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劇薬
処方箋医薬品注)
本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
再発又は難治性の急性リンパ性白血病
通常、クロファラビンとして52mg/m2(体表面積)を1日1回2時間以上かけて点滴静注する。これを5日間連日投与し、少なくとも9日間休薬する。これを1クールとして繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
休薬
減量又は中止
好中球数
750/mm3以上に回復するまで休薬すること。
4週以上持続するグレード4の好中球減少症(ANC500/mm3未満)が認められた場合は、次のクールでは用量を25%減らすこと。
グレード3以上の非感染性非血液毒性
グレード1又はベースラインまで回復するまで休薬すること。
投与を中止し、次のクールでは用量を25%減らすこと(グレード3の一過性の肝酵素上昇、制吐剤でコントロールできる嘔気・嘔吐を除く)。
感染症
臨床的にコントロールされるまで休薬すること。
-
注)グレードはNCI-CTCに準じる。
骨髄抑制が増強されるおそれがある。
骨髄抑制により感染症が増悪するおそれがある。,
減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。本剤の血中濃度が上昇することが報告されている。,
肝機能障害が悪化するおそれがある。,
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠中に本剤を使用するか、本剤を使用中の患者が妊娠した場合は、胎児に異常が生じる可能性があることを患者に十分説明すること。動物実験(ラット、ウサギ)で催奇形性及び胚致死作用が認められている1) 。
授乳しないことが望ましい。クロファラビンがヒトの乳汁中に移行するかどうかは不明である。
低出生体重児、新生児、乳児を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
白血球減少(81.7%)、リンパ球減少(84.6%)、血小板減少(81.7%)、貧血(80.0%)、好中球減少(68.7%)等の血液障害、及び発熱性好中球減少症(43.2%)があらわれることがある。
敗血症(3.0%)、肺炎(2.3%)等の感染症(35.6%)があらわれることがある。,
死亡に至った例が報告されているので、患者の状態を十分に観察すること。頻呼吸、頻脈、低血圧、肺水腫など症状がみられた場合には、本剤の投与を直ちに中止し、適切な処置を行うこと。
死亡に至った例が報告されている。
腎不全等の腎機能障害があらわれることがある。
血清中電解質濃度及び腎機能検査を行うなど患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には減量、休薬又は投与を中止し、適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤等の投与、透析等)を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること。
心嚢液貯留(2.3%)、左室機能不全(1.5%)、心不全(0.8%)、QT延長(頻度不明)等の心障害があらわれることがある。
5%以上
1~5%未満
1%未満
頻度不明
心臓障害
頻脈
胃腸障害
悪心(51.5%)、嘔吐(60.6%)、下痢(22.7%)、腹痛
肛門周囲痛、口内炎、口腔内出血、胃腸出血
歯肉出血、膵炎、上腹部痛
口腔内潰瘍形成
一般・全身障害および投与部位の状態
発熱(28.8%)、粘膜の炎症、疲労、悪寒
易刺激性、浮腫、末梢性浮腫、無力症
多臓器不全、疼痛、全身性浮腫、熱感、異常感
代謝および栄養障害
食欲減退
低ナトリウム血症、低カリウム血症
脱水
筋骨格系および結合組織障害
四肢痛
骨痛、背部痛、関節痛、筋肉痛
胸壁痛
頚部痛
神経系障害
頭痛(31.8%)
嗜眠、浮動性めまい、末梢性ニューロパチー
振戦
傾眠、錯感覚
精神障害
不安
激越
精神状態変化
落ち着きのなさ
呼吸器、胸郭および縦隔障害
呼吸困難、咳嗽、鼻出血
呼吸窮迫
頻呼吸
皮膚および皮下組織障害
発疹(22.7%)、手掌・足底発赤知覚不全症候群、そう痒症
紅斑、そう痒性皮疹、脱毛症、皮膚乾燥、多汗症、点状出血
皮膚剥脱、全身性皮疹、全身紅斑、皮膚色素過剰
斑状丘疹性発疹、紅斑性発疹
血管障害
潮紅、低血圧
血腫
感染症および寄生虫症
単純ヘルペス、口腔カンジダ症、菌血症
帯状疱疹
カテーテル関連感染
免疫系障害
過敏症
その他
体重減少
聴力低下、挫傷、血尿
黄疸眼
日本人の再発又は難治性の急性リンパ性白血病患者(3〜16歳)に本剤30又は52mg/m2を1日1回2時間以上かけて点滴静注、5日間連日投与したとき、投与1日目及び5日目の血漿中クロファラビンの薬物動態パラメータ及び濃度推移は以下のとおりであった。Cmax及びAUCは投与量比を上回って増加する傾向を示した。また、投与1日目及び5日目の濃度推移に差は認められなかった。なお、本剤の承認された用量は52mg/m2である6) 。
投与量
パラメータ
投与1日目
投与5日目
30mg/m2
例数
3
2
Cmax(ng/mL)
221.3±14.74
236.5±79.90
Tmax(h)
1.822±0.019
1.925±0.012
AUC0-t(ng*h/mL)注1)
911.2±273.6(AUC0-24h)
645.0±255.9(AUC0-10h)
CL(L/h/m2)
33.16±8.49
46.08±16.70
T1/2(h)
5.823±2.476
2.459±0.056
52mg/m2
4
683.5±120.4
598.8±180.1
1.917±0.113
1.975±0.087
2358.2±436.8(AUC0-24h)
1462.8±251.5(AUC0-10h)
22.42±4.73
33.92±5.27
3.933±0.592
1.977±0.225
クロファラビンのヒト血漿蛋白結合率は20、200及び2000ng/mLで、それぞれ11.8、20.2及び21.1%であった7) (in vitro試験)。クロファラビンのヒト血球/血漿分配係数は20、200及び2000ng/mLで、1.99〜2.37であった8) (in vitro試験)。
日本人の再発又は難治性の急性リンパ性白血病患者(3〜16歳)に本剤52mg/m2を1日1回2時間以上かけて点滴静注、5日間連日投与したとき、血漿中において、未変化体曝露量(Cmax及びAUC)に対する代謝物6-ケトクロファラビン曝露量の相対比率は3%未満であった。単離ヒト肝細胞又は肝ミクロソームを用いたin vitro試験において、クロファラビンはほとんど代謝されなかった9),10) 。
日本人の再発又は難治性の急性リンパ性白血病患者(3〜16歳)に本剤52mg/m2を1日1回2時間以上かけて点滴静注、5日間連日投与したとき、初回投与24時間後までに投与量の85.2%が未変化体として尿中に排泄された6) 。このとき、投与1日目の腎クリアランス(CLr)の平均値は24.48L/hと推定され、ヒトの糸球体濾過量を上回っていたことから、クロファラビンは糸球体濾過と尿細管分泌の両方の機序によって腎排泄されることが示唆された。
腎機能障害のある患者におけるクロファラビンの薬物動態を検討するための臨床試験は実施していないが、外国人の白血病患者(2〜21歳、クレアチニンクリアランス90mL/min以上)においてクレアチニンクリアランスの低下に伴いクロファラビンの曝露量(AUC)が上昇する傾向が認められた。なお、成人のデータに基づくシミュレーションの結果、中等度の腎機能障害のある患者(クレアチニンクリアランス30mL/min以上60mL/min未満)での曝露量(AUC)は、腎機能が正常な患者(クレアチニンクリアランス90mL/min以上)の約2倍に上昇すると推定された11) 。
肝機能障害のある患者におけるクロファラビンの薬物動態を検討するための臨床試験は実施していない。
複数レジメンによる治療歴を有する再発又は難治性の急性リンパ性白血病患者(1歳以上21歳以下)を対象とした第I相臨床試験において、7名の患者(3〜16歳)に1日用量30又は52mg/m2(それぞれ3及び4例)を注2) 2時間以上かけて点滴静注した結果(2〜6週毎に、5日間連日投与を1クールとして、最大2クールまで投与した注3) )、完全寛解(CR又はCRp)注4) のみならず部分寛解(PR)注5) に達した患者はいなかった6) 。主な副作用は、AST上昇、ALT上昇各5例(各71.4%)、貧血、悪心、嘔吐、食欲減退各4例(各57.1%)であった。
複数レジメンによる治療歴を有する再発又は難治性の急性リンパ性白血病患者(初回診断時21歳以下)を対象とした第II相臨床試験成績(1日用量52mg/m2を2時間以上かけて点滴静注する。2〜6週毎に、5日間連日投与を1クールとして、最大12クールまで投与した。)は以下のとおりであった12),13) 。
米国第II相試験(CLO-212試験)(61例、1~20歳注7) )
欧州第II相試験(BIOV-111試験)(71例、0~22歳注7) )
CR(例数、%)
7(11.5)
3(4.2)
CR+CRp(例数、%)
12(19.7)
15(21.1)
寛解(CR+CRp)持続期間注6) (週)[95%信頼区間]
32[9.7~47.9]
27.1[13.1~上限推定不能]
造血幹細胞移植日を打ち切り日とした寛解(CR+CRp)持続期間(週)[95%信頼区間]
11.7[6.1~47.9]
27.3[13.1~上限推定不能]
米国第II相試験(CLO-212試験)における主な副作用は、悪心34例(55.7%)、嘔吐33例(54.1%)及び発熱性好中球減少症26例(42.6%)であった。また、欧州第II相試験(BIOV-111試験)における主な副作用は、嘔吐47例(66.2%)、悪心34例(47.9%)、発熱性好中球減少症31例(43.7%)、頭痛30例(42.3%)、発熱25例(35.2%)であった。
**再発又は難治性の急性リンパ性白血病患者を対象とした本剤の単独投与における有効性に関する情報を収集した特定使用成績調査において、20例中2例に寛解(CR1例、PR1例)注8) が認められた14) 。
**再発又は難治性の急性リンパ性白血病患者を対象としたシクロホスファミド水和物(シクロホスファミド無水物として400mg/m2)、エトポシド(150mg/m2)の併用投与における有効性に関する情報を収集した特定使用成績調査において、有効率注8) は58.8%(20/34例)(95%信頼区間[40.70-75.35])であった14) 。
クロファラビンは、デオキシシチジンキナーゼ(dCK)によりクロファラビン三リン酸に変換され、DNAポリメラーゼαを阻害することで、DNAの合成を阻害する。また、クロファラビンはリボヌクレオチドレダクターゼを阻害することで、細胞内のデオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTP)を枯渇させ、DNAの合成を阻害する15) 。クロファラビンは、ミトコンドリアに作用し、チトクロームC及び他のアポトーシス誘導因子を介して、アポトーシスを誘導する16) 。
クロファラビンは、ヒト急性リンパ性白血病細胞株を皮下に移植したマウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した17) 。
クロファラビン(Clofarabine)
2-chloro-9-(2-deoxy-2-fluoro-β-D-arabino-furanosyl)-9H-purin-6-amine
C10H11ClFN5O3
303.68
本品は白色~微黄色の固体である。
20mL×1バイアル
1) 社内資料:ラット及びウサギを用いた生殖発生毒性試験(2013年3月25日承認、CTD2.6.6.6)
2) 社内資料:細菌を用いたin vitro復帰突然変異試験(2013年3月25日承認、CTD2.6.6.4)
3) 社内資料:哺乳動物細胞を用いたin vitro染色体異常試験(2013年3月25日承認、CTD2.6.6.4)
4) 社内資料:ラットを用いたin vivo小核試験(2013年3月25日承認、CTD2.6.6.4)
5) 社内資料:ラット及びイヌを用いた反復投与毒性試験(2013年3月25日承認、CTD2.6.6.3)
6) 社内資料:国内試験:第I相臨床試験(2013年3月25日承認、CTD2.7.6.1)
7) 社内資料:in vitro蛋白結合試験(2013年3月25日承認、CTD2.6.4.4)
8) 社内資料:in vitro血球移行性試験(2013年3月25日承認、CTD2.6.4.4)
9) 社内資料:ヒト単離肝細胞を用いたin vitro CYP450誘導試験(2013年3月25日承認、CTD2.6.4.7)
10) 社内資料:ヒト肝ミクロソームを用いたin vitro CYP450阻害試験(2013年3月25日承認、CTD2.6.4.7)
11) 社内資料:母集団薬物動態解析(2013年3月25日承認、CTD2.7.2.3)
12) Jeha S, et al.:J Clin Oncol. 2006;24(12):1917-23
13) 社内資料:海外試験:第II相臨床試験(2013年3月25日承認、CTD2.7.6.3、2.7.6.5)
14) **Kazama H, et al.:Jpn J Clin Oncol. 2024;54(7):778-86
15) Xie K C, et al.:Cancer Res. 1996;56(13):3030-7
16) Genini D, et al.:Blood. 2000;96(10):3537-43
17) 社内資料:マウスを用いた抗腫瘍効果(2013年3月25日承認、CTD2.6.2.2)
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