり、かつその後5日以内に連日血漿交換を中止した場合)後に再発した血小板減少症で連日血漿交換の再開を要するものと定義した。PP集団において、全治験期間中に1名(6.7%)の被験者でTTPの再発が認められ、事前に規定された成功基準(20%以下)を満たした。TTP関連死又は治験薬投与下での重大な血栓塞栓性イベントを有する被験者は認められなかった3) 。安全性解析対象集団において、12名(57.1%)の被験者で副作用が認められた。高頻度で認められた副作用は、ALT増加2名(9.5%)、鼻出血2名(9.5%)及び胃腸出血2名(9.5%)であった4) 。,
後天性TTPの被験者145名を対象に、標準治療(血漿交換、免疫抑制療法)に追加して本剤(72名)又はプラセボ(73名)を投与する、ランダム化、二重盲検、プラセボ対照試験を実施した。本試験では、ランダム化前に1回血漿交換を受けた被験者が組み入れられた。ランダム化後最初の血漿交換実施前に、本剤10mg又はプラセボを静脈内への急速注射により1回投与することとされた。その後の連日血漿交換期間及び30日間の連日血漿交換後期間は、血漿交換終了後2時間以内に本剤10mg又はプラセボを皮下注射により1日1回投与することとされた。30日間の連日血漿交換後期間以後の治験薬の投与延長については、後天性TTPの症状又は徴候(ADAMTS13活性低下持続等)を示す場合には、治験薬の投与を1週間ずつ追加し、最長で4週間とした。同時に、免疫抑制治療の最適化を行った。二重盲検期間における投与期間の中央値は、本剤群で35日であり、本剤の最大の投与期間は65日であった。本剤の有効性は、血小板数の正常化までの期間(最初に血小板数が150×109/L以上となった後5日以内に連日血漿交換を中止した場合と定義)で検証され、本剤群で、2.69[1.89, 2.83]日、プラセボ群で2.88[2.68, 3.56]日(中央値[95%信頼区間])と統計的に有意な短縮を示した(p=0.0099、神経症状の重症度(GCS 12以下又は13~15)で層別した両側log-rank検定)。血小板数正常化達成確率に関する本剤群のプラセボ群に対するハザード比は1.55であった。治験薬投与期間におけるTTP関連死、TTP再発、又は1件以上の治験薬投与下での重大な血栓塞栓性イベントを発現した被験者は、本剤群で9名(12.7%)、プラセボ群で36名(49.3%)であった。全治験期間(治験薬の最終投与後28日間の追跡調査を含む)におけるTTP再発割合は、本剤群で9名(12.7%)、プラセボ群で28名(38.4%)であった5) 。難治性TTP(4日間の標準治療後に血小板数の倍増が見られず、LDHが基準値上限を超える場合と定義)は、プラセボ群では3名(4.2%)に認められ、本剤群では認められなかった。本剤群では、臓器障害マーカー(LDH、cTnI及び血清クレアチニン)が正常化するまでの期間が短縮する傾向が観察された。本剤群では、血漿交換日数の短縮、血漿交換量の減少等が認められた5) 。副作用は、全治験期間を通して本剤群では57.7%(41/71名)に認められた。主な副作用は、鼻出血23.9%(17/71名)、歯肉出血11.3%(8/71名)及び挫傷7.0%(5/71名)であった6) 。,
カプラシズマブはvon Willebrand因子(VWF)のA1ドメインを標的とする遺伝子組換え一本鎖二価ヒト化モノクローナル抗体で、VWFと血小板間の相互作用を阻害することにより、後天性TTPの特徴である超高分子量VWF媒介血小板凝集を抑制する。またVWFの動態へ影響し、本剤が結合したVWFの消失を促進する7) 。
本剤のin vitroでの薬理学的特性を、ヒト及び各動物種の血漿検体並びに遺伝子組換えVWF断片を用いて評価したところ、本剤はVWFのA1ドメインに結合することにより、VWFに対する血小板の結合を阻害することが示された8) 。
ヒヒ後天性TTPモデルにおいて、本剤はTTPの急性期エピソードである血小板減少、血管内溶血及び赤血球断片化に対して予防効果及び治療効果を示した。また、カプラシズマブの反復投与により、VWF:Ag濃度と血液凝固第VIII因子活性が低下した7),8) 。
カプラシズマブ(遺伝子組換え)Caplacizumab(Genetical Recombination)(JAN)
カプラシズマブは、遺伝子組換え一本鎖二価モノクローナル抗体(VH-VH)であり、1~128番目及び132~259番目は、それぞれヒト化抗ヒトvon Willebrand因子(VWF)抗体の可変領域からなり、相補性決定領域はいずれもラマH鎖抗体に由来する。カプラシズマブは、259個のアミノ酸残基からなるタンパク質である。
薬剤は外箱に入れた状態で保存すること。
1バイアル[プレフィルドシリンジ(日本薬局方注射用水1mL)×1シリンジ付き]
1) 社内資料:日本人被験者対象単回及び反復投与第Ⅰ相臨床試験(2022年9月26日承認、CTD2.7.2.2)
2) 社内資料:母集団薬物動態/薬力学解析(2022年9月26日承認、CTD2.7.2.3)
3) 社内資料:国内第Ⅱ/Ⅲ相試験(2022年9月26日承認、CTD2.7.3.2)
4) 社内資料:国内第Ⅱ/Ⅲ相試験ALX0681-C202(2022年9月26日承認、CTD2.7.6.2)
5) 社内資料:海外第Ⅲ相臨床試験(2022年9月26日承認、CTD2.7.3.2)
6) 社内資料:海外第Ⅲ相臨床試験ALX0681-C301(2022年9月26日承認、CTD2.7.6.2)
7) 社内資料:薬理試験の概要文(2022年9月26日承認、CTD2.6.2.2)
8) 社内資料:非臨床試験の概括評価(2022年9月26日承認、CTD2.4.2)
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