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処方箋医薬品注)
通常、成人にはリナクロチドとして0.5mgを1日1回、食前に経口投与する。なお、症状により0.25mgに減量する。
重度の下痢があらわれるおそれがあるので、症状の経過を十分に観察し、本剤を漫然と投与しないよう、定期的に本剤の投与継続の必要性を検討すること。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(マウス1))で胎児毒性(胎児体重の低値及び胎児の形態異常)が報告されている。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。2歳以下の乳幼児では成人に比べグアニル酸シクラーゼC受容体発現量が多いという報告2)があり、本剤の薬理作用の過剰発現によって重度な下痢のリスクが高まるおそれがある。動物実験(幼若マウス3))で、重度の脱水による死亡例が報告されている。
副作用の発現に注意すること。一般に高齢者は生理機能が低下している。
5%以上
1~5%未満
1%未満
血液及びリンパ系障害
貧血
胃腸障害
下痢(11.6%)
腹痛
腹部不快感、腹部膨満、上腹部痛、便意切迫、放屁、便秘型過敏性腸症候群の悪化、悪心、軟便
一般・全身障害及び投与部位の状態
発熱、口渇
肝胆道系障害
肝機能異常
臨床検査
ALT上昇、AST上昇、血中ビリルビン上昇、血中カリウム上昇、血中トリグリセリド上昇、γ-GTP上昇、白血球数減少、血中リン上昇、血小板数増加、尿中蛋白陽性
神経系障害
頭痛
腎及び尿路障害
尿閉
皮膚及び皮下組織障害
発疹、蕁麻疹
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
健康成人24例に本剤0.109~3.27mg注)を単回経口投与及び健康成人36例に本剤0.25~1mg注)を1日1回7日間反復経口投与した結果、本剤及び活性代謝物である脱チロシン体の血漿中濃度は、すべての時点で定量下限未満であった4),5)。更に、便秘型過敏性腸症候群患者446例に本剤0.0625~0.5mg注)を1日1回4週間または8週間投与したときの本剤及び脱チロシン体血漿中濃度は、すべての時点で定量下限未満であった6)。この結果より、本剤の吸収性は非常に低いと推察された。
注)本剤の承認された1日通常用量は0.5mgである。
本剤は腸液において、タンパク質分解酵素により、活性代謝物である脱チロシン体に代謝され、更に小ペプチドや天然型アミノ酸に代謝された7)(in vitro試験)。
本剤はCYPの基質にはならず8)、また、本剤並びに活性代謝物である脱チロシン体はCYP分子種(CYP1A2、2B6、2C8、2C9、2C19、2D6、2E1及び3A4/5)に対する阻害作用は弱く、CYP1A2、2B6及び3A4/5に対する誘導作用も示さなかった9),10),11)(in vitro試験)。本剤はP-gpの基質にはならず、排出又は取り込みトランスポーターのうち、OATP2B1に対して阻害作用(10μmol/Lにて55%の阻害)を示したが、P-gp、BCRP、MRP2、MRP3、MRP4、OATP1B1、OATP1B3、PEPT1及びOCTN1に対しては阻害作用を示さなかった(IC50値>10μmol/L)12),13)。また、脱チロシン体は排出又は取り込みトランスポーターに対して阻害作用を示さなかった(IC50値>10μmol/L)13)(in vitro試験)。
国内で実施された便秘型過敏性腸症候群患者を対象とした第Ⅲ相プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験及び長期投与試験における成績は以下のとおりであった。
本剤0.5mgもしくはプラセボを1日1回12週間、朝食前に経口投与したときの結果は、2つの主要評価項目である12週間における過敏性腸症候群症状の全般改善効果のレスポンダー率及び12週間における完全自然排便のレスポンダー率に関して、本剤0.5mg群はプラセボ群を上回り有意な差が認められた。臨床検査値異常を含む副作用の発現割合はプラセボ群で5.2%(13/251例)、本剤0.5mg群で14.1%(35/249例)であり、本剤0.5mg群で2%以上認められた副作用は、下痢(9.2%、23/249例)のみであった14)。
投与群
症例数
レスポンダー率
両側95%信頼区間
P値※
プラセボとの差
下限
上限
プラセボ
251
17.5%
13.0
22.8
<0.001
16.2%
本剤0.5mg
249
33.7%
27.9
40.0
※:Fisher’s exact検定(有意水準:0.05)
19.1%
14.4
24.5
15.8%
34.9%
29.0
41.2
上記の第Ⅲ相プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験を完了した被験者のうち、移行基準を満たした症例を対象として、本剤0.5mgを1日1回朝食前に、プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験を含めて52週間経口投与した。本剤が52週間投与された164例における過敏性腸症候群症状の全般改善効果の週間レスポンダー率及び完全自然排便の週間レスポンダー率は、本剤投与開始後、経時的に上昇し、その後、概ね一定に推移した。臨床検査値異常を含む副作用の発現割合は23.2%(38/164例)であり、2%以上の副作用は、下痢(11.6%、19/164例)であった14)。
国内で実施された慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)患者を対象とした第Ⅲ相プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験及び長期投与試験における成績は以下のとおりであった。
本剤0.5mgもしくはプラセボを1日1回4週間、朝食前に経口投与したときの結果は、主要評価項目である評価期第1週における自然排便頻度(週平均値)の観察期からの変化量に関して、本剤0.5mg群はプラセボ群を上回り有意な差が認められた。臨床検査値異常を含む副作用の発現割合はプラセボ群で2.2%(2/90例)、本剤0.5mg群で19.6%(18/92例)であり、本剤0.5mg群で2%以上認められた副作用は、下痢(13.0%、12/92例)、血中カリウム増加(2.2%、2/92例)であった15)。
観察期の自然排便頻度
評価期第1週の自然排便頻度
観察期からの変化量
プラセボとの調整済み平均値の差[95%信頼区間]※
88
1.74±0.64
3.22±1.78
1.48±1.84
2.53[1.64,3.42]
<0.001
91
1.67±0.75
5.69±3.92
4.02±3.82
(平均値±標準偏差)
※:共分散分析(投与群、ベースライン値をモデルに含む)(有意水準:0.05)
上記の第Ⅲ相プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験を完了した被験者のうち、移行基準を満たした症例を対象として、本剤0.5mgを1日1回朝食前に、プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験を含めて56週間経口投与した。本剤が56週間投与された65例における自然排便頻度の週平均値の変化量は、本剤投与開始後、早期に増加し、その後、概ね一定に推移した。臨床検査値異常を含む副作用の発現割合は本剤0.5mg群で30.4%(28/92例)であり、2%以上の副作用は、下痢(17.4%、16/92例)、軟便(4.3%、4/92例)、血中カリウム増加(2.2%、2/92例)であった15)。
本剤の腸管分泌及び腸管輸送能促進作用並びに大腸痛覚過敏改善作用が、排便異常及び腹痛・腹部不快感の改善に寄与すると考えられる。
本剤は、受容体結合実験において、ヒトGC-C受容体に高い親和性を示した16)(in vitro試験)。
本剤は、ヒト結腸上皮細胞において、細胞内サイクリックGMP濃度を増加させた17)(in vitro試験)。
本剤は、ラット及びマウスにおいて、腸管分泌を促進するとともに、小腸輸送能を促進させた18),19),20),21)。
本剤は、ラット及びマウスにおいて、ストレスや大腸炎によって引き起こされる大腸痛覚過敏を抑制した22),23),24)。
リナクロチド(Linaclotide)
C59H79N15O21S6
1526.74
リナクロチドは白色の粉末である。ジメチルスルホキシドに溶けやすく、水及びエタノール(99.5)に溶けにくい。
リナクロチドは、グアニル酸シクラーゼC受容体アゴニストであり、14個のアミノ酸残基からなる合成ペプチドである。化学名は以下のとおりである。
L-Cysteinyl-L-cysteinyl-L-α-glutamyl-L-tyrosyl-L-cysteinyl-L-cysteinyl-L-asparaginyl-L-prolyl-L-alanyl-L-cysteinyl-L-threonylglycyl-L-cysteinyl-L-tyrosine cyclic(1➝6),(2➝10),(5➝13)-tris(disulfide)
*本品はアルミ包装で品質保持をはかっているので、服用直前に錠剤を取り出すこととし、無包装状態、あるいは別容器に移しての保存はしないこと。
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
*100錠(10錠×10)
1) 社内報告書:マウス・生殖発生毒性試験(2016年12月19日承認 CTD 2.6.6.6、CTD 2.6.7.12~CTD 2.6.7.14)(DIR160112)
2) Cohen, M. B. et al.:Gastroenterology 1988;94(2):367-373[R-07344]
3) 社内報告書:マウス・幼若毒性試験(2016年12月19日承認 CTD 2.6.6.6.6、CTD 2.6.7.15)(DIR160113)
4) 社内報告書:健康成人・第Ⅰ相単回投与試験(2016年12月19日承認 CTD 2.7.6.2)(DIR160072)
5) 社内報告書:健康成人・第Ⅰ相反復投与試験(2016年12月19日承認 CTD 2.7.6.3)(DIR160073)
6) 社内報告書:便秘型過敏性腸症候群患者・第Ⅱ相試験(2016年12月19日承認 CTD 2.7.6.6)(DIR160078)
7) 社内報告書:ヒト腸液中安定性・薬物動態(2016年12月19日承認 CTD 2.7.2.2.1.2)(DIR160104)
8) 社内報告書:ヒト小腸ミクロソーム中安定性・薬物動態(2016年12月19日承認 CTD 2.7.2.2.1.3)(DIR160092)
9) 社内報告書:ヒト肝臓CYP阻害・薬物動態(2016年12月19日承認 CTD 2.6.4.5.2.3)(DIR160093)
10) 社内報告書:ヒト小腸CYP阻害・薬物動態(2016年12月19日承認 CTD 2.6.4.5.2.2)(DIR160094)
11) 社内報告書:ヒト肝臓CYP誘導・薬物動態(2016年12月19日承認 CTD 2.6.4.5.2.1)(DIR160095)
12) 社内報告書:ヒトP-gp基質・阻害・薬物動態(2016年12月19日承認 CTD 2.7.2.2.1.4)(DIR160096)
13) 社内報告書:ヒトトランスポーター阻害・薬物動態(2016年12月19日承認 CTD 2.7.2.2.1.5)(DIR160097)
14) 社内報告書:便秘型過敏性腸症候群患者・第Ⅲ相試験(2016年12月19日承認 CTD 2.7.6.7)(DIR160071)
15) 社内報告書:慢性便秘症患者・第Ⅲ相試験(2018年8月21日承認 CTD 2.7.6.2)(DIR170080)
16) 社内報告書:ヒトGC-C受容体親和性・薬理作用(2016年12月19日承認 CTD 2.6.2.2.1.1~CTD 2.6.2.2.1.2)(DIR160081)
17) 社内報告書:ヒトGC-C受容体刺激・薬理作用(2016年12月19日承認 CTD 2.6.2.2.3.1)(DIR160083)
18) 社内報告書:マウス腸管分泌・薬理作用(2016年12月19日承認 CTD 2.6.2.2.4.1)(DIR160084)
19) 社内報告書:ラット腸管分泌・薬理作用(2016年12月19日承認 CTD 2.6.2.2.4.2)(DIR160085)
20) 社内報告書:マウス腸管輸送能・薬理作用(2016年12月19日承認 CTD 2.6.2.2.5.1)(DIR160086)
21) 社内報告書:ラット腸管輸送能・薬理作用(2016年12月19日承認 CTD 2.6.2.2.5.2)(DIR160087)
22) 社内報告書:ラットストレス誘発大腸痛覚過敏・薬理作用(2016年12月19日承認 CTD 2.6.2.2.6.2)(DIR160089)
23) 社内報告書:ラット大腸炎誘発大腸痛覚過敏・薬理作用(2016年12月19日承認 CTD 2.6.2.2.6.4)(DIR160090)
24) 社内報告書:マウス大腸炎誘発大腸痛覚過敏・薬理作用(2016年12月19日承認 CTD 2.6.2.2.6.5)(DIR160091)
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