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ゼンフォザイム点滴静注用20mg

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
1.警告
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
5.効能又は効果に関連する注意
6.用法及び用量
7.用法及び用量に関連する注意
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
9.3肝機能障害患者
9.4生殖能を有する者
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
9.8高齢者
10.相互作用
10.2併用注意(併用に注意すること)
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
13.過量投与
14.適用上の注意
15.その他の注意
15.1臨床使用に基づく情報
15.2非臨床試験に基づく情報
16.薬物動態
16.1血中濃度
16.3分布
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
18.薬効薬理
18.1作用機序
18.2効力を裏付ける試験
19.有効成分に関する理化学的知見
21.承認条件
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

ゼンフォザイム点滴静注用20mg

添付文書番号

3959426D1022_1_03

企業コード

780069

作成又は改訂年月

**2023年10月改訂(第4版)
2023年7月改訂(第3版)

日本標準商品分類番号

873959

薬効分類名

遺伝子組換え酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症治療剤

承認等

ゼンフォザイム点滴静注用20mg

販売名コード

YJコード

3959426D1022

販売名英語表記

XENPOZYME for I.V. Infusion

販売名ひらがな

ぜんふぉざいむてんてきじょうちゅうよう20mg

承認番号等

承認番号

30400AMX00191

販売開始年月

2022年6月

貯法・有効期間

貯法

2~8℃で保存

有効期間

60箇月

規制区分

一般的名称

オリプダーゼ アルファ(遺伝子組換え)点滴静注用製剤

1. 警告

本剤の投与によりinfusion reaction、アナフィラキシーがあらわれる可能性がある。緊急時に十分な対応のできる準備をした上で投与を開始し、投与終了後も十分な観察を行うこと。重篤なinfusion reaction、アナフィラキシーが発現した場合には、速やかに本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。,,,,

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対しアナフィラキシーショックの既往歴のある患者,,

3. 組成・性状

3.1 組成

ゼンフォザイム点滴静注用20mg

有効成分オリプダーゼ アルファ(遺伝子組換え)2)   21.2mg
添加剤リン酸二水素ナトリウム一水和物   10.0mg
リン酸水素二ナトリウム七水和物   9.0mg
精製白糖   265mg
L-メチオニン   79mg
1バイアル中1)

1) 1バイアルからオリプダーゼ アルファ(遺伝子組換え)20mgが投与できるよう、過量充填されている。
2) 本剤は遺伝子組換え技術によりチャイニーズハムスター卵巣細胞を用いて産生される。本剤は製造工程でウシ血清を使用している。

3.2 製剤の性状

ゼンフォザイム点滴静注用20mg

pH6.2~6.83)
浸透圧比約1(生理食塩液に対する比)3)
性状白色の凍結乾燥粉末

3) 1バイアルを注射用水5.1mLで溶解した時

4. 効能又は効果

酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症

5. 効能又は効果に関連する注意

  1. 5.1 乳児内臓神経型患者に対する本剤の有効性及び安全性は検討されていない。
  2. 5.2 中枢神経系症状に対する有効性は認められていない。

6. 用法及び用量

通常、オリプダーゼ アルファ(遺伝子組換え)として、以下の用量漸増法に従い、本剤の開始用量及びその後の用量を隔週点滴静脈内投与する。維持用量は、通常、1回体重1kgあたり3mgとする。

成人患者における用量漸増法

初回投与(初日)

0.1mg/kg

2回目投与(2週目)

0.3mg/kg

3回目投与(4週目)

0.3mg/kg

4回目投与(6週目)

0.6mg/kg

5回目投与(8週目)

0.6mg/kg

6回目投与(10週目)

1mg/kg

7回目投与(12週目)

2mg/kg

8回目以降の投与(14週目以降)

3mg/kg

小児患者における用量漸増法

初回投与(初日)

0.03mg/kg

2回目投与(2週目)

0.1mg/kg

3回目投与(4週目)

0.3mg/kg

4回目投与(6週目)

0.3mg/kg

5回目投与(8週目)

0.6mg/kg

6回目投与(10週目)

0.6mg/kg

7回目投与(12週目)

1mg/kg

8回目投与(14週目)

2mg/kg

9回目以降の投与(16週目以降)

3mg/kg

7. 用法及び用量に関連する注意

  1. 7.1 Body mass index(BMI)30を超える患者では、以下の計算式で示す、BMI 30に相当する体重を用いて投与量を決定すること。
    • 投与量の算出に用いる体重(kg)=30×[身長(m)]2
  2. 7.2 初回投与時には投与前1ヵ月以内、用量漸増期間中及び休薬後の投与再開時には次回の投与前72時間以内に肝機能検査を行うこと。また、ALT又はASTが基準範囲上限の2倍超の場合は投与終了後72時間以内にも肝機能検査を行うこと。投与前及び投与後のALT又はASTが初回投与前の値を超え、かつ基準範囲上限を超えた場合は、次回投与時の減量又は休薬を検討すること。,,
  3. 7.3 日局注射用水で溶解し、日局生理食塩液を用いて希釈した後に投与すること。本剤の投与速度は、下表を参考に、infusion reactionが発現していないことを確認しながら投与すること。,,
    成人患者における投与速度

    投与量
    (mg/kg)

    投与時間(おおよその時間(分))

    投与速度(mL/hr)

    0.1

    35

    ステップ1:20mL/hr 15~25分間
    ステップ2:60mL/hr 10~20分間

    0.3~3

    220

    ステップ1:3.33mL/hr 15~25分間
    ステップ2:10mL/hr 15~25分間
    ステップ3:20mL/hr 15~25分間
    ステップ4:33.33mL/hr 155~165分間

    小児患者における投与速度

    投与量
    (mg/kg)

    投与時間(おおよその時間(分))

    投与速度(mg/kg/hr)

    0.03

    18

    0.1mg/kg/hr

    0.1

    35

    ステップ1:0.1mg/kg/hr 15~25分間
    ステップ2:残りの投与は0.3mg/kg/hr

    0.3

    60

    ステップ1:0.1mg/kg/hr 15~25分間
    ステップ2:0.3mg/kg/hr 15~25分間
    ステップ3:残りの投与は0.6mg/kg/hr

    0.6

    80

    ステップ1:0.1mg/kg/hr 15~25分間
    ステップ2:0.3mg/kg/hr 15~25分間
    ステップ3:0.6mg/kg/hr 15~25分間
    ステップ4:残りの投与は1mg/kg/hr

    1

    100

    2

    160

    3

    220

  4. 7.4 本剤の投与予定日から3日を超えた時点で休薬とみなし、休薬後に本剤の投与を再開する場合は、下表を参考に投与すること。投与再開後は、再開後の投与日から隔週投与とすること。
    用量漸増期に休薬した場合の次回の投与量

    休薬回数

    次回の投与量

    1回休薬した場合

    忍容性が認められた最後の投与量

    2回連続して休薬し、かつ0.3mg/kgの投与をこれまでに受けている場合

    忍容性が認められた最後の投与量から1段階減量した投与量(ただし、最小用量は0.3mg/kgとする)

    2回以上連続して休薬し、かつ、これまでに0.3mg/kgの投与を受けていない場合

    初回投与量

    3回以上連続して休薬し、かつ0.3mg/kgの投与をこれまでに受けている場合

    0.3mg/kg

    いずれの場合でも投与再開以降は用量漸増法に従って投与すること。また、投与量が0.3mg/kg又は0.6mg/kgである場合は、用量漸増法に従って当該用量を2回投与すること。

    維持期に休薬した場合の次回の投与量

    休薬回数

    次回の投与量

    1回休薬した場合

    維持用量(3mg/kg)

    2回連続して休薬した場合

    2mg/kgで投与を再開し、その後は維持用量(3mg/kg)を投与する。

    3回以上連続して休薬した場合

    0.3mg/kgで投与を再開し、投与再開以降は用量漸増法に従って投与する(0.3mg/kg及び0.6mg/kgについては当該用量を2回投与する)。

8. 重要な基本的注意

  1. 8.1 本剤はタンパク質製剤であり、重度の過敏症又はアナフィラキシーが起こる可能性が否定できない。用量漸増期においては特に観察を十分に行い、異常が認められた場合には速やかに投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、このような症状の発現に備え、緊急処置を取れる準備をしておくこと。重度の過敏症又はアナフィラキシーが発現した後の本剤の再投与については、有益性と危険性を考慮して決定すること。再投与が必要な場合は、低用量で投与速度を下げた上で、忍容性を確認しながら投与すること。,,,
  2. 8.2 本剤投与中又は投与後24時間以内にinfusion reactionが発現することがあるので、本剤投与中及び投与終了後も患者の状態を観察すること。infusion reactionが発現した場合は、投与速度の減速又は投与の一時中止、適切な薬剤治療(解熱鎮痛剤、副腎皮質ホルモン剤等)、もしくは緊急処置を行うこと。,,,
  3. 8.3 本剤の投与によりALT又はASTの上昇が認められることがあるので、定期的に肝機能検査を行うこと。,

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 本剤の成分に対する過敏症の既往歴のある患者

    ,,

  2. 9.1.2 Infusion reactionの既往のある患者

    ,

9.3 肝機能障害患者

ALT又はASTが上昇する可能性がある。,

9.4 生殖能を有する者

*妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後14 日間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。

9.5 妊婦

*妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないことが望ましい。本薬を投与した動物試験(マウス)において胎児に外脳症が認められている。また、スフィンゴミエリンの異化代謝産物の一つであるセラミドが、ニワトリ胚の神経管の発生に影響を及ぼしたとの報告がある1)

9.6 授乳婦

*治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒトで哺乳中の児における影響は不明であるが、本薬を投与した動物実験(マウス)において乳汁中に移行することが認められている。

9.7 小児等

1歳未満の患者を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。

10. 相互作用

    10.2 併用注意(併用に注意すること)

    薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
    • 定型抗精神病薬
      • クロルプロマジン等

    本剤の作用が減弱する可能性がある。

    酸性スフィンゴミエリナーゼの活性を阻害する可能性がある2),3)

    • 三環系抗うつ薬
      • イミプラミン等

    本剤の作用が減弱する可能性がある。

    酸性スフィンゴミエリナーゼの活性を阻害する可能性がある2),3)

    • カチオン性両親媒性抗ヒスタミン薬
      • ロラタジン
      • デスロラタジン
      • エバスチン
      • クレマスチン等

    本剤の作用が減弱する可能性がある。

    酸性スフィンゴミエリナーゼの活性を阻害する可能性がある2),3)

    11. 副作用

    次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    11.1 重大な副作用

    1. 11.1.1 Infusion reaction(55.9%)、アナフィラキシー(1.7%)

      本剤投与中又は投与終了後24時間以内に、頭痛、蕁麻疹、発熱、悪心、嘔吐等のinfusion reaction及びアナフィラキシーがあらわれることがある。これらの症状が発現した場合、投与速度の減速又は投与の一時中止、適切な薬剤治療(副腎皮質ホルモン剤、解熱鎮痛剤、抗炎症剤等)、もしくは緊急処置を行うこと。,,,,,

    11.2 その他の副作用

    10%以上

    2%以上10%未満

    血液及びリンパ系

    リンパ節痛

    免疫系

    過敏症

    神経系

    頭痛

    浮動性めまい、嗜眠、片頭痛

    心臓

    動悸

    血管

    潮紅、低血圧

    呼吸器

    呼吸困難、咳嗽

    消化器

    悪心、嘔吐、腹痛

    上腹部痛、下痢、腹部不快感、下腹部痛、アフタ性潰瘍、消化不良、鼓腸

    肝胆道系

    肝臓痛

    皮膚

    蕁麻疹、そう痒症

    発疹、紅斑、斑状皮疹、斑、丘疹

    骨格筋系

    筋肉痛

    関節痛、筋骨格系胸痛、背部痛、関節腫脹、頸部痛、四肢痛、骨痛、筋痙縮、筋骨格不快感

    腎及び尿路

    腎臓痛

    全身及び局所反応

    発熱

    疲労、悪寒、無力症、非心臓性胸痛、疼痛

    臨床検査

    C-反応性蛋白増加

    ALT増加、AST増加、血中ビリルビン増加、血清フェリチン増加、体温上昇、プロトロンビン時間延長、体重増加

    13. 過量投与

    1. 13.1 **症状

      **小児において、本剤の用量漸増期間中に成人患者における用量漸増法で投与され、肝機能検査値上昇、消化管出血を発現した症例や、投与開始から24 時間以内に呼吸不全、低血圧を発現し死亡に至った症例が報告されている。

    2. 13.2 **処置

      **特異的な解毒剤は知られていない。過量に投与した場合は、直ちに投与を中止し、患者の状態を注意深く観察すること。

    14. 適用上の注意

    14.1 薬剤調製時の注意

    1. 14.1.1 患者の体重に基づいて本剤の投与量を算出し、投与に必要なバイアル数を決定すること。
    2. 14.1.2 冷蔵庫より投与に必要な数のバイアルを取り出し、室温になるまで放置すること。
    3. 14.1.3 1バイアルに日局注射用水5.1mLをバイアルの内壁に沿ってゆっくり注入し、静かに溶解すること(オリプダーゼ アルファ(遺伝子組換え)濃度4mg/mL)。バイアルの振とう等は避けること。
    4. 14.1.4 溶解後に目視にてバイアル内を確認し、異物や変色が認められる場合は使用しないこと。溶解後、直ちに使用できない場合は、2~8℃で最長24時間又は25℃以下で最長12時間保存できる。
    5. 14.1.5 投与量に基づいて必要な量の溶解液をバイアルから抜き取り、下表の容量(mL)となるよう、シリンジ又は輸液バッグを用いて日局生理食塩液で希釈すること。実体重に基づく容量(mL)については、最終濃度が0.1mg/mLになるよう決定すること。また、シリンジ又は輸液バッグを静かに混和し、振とうしないこと。

      体重3kg以上10kg未満

      体重10kg以上20kg未満

      体重20kg以上(18歳未満の小児)

      成人(18歳以上)

      投与量
      (mg/kg)

      容量(mL)

      容量(mL)

      容量(mL)

      容量(mL)

      0.03

      実体重に基づく

      実体重に基づく

      5

      0.1

      実体重に基づく

      5

      10

      20

      0.3

      5

      10

      20

      100

      0.6

      10

      20

      50

      100

      1

      20

      50

      100

      100

      2

      50

      75

      200

      100

      3

      50

      100

      250

      100

    6. 14.1.6 希釈後は速やかに使用すること。なお、希釈後、直ちに使用できない場合は、2~8℃で最長24時間保存できるが、その後25℃以下で12時間以内に使用すること。
    7. 14.1.7 他剤との混合を行わないこと。
    8. 14.1.8 各バイアルは一回限りの使用とすること。未使用の溶解した薬液は廃棄すること。

    14.2 薬剤投与時の注意

    1. 14.2.1 タンパク質を吸着しにくい0.2μmのインラインフィルターを用いて投与すること。
    2. 14.2.2 他剤との混注を行わないこと。

    15. その他の注意

    15.1 臨床使用に基づく情報

    本剤はタンパク質製剤であり、本剤に対するIgG抗体が産生される可能性がある。
    臨床試験において、酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症患者では42.4%(25/59例:成人患者13/39例、小児患者12/20例)に抗オリプダーゼ アルファ抗体の産生が認められ、そのうち28.0%(7/25例:成人患者3/13例、小児患者4/12例)で中和抗体の産生が認められた。

    15.2 非臨床試験に基づく情報

    酸性スフィンゴミエリナーゼノックアウトマウスに本薬を用量漸増法を用いずに投与したところ、スフィンゴミエリンの急速な分解に伴うセラミド等の異化代謝産物の蓄積に起因すると考えられる毒性所見(心拍数低下、血圧低下、炎症誘発性サイトカインの上昇、肝細胞及び副腎の炎症、変性、壊死及びアポトーシス等)や、死亡した個体も認められたが、用量漸増法を用いて投与した場合、忍容性が認められた。

    16. 薬物動態

    16.1 血中濃度

    1. 16.1.1 反復投与

      酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症患者に維持用量として本剤3mg/kgを隔週で反復静脈内投与したときの本薬の薬物動態パラメータは以下のとおりであった4),5),6)

      表1:本剤を隔週で反復静脈内投与したときの本薬の血漿中薬物動態パラメータ

      年齢

      18歳以上

      12歳以上18歳未満

      6歳以上12歳未満

      6歳未満

      測定時点

      投与66ヵ月時

      投与210週時

      投与158週時

      投与104週時

      例数

      5

      4

      5

      3

      Cmax
      (μg/mL)

      35.6±9.49

      33.5±3.82

      31.7±5.48

      28.1±6.76

      AUC0-τ
      (μg・h/mL)

      763±119

      721±78.3

      716±41.8

      623±93.2

      tmax
      (h)

      4.12[3.82, 4.97]

      3.88[3.67, 4.02]

      4.17[3.75, 7.63]

      4.02[3.80, 4.75]

      t1/2Z
      (h)

      26.2±2.59

      25.6±4.10

      25.3±1.17

      26.9±3.96

      Vss
      (mL/kg)

      127±26.2

      128±27.8

      116±15.4

      136±34.8

      CL
      (mL/h/kg)

      4.02±0.68

      4.20±0.46

      4.20±0.25

      4.88±0.67

      平均値±標準偏差、tmaxは中央値[範囲]

    16.3 分布

    酸性スフィンゴミエリナーゼノックアウトマウスに本薬を投与したところ、肝臓、脾臓、腎臓及び肺に分布した7)

    17. 臨床成績

    17.1 有効性及び安全性に関する試験

    1. 17.1.1 成人酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症患者を対象とした国際共同試験

      成人酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症(慢性内臓型及び慢性内臓神経型)患者(18歳~65歳)36例(日本人患者1例を含む)を対象に、本剤(18例)又はプラセボ(18例)を隔週で52週間点滴静脈内投与した。本剤は0.1mg/kgから投与開始し、維持用量である3mg/kgまで漸増して投与した。主要評価項目とした一酸化炭素肺拡散能の予測正常値に対する割合(予測%一酸化炭素肺拡散能)及び脾容積(正常値に対する倍数[MN])のベースラインから52週までの変化率の結果、並びに副次評価項目とした肝容積(MN)及び血小板数のベースラインから52週までの変化率は表2のとおりであり、主要評価項目についていずれも本剤群のプラセボ群に対する優越性が示された。

      表2:主な有効性評価項目の結果

      項目

      本剤群(18例)

      プラセボ群(18例)

      予測%一酸化炭素肺拡散能:主要評価項目

      • 投与前(平均±SD)

      49.44±10.99

      48.45±10.77

      • 52週時(平均±SD)

      59.35±12.51

      49.86±11.08

      • 投与前からの変化率(調整平均±SE)

      21.97±3.34

      2.96±3.38

      • 群間差(両側95%信頼区間)

      19.01[9.32, 28.70]

      • P値

      p=0.0004

      脾容積(MN):主要評価項目

      • 投与前(平均±SD)

      11.70±4.92

      11.21±3.84

      • 52週時(平均±SD)

      7.16±3.57

      11.20±4.18

      • 投与前からの変化率(調整平均±SE)

      -39.45±2.43

      0.48±2.50

      • 群間差(両側95%信頼区間)

      -39.93[-47.05, -32.80]

      • P値

      p<0.0001

      肝容積(MN)

      • 投与前(平均±SD)

      1.44±0.32

      1.62±0.50

      • 52週時(平均±SD)

      0.97±0.31

      1.60±0.54

      • 投与前からの変化率(調整平均±SE)

      -28.06±2.49

      -1.47±2.54

      血小板数(×109/L)

      • 投与前(平均±SD)

      107.18±26.93

      115.58±36.27

      • 52週時(平均±SD)

      123.08±25.82

      120.20±43.15

      • 投与前からの変化率(調整平均±SE)

      16.82±3.96

      2.49±4.19

      95%信頼区間及びP値:反復測定混合モデル

      本剤群での副作用は52週までに66.7%(12/18例)に認められ、主な副作用は頭痛44.4%(8/18例)、悪心11.1%(2/18例)、腹痛11.1%(2/18例)、筋骨格系胸痛11.1%(2/18例)、筋肉痛11.1%(2/18例)及び発熱11.1%(2/18例)であった。プラセボ群での副作用は52週までに33.3%(6/18例)に認められ、主な副作用は頭痛16.7%(3/18例)、悪心16.7%(3/18例)、嘔吐11.1%(2/18例)、疲労11.1%(2/18例)、熱感11.1%(2/18例)、血中ビリルビン増加11.1%(2/18例)であった4)

    2. 17.1.2 小児酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症患者を対象とした海外臨床試験

      小児酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症(慢性内臓型及び慢性内臓神経型)患者(1歳~17歳)20例を対象に、本剤を0.03mg/kgから投与開始し、維持用量である3mg/kgまで隔週で漸増して64週間点滴静脈内投与した。投与52週時の予測%一酸化炭素肺拡散能、脾容積、肝容積、血小板数及び身長Zスコアは表3のとおりであり、投与前に対して改善する傾向が認められた。

      表3:主な有効性評価項目の結果

      項目

      本剤投与(20例)

      予測%一酸化炭素肺拡散能 4)

      • 投与前(平均±SD)

      54.79±14.23

      • 投与前からの変化率(調整平均±SE)

      32.94±8.27

      脾容積(MN)

      • 投与前(平均±SD)

      18.98±8.77

      • 投与前からの変化率(調整平均±SE)

      -49.21±1.99

      肝容積(MN)

      • 投与前(平均±SD)

      2.65±0.74

      • 投与前からの変化率(調整平均±SE)

      -40.56±1.67

      血小板数(×109/L)

      • 投与前(平均±SD)

      137.74±62.32

      • 投与前からの変化率(調整平均±SE)

      34.03±7.63

      身長Zスコア

      • 投与前(平均±SD)

      -2.19±0.83

      • 投与前からの変化量(平均±SD)

      0.56±0.39

      4) 5歳を超える測定可能な患者9例で評価された。

      本剤投与による副作用は64週までに65.0%(13/20例)に認められ、主な副作用は発熱40.0%(8/20例)、嘔吐35.0%(7/20例)、頭痛25.0%(5/20例)、悪心20.0%(4/20例)、蕁麻疹20.0%(4/20例)、C-反応性蛋白増加20.0%(4/20例)であった5)

    18. 薬効薬理

    18.1 作用機序

    本剤は、ヒト酸性スフィンゴミエリナーゼの遺伝子組換え製剤であり、脾臓、肝臓、骨髄、肺、腎臓等の単核-マクロファージ系細胞に蓄積するスフィンゴミエリンを加水分解する8) 。本剤は血液脳関門を通過せず、中枢神経系症状の改善は期待されない。

    18.2 効力を裏付ける試験

    本薬を酸性スフィンゴミエリナーゼノックアウトマウスに静脈内投与したところ、肝臓、脾臓、肺、腎臓に蓄積していたスフィンゴミエリンが減少した9)

    19. 有効成分に関する理化学的知見

    一般的名称

    オリプダーゼ アルファ(遺伝子組換え) Olipudase Alfa(Genetical Recombination)

    本質

    オリプダーゼ アルファは遺伝子組換えヒトスフィンゴミエリンホスホジエステラーゼ類縁体であり、ヒトスフィンゴミエリンホスホジエステラーゼの14~583番目のアミノ酸に相当する。オリプダーゼ アルファは、チャイニーズハムスター卵巣細胞により産生される、570個のアミノ酸残基からなる糖タンパク質(分子量:約76,000)である。

    21. 承認条件

    1. 21.1 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
    2. 21.2 国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。

    22. 包装

    1バイアル

    24. 文献請求先及び問い合わせ先

    サノフィ株式会社
    コールセンター くすり相談室

    〒163-1488 東京都新宿区西新宿三丁目20番2号

    フリーダイヤル 0120-109-905

    26. 製造販売業者等

    26.1 製造販売元

    サノフィ株式会社

    〒163-1488 東京都新宿区西新宿三丁目20番2号

    〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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