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日本薬局方
エストリオール錠
処方箋医薬品注)
エストリオールとして、通常成人1回0.1~1.0mgを1日1~2回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
エストリオールとして、通常1回1.0mgを1日2回経口投与する。なお、症状により適宜増減する。
投与後6ヵ月~1年後に骨密度を測定し、効果が認められない場合には投与を中止し、他の療法を考慮すること。
子宮筋腫の発育を促進するおそれがある。
症状が増悪するおそれがある。
ナトリウムや体液の貯留、高カルシウム血症により症状が増悪するおそれがある。
体液貯留を起こし、てんかんが増悪するおそれがある。
十分管理を行いながら投与すること。糖尿病が増悪するとの報告がある。
骨端の早期閉鎖、性的早熟をきたすおそれがある。
血液凝固能が亢進され、心血管系の副作用の危険性が高くなることがある。
投与しないこと。代謝能が低下しており肝臓への負担が増加するため、症状が増悪することがある。
代謝能の低下により、本剤の作用が増強することがある。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。
血糖降下作用が減弱することがある。血糖値その他患者の状態を十分観察し、血糖降下剤の用量を調節するなど注意すること。
卵胞ホルモン(主に結合型エストロゲン、合成エストロゲン)は耐糖能を変化させ血糖を上昇させる作用が認められている。
長期連用により、血栓症が起こることが報告されている。,,
5%未満注1)
頻度不明
過敏症
発疹、そう痒感等
子宮
不正出血、帯下増加
乳房
乳房痛、乳房緊満感等
肝臓
AST・ALTの上昇等
消化器
悪心、食欲不振等
嘔吐
その他
めまい、脱力感、全身熱感、体重増加
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
生理的月経の発現に障害を及ぼすような投与を避けること。
卵胞ホルモン剤を長期間(約1年以上)使用した閉経期以降の女性では、子宮内膜癌になる危険性が対照群の女性と比較して高く、この危険性は、使用期間に相関して上昇し(1~5年間で2.8倍、10年以上で9.5倍)、黄体ホルモン剤の併用により抑えられる(対照群の女性と比較して0.8倍)との疫学調査の結果が報告されている5)。
米国におけるWHI試験の結果、結合型エストロゲン・黄体ホルモン配合剤投与群では、冠動脈性心疾患の危険性がプラセボ投与群と比較して高い傾向にあり、特に服用開始1年後では有意に高くなる(ハザード比:1.81)との報告がある10)。並行して行われた子宮摘出者に対する試験の結果、結合型エストロゲン単独投与群では、冠動脈性心疾患の危険性がプラセボ投与群と比較して有意差はない(ハザード比:0.91)との報告がある7)。
米国におけるWHI試験の結果、結合型エストロゲン・黄体ホルモン配合剤投与群では、脳卒中(主として脳梗塞)の危険性がプラセボ投与群と比較して有意に高くなる(ハザード比:1.31)との報告がある11)。並行して行われた子宮摘出者に対する試験の結果、結合型エストロゲン単独投与群では、脳卒中(主として脳梗塞)の危険性がプラセボ投与群と比較して有意に高くなる(ハザード比:1.37)との報告がある7),12)。
米国における65歳以上の閉経後女性を対象とした無作為化臨床試験(WHI Memory Study(WHIMS))の結果、結合型エストロゲン・黄体ホルモン配合剤投与群では、アルツハイマーを含む認知症の危険性がプラセボ投与群と比較して有意に高くなる(ハザード比:2.05)との報告がある13)。並行して行われた子宮摘出者に対する試験の結果、結合型エストロゲン単独投与群では、アルツハイマーを含む認知症の危険性がプラセボ投与群と比較して有意ではないが、高い傾向がみられた(ハザード比:1.49)との報告がある14)。
米国におけるWHI試験の結果、結合型エストロゲン・黄体ホルモン配合剤投与群において、胆嚢疾患になる危険性がプラセボ投与群と比較して有意に高くなる(ハザード比:1.59)との報告がある19)。並行して行われた子宮摘出者に対する試験の結果、結合型エストロゲン単独投与群では、胆嚢疾患になる危険性がプラセボ投与群と比較して有意に高くなる(ハザード比:1.67)との報告がある19)。
子宮癌あるいは子宮筋腫のため子宮全剔術を行った女性に、術後1~2週間後に本剤1mgを1日3錠、1週間連日経口投与注2)したところ、全例に尿中エストリオール値の著しい上昇が認められた20)。
更年期障害患者並びに術後卵巣機能欠落症26例に対して、本剤1mgを1回2錠1日1回20日間単独投与した結果、19例に症状の改善を認め、Maturation indexも大多数例が改善された。また、投与中、投与後を通じて2例の軽度悪心を除いて特記すべき副作用は認めなかった21)。
老人性腟炎又は単純性腟炎を対象として本剤1mg又はプラセボを1日2回14日間投与した結果、本剤の有効率78%(29/37例)に対してプラセボ群の有効率55%(21/38例)であり、5%以下の危険率で有意な差を認めた。他覚所見では腟壁発赤と帯下の性状で、自覚症状では帯下感で、本剤の効果がプラセボより優れており有意な差を認めた。副作用はプラセボ投与群で2例の子宮出血と1例の胃腸障害を認めたが、本剤投与群では副作用を認めなかった22)。
エストリオール投与により、子宮腟部びらん患者のびらん面は治癒又は縮小し、臨床症状も改善される23)。
骨X線像によりSinghの分類で4以下、又は伊丹の分類で2以上と診断された60~85歳の骨粗鬆症患者68例を対象として、本剤1mg又はプラセボを1日2回、4週間連続投与後1週間休薬を1クールとして連続9クール(45週間)投与した。骨塩量変化率は、プラセボ群で1.93%の減少に対し、本剤群では2.60%の増加で、本剤群が有意に優れていた(p<0.05)。自覚症状(自発痛、運動痛及び腰部こわばり感)に対するアナログスケール上の平均スコアは、症状が中等度の症例で本剤群54.4、プラセボ群33.0と本剤群が有意に優れていた(p<0.05)。副作用発現率はそれぞれ本剤群17.6%、プラセボ群8.9%であったが、両群間に有意差は認められなかった24)。
エストリオールは、エストラジオールの代謝産物で、エストロゲン作用を示す25)。
エストロゲンは性ステロイドの中で最も性中枢に対する調節作用が強く、血中のエストロゲンレベルが下がると性上位の間脳-下垂体が刺激され、卵巣からのエストロゲン分泌が促進される。逆に血中のエストロゲンレベルが上がると下垂体性のゴナドトロピン分泌がおさえられて中枢性の興奮が抑制される31)(ラット、マウス)。
加齢に伴い多発する骨粗鬆症の成因は骨形成と骨吸収のアンバランスによるものと考えられる。
In vitro試験において、エストリオールは副甲状腺ホルモン(PTH)により惹起される骨カルシウムの放出及びクエン酸の蓄積を抑制する32)。
低カルシウム飼料により誘発した骨粗鬆症ラットにおいて、エストリオールは骨不溶性コラーゲンの架橋を正常化し、骨カルシウム量の減少を著明に抑制する33)。また、卵巣摘出により人工的に作製した骨粗鬆症ウサギにエストリオールを投与すると、軟骨全層にカルシウム沈着が著明に認められる34)。
骨粗鬆症患者の骨塩量をBone mineral analyzerにより測定すると、エストリオール投与により骨塩量は明らかに増加する35)。
エストリオール(Estriol)
Estra-1,3,5(10)-triene-3,16α,17β-triol
C18H24O3
288.38
*白色の結晶性の粉末で、においはない。メタノールにやや溶けにくく、エタノール(99.5)に溶けにくく、水にほとんど溶けない。
281~286℃
PTP:100錠(10錠×10)
PTP:100錠(10錠×10)、500錠(10錠×50)
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