医療用医薬品 詳細表示

ロコルナール錠50mg/ロコルナール錠100mg

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
6.用法及び用量
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.3肝機能障害患者
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
9.8高齢者
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
13.過量投与
14.適用上の注意
15.その他の注意
15.1臨床使用に基づく情報
16.薬物動態
16.1血中濃度
16.5排泄
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
18.薬効薬理
18.1作用機序
18.2冠血流量増加作用
18.3前負荷減少作用
18.4後負荷減少作用
18.5心機能維持作用
18.6抗動脈硬化作用
18.7血小板凝集抑制作用
18.8トロンボキサンA2及びプロスタサイクリンに対する作用
18.9脂質代謝改善作用
18.10赤血球変形能亢進作用
19.有効成分に関する理化学的知見
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

ロコルナール錠50mg/ロコルナール錠100mg

添付文書番号

2171012F1181_1_02

企業コード

790005

作成又は改訂年月

2023年4月改訂(第1版)

日本標準商品分類番号

872171

薬効分類名

循環機能改善剤

承認等

ロコルナール錠50mg

販売名コード

YJコード

2171012F1181

販売名英語表記

ROCORNAL Tablets 50mg

販売名ひらがな

ろこるなーるじょう50mg

承認番号等

承認番号

21900AMX00751000

販売開始年月

1979年4月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

5年

ロコルナール錠100mg

販売名コード

YJコード

2171012F2315

販売名英語表記

ROCORNAL Tablets 100mg

販売名ひらがな

ろこるなーるじょう100mg

承認番号等

承認番号

15600AMZ00232000

販売開始年月

1981年9月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

5年

一般的名称

トラピジル

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 頭蓋内出血発作後、止血が完成していないと考えられる患者[本剤は血小板凝集抑制作用を有する。]
  2. 2.2 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

3. 組成・性状

3.1 組成

ロコルナール錠50mg

有効成分1錠中 日局 トラピジル   50mg
添加剤D-マンニトール、ヒドロキシプロピルスターチ、結晶セルロース、カルメロースカルシウム、ステアリン酸マグネシウム、バレイショデンプン、白糖、ゼラチン、アラビアゴム末、沈降炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール、白色セラック、ヒプロメロース、ヒマシ油、カルナウバロウ、青色1号アルミニウムレーキ

ロコルナール錠100mg

有効成分1錠中 日局 トラピジル   100mg
添加剤結晶セルロース、カルメロースカルシウム、ステアリン酸マグネシウム、バレイショデンプン、ヒプロメロース、マクロゴール400、マクロゴール6000、ヒドロキシプロピルセルロース、酸化チタン

3.2 製剤の性状

ロコルナール錠50mg

識別コードMO283
性状淡青色の糖衣錠
外形(mm)
重量(mg)200

ロコルナール錠100mg

識別コードMO284
性状白色のフィルムコーティング錠
外形(mm)
重量(mg)155

4. 効能又は効果

  • 狭心症

6. 用法及び用量

  • ロコルナール錠50mg

    通常、成人には1回2錠、1日3回経口投与する。なお、症状により適宜増減する。

  • ロコルナール錠100mg

    通常、成人には1回1錠、1日3回経口投与する。なお、症状により適宜増減する。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.3 肝機能障害患者

副作用が発現しやすくなる。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。動物実験(マウス)で、高用量において胎児の発育遅延が認められている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で、乳汁中への移行が認められている。

9.7 小児等

小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。

11. 副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

11.1 重大な副作用

  1. 11.1.1 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)
  2. 11.1.2 肝機能障害(頻度不明)、黄疸(頻度不明)

    AST・ALT・γ-GTP上昇等の肝機能障害、黄疸があらわれることがある。

11.2 その他の副作用

1%以上

1%未満

頻度不明

過敏症

発疹・発赤、そう痒感等

肝臓

AST・ALTの上昇、総ビリルビンの上昇等

消化器

嘔気、食欲不振

胃重感、胃部不快感、便秘

胃部膨満感、嘔吐、腹痛、下痢、口渇、口内炎等

精神神経系

頭痛、めまい、頭部不快感

眠気、しびれ感、不眠、筋肉・関節痛等

循環器

胸部圧迫感、心悸亢進、頻脈、徐脈、血圧低下、胸部不快感、不整脈等

血液

白血球減少、赤血球減少、血小板減少、好酸球増多、出血傾向等

その他

味覚異常、顔面潮紅、発熱、悪寒・戦慄、倦怠感、気分不良、発汗、女性化乳房、呼吸困難、リンパ節腫脹、疼痛、浮腫

13. 過量投与

  1. 13.1 症状

    本剤の大量服用(トラピジルとして15g)で、重症ショック(昏睡状態、頻回の嘔吐、全身痙攣、血圧低下、呼吸困難、四肢冷感等)があらわれたとの報告がある1)

  2. 13.2 処置

    直ちに胃腸洗浄、強制利尿等の医薬品中毒に対する一般処置を行った後、吸着型血液浄化法(DHP)と血液透析を併用して行ったところ、臨床所見の急速な改善が認められたとの報告がある。また、本剤では、循環虚脱に対する処置が重要と考えられている1)

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意

PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報

膠原病及び類似の疾患の患者に本剤を投与したところ、副作用の発現頻度が高かったので、これらの患者には投与しないことが望ましいとの報告がある。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度

健康成人男性5例に本剤100mgを単回経口投与すると、血中濃度は速やかに上昇して2時間後に最高値を示した。以後、ゆるやかに減少し、6時間後にはピーク時の約1/2、12時間後にはほぼ消失した。

16.5 排泄

健康成人男性8例に本剤300mgを単回経口投与後、尿中には主に代謝産物が検出された。また、投与後72時間までに投与量の約30%が尿中に排泄された。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験

  1. 17.1.1 国内第Ⅲ相試験(プラセボとの比較)

    虚血性心疾患患者34例を対象として、プラセボと2週ごとのcross-over法による二重盲検試験を実施した。本剤300mg/日又はプラセボを1日3回に分け経口投与した。その結果、自覚症状、医師の印象、心電図、総合判定において、いずれもプラセボに対し有意差が認められ、本剤が優れていると判定された。また、発作回数においても、プラセボに対し有意な減少が認められた。
    本剤投与による副作用は認められなかった2)

  2. 17.1.2 国内第Ⅲ相試験(プロプラノロールとの比較)

    狭心症患者38例を対象として、プロプラノロールと4週ごとのcross-over法による二重盲検試験を実施した。本剤は300mg/日を、プロプラノロールは60mg/日をそれぞれ1日3回に分け経口投与した。その結果、自覚症状、心電図所見、有用度等のいずれにおいても同等の効果を示した。特に、本剤がプロプラノロールより有効であった対象は、60歳未満、心拍数75/分未満及び拡張期血圧90mmHg以上の症例であった。これは本剤の陽性の変力・変周期作用と拡張期血圧低下作用によるものと考えられる。
    本剤投与による副作用は認められなかった3)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序

血小板におけるトロンボキサンA2の合成及び作用を抑制するとともに、血管におけるプロスタサイクリンの産生を促進し、抗血小板作用及び血管拡張作用を発揮する4),5),6),7),8),9)。また、抗PDGF(血小板由来成長因子)作用により動脈硬化の進展を抑制する10),11)

18.2 冠血流量増加作用

  1. 18.2.1 冠血流量を増加させ、冠動・静脈酸素較差を減少させる12),13),14),15),16),17),18)(胸痛症候群患者、虚血性心疾患患者、ラット、イヌ、ミニブタ)。
  2. 18.2.2 ニトログリセリンと同様に、比較的太い血管に作用し、虚血部の血流を改善する4),15),19)(ラット、イヌ、ブタ)。
  3. 18.2.3 側副血行路の形成促進作用を有する20)(イヌ)。

18.3 前負荷減少作用

ニトログリセリンに類似した静脈拡張作用を有し、静脈圧を低下させる21),22),23)(健康成人男性、虚血性心疾患患者、イヌ)。

18.4 後負荷減少作用

末梢血管抵抗減少に基づく緩和な降圧作用を有する13),16),17),18),21),22)(胸痛症候群患者、虚血性心疾患患者、イヌ、ミニブタ)。

18.5 心機能維持作用

  1. 18.5.1 陽性の変力・変周期作用を有し、心機能維持作用を示す。また、この作用はプロプラノロールにより遮断されず、心筋への直接作用と考えられる12),13),14),15),16),17),18),21),22),24)(胸痛症候群患者、虚血性心疾患患者、ラット、イヌ、ミニブタ)。
  2. 18.5.2 労作性狭心症患者の運動耐容能を増加させる25)。しかも、虚血性心疾患患者において、心機能維持作用を有する26),27)
  3. 18.5.3 虚血性心疾患患者において、プロプラノロールとの併用により運動耐容能の増加、心筋酸素消費量の減少が認められ、しかもプロプラノロールにより低下傾向を示す心機能を改善する24)

18.6 抗動脈硬化作用

抗PDGF作用により動脈硬化の進展を抑制する10),11)(ラット、in vitro)。

18.7 血小板凝集抑制作用

ADP、アドレナリン、コラーゲン、アラキドン酸、トロンビン等による血小板凝集を抑制する4),28),29),30)(動脈硬化性疾患患者、in vitro)。

18.8 トロンボキサンA2及びプロスタサイクリンに対する作用

  1. 18.8.1 強力な血管収縮作用及び血小板凝集作用を有するトロンボキサンA2の合成及び作用を抑制するとともに、強力な血管拡張作用及び血小板凝集抑制作用を有するプロスタサイクリンの産生を促進する4),5),6),7),8),9)(虚血性心疾患患者、ラット、ウサギ、in vitro)。
  2. 18.8.2 トロンボキサンA2の合成及び作用の抑制、プロスタサイクリンの産生促進により、虚血性心疾患患者の血管攣縮の抑制21)が認められる。

18.9 脂質代謝改善作用

HDL-コレステロールの上昇作用、LDL-コレステロールの減少作用を有し、脂質代謝を改善する31),32),33),34)(低HDL-コレステロール血症患者、高脂血症患者、マウス、ラット、ハムスター、ウズラ)。

18.10 赤血球変形能亢進作用

赤血球内のATP含量を高めることにより赤血球変形能を亢進させ、微小循環における赤血球の通過性を高める28)(ラット、in vitro)。

19. 有効成分に関する理化学的知見

一般的名称

トラピジル(Trapidil)

化学名

7-Diethylamino-5-methyl[1,2,4]triazolo[1,5-α]pyrimidine

分子式

C10H15N5

分子量

205.26

性状

白色~微黄白色の結晶性の粉末である。水又はメタノールに極めて溶けやすく、エタノール(95)、無水酢酸又は酢酸(100)に溶けやすく、ジエチルエーテルにやや溶けにくい。

化学構造式

融点

101~105℃

22. 包装

  • ロコルナール錠50mg

    PTP:100錠(10錠×10)

  • ロコルナール錠100mg

    PTP:100錠(10錠×10)、1,000錠(10錠×100)

23. 主要文献

1) 斎藤 徹 他:日本救急医学会関東地方会雑誌. 1984;5(2):674-678

2) 水野 康 他:基礎と臨床. 1976;10(6):1427-1443

3) 加藤和三 他:基礎と臨床. 1977;11(11):3221-3237

4) 大西治夫 他:日薬理誌. 1980;76(6):495-503

5) Suzuki, Y. et al.:Prostaglandins Leukot. Med. 1982;9(6):685-695

6) Kawamura, T. et al.:Prostaglandins Med. 1980;5(2):113-121

7) 大西治夫 他:動脈硬化. 1979;7(2):407-415

8) 後藤義一 他:薬理と治療. 1981;9(9):3647-3652

9) 鴨井久司 他:医学と薬学. 1983;9(4):1185-1188

10) Ohnishi, H. et al.:Life Sci. 1981;28(14):1641-1646

11) Ohnishi, H. et al.:Life Sci. 1982;31(23):2595-2602

12) Füller, H. et al.:Pharmazie. 1971;26(9):554-562

13) Koretsune, Y. et al.:Jpn. Circ. J. 1983;47(4):391-399

14) Takahashi, M. et al.:Arzneim.-Forsch. 1982;32(1):214-218

15) 大西治夫 他:日薬理誌. 1975;71(7):727-738

16) 岳中典男 他:応用薬理. 1974;8(3):339-348

17) Oguro, K. et al.:Arzneim.-Forsch. 1974;24(6):911-914

18) 原岡昭一 他:臨牀と研究. 1976;53(3):833-840

19) Noguchi, K. et al.:J. Pharmacol. Exp. Ther. 1981;219(3):809-814

20) 伊藤千尋 他:応用薬理. 1978;16(3):465-471

21) 矢部喜正:脈管学. 1981;21(3):189-199

22) 藤山増昭 他:臨牀と研究. 1981;58(8):2637-2642

23) Noguchi, K. et al.:J. Cardiovasc. Pharmacol. 1983;5(5):768-772

24) 伊藤 敬 他:呼吸と循環. 1983;31(5):541-547

25) 岡島智志 他:臨床薬理. 1981;12(1):61-71

26) 佐藤磐男 他:基礎と臨床. 1980;14(10):3039-3049

27) 森田慶治 他:臨牀と研究. 1982;59(11):3819-3826

28) 小雀浩司 他:東邦医会誌. 1979;26(6):674-685

29) 永川祐三 他:動脈硬化. 1982;10(2):313-321

30) 今岡真義 他:血液と脈管. 1982;13(2):299-303

31) 仮屋純人 他:新薬と臨牀. 1981;30(2):327-334

32) 姉崎 寛 他:新薬と臨牀. 1980;29(6):946-950

33) 大西治夫 他:日薬理誌. 1980;76(6):469-477

34) 大西治夫 他:動脈硬化. 1980;8(3):579-585

24. 文献請求先及び問い合わせ先

持田製薬株式会社 くすり相談窓口

東京都新宿区四谷1丁目7番地 〒160-8515

TEL 03-5229-3906  0120-189-522
FAX 03-5229-3955

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元

持田製薬株式会社

東京都新宿区四谷1丁目7番地

〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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