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日本薬局方
リスペリドン錠
劇薬
処方箋医薬品注)
リスペリドン細粒
通常、成人にはリスペリドンとして1回1mg 1日2回より開始し、徐々に増量する。維持量は通常1日2~6mgを原則として1日2回に分けて経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。但し、1日量は12mgを超えないこと。
通常、リスペリドンとして1日1回0.25mgより開始し、4日目より1日0.5mgを1日2回に分けて経口投与する。症状により適宜増減するが、増量する場合は1週間以上の間隔をあけて1日量として0.25mgずつ増量する。但し、1日量は1mgを超えないこと。
通常、リスペリドンとして1日1回0.5mgより開始し、4日目より1日1mgを1日2回に分けて経口投与する。症状により適宜増減するが、増量する場合は1週間以上の間隔をあけて1日量として0.5mgずつ増量する。但し、1日量は、体重20kg以上45kg未満の場合は2.5mg、45kg以上の場合は3mgを超えないこと。
一過性の血圧降下があらわれることがある。
QTが延長する可能性がある。
悪性症候群が起こりやすくなる。また、錐体外路症状の悪化に加えて、錯乱、意識レベルの低下、転倒を伴う体位不安定等の症状が発現するおそれがある。
痙攣閾値を低下させるおそれがある。
症状を悪化させるおそれがある。
血糖値が上昇することがある。,,
悪性症候群が起こりやすい。
抗精神病薬において、肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されている。
本剤の半減期の延長及びAUCが増大することがある。
肝障害を悪化させるおそれがある。,
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒトで乳汁移行が認められている1)。
患者の状態を観察しながら少量(1回0.5mg)から投与するなど、慎重に投与すること。高齢者では錐体外路症状等の副作用があらわれやすく、また、腎機能障害を有する患者では最高血漿中濃度が上昇し、半減期が延長することがある。
アドレナリン(アナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)
アドレナリンの作用を逆転させ、血圧降下を起こすことがある。
アドレナリンはアドレナリン作動性α、β受容体の刺激剤であり、本剤のα受容体遮断作用によりβ受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される。
中枢神経抑制剤(バルビツール酸誘導体等)
相互に作用を増強することがあるので、減量するなど慎重に投与すること。
本剤及びこれらの薬剤の中枢神経抑制作用による。
ドパミン作動薬
相互に作用を減弱することがある。
本剤はドパミン遮断作用を有していることから、ドパミン作動性神経において作用が拮抗する可能性がある。
降圧薬
降圧作用が増強することがある。
本剤及びこれらの薬剤の降圧作用による。
アルコール
相互に作用を増強することがある。
アルコールは中枢神経抑制作用を有する。
CYP2D6を阻害する薬剤(パロキセチン2)等)
本剤及び活性代謝物の血中濃度が上昇することがある。
これらの薬剤の薬物代謝酵素阻害作用による。
CYP3A4を誘導する薬剤(カルバマゼピン3)、フェニトイン、リファンピシン4)、フェノバルビタール)
本剤及び活性代謝物の血中濃度が低下することがある。
これらの薬剤のCYP3A4誘導作用による。
CYP3A4を阻害する薬剤(イトラコナゾール5)等)
これらの薬剤のCYP3A4阻害作用による。
QT延長を起こすことが知られている薬剤
QT延長があらわれるおそれがある。
QT延長作用が増強するおそれがある。
アドレナリン含有歯科麻酔剤
血圧降下を起こすことがある。
アドレナリンはアドレナリン作動性α、β受容体の刺激剤であり、本剤のα受容体遮断作用によりβ受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強されるおそれがある。
無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CKの上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡することがある。,
長期投与により、口周部等の不随意運動があらわれ、投与中止後も持続することがある。
腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)を来し、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。なお、本剤は動物実験(イヌ)で制吐作用を有することから、悪心・嘔吐を不顕性化する可能性があるので注意すること。
低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量の増加、高張尿、痙攣、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがある。
AST、ALT、γ–GTPの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。,
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがある。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
心房細動、心室性期外収縮等があらわれることがある。
高血糖や糖尿病の悪化があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡に至ることがあるので、本剤投与中は、口渇、多飲、多尿、頻尿等の症状の発現に注意するとともに、血糖値の測定を行うなど十分な観察を行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、インスリン製剤の投与等の適切な処置を行うこと。,,
脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等の低血糖症状が認められた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと。,
肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
α交感神経遮断作用に基づく持続勃起症があらわれることがある。
5%以上
5%未満
頻度不明
感染症及び寄生虫症
気管支炎、鼻咽頭炎、咽頭炎、肺炎、胃腸炎、感染、膀胱炎、耳感染、インフルエンザ、限局性感染、気道感染、鼻炎、副鼻腔炎、皮下組織膿瘍、尿路感染、ウイルス感染、蜂巣炎、扁桃炎、眼感染、中耳炎、爪真菌症、ダニ皮膚炎
血液及びリンパ系障害
貧血
血小板減少症、好中球減少症
免疫系障害
アナフィラキシー反応、過敏症
内分泌障害
高プロラクチン血症
代謝及び栄養障害
食欲不振
食欲亢進
高脂血症、多飲症、食欲減退、高尿酸血症、水中毒
精神障害
不眠症、不安
激越、うつ病、幻覚、躁病、妄想、緊張、錯乱状態、リビドー亢進
抑うつ症状、被害妄想、精神症状、睡眠障害、自殺企図、徘徊、リビドー減退、神経過敏、気力低下、情動鈍麻、無オルガズム症、悪夢、睡眠時遊行症
神経系障害注1)
アカシジア、振戦、構音障害、傾眠、めまい・ふらつき
頭痛、ジストニー、鎮静、運動低下、立ちくらみ、ジスキネジア、無動、しびれ感、痙攣、仮面状顔貌、頭部不快感、錯感覚
パーキンソニズム、錐体外路障害、精神運動亢進、注意力障害、構語障害、よだれ、嗜眠、意識レベルの低下、会話障害(舌のもつれ等)、味覚異常、記憶障害、てんかん、末梢性ニューロパチー、協調運動異常、過眠症、弓なり緊張、失神、平衡障害、刺激無反応、運動障害、意識消失
眼障害
調節障害、視力低下
眼球回転発作、眼瞼痙攣、眼脂、結膜炎、網膜動脈閉塞、霧視、眼充血、眼瞼縁痂皮、眼乾燥、流涙増加、羞明、緑内障、術中虹彩緊張低下症候群
耳及び迷路障害
耳痛、回転性めまい、耳鳴
心臓障害注2)
頻脈、動悸、心室性期外収縮、上室性期外収縮
洞性頻脈、房室ブロック、右脚ブロック、徐脈、左脚ブロック、洞性徐脈
血管障害注3)
潮紅
起立性低血圧、低血圧、高血圧、末梢冷感、末梢循環不全
呼吸器、胸郭及び縦隔障害
鼻閉
呼吸困難、咳嗽、鼻漏、副鼻腔うっ血、睡眠時無呼吸症候群、口腔咽頭痛、鼻出血、肺うっ血、喘鳴、嚥下性肺炎、発声障害、気道うっ血、ラ音、呼吸障害、過換気
胃腸障害
流涎過多、便秘、悪心、嘔吐
嚥下障害、腹部膨満、胃不快感、下痢、腹痛、消化不良、上腹部痛
口内乾燥、胃炎、唾液欠乏、腸閉塞、膵炎、歯痛、糞塊充塞、便失禁、口唇炎、舌腫脹
肝胆道系障害
肝機能異常
皮膚及び皮下組織障害
多汗症、発疹
そう痒症、湿疹、過角化、紅斑、ざ瘡、脱毛症、血管浮腫、皮膚乾燥、頭部粃糠疹、脂漏性皮膚炎、皮膚変色、皮膚病変、蕁麻疹、水疱
筋骨格系及び結合組織障害
筋固縮
斜頚、筋攣縮、関節硬直
筋肉痛、筋力低下、背部痛、四肢痛、関節痛、姿勢異常、筋骨格痛、頚部痛、筋骨格系胸痛、筋痙縮
腎及び尿路障害
排尿困難、頻尿
尿閉、尿失禁
生殖系及び乳房障害
月経障害
乳汁漏出症、射精障害
無月経、不規則月経、女性化乳房、性機能不全、乳房不快感、勃起不全、月経遅延、希発月経、腟分泌物異常、乳房腫大、乳房分泌
全身障害及び投与局所様態
易刺激性、倦怠感、口渇
無力症、疲労、歩行障害、胸部不快感、発熱
気分不良、胸痛、顔面浮腫、末梢性浮腫、疼痛、不活発、浮腫、低体温、インフルエンザ様疾患、悪寒、薬剤離脱症候群
臨床検査
ALT増加、CK増加、血圧低下、血中トリグリセリド増加、γ-GTP増加、体重増加、体重減少
AST増加、血中クレアチニン増加、血中ブドウ糖増加、LDH増加、血中プロラクチン増加、血中ナトリウム減少、血中尿素増加、心電図異常注2) 、心電図QT延長注2) 、好酸球数増加、グリコヘモグロビン増加、血小板数減少、総蛋白減少、白血球数減少、白血球数増加、尿中蛋白陽性、ALP増加、ヘマトクリット減少、心電図T波逆転注2) 、血中尿酸増加、尿中血陽性、肝酵素上昇、尿糖陽性
傷害、中毒及び処置合併症
転倒・転落、引っかき傷、処置による疼痛
一般に報告されている徴候、症状は、本剤の作用が過剰に発現したものであり、傾眠、鎮静、頻脈、低血圧、QT延長、錐体外路症状等である。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
健康成人にリスペリドン1mg(内用液又は錠)を経口投与した場合、血漿中未変化体濃度は投与後約1時間で最高値に達し、消失半減期は約4時間であった。主代謝物9–ヒドロキシリスペリドン(パリペリドン)の血漿中濃度は投与後約3時間で最高値に達した後、約21時間の半減期で消失した。8)
剤形
Cmax(ng/mL)
Tmax(hr)
AUC(ng・hr/mL)
t1/2(hr)
消失速度定数(hr-1)
内用液(n=21)
未変化体
7.26±4.09
0.81±0.22
34.84±35.81
3.57±2.16
0.243±0.096
主代謝物
5.39±2.00
2.67±2.45
116.54±32.04
20.91±3.72
0.034±0.007
錠(n=21)
7.01±3.82
1.13±0.36
35.50±35.67
3.91±3.25
0.244±0.102
5.19±1.87
3.27±2.54
115.54±30.08
21.69±4.21
0.033±0.007
小児及び青年の精神疾患患者にリスペリドン錠を0.01~0.08mg/kg/日の用量で1日2回反復経口投与したとき、体重あたりの用量0.04mg/kg/日で規格化した血漿中未変化体のCmax,ss及びAUCτ,ssは青年と比較して小児で若干低値であったが、血漿中主代謝物9–ヒドロキシリスペリドンのCmax,ss及びAUCτ,ssは小児と青年で同程度であった9)(外国人データ)。
Cmax,ss(ng/mL)
Cmin,ss(ng/mL)
AUCτ,ss(ng・hr/mL)
CL/F(mL/min.kg)
小児(6~11歳)(n=12)
12.4±9.0
2.06±2.68
87.5±61.5a)
6.11±4.15a)
16.7±6.8
8.98±3.58
152±58
2.52±1.00
青年(12~16歳)(n=12)
22.5±23.9
8.61±13.1
190±235b)
6.51±6.72b)
16.8±8.8
11.7±6.9
172±94
2.37±1.01
a) n=9, b) n=11
ラットにおける14C–リスペリドンの単回投与後の組織内放射能濃度は、ほとんどの組織において投与2時間以内に最高値に達し、その後の消失は血漿中からの消失と同様な傾向を示した。放射能濃度が最も高かった肝臓では血漿中放射能濃度の12~22倍程度あり、胃、小腸、副腎、腎臓及び各種腺組織等でも高い放射能濃度が認められた10)。妊娠ラットに14C–リスペリドンを投与した時の胎児中放射能濃度は、血漿中濃度の約1/2であった11)。
健康成人にリスペリドン1mg錠を単回投与し、脳内におけるドパミンD2及びセロトニン5–HT2受容体占拠率について検討した結果、各受容体に結合親和性を有することが確認された。したがって、リスペリドンは血液–脳関門を通過することが示唆された。12)
リスペリドン:約90.0%(in vitro、平衡透析法、10ng/mL)9-ヒドロキシリスペリドン:約77.4%(in vitro、平衡透析法、50ng/mL)13)
健康成人にリスペリドンを経口投与した場合、主に肝臓で代謝されると推定され、主代謝物は9-ヒドロキシリスペリドンであった14)。初回通過効果の有無及びその割合:あり(割合は不詳)代謝物の活性の有無:主代謝物9-ヒドロキシリスペリドンの活性はin vitro及びin vivoの薬理試験においてリスペリドン未変化体とほぼ同程度かやや弱いことが示されている15),16)。代謝酵素(チトクロームP450)の分子種:CYP2D6、CYP3A4
健康成人にリスペリドン1mg錠及び2mg錠を経口投与した場合、投与後72時間までに排泄された尿中未変化体は約2%であり、主代謝物の9–ヒドロキシリスペリドンは約20%であった17)。外国人でのデータでは、健康成人に14C–リスペリドン1mgを単回経口投与した場合、投与後7日間までに放射活性の14%が糞中に、69%が尿中に排泄された14)。
健康成人、高齢者、肝機能障害患者及び腎機能障害患者にリスペリドン1mg錠を単回経口投与したとき、活性成分(リスペリドン+9-ヒドロキシリスペリドン)の薬物動態は、健康成人と比して、中等度腎機能障害患者(クレアチニンクリアランス:30~60mL/min/1.73m2)でt1/2に35%の延長及びAUCに2.7倍の増大、重度腎機能障害患者(クレアチニンクリアランス:10~29mL/min/1.73m2)でt1/2に55%の延長及びAUCに2.6倍の増大、高齢者でt1/2に30%の延長及びAUCに1.4倍の増大が認められた18)(外国人データ)。,,,
健康成人、健康高齢者又は患者(統合失調症、統合失調感情障害、双極性障害、精神病)を対象とした薬物相互作用の検討結果を以下に示す(外国人データ)。
統合失調症患者11例にCYP3A4誘導作用を有するカルバマゼピン(400~1000mg/日反復投与)とリスペリドン(6mg/日反復投与)を21日間併用したときの活性成分(リスペリドン+9-ヒドロキシリスペリドン)のCmax及びAUCτは約50%減少した19)。
健康成人12例にCYP3A4及びCYP2D6阻害作用を有するシメチジン(800mg/日反復投与)とリスペリドン(1mg単回投与)を併用したときの活性成分のCmax及びAUCはそれぞれ25%及び8%増加した。また、ラニチジン(300mg/日反復投与)と併用したとき、それぞれ36%及び20%増加した。20)
統合失調症患者12例にCYP2D6阻害作用を有するパロキセチン(10、20及び40mg/日反復投与)とリスペリドン(4mg/日反復投与)を併用したとき、活性成分の定常状態におけるトラフ値がそれぞれ1.3、1.6及び1.8倍上昇した2)。
統合失調症又は統合失調感情障害患者11例にCYP2D6阻害作用を有するセルトラリン(50mg/日反復投与)とリスペリドン(4~6mg/日反復投与)を併用したとき、活性成分の血漿中濃度に併用薬は影響を及ぼさなかった。また、セルトラリンを100mg/日に増量した患者では、活性成分の定常状態におけるトラフ値が15%上昇し、150mg/日に増量した2例では、それぞれ36%及び52%上昇した。21)
統合失調症患者11例にCYP3A4及びCYP2D6阻害作用を有するフルボキサミン(100mg/日反復投与)とリスペリドン(3~6mg/日反復投与)を併用したとき、活性成分の血漿中濃度に併用薬は影響を及ぼさなかった。また、フルボキサミンを200mg/日に増量した患者では、リスペリドンの定常状態におけるトラフ値が86%上昇したが、9-ヒドロキシリスペリドンの血漿中濃度に影響を及ぼさなかった。22)
統合失調症患者19例にCYP3A4阻害作用を有するイトラコナゾール(200mg/日反復投与)とリスペリドン(2~8mg/日反復投与)を併用したときの活性成分の定常状態におけるトラフ値は65%上昇した5)。
健康男性成人12例にP糖蛋白阻害作用を有するベラパミル(240mg反復投与)とリスペリドン(1mg単回投与)を併用したときの活性成分のCmax及びAUC∞はそれぞれ1.3倍及び1.4倍増加した23)。
統合失調症患者12例にCYP2D6の基質であるアミトリプチリン(50~100mg/日反復投与)とリスペリドン(6mg/日反復投与)を7日間併用したとき、健康成人18例にCYP3A4阻害作用を有するエリスロマイシン(2000mg/日反復投与)とリスペリドン(1mg単回投与)を併用したとき、双極性障害患者19例にCYP3A4の基質であるトピラマート(100~400mg/日反復投与)とリスペリドン(1~6mg/日反復投与)を39日間併用したとき、健康高齢者16例にCYP2D6及びCYP3A4の基質であるガランタミン(8~24mg/日反復投与)とリスペリドン(1mg/日反復投与)を7日間併用したとき、健康成人24例にCYP2D6及びCYP3A4の基質であるドネペジル(5mg/日反復投与)とリスペリドン(1mg/日反復投与)を14日間併用したとき、それぞれ活性成分の薬物動態に併用薬の影響は認められなかった24),25),26),27),28)。
健康高齢者18例にジゴキシン(0.125mg/日)とリスペリドン(0.5mg/日)を10日間併用したとき、双極I型障害患者10例にバルプロ酸(1000mg/日)とリスペリドン(2~4mg/日)を14日間併用したとき、それぞれの薬剤の薬物動態に併用の影響は認められなかった。精神病患者13例にリチウム(炭酸リチウムとして443~1330mg/日)を反復投与したときのリチウムの薬物動態に、リスペリドン以外の他の抗精神病薬併用からリスペリドン(6mg/日反復投与)併用へ変更しても影響はみられなかった。また、16.7.1での同時検討で、リスペリドンはカルバマゼピン、エリスロマイシン、トピラマート、ガランタミン及びドネペジルの血漿中濃度に影響を及ぼさなかった。19),25),26),27),28),29),30),31)
国内で実施された二重盲検比較試験を含む総計727例における臨床試験の結果、有効性評価対象症例722例に対する中等度改善以上の改善率は51.5%(372/722例)であった。また、二重盲検比較試験によって統合失調症に対する本剤の有用性が認められている。安全性評価対象症例723注)例中420例(58.1%)に副作用が認められた。主なものは、アカシジア126例(17.4%)、振戦95例(13.1%)、易刺激性92例(12.7%)、不眠症87例(12.0%)、筋固縮85例(11.8%)、流涎過多81例(11.2%)であった。32),33),34),35),36),37),38),39),40),41)注)承認用量外の本剤を投与された患者20例を含む。
DSM注1)-IV-TRにより自閉性障害と診断され、易刺激性を有する患者(5歳以上18歳未満)を対象に国内で実施した臨床試験の二重盲検期において、プラセボ又は本剤(体重15kg以上20kg未満:0.25~1.0mg/日、体重20kg以上45kg未満:0.5~2.5mg/日、体重45kg以上:0.5~3.0mg/日)が1日2回8週間経口投与された。主要評価項目である最終評価時(LOCF注2))におけるABC-J注3)興奮性サブスケールスコアのベースラインからの変化量は下表のとおりであり、プラセボ群と本剤群の比較において統計学的な有意差が認められた(p=0.0030、共分散分析)。42)
投与群
評価例数
ABC-J興奮性サブスケールスコア
変化量
ベースライン
最終評価時
ベースラインからの変化量
プラセボ群との比較a)
最小二乗平均値の群間差[95%信頼区間]
p値
プラセボ群
18
27.5±5.26
24.7±9.47
-2.8±6.62
-
本剤群
21
28.2±6.36
18.5±10.57
-9.7±7.29
-7.1[-11.6,-2.6]
0.0030
平均値±標準偏差a)投与群を因子、ベースラインのABC-J興奮性サブスケールスコアを共変量とした共分散分析
二重盲検期の後、本剤を48週間投与した長期投与期におけるABC-J興奮性サブスケールスコアのベースラインからの変化量は下表のとおりであった。
プラセボ群からの移行例
本剤群からの移行例
ベースラインa)
24.5±9.73 (17)
19.8±10.65 (18)
8週時
12.9±9.90 (16)
-10.8±10.47 (16)
13.7±10.46 (16)
-5.8±8.75 (16)
24週時
12.8±9.90 (16)
-10.9±10.76 (16)
13.1±9.67 (14)
-6.8±9.65 (14)
48週時
11.6±8.18 (14)
-12.5±10.32 (14)
12.6±9.84 (12)
-7.9±9.18 (12)
最終評価時(LOCF)
13.1±8.31 (17)
-11.4±10.70 (17)
13.0±10.28 (18)
-6.8±9.70 (18)
平均値±標準偏差(評価例数)a)長期投与期の治験薬服用開始時注1)American Psychiatric Association(米国精神医学会)のDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(精神疾患の診断・統計マニュアル)注2)Last-observation-carried-forward(直前に観察された値で欠測値を補完)注3)Aberrant behavior checklist-Japanese version(異常行動チェックリスト日本語版)注4)Full analysis set(最大の解析対象集団)注5)Observed Case(観察された値、欠測値の補完なし)
小児期の自閉性障害に伴う易刺激性を有する患者を対象とした国内臨床試験において、副作用は38例中32例(84.2%)に認められた。その主なものは傾眠24例(63.2%)、体重増加13例(34.2%)、食欲亢進10例(26.3%)、高プロラクチン血症4例(10.5%)、不安3例(7.9%)、よだれ3例(7.9%)、浮動性めまい2例(5.3%)、便秘2例(5.3%)、倦怠感2例(5.3%)であった。
行動薬理並びに神経化学的実験の結果より、主としてドパミンD2受容体拮抗作用及びセロトニン5-HT2受容体拮抗作用に基づく、中枢神経系の調節によるものと考えられる43),44)。
ドパミンD2受容体拮抗作用を有し、ラットでアンフェタミン又はアポモルフィンにより誘発される興奮や常同行動等の行動変化を用量依存的に抑制した。その程度はハロペリドールと同等若しくはやや弱いことが示された。43)
セロトニン5-HT2受容体拮抗作用を有し、ラットでトリプタミン及びメスカリンにより誘発される振戦や首振り運動等の行動変化を抑制した43)。
ラットでのカタレプシー惹起作用は、ハロペリドールより弱い。また、ラットの中脳-辺縁系(嗅結節)でのドパミンD2受容体に対する結合親和性は、錐体外路症状との関連が深いとされている線条体での親和性より高い。しかしハロペリドールでは線条体における結合親和性の方が高い。なお、セロトニン5-HT2受容体拮抗作用が線条体におけるドパミン伝達の遮断を緩和している可能性がある。43),44),45),46)
リスペリドン(risperidone)
3-{2-[4-(6-Fluoro-1,2-benzoisoxazol-3-yl)piperidin-1-yl]ethyl}-2-methyl-6,7,8,9-tetrahydro-4H-pyrido[1,2-a]pyrimidin-4-one
C23H27FN4O2
410.48
本品は白色~微黄白色の結晶性の粉末である。
169~173℃
LogP=0.98(1–オクタノール/pH6.1緩衝溶液)LogP=2.74(1–オクタノール/pH8.0緩衝溶液)
メタノール又はエタノール(99.5)にやや溶けにくく、2-プロパノールに極めて溶けにくく、水にほとんど溶けない。
100錠[10錠(PTP)×10]1,000錠[ボトル、バラ]
100g[ボトル]
1) Hill RC, et al.:J Clin Psychopharmacol. 2000; 20: 285-286
2) Saito M, et al.:J Clin Psychopharmacol. 2005; 25: 527
3) Spina E, et al.:Ther Drug Monit. 2000; 22: 481-485
4) Mahatthanatrakul W, et al.:J Clin Pharm Ther. 2007; 32: 161-167
5) Jung SM, et al.:Clin Pharmacol Ther. 2005; 78: 520
6) 社内資料:リスペリドンのがん原性試験
7) 社内資料:リスペリドンのがん原性試験
8) 社内資料:リスペリドンの薬物動態の検討
9) 社内資料:小児及び青年の精神疾患患者におけるリスペリドンの薬物動態の検討(2016年2月29日承認、CTD 2.7.2.2)
10) Van Beijsterveldt, L, 山下知寛, 他:基礎と臨床. 1993; 27: 3053 -3062
11) 社内資料:リスペリドンの胎盤移行の検討
12) Nyberg S, et al.:Psychopharmacol. 1993; 110: 265-272
13) Mannens G, et al.:Psychopharmacol. 1994; 114: 566-572
14) Mannens G, et al.:Drug Metab and Dispos. 1993; 21: 1134-1141
15) Schotte A, et al.:Jpn J Pharmacol. 1995; 69: 399-412
16) 社内資料:リスペリドンの代謝物の活性の検討
17) 石郷岡純, 他:臨床評価. 1991; 19: 93-163
18) Snoeck E, et al.:Psychopharmacol. 1995; 122: 223-229
19) 社内資料:経口リスペリドン製剤とカルバマゼピンとの相互作用の検討
20) 社内資料:経口リスペリドン製剤とシメチジン及びラニチジンとの相互作用の検討
21) Spina E, et al.:Ther Drug Monit. 2004; 26: 386
22) D’Arrigo C, et al.:Pharmacol Res. 2005; 52: 497
23) Nakagami T, et al.:Clin Pharmacol Ther. 2005; 78: 43
24) 社内資料:経口リスペリドン製剤とアミトリプチリンとの相互作用の検討
25) 社内資料:経口リスペリドン製剤とエリスロマイシンとの相互作用の検討
26) 社内資料:経口リスペリドン製剤とトピラマートとの相互作用の検討
27) 社内資料:経口リスペリドン製剤とガランタミンとの相互作用の検討
28) 社内資料:経口リスペリドン製剤とドネペジルとの相互作用の検討
29) 社内資料:経口リスペリドン製剤とジゴキシンとの相互作用の検討
30) 社内資料:経口リスペリドン製剤とバルプロ酸との相互作用の検討
31) 社内資料:経口リスペリドン製剤とリチウムとの相互作用の検討
32) 八木剛平, 他:臨床精神医学. 1991; 20: 529-542
33) 八木剛平, 他:臨床精神医学. 1993; 22: 1059-1074
34) 藤井康男, 他:臨床精神医学. 1993; 22: 101-116
35) 稲永和豊, 他:神経精神薬理. 1993; 15: 617-631
36) 八木剛平, 他:臨床医薬. 1993; 9: 2725-2739
37) 平林良登, 他:臨床医薬. 1993; 9: 1453-1470
38) 水木 泰, 他:神経精神薬理. 1993; 15: 749-762
39) 石郷岡純, 他:臨床精神医学. 1994; 23: 507-522
40) 村崎光邦, 他:臨床評価. 1993; 21: 221-259
41) 工藤義雄, 他:臨床精神医学. 1994; 23: 233-294
42) 社内資料:小児期の自閉性障害に伴う易刺激性を有する患者を対象とした国内第Ⅲ相試験(2016年2月29日承認、CTD2.7.2.2)
43) Janssen PAJ, et al.:J Pharmacol Exp Ther. 1988; 244: 685-693
44) Leysen JE, et al.:Mol Pharmacol. 1992; 41: 494-508
45) Megens A, et al.:J Pharmacol Exp Ther. 1992; 260: 146-159
46) 菊本修, 他:薬物・精神・行動. 1993; 13: 39-42
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