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毒薬
処方箋医薬品注)
好中球減少症、発熱性好中球減少症、貧血等の重篤な骨髄抑制があらわれ、その結果重症感染症等により死亡に至る例が報告されている。本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、下記の患者には投与しない等、適応患者の選択を慎重に行うこと。
治療の開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。,,,,,,
前立腺癌
プレドニゾロンとの併用において、通常、成人に1日1回、カバジタキセルとして25mg/m2(体表面積)を1時間かけて3週間間隔で点滴静注する。なお、患者の状態により適宜減量すること。
副作用(GradeはNCI-CTCAEによる)
処置
適切な治療にも関わらず持続するGrade3以上の好中球減少症(1週間以上),
好中球数が1,500/mm3を超えるまで休薬し、その後、用量を20mg/m2に減量して投与を再開する。
発熱性好中球減少症又は好中球減少性感染,,
症状が回復又は改善し、好中球数が1,500/mm3を超えるまで休薬し、その後、用量を20mg/m2に減量して投与を再開する。
Grade3以上の下痢、又は水分・電解質補給等の適切な治療にも関わらず持続する下痢
症状が回復又は改善するまで休薬し、その後、用量を20mg/m2に減量して投与を再開する。
Grade3以上の末梢性ニューロパチー
投与を中止する。
Grade2の末梢性ニューロパチー
用量を20mg/m2に減量する。
骨髄抑制が増悪し、重症感染症等を併発するおそれがある。,,
特にG-CSF製剤の予防投与(一次予防)を考慮すること。重篤な骨髄抑制が高頻度にあらわれるおそれがある。
症状を増悪させるおそれがある。
浮腫を増悪させるおそれがある。
本剤を投与する場合には問診により適切かどうか判断すること。本剤の添付溶解液はエタノールを含有するため、アルコールの中枢神経系への影響が強くあらわれるおそれがある。
投与しないこと。本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。肝機能障害を有する患者に本剤を投与した場合、好中球減少症、敗血症等による死亡例を含む重篤な副作用の発現や副作用の増悪が認められている。,,
生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には性腺に対する影響を考慮すること。動物実験(マウス、ラット、イヌ)において精巣毒性が認められている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
副作用の発現に注意すること。海外第3相臨床試験において、65歳以上の患者では、それ以外の患者に比べ疲労、好中球減少症、無力症、発熱、浮動性めまい、尿路感染、脱水等の副作用が、またGrade3以上では好中球減少症及び発熱性好中球減少症等の副作用が多く認められた。国内第1相臨床試験において、65歳以上の患者では、それ以外の患者に比べ末梢性浮腫、嘔吐、腹部膨満等の副作用が、またGrade3以上では悪心、発熱性好中球減少症、血小板減少症、食欲減退等の副作用が多く認められた。,
本剤の血中濃度が上昇し、副作用が強くあらわれるおそれがあるので、併用は避け、代替の治療薬への変更を考慮することが望ましい。併用が必要な場合は副作用の発現に十分注意し、本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察すること。
これら薬剤の強いCYP3A阻害作用により、本剤の代謝が阻害されると考えられる。
本剤の血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがあるので、併用は避け、代替の治療薬への変更を考慮することが望ましい。
これら薬剤の強いCYP3A誘導作用により、本剤の代謝が促進されると考えられる。
好中球減少症(30.1%)、発熱性好中球減少症(12.5%)、貧血(10.6%)、白血球減少症(7.0%)、リンパ球減少症(0.2%)、血小板減少症(5.5%)等の骨髄抑制があらわれ、その結果、好中球減少性敗血症(0.7%)、敗血症性ショック(0.7%)等を併発する例も報告されている。発熱性好中球減少症が発現した場合は、適切な抗生剤の使用について、最新のガイドライン等を参考にすること。特に、体表面積の小さい患者及び高齢者では、好中球減少症、発熱性好中球減少症等の骨髄抑制の発現頻度が高かったとの報告がある。,,,
腎不全等の重篤な腎障害があらわれることがある。
消化管出血、消化管穿孔、イレウス、重篤な腸炎等があらわれることがある。
電解質異常、脱水等の異常が認められた場合には、減量、休薬又は投与を中止する等、適切な処置を行うこと。
敗血症、肺炎等の感染症があらわれることがある。感染症が発症又は増悪した場合には、直ちに抗生剤の投与等の適切な処置を行うこと。
血小板数、血清FDP値、血漿フィブリノゲン濃度等の血液検査に異常が認められた場合には投与を中止する等、適切な処置を行うこと。
肺臓炎(頻度不明)、急性呼吸窮迫症候群(頻度不明)等があらわれることがある。
20%以上
5~20%未満
1~5%未満
1%未満
頻度不明
免疫系
過敏症
代謝・栄養系
食欲減退
脱水
精神系
不眠症
神経系
味覚異常
浮動性めまい、錯感覚、頭痛、嗜眠、感覚鈍麻
眼
流涙増加
血管
低血圧、潮紅、起立性低血圧
高血圧、ほてり
呼吸器
呼吸困難、咳嗽
口腔咽頭痛
消化器
悪心
嘔吐、便秘
腹痛、消化不良、上腹部痛、口内炎、胃食道逆流性疾患、口内乾燥、腹部膨満、歯周病
痔核、口腔内痛
皮膚
脱毛症
皮膚乾燥、爪の障害、発疹、紅斑
筋骨格系
筋痙縮、四肢痛、筋力低下、関節痛、筋肉痛
筋骨格痛、背部痛
腎臓・泌尿器
血尿、排尿困難
尿失禁、出血性膀胱炎、水腎症、尿閉
全身
疲労
無力症
粘膜の炎症、発熱、倦怠感、インフルエンザ様疾患
疼痛
臨床検査
体重減少、AST上昇、ALT上昇
ヘモグロビン減少、トランスアミナーゼ上昇、体重増加、γ-GTP上昇、血中ビリルビン増加
その他
Radiation Recall現象
日本人前立腺癌患者にカバジタキセル20mg/m2あるいは25mg/m2を1時間で点滴静脈内投与注8) したとき、カバジタキセルの血漿中濃度プロファイルは三相性を示し、3-コンパートメントモデルにより薬物動態解析を行った4) 。
用量(mg/m2)
Cmax(ng/mL)
AUC(ng・h/mL)
t1/2α注7)(分)
t1/2β注7)(時間)
t1/2γ注7)(時間)
CL(L/h/m2)
20
274(23%)
1040(26%)
2.8(32%)
1.46(29%)
116(25%)
20.2(31%)
25
238(61%)
926(23%)
3.4(39%)
1.70(39%)
113(25%)
28.5(25%)
外国人進行性固形癌(前立腺癌を含む)患者にカバジタキセル10~30mg/m2を投与注8) したとき、曝露量はほぼ用量に比例して増加した5) 。
日本人前立腺癌患者にカバジタキセル20及び25mg/m2を1時間で点滴静脈内投与注8) したときの定常状態におけるVssは2220及び3410L/m2であった4) 。
In vitroにおけるヒト血漿中の蛋白結合率は89~92%であり、50000ng/mLまで飽和しなかった。カバジタキセルは主にヒト血清アルブミン(82.0%)及びリポ蛋白(HDL:87.9%、LDL:69.8%、VLDL:55.8%)と結合した6) 。In vitroのヒト血液の血液/血漿濃度比は0.90~0.99であった7) 。
カバジタキセルは肝臓で広範に代謝され、主にCYP3Aの寄与率は80~90%であった8) (in vitro)。
外国人固形腫瘍患者4例に14C-カバジタキセル25mg/m2を1時間で点滴静脈内投与した。ヒト血漿中には大部分がカバジタキセルとして存在した。ヒト血漿中ではカバジタキセル以外に7種の代謝物(3種の活性代謝物含む)が検出されたが、最も多い代謝物でも未変化体の5%程度であった。ヒトの尿中及び糞中には約20種の代謝物が排泄された8) 。
外国人固形腫瘍患者4例に14C-カバジタキセル25mg/m2を1時間で点滴静脈内投与したとき、投与量の約80%が2週間以内に排泄された。カバジタキセルは主に代謝物として糞中に排泄された(投与量の76%)。一方、尿中排泄は3.7%以下であり、2.3%が未変化体であった9) 。
カバジタキセルの腎臓からの排泄は少ない(投与量の2.3%)。外国人進行性固形癌(前立腺癌を含む)患者における母集団薬物動態解析(170例)で、軽度の腎障害患者(CLcr:50~80mL/min、59例)から中等度の腎障害患者(CLcr:30~50mL/min、14例)では腎機能正常患者と比べ薬物動態に大きな影響はみられなかった10) 。また、程度の異なる腎障害を有する外国人進行性固形腫瘍患者(腎機能正常患者(CLcr:>80mL/min/1.73m2、8例)、中等度の腎障害患者(CLcr:30~50mL/min/1.73m2、8例)ならびに重度の腎障害患者(CLcr:<30mL/min/1.73m2、8例))を対象に、本剤を25mg/m2まで複数サイクル投与した薬物動態試験における本剤のクリアランスはそれぞれ33.5L/h/m2、28.9L/h/m2及び29.6L/h/m2であった。なお、末期腎障害患者(CLcr:<15mL/min/1.73m2)における十分なデータは得られていない。
カバジタキセルは主にCYP3Aで代謝される。外国人進行性固形癌患者に、強力なCYP3A阻害剤であるケトコナゾール注9) (400mg1日1回)を反復併用投与したとき、カバジタキセルのクリアランスが20%低下した。この低下はAUCの25%の増加に相当する11) 。,
外国人進行固形癌患者に強力なCYP3A誘導剤であるリファンピシン(600mg1日1回)を反復併用投与したとき、カバジタキセルのクリアランスが21%増加した。この増加はAUCの17%の減少に相当する11) 。
外国人進行性固形癌患者に中等度のCYP3A阻害剤であるアプレピタントと併用したとき、カバジタキセルのクリアランス及び曝露量に影響は認められなかった11) 。
CYP3Aの基質であるミダゾラムと本剤(25mg/m2を1時間で単回点滴静脈内投与)を外国人固形癌患者に併用した臨床試験において、本剤はミダゾラムの薬物動態に影響を及ぼさなかった12) 。
カバジタキセルはin vitroにおいてP-糖蛋白の基質であり、また、OATP1B1の阻害作用を示した13) 。
ドセタキセルによる化学療法歴を有する去勢抵抗性前立腺癌患者を対象に、非盲検法による第1相臨床試験で、プレドニゾロン10mg/日(5mgを2回又は10mgを1回)経口投与との併用で、本剤25mg/m2が投与された。腫瘍縮小効果奏効率は16.7%(2/12例)、PSA奏効率(PSA値がベースラインから50%以上低下した患者の割合)は29.3%(12/41例)であった14) 。本剤25mg/m2を投与された44例中、44例(100%)に副作用が認められた。主な副作用(全Grade)は好中球減少症44例(100%)、発熱性好中球減少症24例(54.5%)、疲労24例(54.5%)、悪心21例(47.7%)、下痢20例(45.5%)、食欲減退16例(36.4%)、貧血13例(29.5%)、味覚異常12例(27.3%)等であった。このうちGrade3以上の主な副作用は、好中球減少症44例(100%)、発熱性好中球減少症24例(54.5%)、貧血11例(25.0%)等であった14) 。
全Grade
Grade3以上
好中球減少
44/44(100%)
貧血
21/44(47.7%)
白血球減少
42/44(95.5%)
リンパ球減少
39/44(88.6%)
23/44(52.3%)
血小板減少
32/44(72.7%)
3/44(6.8%)
ドセタキセルによる化学療法歴を有する去勢抵抗性前立腺癌患者を対象注12) にプレドニゾン注13) 又はプレドニゾロン10mg/日(投与回数の規定なし)併用下に、本剤25mg/m2又は対照薬のミトキサントロン注14) 12mg/m2を投与して、非盲検法による第3相臨床試験で本剤の有効性及び安全性を比較検討した(本剤群378例、対照薬群377例)。本試験の投与期間は最大10サイクルとされた。主要評価項目である全生存期間の最終解析の結果、中央値は、本剤群で15.1ヵ月、対照群で12.7ヵ月であり、本剤群のOSは対照群と比較して有意に延長した(ハザード比0.70、95%信頼区間:0.59-0.83、p値<0.0001、層別ログランク検定)。また、総ビリルビンが各施設基準値上限以上の患者、及びALT/ASTが各施設基準値上限の1.5倍以上の患者は除外された15) 。
本剤投与群の安全性評価対象371例中、313例(84.4%)に副作用が認められた。主な副作用(全Grade)は、下痢135例(36.4%)、疲労110例(29.6%)、悪心106例(28.6%)、好中球減少症81例(21.8%)、嘔吐57例(15.4%)、無力症57例(15.4%)、食欲減退46例(12.4%)、味覚異常38例(10.2%)等であった。このうちGrade3以上の主な副作用は好中球減少症79例(21.3%)、発熱性好中球減少症28例(7.5%)、下痢19例(5.1%)、白血球減少症14例(3.8%)、疲労14例(3.8%)等であった16) 。,
347/369(94.0%)
303/369(82.1%)
361/369(97.8%)
39/369(10.6%)
355/369(96.2%)
253/369(68.6%)
325/367(88.6%)
125/367(34.1%)
176/369(47.7%)
15/369(4.1%)
カバジタキセルはチューブリンの重合を促進し、微小管を安定化することにより細胞分裂を阻害する17) 。
カバジタキセルはヒト前立腺癌由来癌DU145細胞株を移植したマウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用又は腫瘍の退縮が認められた18) 。また、カバジタキセルは、ドセタキセルに耐性を示すヒト腫瘍由来細胞株を移植したマウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用が認められた19) 。
カバジタキセル アセトン付加物(Cabazitaxel Acetonate)
(1S, 2S, 3R, 4S, 5R, 7S, 8S, 10R, 13S)-4-Acetoxy-2-benzoyloxy-5, 20-epoxy-1-hydroxy-7, 10-dimethoxy-9-oxotax-11-ene-13-yl(2R, 3S)-3-(1, 1-dimethylethyl)oxycarbonylamino-2-hydroxy-3-phenylpropanoate monoacetonate
C45H57NO14・C3H6O
894.01
本品は白色の粉末である。アセトン又はジクロロメタンに溶けやすく、無水エタノールにやや溶けやすく、水にほとんど溶けない。
1.5mL×1バイアル(添付溶解液 4.5mL×1バイアル)
1) 社内資料:ラットを用いた反復投与毒性試験(2014年7月4日承認、CTD2.6.6.3及び2.6.6.9)
2) 社内資料:遺伝毒性試験(2014年7月4日承認、CTD2.6.6.4)
3) 社内資料:マウスを用いた神経毒性試験(2014年7月4日承認、CTD2.6.6.2)
4) 社内資料:日本人前立腺癌患者における薬物動態(2014年7月4日承認、CTD2.7.2.2)
5) 社内資料:薬物動態(用量比例性)(2014年7月4日承認、CTD2.7.2.3)
6) 社内資料:薬物動態(分布)(2014年7月4日承認、CTD2.7.2.2)
7) 社内資料:薬物動態(血液/血漿分配)(2014年7月4日承認、CTD2.7.2.2)
8) 社内資料:薬物動態(代謝)(2014年7月4日承認、CTD2.7.2.2)
9) 社内資料:薬物動態(排泄)(2014年7月4日承認、CTD2.7.2.2)
10) 社内資料:母集団薬物動態解析(腎障害患者)(2014年7月4日承認、CTD2.7.2.3)
11) 社内資料:薬物相互作用(CYP3A阻害剤及び誘導剤の影響)
12) 社内資料:薬物相互作用(ミダゾラムの影響)(2014年7月4日承認、CTD2.7.2.2)
13) 社内資料:OATP1B1の基質に対するカバジタキセルの影響(2014年7月4日承認、CTD2.7.2.2)
14) 社内資料:国内第1相臨床試験(2014年7月4日承認、CTD2.7.6.2及びCTD2.7.4.2)
15) de Bono J S, et al.:Lancet. 2010;376(9747):1147-54
16) 社内資料:海外第3相臨床試験(2014年7月4日承認、CTD2.7.4.2)
17) 社内資料:カバジタキセル作用機序に関する検討(2014年7月4日承認、CTD2.6.2.2)
18) 社内資料:ヒト前立腺癌由来細胞株移植マウスモデルにおける抗腫瘍効果(2014年7月4日承認、CTD2.6.2.2)
19) 社内資料:ドセタキセル耐性腫瘍細胞株移植マウスモデルにおける抗腫瘍効果(2014年7月4日承認、CTD2.6.2.2)
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